著者
山田 郁 阿部 徹弥 谷沢 善明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.175, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 湯飲み茶碗やコーヒーカップを繰り返し使用すると、容器の内側に茶渋が形成される。この茶渋は通常洗剤とスポンジだけでは除去するのが難しく、研磨剤や漂白剤が必要となる。茶渋の実態については明らかとなっていないため、化学組成、カルシウムイオン添加や経時に伴う構造変化を調べた。方法 モデル茶渋は、市販のティーバッグと東京の水道水または蒸留水を用いて抽出した紅茶溶液に磁器タイルを浸すことにより生成させた。タイル上に生成した茶渋は、一部はそのまま電子顕微鏡観察を行い、もう一部は茶渋をスパチュラで掻き取り化学組成分析を行った。結果 茶渋は、水の蒸発による喫水線の低下に伴いタイル表面に生成した。元素分析、IR分析の結果、茶渋の化学組成は紅茶自体のものとは異なり、カルシウムがキレートされたポリフェノール類と少量の珪酸カルシウムから成ることがわかった。SEM-EDS分析より、有機物の上に珪酸カルシウムが島状に存在する様子が観察された。また、紅茶へのカルシウムイオン添加と経時により、ポリフェノールのキレートと重合が促進されることがわかった。次に、茶渋の化学的除去方法について検討した結果、キレート剤に効果があることを見いだした。茶渋除去能は、カルシウムイオンとの錯安定度定数の順序と一致した。
著者
石原 有希子 田中 茂博 山田 朋幸 小阪 明仁 鴨井 祥郎 吉良 有二
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1609-1615, 2010 (Released:2012-06-15)
参考文献数
29

