著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.253-311, 1995-03-31

多様性を持つ人類は、いろいろな能力において個人差が大きい。その中でも感覚器系の能力が他と大きく異なっている人たちとして、先天盲や先天聾の人たちがある。そのほか、難読症者の中にも感覚器系の異状によるものがみられる。さらには、異状の程度としては低いものと思われている人たちとして、左利きがある。 また人類を他の動物から大きく引き離している能力の一つとして、言語の使用がある。この言語には、もっともふつうなものである音声言語のほかに、それを墨字や、盲人の用いる触字(点字)に写した文章があり、またそれらとは少し系統の異なるものとして、今では手話が自己完結の言語として認められている。 本稿では上記の感覚障害者たちが、必要に合わせて適当な特殊言語を用いているのに並行して発現する、大脳の言語処理機能の特殊性や異状性について、手話の活用を中心に、脳科学的、心理物理学的な一般向けの展望を試みる。 さらに健常者が手話という特殊言語を第2言語として習得し駆使しようとするときに起こる一般的な問題と、その軽減の可能性について考察をする。
著者
佐藤 太一郎 山田 吉英 渡辺 旦 亀田 武志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.182, pp.35-39, 2006-07-20

近年,モーメント法(MoM)に基づく電磁界シミュレーターは,高速多重極法(FMM)を使用することで計算能力が大幅に向上し,大形構造物の解析が可能となった.本報告では,ステルス戦闘機の1/48のスケールモデルを用いて,レーダー断面積(RCS)の検討を行った.周波数60GHzにおいて,電磁界シミュレーション値と簡易測定値を求めて比較した.スケールモデルの寸法は約80波長であり,計算時のメモリー容量は1.9GBで,計算時間は2時間程度であった.測定は電波暗室を用い,ほぼ遠方界領域で行った.測定器の性能から,ダイナミックレンジは不十分であり,RCSの大きくなる部分の比較しかできなかった.計算値と測定値は良い対応を示し,データの信頼性を確認できた.
著者
山田 知充 西村 浩一 伏見 硯二 小林 俊一 檜垣 大助 原田 鉱一郎 知北 和久 白岩 孝行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

近年の地球温暖化の影響であろうか、半世紀ほど前からヒマラヤ山脈の南北両斜面に発達する表面が岩屑に覆われた谷氷河消耗域の末端付近に、氷河湖が多数形成され始めた。ところが、同じ気候条件下にあり、同じような形態の谷氷河であっても、ある氷河には氷河湖が形成されているのに、他の氷河には氷河湖が形成されていない。何故ある氷河には氷河湖が形成され他の氷河には無いのであろうか?今回の研究によって、氷河内水系、岩屑に覆われた氷河の融解速度と氷河の上昇流速から計算される氷河表面の低下速度(氷厚の減少)を考慮した氷河湖形成モデルを導き出すことによって、この問題に対する回答を得ることができた。氷河湖が一旦形成されると、その拡大速度は非常に大きく、わずか30〜40年の間に、深さ100m、貯水量3000万〜8000万m^3もの巨大な湖に拡大成長する。何故これほどの高速で拡大するのであろう?氷河湖の拡大機構を以下のように説明出来ることが分かった。太陽放射で暖められた氷河湖表面の水が、日中卓越する谷風によって、湖に接する氷河末端部に形成されている氷崖へと吹送され、氷崖喫水線下部の氷体を効率よく融解する。そのため、下部を抉られた氷崖が湖へと崩れ落ちる(カービング)ことによって、湖は急速に上流側へと拡大する(氷河は逆に効率よく縮退する)。一方、湖底の氷は約2〜3℃の水温を持つ湖水で融解され、水深を増す。この両者によって湖は拡大している。湖の熱収支を計算すると、湖に崩れ落ち小氷山となって漂う氷の融解と湖底氷を融解させるに要する熱量は、アルベドの小さな湖表面が吸収した太陽放射エネルギーで主に賄われていることを確認した。研究成果の一部は3冊の英文報告書及び、3冊の邦文研究報告書として出版されている。
著者
大島 英子 樋上 純子 山口 美代子 殿畑 操子 山本 悦子 石村 哲代 大喜多 祥子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 中山 伊紗子 福本 タミ子 安田 直子 米田 泰子 渡辺 豊子 山田 光江 堀越 フサエ 木咲 弘
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.338-345, 1999-11-20
被引用文献数
9

