著者
平 洋一 沼田 英俊 中川 茂 小原 さゆり 山田 文明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp."S-38"-"S-39", 2009-03-04

マイクロプロセッサの性能向上に応じて配線板の電気信号バンド幅を増加させる必要がある。しかしながら現状の電気インターコネクト技術だけでは困難が伴う。特に高速信号の減衰、劣化を補うため回路の消費電力の増加も大きなものとなる。光伝送を用いた光インターコネクトはより高いバンド幅と低消費電力を可能にする。すでに、長さ数十メートル以上の高速光リンクは高バンド幅・低損失の光ファイバーが用いられているが、より短距離までの光リンクを実現にするには新しい技術が必要である。このために効果的なのは、光リンクつき配線板である。これら、電気配線版の限界と、光配線板の機能、要件および現在の技術課題を検討する。
著者
山田守正
雑誌
日歯麻誌
巻号頁・発行日
vol.17, pp.329-337, 1989
被引用文献数
13
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也 山田 智之 畠田 浩史 青木 栄太 笹田 森 伊藤 博康 田中 優
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.121-124, 2008

教員の情報収集を効率化するため,2006年度に開発・実証実験を行った,教員に有用なWeb情報の所在を配信するシステム"Teacher's Desktop"に,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」「マイブックマーク」の4機能を追加し,実証実験によりシステムの評価を行った.その結果,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」機能については,使用感・利便性ともに肯定的な評価を得て,教員の教育情報の効率的な検索への効果が認められた.一方,「マイブックマーク」機能に関しては,ほとんど利用されず,実装方法が今後の課題として残った.
著者
坂本 憲司 村松 正吾 貴家 仁志 山田 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.108, pp.9-14, 1999-06-11

新たな動画像符号化規格であるMPEG4では,従来のMPEG1,2のマクロブロック(16×16画素)単位の動き補償(MC)に加えて8×8画素単位の動き補償モード,8×8ブロックモードが用意されている.そこで,本報告では,従来型のPEの内部構成を改良することにより,この8×8ブロックモードを含む動き検出器(ME)の新たな線形アレー構成を提案する。本提案は処理要素(PE)と比較器のみを改良し,入力は従来型と全く同じである.PEの内部構成に従来型の構成にマルチプレクサ,アキュムレータを加えることにより,MPEG4で必要とされる8×8ブロックモードでの差分絶対値和(SAD)の選択,アキュムレートを可能にしている.また,8×8ブロックモードのSAD出力タイミングは,16×16ブロックモードと異なるため,8×8ブロックモードのための2種類の比較器を提案する。さらに,提案するPEのVHDLモデルの論理合成結果より,VLSI実現への性能の見積もりを行う.
著者
岡本 敏一 山田 純三
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.863-870, 1981-12-25

アヒル腺胃における内分泌細胞を光学および電子顕微鏡で観察し次の所見を得た. 1) アヒル腺胃には銀親和細胞は認められなかった. 2) 深在腺には多数の好銀細胞が卵円形と2極あるいは多極性の突起をもった形でみられた. 浅在腺には卵円形のものが少数みられるにすぎなかった. 3) これらの内分泌細胞を電顕観察し, 分泌顆粒の形態から次の4形に型別した. I型:顆粒が径約100〜250 nmの球形で種々の電子密度と, 空胞状から充実したものまで多様な内容を示すもの. この型の細胞は深在腺のみにみられ, Grimelius法またはSevier-Munger法で検出される突起をもつ細胞と同じ細胞と考えられた. II型: 径約200〜450 nm大の多数の大型球形顆粒の間に, 長径約200〜500 nmの多形性顆粒が少数混在する. いずれの顆粒も電子密度が高く, わずかな明調帯を有していた. 少数の脂肪様滴がこれらの顆粒間に混在していた. III型: 顆粒は径約230〜400 nmの球型で種々の電子密度を示す. この顆粒がアヒル膵島のD細胞顆粒と同様の形態であることから, この型の細胞はD細胞と推察された. IV型: 顆粒は球形で径約80〜200 nmと非常に小型で, 限界膜に囲れ高い電子密度を示す. 4) これらの内分泌細胞はすべて閉鎖型と推定した.
著者
成橋 和正 野村 政明 亀井 浩行 小野 俊介 松下 良 清水 栄 横川 弘一 山田 清文 鈴木 永雄 宮本 謙一 木村 和子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.973-980, 2003-11-01
被引用文献数
13 16