症例は, 気管支喘息(bronchial asthma; BA)の既往と喫煙歴のある76歳男性で, 吸入ステロイドとβ2刺激薬を常用していた. 2008年9月持続する心窩部痛とV2~4およびII, III, aVFの持続性ST低下より急性側壁心筋梗塞の診断にて入院した. 気管支喘息発作を併発し, ヨード造影剤使用による合併症のリスクが高くなることと, 血行動態が安定していたことから, 待機的冠動脈造影(coronary angiography; CAG)を行う方針とし抗凝固薬, 硝酸薬持続投与を開始した. 第2病日には症状は消失し, ステロイドとβ2刺激薬の定時吸入により呼吸状態も安定していた. 第5病日CAGに備え硝酸薬を中止したところ3時間後に胸部苦悶を訴えショックとなった. 喘鳴を伴い, 喘息発作増悪やうっ血性心不全を考えたが, 短時間型β2刺激薬吸入や利尿薬静注に反応せず否定された. II, III, aVFのST上昇を認めたため, 新たな急性冠症候群を疑いCAGを施行した. 左回旋枝(left circumflex artery; LCX) #11: 100%閉塞とLAD・RCAのび漫性攣縮を認め, 多枝冠攣縮が急性心筋梗塞に合併し広範心筋虚血に陥ったと考えた. ISDN冠注により攣縮解除後血行動態はすみやかに安定した. LCXに経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行し, CK再上昇や再発作はなく経過した. ステロイドによる喘息治療とCa拮抗薬・硝酸薬による冠攣縮予防とを継続し第20病日退院した. 冠攣縮が気管支喘息発作に合併した可能性やβ2刺激薬使用が急性心筋梗塞・多枝冠攣縮発症のリスクあるいは誘因となった可能性が示唆された.
著者
森 周平 山田 実 青山 朋樹 永井 宏達 梶原 由布 薗田 拓也 西口 周 吉村 和也 國崎 貴弘 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ea0956, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 高齢者に於ける転倒は様々な要因との関連が報告されており,筋力・歩行速度・バランスといった身体機能の低下などの内的要因の悪化により転倒リスクが上昇することは多くの先行研究により証明されている.内的要因としては,身体能力以外に転倒恐怖感や自己効力感といった心理的要因が転倒と関連することが報告されている.しかしこれらで心理的要因の全てを説明しているとは言い難く,転倒者の性格が関与する可能性も示されている.そこで我々は熟慮的に行動する者よりも,衝動的に行動する者のほうが,転倒発生が多いという仮説を立て,本研究の目的を,地域在住高齢者に於ける衝動性と転倒との関連を明らかにすることとした.【方法】 対象は地域が主催する健康イベントに参加した65歳以上の高齢者246名(男性:40名,年齢:72.7 ± 5.8歳)とした.除外基準は認知機能の低下により会話・問診による聞き取りが困難な者,歩行の安定性を障害する明らかな疾患を有する者とした.性格の評価には,滝聞・坂元により作成された認知的熟慮性―衝動性尺度を用いた.この尺度は認知判断傾向に関する測定尺度で,「何でもよく考えてみないときがすまないほうだ.」などの10項目の文章に対し,自分があてはまるかを判断しそれぞれ4段階(4:あてはまる,3:どちらかと言えばあてはまる,2:どちらかと言えばあてはまらない,1:あてはまらない)で評価を行い(合計10~40点),点数が高いほど熟慮性が高い(衝動性が低い)ことを示すものである.さらに,過去一年間の転倒経験の有無と,転倒恐怖感の有無とを問診にて聴取した. 統計解析としては,転倒経験を有する群と有さない群との間の,認知的熟慮性―衝動性尺度の点数をMann-WhitneyのU検定にて比較し,その後転倒経験の有無を従属変数,転倒恐怖感の有無,認知的熟慮性―衝動性尺度の点数を独立変数として,年齢,性別を調整変数とした強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行った.有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は京都大学医の倫理委員会の承認を受け,書面と口頭にて研究の目的・趣旨を説明し,同意を得られた対象者に対して実施した.【結果】 転倒経験の有る者は71名,転倒恐怖感を有していた者は125名であった.認知的熟慮性―衝動性尺度の点数に於いて,転倒経験を有する群(26.7 ± 5.7点)は有さない群(28.3 ± 4.9点)に比べて有意に低かった(p < 0.05).さらに多重ロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感を有すること(p < 0.01,オッズ比 = 4.0),熟慮性が低い(衝動性が高い)こと(p < 0.05,オッズ比 = 0.9),共に有意な説明変数として抽出された(R2 = 0.19).またHosmerとLemeshowの検定の結果,p = 0.463と回帰式は適合していた.【考察】 先行研究に於いて,心理的特性として転倒との関連が報告されているのは転倒恐怖感や自己効力感などであり,性格との関連を検討した報告は存在しなかった.しかし今回の研究により,高齢者個々人の性格の要素に当たる認知的熟慮性―衝動性が転倒経験と関連しており,転倒経験を有する群では転倒経験を有さない群に比べて熟慮性が低い(衝動性が高い)ことが明らかとなった.また,同様に心理的特性である転倒恐怖感とは別の説明変数として抽出されたことから,それぞれは独立して転倒に関わっていることが示された.しかし,今回の研究は後ろ向きの研究であることから,転倒恐怖感については転倒後症候群として転倒の結果発生した可能性を留意すべきである.より衝動的であることが転倒と関連していたことから,日常生活の中で熟慮的に行動する者に比べ,衝動的に行動する者のほうが周囲への注意を怠り,転倒の起因となる危険な動作に結びつく可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】 衝動性が高い,低いといった性格に関することは一概に善悪で語ることが出来ず,衝動的であるからといって性格を改める介入などは行うべきではないと考える.しかし今回の結果を踏まえ,衝動的な者は熟慮的な者に比べ転倒の可能性が高いということを本人,周囲が理解した上で,衝動的な動作などを抑えることが出来れば転倒を防止することが出来る可能性があると考える.よって,衝動的な性格であるが故に行ってしまいそうな危険行動に対して留意させる介入が必要であることが示唆された.
著者
山田 正信 森 昌朋
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.720-725, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