本実験では,焼成条件の違いがハンバーグの内部温度に及ぼす影響について検討し,次の結果を得た。 1.ハンバーグ内部の最低温度を示す点は,焼き始めはオーブン皿に接している底面の近くにあるが,生地の焼成とともに,底面から上の方に移動し,約10分経過の後からは厚さのほぼ中心付近にあることが明らかとなった。2. ガスオーブンの庫内温度を180℃,200C,230℃と変えてハンバーグを焼成した場合,焼成温度の違いは75℃到達時間の違いにあらわれるだけでなく,余熱にも影響を及ぼした。焼成温度が230℃の場合では,75℃到達後すぐに取りだしてもなお内部温度上昇が顕著に起こるので,75℃以上1分の条件を満たすことは十分可能であり,焼成時間の短縮も期待できる。 3.焼成開始時のハンバーグ生地品温が0℃,10℃,20℃と異なる場合,75℃到達時間は0℃では22分,10℃と20℃では16分となり,有意差が認められた。このことから,チルドなどの0℃付近の品温のハンバーグは,焼成の時間設定を長めにする必要があるが,焼成後オーブンから取りだしてからの内部温度の推移に差はなかった。 4.電気オーブンとガスオーブンでの焼成を比較すると,庫内を230℃に予熱して焼成した場合,ガスオーブンの方が75℃到達時間は0.9分早く,余熱最高温度も6.5℃高くなり,75℃以上保持時間も5.7分長かった。これらの差はガスと電気の熱量の違いによるものと思われる。 5.70℃まで焼成したハンバーグと,75℃まで焼成したハンバーグとを官能検査したところ,両者の間に有意差は認められず,75℃まで焼成しても焼き過ぎとは判定されなかった。厚生省指導による75℃以上1分間加熱は,ハンバーグの焼き色,香り,触感,味などの点で十分賞味できるものであることが認められた。
著者
小宮山 宏 中田 礼嘉 山田 興一 角張 嘉孝 松田 智 小島 紀徳
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

平成6年度には大規模スケールでの降雨量分布を予測するためのシミュレータの開発を行った。本シミュレータを地球レベルのグローバルモデルから与えられる境界条件、初期条件等のもとで利用し、オーストラリアでの地表条件と降雨量の関係についての検討を開始した。乾燥条件下における、樹木および毛管力作用による地下水、特に塩水の上方への移動、地上部での塩分蓄積を模擬土壌を用いて検討した。その結果、太陽光を想定した赤外線照射条件下で水分移動が促進され、表層への塩の蓄積を抑制しうることが分かった。また、砂漠に降雨をもたらすためには湿潤な空気と上昇気流が必要であり、人工山の設置する方法と、熱対流により上昇気流を起こす方法とがリストアップされ、検討を進めている。湿潤空気の発生については、人工の浅瀬による蒸発促進を考え、浅瀬での湿潤空気の生成過程を定量化するため、浅い水面上での熱収支モデルを構築し、任意の条件下で平衡水温と水の蒸発速度を推算できるようにした。さらに、砂漠緑化の水収支のうち、モデル実験により蒸散量・土壌水分・地表面蒸発の総合依存関係を調べた。植物の蒸散による水の持ち去りは土壌水分量の豊かさに比例するが、土壌がある程度乾燥すると蒸散量はむしろ抑制されることが明らかになった。平成7年度は前年度に引き続いて砂漠気象シミュレーションのプログラム開発、および要素技術のモデル化を進めるとともに緑化シナリオの策定および評価を行った。西オーストラリア砂漠内に海岸を含む600km×600kmの領域を設定し、物質収支、エネルギー収支に基づくプログラム計算を行い、大気中の水蒸気量や降雨量の変化を求めた。その結果、アルベド、表面の起伏、含水率を変化させることにより、大気中の水蒸気量や降雨量を増加させることができた。さらに砂漠緑化シナリオの具体性を高めるには、緑化により固定された炭素のコストを計算するとともに、他の対策技術と比較を行うことが必要であり、そのための評価手法および一時的評価の具体例を検討した。二酸化炭素問題は地球温暖化問題、エネルギー問題とも重なる部分が多く、これらへの副次的効果についても検討を進めた。
著者
鎮野 宏幸 渡邉 章乃 山田 周平 本橋 慶一 矢口 行雄
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.233-237, 2008-12-10

