著者
川上 昌直
出版者
福島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

全3年度にわたって、新規事業プロジェクトにおける、ビジネスリスクとそのマネジメントに関する研究を行うに当たって、本年度はこれまでの研究の取り組みをまとめる作業と補足データの収集行った。本研究では、コンテンツビジネス、とりわけ映画ビジネスに焦点を絞って研究を行ってきた。本年度においては、韓国の映画関係者に対してインタビュー調査を行った結果をもとに、韓国映画産業におけるビジネスモデルと資本調達スキームを、これまでのハリウッド方式とわが国の方式との比較のもとに、一本の論文としてまとめあげた。韓国映画産業では、政府や政府系機関がそのビジネスモデルと投資スキームに関与して、映画の製作をバックアップしていることがわかった。これを、Afuah(2004)やドミナントロジックの枠組みを用いて明らかにした。本論文に関しては、平成19年度に文眞堂から出版される『ケースブック ビジネスモデル・シンキング』に掲載される。以上のように論文をまとめる過程において、本年度においては、国際ビジネス研究学会第13回全国大会において「ビジネスモデルから見た韓国映画産業」という表題で発表を行い、関係者からコメントをいただくとともに、論文の理論的枠組みをさらに強化することができた。また、本年度においては、ビジネスモデルとしての波及効果として、わが国におけるフィルムコミッションの活動を視察、資料収集を行い、それがビジネスとして成立するかどうか、その可能性の検討を行った。このテーマに関しては、本研究から派生的に発展したテーマである。その成果に関しては、理論的フレームワークのきらなる拡張を試みて、体系に組み入れる予定である。
著者
井上 勝一 中島 収 宮本 宏 川上 義和 伊藤 正美
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.513-520, 1990-08-20

赤血球亜鉛量と血清亜鉛量を64例の肺癌患者で測定し, 以下の結果を得た.1)進行肺癌患者では健康成人に比し血清亜鉛量は低下し, 赤血球球亜鉛量は増加した.2)しかし, 炭酸脱水素酵素量に差はなかった.3)進行肺癌患者の赤血球をヘパリン加生食で洗浄すると, 赤血球亜鉛量の約1%の亜鉛の遊離を認めた.4)以上より, 進行肺癌患者では亜鉛の赤血球への集積が見られ, 担癌生体の亜鉛の動態に多大な影響を示すものと考えられた.
著者
川上 陽子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

H19年度は、おもに贈与について研究を深めた。贈与が死と密接な連関をもっていることをつまびらかにした。そのために、ハイデガー、キルケゴール、デリダ、レヴィナス、ブランショらの著述をひもとくこときながら、彼らが死が到来するものということを前提とし、他の誰のものでもなくこのわたし固有のものである死という概念、それをぞんざいの担保としていたのに対し、死は誰しもに必ず訪れるものであるにもかかわらず、死の瞬間にわたしは雲散霧消するのであるから(すくなくとも「わたしたち」の「世界」においては)、死は届きそうでその瞬間に姿を消す、決して届き得ないものであること、つまりは絶対的他者性であり、にもかかわらず、それは産まれる瞬間にどこからともなく誰から都もなく贈与された、わたしとは切っても切り離すことができない不気味ななにものかであることを論じた、さらには、誰しもに贈与されていることば、とりわけその先鋭的な形態である一人称代名詞「わたし」が、誰しもに贈与されているがゆえに、誰しもにとってもっとも近しいものでありながら誰のものにもなりえないアンヴィヴァレンスをはらんでいることを、多和田葉子やブローディガンなどの文学作品を論じることによって明らかにした。ここにおいて、死とことばが、贈与という概念によわて結ばれることになる。死はぞんざいにとって絶対的他者性であるがゆえに、またその他者性においてのみそのぞんざいの単独生を支え、ことばも絶対的他者性であるにもかかわらず、わたしはそれを使用することによってしかしゅたい化することができない。どちらもぞんざいにとってなくてはならぬものであるにもかかわらず、それをつきつめると、しゅたい化とともに脱しゅたい化がおこるのである。これはいままで論じられることのなかった論点であり、たいへん重要な示唆に富むものであるとおもわれる。
著者
坂田 浩之 川上 正浩 小城 英子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.91-98, 2009-01-31