中枢性甲状腺機能低下症(CH)は,下垂体から分泌されたTSHの量的あるいは質的な低下で甲状腺への作用が減弱し発症する.意外にも多くのCHの血清TSH値は基準値内を示す.CHの約60%は下垂体腫瘍を原因とするが,近年,頭部外傷やくも膜下出血後,GH製剤や種々の薬剤,コントロール不良のBasedow病の母親から生まれた児などが新たな原因として加わった.CHは高LDL-C血症などの脂質異常症の原因となり適切な治療が必要である.
著者
山田 成臣
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.235-239, 2016 (Released:2017-01-18)
参考文献数
21
著者
山田 広幸
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

土壌の性質や植生の状態は、大気に放出される熱と水蒸気の比率を左右するため、雲の性質にも影響を与えると予想される。このような影響を定量的に評価するため、雲解像数値モデルを用いて地表状態を変えた実験を複数実施し、陸面に対する降水雲の応答を調べた。中国大陸上の集中豪雨の事例を用いた実験の結果、陸面状態の変化によって大気境界層の特性が変化し、それに応じて降水システム全体としての形態や降水分布が変化するという結果が得られた。
著者
森田 栄伸 高橋 仁 金子 栄 千貫 祐子 東儀 君子 髙垣 謙二 辻野 佳雄 三原 祐子 石飛 朋子 福代 新治 山田 義貴
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.607-615, 2014-12-01 (Released:2015-04-16)
参考文献数
11

島根県下 5 医療施設を受診した慢性蕁麻疹患者のうち,フェキソフェナジン塩酸塩の通常量 (120 mg/day) の服用にて効果不十分であった 24 例の患者を対象に,フェキソフェナジン塩酸塩の増量 (240 mg/day) 群 (フェキソフェナジン増量群:12 例) あるいはオロパタジン塩酸塩の通常量 (10 mg/day) への変更群 (オロパタジン変更群:12 例) の 2 群に無作為に割付,その後 4 週間の臨床症状を蕁麻疹重症度スコア,蕁麻疹活動性スコア,改変した蕁麻疹活動性スコア (modified Urticaria Activity Score : mUAS) により解析した。蕁麻疹重症度スコアは,フェキソフェナジン増量群では最終評価時に有意なスコア低下を認め,オロパタジン変更群では割付 4 週後および最終評価時に有意な低下を認めた。mUAS は,フェキソフェナジン増量群で 0∼1 週,2∼3 週,3∼4 週,最終評価時において有意な低下を認め,オロパタジン変更群で 1∼2 週においてのみ有意な低下を認めた。以上の結果からフェキソフェナジン通常量投与で効果不十分な慢性蕁麻疹に対してフェキソフェナジン倍量の増量投与は症状の改善に有効であり,さらにオロパタジン通常量への変更も効果はやや劣るものの有効であると結論した。フェキソフェナジンの倍量投与に要する費用の観点からは,抗ヒスタミン作用の高いオロパタジンへの変更も選択肢となり得ることが示唆される。(本論文は第 76巻4号〔2014年8月号〕p.p.372-380 に掲載されたものを一部訂正し,再掲載したものである。訂正箇所は下線にて表示している。)
著者
山田 圭一
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.11-20, 2007-03-25 (Released:2010-02-03)
参考文献数
19

Epistemological contextualism holds that the truth-conditions of knowledge-attributing sentences depend on the contexts in which they are uttered. While Contextualists have presented solutions of the skeptical paradox with reference to this dependence, they are confronted with various criticisms. In this paper, I examine DeRose's solution of skepticism, and then elucidate why it fails to do justice to the persuasiveness of skeptical argument. Finally, as an alternative resolution of radical skepticism, I suggest the position of “radical contextualism” that claims not only standards of knowledge but of epistemic distinction (justification) depend on the context, and illustrate the justification model of radical contextualism in contrast with that of radical skepticism.
著者
山田 暢子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.164-177, 2004-01-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
26