従来の薬学教育における臨床教育の不足から,多くの薬学系大学院博士前期課程(修士課程)に薬剤師免許取得後の大学院生を対象とした臨床系の専攻やコースが設立されてきている.金沢大学でも,薬学研究科(現:自然科学研究科)に臨床薬学教育を主眼に置いた医療薬学専攻が平成8年に設立され,国立大学としては早期であった.本学医療薬学専攻では,薬剤師免許取得者を対象とし,臨床現場で指導的役割を果たす高度な薬剤師の養成および次世代の医療薬学教育研究に携わる人材の育成を教育理念としている.このため,医療薬学専攻の学生に対して医療現場の実習を通じて医療を担うものとしての自覚を深めさせるとともに,自然科学の素養を身に付けることを求めている.具体的な教育目標は,医療人としての倫理観の醸成,医療の専門家として健康と疾病に関する知識獲得,薬物治療に起因する問題の同定・評価・解決,ならびに,コミュニケーションに関する知識・技術の習得,さらには,関連分野における高い研究・開発能力を発展させることである.このため,発足当初は,入学初期の集中講義,1か月の市内保険薬局での薬局実習,6か月の本学医学部附属病院薬剤部での実務実習を行い,1年間を課題研究期間としていた.講義は学部教育に引き続き,基礎自然科学系科目が大半であり,臨床現場での実習との非関連性が学生からも指摘されていた.また,半年間の実習後に修士の学位論文の一部として病院実務実習篇の作成や口頭発表が要求されていたために,実質的な実務実習は,時間的に極めて限られていた.実務実習を終えたあとの課題研究は,医療薬学専攻ならびに生命薬学専攻に属する各研究室で行っていたことから,必ずしも臨床に近いものではなかった.さらに,学生が就職するのは実習終了後1年を経過した後であり,就職直前の学生から実務に対する不安がでたり,就職直後に修了生や雇用者から実習経験が薬剤師として十分に活かせていないとの声が聞かれた.このような問題点を踏まえて,平成13年度に医療薬学専攻のカリキュラムの改善を図った.医療薬学に対する幅広い知識を深めさせるため,臨床系講義科目を充実させた.この変更では,薬物治療の科学的基礎とともに,看護,倫理,心理,国際など,医療に関連する人文・社会系分野も開講し,受講する学生の講義科目数が増加した.また,実習に関しては,継続性や充実性を考慮し,実務実習期間を1年に延長した.最初の2か月間は薬剤師業務全般の集中的な導入実習として,6人ずつ4グループに分かれ,調剤部門(一般調剤・注射薬調剤,2週間),製剤部門(一般製剤・無菌調剤,1週間),薬剤管理指導部門(医薬品情報・医薬品管理・TDM,1週間:病棟業務,4週間)を行う.その後は学生1人に対し指導薬剤師1人というマンツーマン形式の個別指導とし,薬剤師職能の病棟の薬剤管理指導を中心の実習としている.これに対し,医療薬学専攻の各教官も3名程度の学生を担当し,面接などにより実習の進捗状況を把握するとともに,専門分野に応じた指導も担当している.しかしながら,実習(実務)の大部分は指導薬剤師により行われており,個別指導であるため学生全体としての質の評価や,問題点の抽出は行いにくい.そこで,この新カリキュラムによる講義の理解度や実習の達成度について,visual analog scale(VAS)を用いて,学生と指導薬剤師による評価を試みた.また,この評価結果から,新カリキュラムの問題点などについて考察することとした.
著者
渋谷 功 山田 豊一 広田 秀憲 伊東 睦泰
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.259-269, 1979-01-31

1.本研究は,牧草群落における競争をある特定期間に限定するのではなく比較的長期にわたり年数回の剪葉を繰り返えしながら経時的にとらえることにより,群落構造変動のしくみとそれに果す競争の役割を解明しようと企画された。そのため,まずprimary canopyでの競争の初発とその自律的発現因子との関係をイタリアンライグラスを用いた5実験により調べ,ここに第1報とした。2.自律的誘発因子として種子の大小を取りあげた。大粒種子は小粒種子にくらべ胚乳のみでなく胚(幼芽,幼根)についても大きく,また離乳期間内の生長もよく,そのため出芽幼植物の生長にも勝った。出芽率は初めの1週間では小粒種子よりも大粒種子で明らかに高かったが,3週間にはその差は消えた。3.以上の結果をふまえて,大粒種子幼植物と小粒種子幼植物,あるいは早播幼植物と晩播幼植物をそれぞれ単播および混播したところ,LAIがおよそ1前後に達した頃より競争効果がみられ,小粒種子植物は大粒種子植物により,また晩播植物は早播植物により増数的形質について生長が抑圧された。早播植物は競争の結果,単播区の生長より勝ったが,大粒種子植物の場合そのような正の競争効果は明らかでなかった。4.本実験結果に既往の諸報告を加味して考えると,新播牧草のPrimary canopyにおいては,種間,種内を問わず,まず種子の大小や出芽の遅速により自律的に競争が生起するのは明らかである。
著者
磯野 春雄 安田 稔 三輪 幸司 金山 秀行 山田 千彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.518-525, 1992
被引用文献数
13