本研究は,不思議現象に対する態度を研究する上での基礎作業として,現代の日本人女子大学生が実際に不思議だと感じていることを探索し,彼らにとっての"不思議"の潜在的な構造を明らかにすることを目的としたものである。20答法を応用した調査法を用いて記述データを収集し,それをテキストマイニング手法を用いて分析し,そこにどのようなキーワードが見出され,多く用いられているのか,またそれらのキーワードはどのようなクラスターを構成するのかについて検討を行った。その結果,"人間の不思議","自分の不思議","能力・可能性の不思議","好みの不思議","性の不思議","思考の不思議","差異の不思議","生理的欲求の強力さの不思議","心・感情の不思議","生・世界・文化の不思議","美・魅力に関連した事柄の不思議","身近な事柄の不思議",という12 のクラスターが抽出され,一般的傾向として,現代の日本人女子大学生が,実際には,身近で,普遍的で,自然なことに対して不思議という感覚を覚えることが明らかにされた。
著者
井上 克也 菊地 耕一 岸根 順一郎 秋光 純 山口 兆 美藤 正樹 川上 貴資
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

井上:新規キラル磁性体2種を新たに合成した。うち3つのキラル磁性体の磁気構造を中性子線回折、下の美藤らの研究による高調波磁化率の検討により明らかにした。秋光:無機系透明chiral磁性体CuB_2O_4および新しいキラル無機磁性体Crl/3NbS2等のの大型単結晶の作成に成功し、磁化の特異な磁場・温度依存性を観測した。この磁化の振る舞いは、岸根らのchira1ソリトン格子モデルによって統一的に理解され、chiral磁性体特有の磁化過程を明らかにすることができた。菊地:グリーンニードルの単結晶を加圧することにより、螺旋軸の一つが消失することが判明した。このことは加圧によってchiralityを制御できることを意味し、この過程を詳細に調べた。美藤:各キラル磁性体について交流磁化率における高調波成分の精密測定および解析を集中的に進めた結果、chiral磁気構造に特徴的な空間反転対称性の破れを直接検出し、磁気構造の詳細を明らかにした。山口、川上:本年度は化学反応における軌道、スピン、電荷、およびカイラル対称性の破れとその回復について研究を進めた。まず、電子相関効果の強い電子系を有する分子系の構造最適化法として対称性の破れた密度汎関数法(DFT)に近似スピン射影により対称性の回復を行ったエネルギー勾配法(AP-OPT)を開発し、ヘモシアニン酵素の活性サイトである二核銅酸化物錯体の構造最適化に適用しその有効性を確立した。さらに、RBS法により反応の状態相関図を求め、局所的スピンクロスオーバー現象などを解明した。また、4鉄イオウ錯体では酸化還元ポテンシャルに対する水素結合効果も検討した。さらに、カイラル対称性に関与するDMパラメータの計算を実行した。岸根:chiral磁性特有の磁場・温度誘起ソリトン格子形成が磁化過程に及ぼす影響を明らかにした。さらに、ソリトン格子のダイナミクス、特異なスピン波物性を、実験研究との密接な連携を保ちながら調べた。
著者
八田 武志 三輪 和久 川口 潤 筧 一彦 川上 綾子 栗本 英和
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

昨年度に続き本年度も今までに収集した漢字誤記のタイプ別分類(1)とその産出メカニズムの説明モデルの作成と、(2)さらなる自発書字における漢字誤記の収集を行った。さらに,(3)今までに収集した漢字誤記のデータベース作成と,(4)データベースの利用容易性の検討である。(1)については,音韻、形態、意味の3つの基本要素を中心にそれらの組み合わせから生じる音韻+形態、音韻+意味、形態+意味、音韻+形態+意味、語順、部品欠損、その他の合計10タイプに漢字誤記は分類できることが明らかとなった。このような誤記の産出は3基本要素の心内辞書での活性化によるとする認知モデルは,基本的に変更する必要を感じなかった。これは,10タイプの分類で不可能とするような新しいタイプの誤記は生じなかったためである。(2)について本年度行ったのは,(1)ベネッセ「赤ペン先生」に解答者が記載する赤ペン先生へのletterにおける誤記(この場合中学生が主な対象となる)。(2)大学生における約400名の自由記述タイプの試験答案における誤記(これは一人あたりおよそ2000文字以上の記述がある),(3)専門学校生におけるレポートおよび感想文における誤記を対象に収集した。(1)については,添削がネット上で行われる様態に変更されたために,途中で収集は断念せざるを得なかった。(3)および(4)に関しては,誤記を考慮した手書き入力デバイスへの支援ソフトに利便性の高い形式を模索中である。本研究に関連の深いものとして,書字において情動価をどの様に伝達するのかに関する実験研究を行い結果を発表した。その内容は,漢字,平かな,カタカナなど表記のタイプと活字体の種類を変数にしたもので音声言語でのプロソディに相当する機能を書字でも行っていることを立証するものであった。
著者
田原 英一 斉藤 大直 川上 義孝 荒川 龍夫 寺澤 捷年
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.351-356, 2002-07-20
被引用文献数
2 1