The interest concerning “edutainment” has been increasing. The purpose of this paper is to analyze the circumstances and the factor of the appearance of the teaching materials using the manga of “Doraemon” as an example of edutainment for school children by comparing it to the original manga. There's conflict between manga and education, essentially. Therefore, various adjustments were required in order to appropriate manga to education as edutainment. There are two points. First, manga was evaluated as a positive form of information media; secondly, the original element of entertainment of the manga has been lost due to the educational aim.
著者
山田 晴通
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.545-559, 2005-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
10

コミュニティ放送は,既存放送制度に対抗する,「コミュニティ」のための放送として,各国で制度化されてきた.コミュニティ放送局が対象とする「コミュニティ」概念の実態的な有効性を,オーストラリアの地方都市アーミデールの事例で検討した.アーミデールでは,大学に基盤を持つ「ラジオ」局としてRUNEが1970年から存在し,その後の制度変更によってHPON(大出力ナローキャスティング)のTUNE! FMとなり,現在に至っている.1970年代半ばに「公共放送」(コミュニティ放送の前身)が注目されると, RUNEを母体に,新たに2ARMが組織され,放送が始まった.やがて, RUNEから独立した2ARMは,安定的に運営された時期を経て,近年では補助金の削減などから経営困難に直面している. 2ARMは,本来,地域社会と同義の「地理的コミュニティ」に根ざすラジオ局として想定されながら, RUNE~TUNE! FMとの競合関係の中で,十分な地域的存立基盤を確保できなかった.一方, RUNE~TUNE! FMは,通常は商業的に利用されるHPONを,非営利目的に活用している.アーミデールの小規模ラジオ局は,地域事情を反映し,役割の棲み分けを行っており,その実態は,「コミュニティ」をめぐるオーストラリアの放送制度の想定に忠実に沿ったかたちとはなっていない.
著者
西村 拓生 岡本 哲雄 吉田 敦彦 山内 清郎 井谷 信彦 辻 敦子 神戸 和佳子 山田 真由美
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

教育における宗教性は、教育という営みの根底を考える際に非常に重要な契機である。この問題を考える際に思想史的に注目すべきなのが、京都学派の哲学に源流をもつ教育哲学の系譜である。この研究では、京都学派教育哲学の諸思想を分析し、その中に、「生命性と超越」を鍵概念とする系譜、「臨床性から公共性」という志向をもつ系譜、そして「言語の限界と可能性」をめぐる系譜を見出した。さらに、その分析を基盤として、教育における宗教性・超越性に関する多様な思想史的・人間学的研究を行ない、包括的・体系的な研究への足掛かりを構築した。
著者
吉国 好道 田上 八朗 白浜 茂穂 佐野 勉 井上 邦雄 山田 瑞穂
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.491, 1983 (Released:2014-08-20)
被引用文献数
2

正常人における夏冬の皮表角層の水分含有状態の変化を,身体22か所において, 3.5MHz 高周波伝導度測定装置を用いて測定した.夏季では,顔面と前胸部がもっとも高値を示し,また,そ径部も比較的高値であった.躯幹,四肢の値も決して低くはなかった.しかし,冬季には,顔面の数か所を除き,各部位の角層水分量は著明に減少し,躯幹,四肢ではより著明で,そのなかでも下腿外側での減少率がもっとも大であった.あわせて測定した角層の水分吸収能1)と水分保持能1)も,冬季には低下していたが,角層水分量の減少ほどに著明ではなく,冬季の角層水分量が減少する原因は,水分吸収能や水分保持能であらわされるような単なる角層機能の低下によるものではなかった.また,皮表脂質量の測定では,夏冬の季節的変化はほとんど認められず,正常人における冬季の角層水分量の減少に対する皮表脂質の関与は少ないと考えた.一方,冬季において water loss by evaporation (WLEv:発汗と,汗管を経ずに経表皮的に失なわれる水分をあわせて皮表に蒸散される水分21)と角層水分量との間に,正の相関関係を認めたことと,冬季の角層水分量は,躯幹,四肢の被覆部よりも露出部である顔面(多汗部)が高値であることより,大気中の水分の影響に加えて,生体側の要因 -WLEv ,すなわち発汗が角層の水分に大きく関与していると推論した.
著者
田中 邦煕 新谷 洋二 山田 清臣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.631, pp.383-396, 1999-09-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1