メガネが不要な40インチ液晶投与型立体カラーテレビディスプレイ装置を試作した.この装置の特徴は, 左右2台のテレビカメラで撮像した映像を水平方向に1画素毎に縦縞のストライプ像に合成したあと, 1台の高性能液晶ビデオプロジェクタを用いてレンチキュラースクリーンの背面に投与する表示方式にある.この方式は, 液晶ビデオプロジェクタによって投与したストライプ像とレンチキュラースクリーンとの光学的な位置合わせを高精度かつ容易に行うことができる.また, レンチキュラースクリーンとして, 内部が中空構造の高性能なスクリーンを新しく開発した.この結果, 40インチの画面全体にわたって均一で明るく, 鮮明なフルカラーの立体動画像をメガネなしで見ることができた.
著者
下川 賢一郎 岩瀬 賢明 三輪 亮佳 池田 麻理子 大野 修 山田 薫 宮本 憲二 上村 大輔
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.50, pp.487-492, 2008-09-01

(-)-Ternatin (1) is a highly N-methylated cyclic heptapeptide that was isolated from the mushroom Coriolus versicolor during our continuing search for potential anti-obesity agents from natural resources such as mushrooms. In our previous presentation (2006), we reported the isolation, structure elucidation and synthesis of 1, which potently inhibited fat accumulation against 3T3-L1 murine adipocytes. To clarify the detailed mode of action of (-)-ternatin (1) with regard to fat-accumulation inhibition in adipocytes, we started bioorganic studies of 1 and its analogues. We achieved the solution-phase synthesis of 1 and then evaluated its in vivo biological activity. Treatment with 1 at 5mg/kg/day was found to suppress the increase in body weight and fat accumulation in diet-induced obese mice. Due to the course, a structure-activity relationship (SAR) study of 1 was first investigated aimed at the recognition of the importance of side chain functionalities as well as a suitable site for advanced functionalization in its structure, e.g., biotinylation and introduction of a fluorescent unit.
著者
山下 雅知 明石 勝也 太田 凡 瀧 健治 瀧野 昌也 寺澤 秀一 林 寛之 本多 英喜 堀 進悟 箕輪 良行 山田 至康 山本 保博
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.416-423, 2008-07-15 (Released:2009-07-25)
参考文献数
17
被引用文献数
9 9

日本救急医学会救急科専門医指定施設に対してアンケート調査を行い,ER型救急医療の実施状況を調査した。408施設中283施設からアンケートの回答が得られ,有効回答は248施設であった(有効回答率88%)。このうち24時間または一部の時間帯でER型救急医療を行っていると回答した施設は150存在した(248施設の60%,24時間82施設,一部の時間帯68施設)。150施設中,救命救急センターは64施設,日本救急医学会指導医指定施設は23施設,大学病院は38施設存在した。150施設の病床数,年間救急患者数,救急搬送患者数の最頻値は,それぞれ501~750床,10,001~20,000人,2,001~4,000人であった。救急医及びER型救急医数は 1 ~16人以上と広い分布を示したが,最頻値はともに 1 ~ 3 人であった。ER型救急医療は,150施設中139施設で初期臨床研修に活用されていた。ER型救急医の後期研修プログラムは68施設で実施され,36施設で準備中であった。24時間ER型救急医療を実施している施設では,一部の時間帯で実施している施設に比して,救急医数・ER型救急医数ともに有意に多かった。以上から,日本救急医学会救急科専門医指定施設の60%でER型救急医療が実施されていること,ER型救急医療を実施している施設において救急医及びER型救急医の人的資源は十分とはいえないこと,が明らかとなった。今後も増加が予想される救急患者に対応するために,救急科専門医及びER型救急医をどのように育成していくかについて,国家的な戦略が必要であると考えられた。
著者
山田 秀
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.247-274, 2009-03-20

以下の論述は、固より試論に過ぎないが、ポパー思想のより十全な理解に幾分でも資するとすれば、これにすぐる幸いはない。同時に本稿は又、伝統的自然法論ないし哲学的カトリック社会倫理学への興味の喚起をも狙っている。
著者
小山田 耕二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.55-56, 1996-09-04

