著者
岩井 善太 川崎 義則 日野 満司
出版者
熊本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

能動的振動制御システムを最も効果的かつ一般的であると思われるロバスト適応制御手法を利用して構成する研究を、申請した研究計画に沿って実施し、以下に示す結果を得た。1.能動的振動制御とそのオンラインロバスト適応制御系構成に関する研究。適応制御手法を振動系制御に適用する場合、オンライン制御計算時間の短縮、振動の周期性の利用、適応アルゴリズムのロバスト化等が問題となる。これらについて考察し、離散時間適応極配置、適応繰返し制御、適応オブザーバ使用等について成果を得た。なお、成果の一部は既に公表した。2.サーボ機構を利用した振動制御装置の試作と実験。実験室レベルでの制振実験装置を試作し、通常のサーボ機構を用いて上記1.の理論が実際に有効に働くことの基本的な確認をおこなった。その結果、固定壁面が利用できる振動制御方式では適応制御方式が非常に有効であることを確認した。また、より応用範囲が広いと思われる動吸振器構造の振動制御装置においても、同様の結果が得られることが確認できた。これらの成果の一部はすでに公表したが、その他についても現在論文として投稿中である。3.スライディングオブザーバー使用によるロバスト振動抑制適応制御手法利用時におけるオンライン計算時間短縮のため、スライディングオブザーバを利用する振動抑制手法を考え、理論的考察をおこなった。特に、スライディングオブザーバを含む閉ループ振動制御系の安定性を一般的に考察し、外乱ロバスト性を含む安定条件を導き、制御系設計時におけるパラメータ設定条件を得た。
著者
小林 秀嗣 内野 滋彦 遠藤 新大 岩井 健一 齋藤 敬太 讃井 將満 瀧浪 將典
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.609-615, 2012

【目的】急性肺傷害に対するシベレスタット投与は,欧米での研究で長期予後の悪化が示された。当施設は2007年より使用を原則中止し,今回この治療方針の変更が敗血症性急性肺傷害の予後に影響していないかを検証した。【方法】2007年1月前後21カ月間に,敗血症性急性肺傷害の診断で24時間以内に人工呼吸を要した成人ICU症例を前期群64例,後期群36例で比較した。【結果】両群の患者背景に差はなかった。シベレスタットは前期群54例(84.4%),後期群4例(11.1%)に使用された。28日ventilator free days,ICU滞在および入院期間,院内死亡率に有意差はなかったが,人工呼吸期間は後期群で有意に短かった。院内死亡率に対する多変量解析では,前期群に比べ後期群のodds ratioが0.269(<I>P</I>=0.028)であった。【結論】シベレスタット使用中止で敗血症性急性肺傷害の予後は悪化しなかった。
著者
桐沢 力雄 竹山 愛 小岩 政照 岩井 涼
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.471-476, 2007-05-25
被引用文献数
1 24

日本の子牛におけるウシトロウイルス(BoTV)の糞便への排出状況と下痢との関連性を調べた.同時にウシロタウイルス,ウシコロナウイルスとクリプトスポリジウムの排出状況も調べた.BoTVのスパイク遺伝子を標的としたRT-PCRにより,北海道の子牛下痢便99例中15例(15.2%)からBoTV遺伝子が検出された.正常便では114例中8例(7.0%)がBoTV陽性であった.北海道外の38例の子牛下痢便では9例(23.7%)が陽性を示した.北海道のBoTV陽性15例のうち11例では今回検査対象とした病原体のうちBoTVのみが検出された.BoTV陽性15例中11例の子牛は2週給以下であった.今回の調査で,ウシロタウイルスと下痢との関連性は認められたが,ウシコロナウイルスとクリプトスポリジウムと下痢との関連性は認められなかった.17例のBoTV陽性のRT-PCR産物をランダムに選択し,それらの塩基配列を決定して進化系統樹を作成したところ,日本のBoTVは少なくとも2グループに分類されることが示された.今回の結果から,ウシトロウイルスは日本に広く浸潤し,子牛,特に2週齢以下の子牛下痢の原因ウイルスの一つであることが示唆された.
著者
味香 修 堀内 知一 岩井 一 平田 雄志 真田 秀夫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.954-962, 1968-10-05 (Released:2010-10-07)

化学機械メーカーは, エンジニアリング会社, 単一機器メーカー, コンストラクター (建設会社) の三種に大別できる。現在, 化学工業の広い分野に対応するために専門化が非常に進みつつあるが, 一方コストダウンのため装置がintegrationしつつある。この専門化とintegradonとをいかに両立させるかということが, 工業プラントを経済的に有利に建設する鍵になっている。技術資料を収集し消化して, 経済的なプラントの設計を目的とするエンジニアリング会社で化工出身者に必要なことは, 基本としては, 安全, 経済, 運転を考えた設計能力を有することである。最近, 経済性を要求されることが多くなって来たので, 設計の手法としてコンピューターが頻繁に利用されており, また, コンピューター制御の方式も徐々に取入れられつつある。一方, 工場全体のintegrationになると, 電気, 土木, 建築の分野の人によってプロジェクトシステムがとられるが, プラントを経済的に使い易いものとするために中心となるのは, 化工出身者である。