2004年6月,東京都世田谷区の街路樹に植栽されていたハナミズキ(Cornus florida L.)の葉に,淡褐色,不整形の病斑を生じ,その上に炭疽病菌と思われる分生子粘塊が観察される病害が発生した。病斑は,はじめ葉の周縁部および中央部が褐色となり,それぞれ不定形に拡大,融合し,その後,葉の全体が褐変後,早期に落葉した。病斑部の分生子層には,無色,単胞,紡錘形で,大きさ11〜14×3.1〜4.2μm(平均13.4×3.8μm)の分生子が形成されていた。分生子は発芽時に褐色,厚膜,棍棒状,大きさ7.7〜11.5×5.1〜7.7μm(平均8.8×5.6μm)の付着器を形成した。また,分離菌を健全なハナミズキに接種した結果,自然発生と同様な病徴が再現された。これらの結果から,本病はColletotrichum acutatum Simmonds ex Simmondsによって引き起こされる病害であることが確認された。本菌によるハナミズキの病害はわが国では未報告であることから,本病をハナミズキ炭疽病と呼称することを提案した。
著者
山田 美香
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-92, 2006-01-10

中国では犯罪予防教育が盛んである。2005年に北京で調査した際、法曹界が積極的に学校で法教育を実践していた。また中国の社会科・道徳の授業の指導要領には子どもが犯罪に遭わないためにどうしたらいいのかを第一義に考える項目があり、教科書もそのような構成となっている。その一方で、日本は少年犯罪発生を他人事のように考え、決して学校レベルで解決するという姿は見られない。少年犯罪の対処の方法は中国と日本では大きく異なっている。第一に、中国では犯罪予防の認識が高い。これは中国の社会が多様であり、貧困から犯罪に走ること、自己の権益が守れないこと、日本と同じように都市文化の影響で簡単に非行に走るケースが見られるなど、その対応に追われているためである。第二に、従来から、共産党組織や党の活動が犯罪防止に役立ったが、最近の中国では党主導の活動より学校教育で犯罪予防をする方向にある。第三に、日本では、個人のプライバシーや行政の家庭への介入への蓄積がないことが、問題を放置させる原因となっている。抜本的な改革が必要だと考える。第四に、中国ではモデル地区を選定し、その実施の状況を広く全国に進めていく政策方針を取っている。犯罪予防教育に対する各界の連携も北京市海淀区などは好例だが、各々の機関が協力しあう雰囲気を作っている。日本も各市町村にモデル地区を作るべきではないか。
著者
山田 ひとみ 坂本 裕子 米中 由美 内谷 文子 阿曽沼 洋子 中島 由美子 横尾 京子
出版者
日本新生児看護学会
雑誌
日本新生児看護学会誌 (ISSN:13439111)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.40-45, 2002-09