現在使われている可視化手法は,数値データが格子点で定義されていることを仮定していることが多い.一方,数値シミュレーションの中には,格子中心で数値データを計算するものがある.有限体積法では,変数は,格子の中心に定義されている.また,有限要素法では,最初に数値データが格子点で計算されるが,その微分量は,格子の中心で計算されることが多い.このような格子の中心で定義された数値データを以降,格子中心データと呼ぶことにする.格子中心点を格子点とするような格子を再構築するのは,非現実的である.特に非構造格子データの場合,もとの境界を保持するのが困難である.その代わりに,これまで,格子中心データから次のような2つの手法によって格子点データに変換されてきた.1つは,距離逆数法である.これは,まず,格子中心から格子点までの距離の逆数を重みとして,格子中心データS^<cell>を各格子点に加算していく.同時に,重みそのものも格子点毎に加算しておき,最後に,加算された重みで加算されたデータを除して,その格子点でのデータS^<point>_iとする方法である.S^<point>_i=<Σ_<C^<cell>_i S^<cell>×W^<cell>>/<Σ_<C^<cell>_i W^<cell>>,ここで, W^<cell>は,距離の逆数を,Σ_<C^<cell>_iは,i番目の格子点について総和をとることを示す.もう1つは,格子中心で評価された勾配ベクタ▽S^<cell>から格子点データを外挿する方法である.S^<point>_i=S^<cell>+(D^^→,▽S^<cell>),ここで,D^^→は,格子中心から格子点への方向を,(A^^→,B^^→)は,A^^→とB^^→の内積,そして▽Cは,スカラ関数Cの勾配を表す.格子中心から格子点データに外挿する場合,一般的に格子点を共有する格子毎に違った値が計算される.格子点毎にユニークな値が必要となる場合,これらの値は,平均化される.以上のアプローチで得られる格子点データによって張られるデータ空間は,もとの格子中心データによって張られるそれと異なると考えられる.今,紹介した手法では,この違いによる誤差についてなんら考慮がなされていない.しかしながら,我々は,この誤差の定量化を行ない,この定量化された誤差を各格子点毎に極小化するアプローチを提案する.
著者
山田 雄司 Yamada Yuji
出版者
三重大学人文学部考古学・日本史研究室
雑誌
三重大史学 (ISSN:13467204)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-14, 2008-03-01 (Released:2017-02-17)
著者
宮本 享 山田 圭介 菊田 健一郎 片岡 大治 佐藤 徹 橋本 信夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.412-418, 2003-06-20
被引用文献数
1

脳動脈瘤の治療法はclipping, coil embolization, by pass+parent artery occlusionの3種類に大別されるが,困難な症例ほど単一の治療法のみにならない判断が必要になる.このためには治療チームとして上記3種類の治療技術を高いレベルでもち.柔軟性をもった治療計画を立てることが必要である.手術手技についても基本的な方法を大切にしたうえで.体位やアブローチ,剥離操作などを症例に応じてmodifyすべきであり,単一のやり方に偏りすぎるべきではない.安全に外科治療を行ううえには,術前・術中に次のステップで起こりうるリスクに備えそれを防ぐことと,手術器具について基本的知識をもつことが大切である,
著者
山田 善靖 末吉 俊幸 杉山 学 貫名 忠好 牧野 智謙
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.381-397, 1995-12
被引用文献数
5

本論文は、日本的経営の為のDEA(Data Envelopment Analysis)法を提案する。提案の理由は、従来のDEAがアメリカ型の経営評価を基礎にしたものであり、その応用だけでは日本的経営評価の本質的特徴を表現しきれない点にある。より詳しく述べると、日本的経営評価の本質的特徴は、評価される事業体全体の相対的バランスを常に考慮に入れた評価を行うところにあると言われている。しかし、従来のDEAでは事業体の効率性評価をする場合、事業体全体との相対比較を効率性の高い事業体に対してのみ行っており、上記の様な日本的経営評価の特徴を含む評価を行うことはできない。そこで本論文は、この様な特徴を含む日本的経営にDEAをどの様にうまく組み入れて行くかを論じる。まずはじめに、日本とアメリカの経営体質の違いがDEA情報の使い方にどの様な影響を与えているかを考察する。その上で、日本的経営により合致したDEAの使い方を提案する。最後に、新しく提示されたDEA法を用いて政府の公共事業投資に関する効率性分析を行い、その実用性と有効性を示す。