1 0 0 0 OA 図案春夏秋冬

著者
岩井俊次 編
出版者
深田図案研究所
巻号頁・発行日
1921
著者
加藤 眞義 舩橋 晴俊 正村 俊之 田中 重好 山下 祐介 矢澤 修次郎 原口 弥生 中澤 秀雄 奥野 卓司 荻野 昌弘 小松 丈晃 松本 三和夫 内田 龍史 浅川 達人 高木 竜輔 阿部 晃士 髙橋 準 後藤 範章 山本 薫子 大門 信也 平井 太郎 岩井 紀子 金菱 清
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、東日本大震災のもたらす広範かつ複合的な被害の実態を明らかにし、そこからの復興の道筋をさぐるための総合的な社会学的研究をおこなうための、プラットフォームを構築することである。そのために、(1)理論班、(2)避難住民班、(3)復興班、(4)防災班、(5)エネルギー班、(6)データベース班を設け、「震災問題情報連絡会」および年次報告書『災後の社会学』等による情報交換を行った。
著者
岩井 孝夫 加藤 三智子
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.509, pp.186-187, 2000-11-20

「ナレッジ・マネジメントが企業の勝敗を決める」と最近よく耳にする。しかし気をつけないとナレッジの共有化は,「法則の発見」や「傾向の把握」という面ばかりが注目されがちだ。個人のノウハウを共有化しようというのであれば,システムだけでは実現できない。ノウハウの共有化は,人事政策や業務面からのアプローチが主となる。
著者
金子 猛 西平 友彦 鷲田 昌信 石井 隆道 岩井 輝 井上 章
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.2217-2220, 2003
被引用文献数
5 1

症例は84歳,女性.腹部手術の既往はなかった.突然出現した腹痛と嘔気を主訴に当院に来院した.腹部全体が膨隆し下腹部に圧痛を認めた.腹部単純X線で鏡面像を伴う拡張した小腸が認められ腸閉塞と診断された.腹膜刺激症状を認めなかったため,イレウス管を留置し精査を行った.イレウス管造影と注腸造影により,回盲部の尾側に両端に狭窄像を有する拡張した小腸係締を認めた.この拡張した小腸係締は腹部CT上では盲腸の背側に位置していたため,盲腸後窩ヘルニアを強く疑った.開腹すると回腸末端から口側約80cmの部位で約4cmの回腸係締が盲腸後窩に嵌頓していた.還納後,盲腸を後腹膜へ固定しヘルニア門を閉鎖した.盲腸後窩ヘルニアは比較的稀な疾患であり,術前診断は困難とされている.本例ではCTが術前診断に有用であり,消化管造影後に撮影したため盲腸周囲ヘルニアのタイプ診断も可能であった.
著者
澤井 俊宏 阪上 彩 野澤 正寛 岩井 勝 野村 康之 竹内 義博
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.172-175, 2008-11-15 (Released:2009-07-10)
参考文献数
10

症例は11歳,女児。生下時よりEllis-van Creveld症候群 (EvC症候群) と診断され,経過観察されている。平成18年の学校検尿で軽度の尿蛋白を指摘された。近医を受診し,早朝尿蛋白および臥床での尿蛋白が陰性であったことなどから起立性蛋白尿と診断された。翌年の学校検尿でも尿蛋白を指摘され,早朝尿蛋白も軽度陽性となっていたが,この時は精査されなかった。EvC症候群の定期受診の際に高血圧に気付かれ,血液検査で腎機能低下が判明し当科に紹介入院となった。腎生検の結果はネフロン癆に合致する所見であったため,腎機能の回復は困難であると判断した。患児は現在,腹膜透析を実施しながら腎移植待機中である。
著者
岩井 敏
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.211-225, 2008-09

In the field of radiation protection, quality factor Q(L) and radiation weighting factor w_R are important coefficients for estimating both radiation protection and operational quantities to the mixed types of radiation exposure. However, some inconsistencies might be found between Q(L) and w_R for estimating effective dose, for example. Some inconsistencies are attributed to incomplete definition of terms Q(L) and w_R. This report presents the root and evolution of quality factor Q(L) and radiation weighting factor w_R for the years 1931-2007, to clarify the current issues of inconsistencies to be solved.
著者
平勢 隆郎 武田 時昌 岩井 茂樹 宇佐見 文理 高見澤 磨 大木 康 橋本 秀美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本学東洋文化研究所(上記の他橋本秀美・金児茂・山本和也)・同総合研究博物館(上記の他鵜坂智則)と京都大学人文科学研究所(上記の他守岡知彦)・同大学院文学研究科の教官が、複数の作業領域を作り、継続して検討を進めてきた。すでに二種のサーバーを作り上げた。いずれもトロン超漢字とリナックスを組み合わせたもので、一方は室内ランを構成し他方は所内ランを構成する。立ち上げたホームページなどを活用しつつ、今後も研究を発展させたい。東アジアの日本・朝鮮・中国は、それぞれ江戸時代・李朝・清朝の強い影響をうけている。その影響を歴史的にどのように把握し、効果的に発信するかをわれわれは検討した。そのためシンポジウム等を開催し、討論を進め、論文を発表した。主題は「江戸・明・古代を考える」である。「江戸」は江戸時代・李朝・清朝の時代を代表させ、かつ我が国を主軸に検討することを示す。「明」は、江戸時代・李朝・清朝に大きな影響を与えた時代であり、これなくしては、よきもあしきも議論することがかなわない。これで東アジア全体を視野にいれることを示す。「古代」は、東アジアにおいて共通して理想化された時代を考える。その理想と究明される実相とのへだたりが検討の要になった。研究の成果は雑誌『東洋文化』85号(特集「江戸・明・古代を考える」)および冊子『山中人饒舌注・上巻』などとして刊行。ホームページは、江戸時代の『左伝』・『史記』研究を紹介するページ、18紀前半に隆盛した明律研究と幕末の『海国図志』による西洋理解を紹介するページ、『警世通言』などの小説を読解するための基礎的工具書としての『三才図会』を紹介するページ、科学思想として『五行大義』『医心方』等の引用書データベースを公開するページなど。