本研究は、体重測定時に「包み込み」を行うことにより、早産児のストレスを緩和できるか否かを明らかにすることを目的とした。当施設での裸のままで保育器外へ出す体重測定法(従来法)と、児をタオルで囲い頭部以外の身体を布で覆った状態で出すという体重測定法(包み込み法)を、早産児4事例において、各方法12場面(4名×3回)を交互に行った。体重測定前の児の状態を安静とし、体重測定中・体重測定後0~5分の5分間・体重測定後6~10分の5分間の各時期を、行動学的側面(ストレスサイン・state)から比較検討し、以下の結果を得た。ストレスサインにおいては、体重測定中では14項目中7項目で有意差が認められ、体重測定後0~5分の5分間・6~10分の5分間においても体重測定中よりは少数であるが、有意差が認められた。stateにおいては、包み込み法では体重測定中に全く上昇が見られないという結果が得られた。これらより、「包み込み」は体重測定中の早産児のストレスを緩和するのに有用であると示唆された。今後もあらゆるケアにおいて、児のストレスサインを適切に読み取り、対処法を探索していく必要がある。The purpose of the present research was to clarify whether or not the stress of preterm infants can be relieved by "wrapping up" during measurement of their body weight. The body weights of four preterm infants were measured using alternately our facility's traditional method, whereby babies are taken naked as they are from the incubator ("traditional method"). and a method whereby the infants were taken out clothed in a towel so that their bodies except for the head were covered in fabric ("wrap-up method"). Each infant's body weight was measured 3 times using the two methods, making a total of 12 cases. Before weight measurement the infants were put into a restful state; subsequently they were examined for behavioral aspects (stress signs and state) during (a) weight measurement. (b) the 5 minute period immediately after weight measurement (minutes 0 to 5). and (c) the subsequent 5 minute period (minutes 6 to 10). Below are the results of the comparison that was made of the behavioral aspects in each of these periods. A significant difference occurred in stress signs during weight measurement, with just 7 out of 14 signs being observed with the wrap-up method. During the 1st (minutes 0-5) and 2nd (minutes 6-10) 5 minute periods following weight measurement the number of stress signs observed was small compared to those occurring during weight measurement, but again there was a significant difference. As regards stress state, the result obtained was that no increase whatever was observed during weight measurement when the wrap-up method was used. These results indicate that the wrap-up method is useful for relieving stress in premature babies during body weight measurement. In the future it will be necessary to read accurately the stress signs in babies under all types of care and to explore methods to remedy such stress.
著者
山田 義裕
巻号頁・発行日
2009-07-19

第6回観光創造フォーラム関係者会議. 平成21年7月19日. 鷲宮町.
著者
山田 寛 内田 英子 四倉 達夫 森島 繁生 鉄谷 信二 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.712, pp.27-34, 2001-03-14
被引用文献数
5

本研究では、人間が自然な表情を自発した時と普遍的で典型的と言われている表情を演じる時の顔の動きを高速度カメラで撮影し、顔の特徴点の変位の測定に基づいて顔の動きの定量的な特性を分析した。自然な表情は、Gross & Levens (1995)が標準化した情動喚起刺激を被験者に提示することによって自発させた。典型的な表情の演技は、FACSの定義に基づいた。自発表出条件、演技表出条件ともに顔の各部位の動き出しの差は微細であり高速度カメラを用いたことの有効性が示された。また情動ごとおよび表出条件ごとに顔の各部の動きの量や速さに特徴的な違いが認められたが、動きの変化そのものの様相には興味深い共通性が認められた。
著者
腰原 達雄 山田 偉雄
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.110-114, 1976-06-25
被引用文献数
4 13

1. 小型プラスチック容器を用い,ナタネの芽ばえを飼料とするコナガ幼虫の簡便な飼育法を考案確立した。この方法による継代飼育も可能である。<br>2. 幼虫は芽ばえの子葉,茎を摂食し発育を遂げた。発育は良好で,ナタネ芽ばえ(種子重7g)を収容した容器の幼虫飼育密度を100頭とした場合,蛹化率は高く90%以上にも達した。幼虫発育速度,蛹重,蛹から羽化した成虫の産卵数は,キャベツ葉で生育したものと同等であった。<br>3. 7gのナタネ種子を用い,発芽直後の芽ばえに成虫3対を2∼3日間放飼,産卵させ,幼虫を飼育すると,25°C恒温条件下で成虫放飼約15日後には蛹化がほぼ終了し,約100頭の蛹を得ることができた。<br>4. 飼料の芽ばえは更新することなく幼虫を飼育できた。蛹化は,幼虫発育終了間ぎわに容器内に挿入した,波形に折目をつけたろ紙片下面で大部分が行なわれ,蛹を容易に採集できた。
著者
山田 ゆかり 天野 寛
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-12, 2002-04-01