近世城郭石垣には反りなどの三次元的な独特の形態が認められ, 視覚的に安定感を与えかつ工学的観点からも合理的な形態と考えられる. しかしこの形態の発生起源などは不明な点が多い. 筆者らは現存石垣の観察計測結果から, 石垣普請時に基礎や背面地盤等でかなり大きな沈下や変位が生じこれが石垣面に現れて, 石垣師たちがこの自然発生的な形態に対してより安定化し美的にも高度化する努力を続けるうちに, 高度な三次元形態へと進歩したと考えた. そして石垣断面解析にFEMなどを適用する手法を検討した後これを応用して, 石垣構築時に反りなどの形態と類似した形態が得られることなどを示し, 「石垣の三次元形態の起源は石垣普請時の変位変形であろう」とする一つの考え方を説明した.
著者
山田 浩一郎 清水 富弘
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.167-172, 2008 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

PurposeIn recent years, relatively high humidity (100%) and low temperature (40°C) sauna systems called mist saunas have become popular for homes. It is reported that the impact of differing bathing conditions-namely tub bathing and mist sauna bathing-on the circulation of blood in the scalp have been verified in order to clarify the effects of mist sauna on scalp hair: a characteristic of concern to many men.MethodThe testing was performed on 8 healthy men in their twenties (average age: 23.6, average weight: 61.8kg, average height: 166cm). Bathing conditions were mist sauna at 40°C for 10 minutes and full body bathing at 40°C for 10 minutes. Blood circulation in the scalp was observed at the top of their heads using a laser Doppler blood flow meter attached to head gear. At the same time, the skin temperature and local perspiration on their foreheads were measured.Results and conclusionsImmediately after beginning bathing, the blood flow rose significantly higher during full body bathing than during the mist sauna. No change was observed as full body bathing continued, but during the mist sauna, the blood flow gradually increased until ultimately the blood flow was much higher during the mist sauna than during full body bathing. Based on this result, it is assumed that the increase of scalp blood flow during full body bathing was caused by hydrostatic pressure, and the increase caused by the mist sauna was the result of the heat effects.
著者
山田 満
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.116, pp.46-63,L8, 1997-10-18 (Released:2010-09-01)
参考文献数
50

ASEAN will be composed of ten countries in the near future. The forms of government in the ASEAN countries is conceptualized as authoritarian regime for development. Authoritarian regimes in ASEAN take many forms such as military regime, single-party dictatorships, the ruling coalition, personalist autocracies, and absolute monarchies. They refuse the concept of Western democracy claiming that it does not bring stability and development for developing countries. The authoritarian characteristics of the Indonesian government and the Malaysian goverment are analyzed in this paper.The Suharto government is called the “New Order”. Suharto controlled the army, the bureaucracy, and the business community. He is supported by Golkar, which is a corporatist group that includes the entire bureaucracy, the armed forces, and the business sector. Golkar has won six elections overwhelmingly since the advent of the New Order. He promotes the economy for development in Indonesia based on the authoritarian system which is supported by the army, technocrats, and Golkar.The Mahathir government is supported by an UMNO-led coalition of parties representing the three ethic groups. The Malaysian government has promoted the New Economic Policy which eradicates poverty and channels more of the nation's wealth to the Malays during 1971-1990. Mahathir attempts to complete his developmental policies through some visions such as “Look East policy, ” “Malaysia Incorporated, ” and “Vision 2020.” The purpose of his authoritarian regime for development regime is to realize the ethic balance after the disturbance of 1969. His popularity becomes higher and higher because of his leaderships. This was seen in the overwhelming victory of the 1995 election.Finally, the middle class is growing in ASEAN. Do they contribute to democratization in their own countries? In the case of both countries, they are conservative generally because their consumptive lives depend on the developmental government. However, I conclude that the degree of democratization between the two becomes greater and greater because of the size of population, the characteristics of leaderships, the rise of the middle class, and the distribution of economic development.
著者
島袋 善夫 植田 真紀 寺島 祥充 寺倉 まみ 橋川 智子 山田 聡 寺嶋 宏曜 市川 朋生 村上 伸也
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.146-161, 2007
参考文献数
95