近年,不登校,ひきこもり,校内暴力などの学校不適応を中心とする青年期の心理的適応問題の増加が指摘されている.大学生においてもこれは例外でなく,自己不確実感や不全感を抱え,友人ができない,うまくコミュニケーションがとれない,学内での居場所を見つけられないなど,大学生活への適応に大きな困難を抱える学生が増えてきている.大学としても,学生の心理的適応にこれまでになく配慮を必要とする局面となってきているのである.こうした問題意識を背景として,大学生の適応性に目を向け,自画像を用いて自己意識のあり方と適応性の関連性について検討することを意図した.本稿ではまず,大学生の自画像について分類を行い,描画に現れる特徴について検討した.その結果,自画像は,全体的な印象,顔の表情,特異な表現や不自然な表現,詳細さ,描画全体のバランスなどから,不適応状態から何らかの行動化の可能性が指摘されるA群,抑うつ的傾向が指摘されるD群,適応状態にあることが示唆されるN群,分類不能群の4群に分類された.また,A群,D群,N群別に,日常生活行動における適応性の1つの指標として学業成績との関連性を検討したところ,3群間で大きな差のあることが認められた.さらに,3群の自画像の描画には明らかに異なる特徴のあることが指摘され,自画像から適応性を査定することの妥当性が示唆された.
著者
鈴木 正康 山田 裕 出口 勝昭 安生健一郎 粟島 亨 天野 英晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.5, pp.35-40, 2004-01-22

NECエレクトロニクスが開発したDynamically Reconfigurable Processor (DRP)は、粗粒度のリコンフィギャラブルプロセッサで、内部に持つ16のデータパスの構成情報を切替えることによって、様々な処理を実現する。本稿では、リコンフィギャラブルプロセッサDRP上でのエッジ近傍合成機能付きαブレンダの設計事例を紹介し、DRPの処理能力を検証するため、Pentium 4、Athlon XP、DSP(TI C6713)などのアーキテクチャと比較した。その結果、並列処理の効果的な利用により,エッジ近傍合成機能付きαブレンダを実行した場合、DRPはPentium 4、Athlon XPの3倍、DSPの17倍の処理性能を達成することができた。Dynamically Reconfigurable Processor (DRP) developed by NEC Electronics is a coarse grain reconfigurable processor that selects a data path from the on-chip repository of sixteen circuit configurations, or contexts, to implement different logic on one single DRP chip. This paper describes our implementation of an alpha blender with anti-aliasing capabilities on the DRP. Comparison with various architectures including Pentium 4, Athlon XP, and DSPs (TI C6713) are done to evaluate the potentials of the DRP. Our results show that the DRP outperforms Pentium 4 and Athlon XP by three times, and DSP by seventeen times when compared against the implementation of anti-aliasing alpha blender.
著者
粂川 一也 小久保 温 佐藤 和則 川島 隆太 山田 健嗣 福田 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.308-313, 2000-03-25
被引用文献数
9

病院間における高速データ通信の需要には, コンピュータトモグラフィー(CT)等の画像データの転送や, ビデオ会議システムにより診断, 研究の議論を行うことなどがある.本論文では, 仙台市内の病院間に, 空間光伝送を利用した155Mbps ATM無線LANを構築し, 天候による影響を長期にわたって観測した.測定期間中, 霧及び降雪による回線断が発生したが, 降雨による回線断は観測されなかった.霧による回線断は早朝及び日没以降に発生しているので, 主な回線利用時間帯での影響は少ない.また, 全体を通して回線断の頻度は低く, 10Mbps以上での回線稼働率は99.4%であり, 空間光伝送によるLANの有用性が示された.