ヒト歯髄細胞による,グリコサミノグリカンであるヒアルロン酸およびヘパラン硫酸産生に及ぼすFGF-2の影響について検討を行った.矯正による便宜抜去の歯から歯髄を除去し,10%FCSを含むα-MEMにて継代を行い歯髄細胞として実験に供した.Alkaline phosphatase(ALPase)活性はBesseyらの方法に準じて測定し,硬組織形成能はDahlらの方法に準じて解析した.ヒアルロン酸およびヘパラン硫酸量はそれぞれ,ヒアルロン酸結合タンパクを応用した競合法あるいはエライザ法を用いて測定した.各種細胞外基質発現,ヒアルロン酸合成酵素,およびヘパラン硫酸合成関連酵素のmRNA発現はRT-PCR法を用いて解析した.ヒト歯髄細胞は4種のFGF受容体を発現していた.FGF-2は10mmol/lβ-グリセロリン酸と50μg/ml L-アスコルビン酸を加えた石灰化培地にて,長期培養時に上昇するALPase活性および石灰化ノジュール形成を可逆的に抑制した.FGF-2はヒト歯髄細胞によるI型コラーゲン,DMP-1,およびDSPP mRNA発現を抑制した.一方,ヒト歯根膜細胞に対しては,I型コラーゲン発現とPLAP-1の発現を抑制した.III型コラーゲンに対しては両細胞とも変化がなかった.ヒト歯髄細胞はFGF-2刺激を受けてもヘパラン硫酸産生は変化しなかったのに対し,一方,ヒト歯根膜細胞はFGF-2刺激を受けてヘパラン硫酸産生量が増加した.また,ヘパラン硫酸合成関連酵素は両細胞ともFGF-2刺激を受けても変化しなかった.ヒアルロン酸の産生に関しては,ヒト歯髄細胞およびヒト歯根膜細胞ともにFGF-2刺激を受けて,ヒアルロン酸の産生亢進とHAS1およびHAS2 mRNA発現の亢進が認められた.以上のことより,FGF-2はヒト歯髄細胞のプロテオグリカン産生を調節しており,歯根膜細胞のそれとは異なっていることが示唆された.
著者
山田 昇
出版者
佐野日本大学短期大学
雑誌
佐野日本大学短期大学研究紀要 = Sano nihon university college bulletin (ISSN:24340707)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-11, 2019-03-31

It is said that there were in Japan nearly 600 occurrences of the legend of “Abandoning an elderlyperson in the mountains”. According to this legend, which is not always clear in folk studies, in agriculturalsocieties of low productivity, the amount of food and other circumstances led to the abandonment of theelderly who had lost their ability to work.In modern society too, frequent occurrences of old people dying in solitude, or being murdered bysomeone who has tired of giving them care, are a phenomenon which can be thought to have a link to thistradition of abandonment. There is a big difference between the background of the medieval period, inwhich the legend was mainly created, and that of present society, in which“ abandonment” is nowoccurring, so the two cannot be understood in the same way. However, in this paper, I will present points ofcommonality that seem to exist between them.