療養型病床群で老人の夜間不隠行動に,酸棗仁湯が奏効した症例を経験した。症例1は97歳,女性。誤嚥性肺炎を繰り返し,夜間奇声を上げるようになり,当院へ転院。特に夜間病棟中に響きわたる奇声を上げ続けた。酸棗仁湯(TJ-103)7.5gを投与開始後,体位変換,オムツ交換などの際に短時間奇声を上げるだけとなった。その後嚥下訓練を行い,経口摂取が再開できた。症例2は80歳女性。脳出血後後遺症で当院へ転院。夜になると大声を上げるようになった。酸棗仁湯投与後,夜間睡眠が良好となり,日中はリハビリなどで過ごせるようになった。高齢者が増加し痴呆による問題行動に対して対応が苦慮される中で,高齢者の夜間せん妄の中に酸棗仁湯が適応となる病態が存在する可能性が示唆される。
著者
高坂 拓司 川上 博 上田 哲史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.96, no.72, pp.27-32, 1996-05-24
被引用文献数
2

リズムを持つ生物の協調・協同動作は広く同期現象と呼ばれ, 身の回りに見られる興味ある非線形現象の1つである. たとえば, 合唱するコオロギやホタルの集団発光などの同期現象は良く知られている. われわれは, 2つの方形波発振器を用い, フォトダイオードとフォトトランジスタを組み合わせたフォトカップラーで相互結合した電子回路を構成し, ホタルの同期現象を模擬した. 2個の回路を接続した場合, 発光のリズムで同相で同期するホタル及び逆相で同期するホタルができる. そこで, 位相平面図を用いたPoincare写像を利用し, 発光のリズムが同相や逆相で同期することを導いた.
著者
吉田 匠 城 堅誠 南澤 孝太 新居 英明 川上 直樹 舘 [ススム]
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.801-809, 2009-06-01

A wide field of vision is important for driver safety and vehicle operability. However, the window area of vehicles is limited. Therefore, we developed head-tracked retro-reflective projection technology that displays vehicle blind spot information. The system enables the driver to observe the surroundings in the blind spot as if seeing through the inner wall of the vehicle. The system uses a head-mounted projector and multiple cameras. We describe the system design, the implementation of a prototype, and performance evaluation experiments. Early experiments showed that the system effectively displayed the blind spot information corresponding to the operator's looking around motion.
著者
川上 博士 鈴木 実平 藤原 正典 中嶋 純也
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.24-30, 2007 (Released:2006-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

The possibility and the mechanical properties of Al/Cu dissimilar bonding with liquefaction by the reaction diffusion in air were investigated at the temperature range between the melting point of aluminum and the eutectic temperature of Al-Cu system equilibrium diagram. The surface of each specimen was prepared by a simple preprocessing with the polishing and the cleaning by acetone. The Al/Cu dissimilar joint could be obtained by this bonding process in air. The bonding pressure is an important factor for this bonding process. The increment of bonding temperature and the decrement of oxygen concentration of air also promote solid state diffusion at Al/Cu interface. All bonded specimens in this study were fractured by the brittle fracture mode like cleavage fracture. The phases observed mainly in fracture surface is θ phase. The tensile strength of specimen bonded in air is similar with that of specimen by the diffusion bonding in vacuum.
著者
有賀 豊彦 熊谷 日登美 吉川 雅清 川上 肇 関 泰一郎 櫻井 英敏 長谷川 功 衛藤 威臣 住吉 博道 恒吉 唯充 角 眞一郎 岩井 和夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.362-369, 2002-05-15
被引用文献数
4 16

天然無臭ニンニクといわれているネギ属植物について, 植物学的, 生化学的分析を行い, その種の同定を試みた.この植物は, 草丈, 鱗茎ともに通常のニンニクより大きく, 鱗片は花茎に密着して鱗茎を形成する大型のものと, 鱗茎の辺縁に付着する小型のものがあり, これらの数は20に及ぶ.花器はよく発達するが, ニンニクにみられる花序での珠芽形成はない.染色体は2n=32でリーキと同数であり, にんにくの2倍であった.そのDNAの制限断片長多型(RFLP)は, リーキに似ており, ニンニク, エレファントガーリックなどとは異なっていた.アイソザイム分析においてはリーキと最も似たパターンを示した.鱗茎細胞内でのアリイナーゼ(C-Sリアーゼ)mRNAの発現は, 他種に比べ少なかったが, 大きさは等しく, 1.9 kbであった.この植物のアリイナーゼのN末端25アミノ酸残基の配列はリーキのそれと一致し, ニンニクとは2残基相違した.以上の結果から, この植物は, リーキと極めて近縁の植物であり, Allium ampeloprasum L.の中に分類することができると考えられる.
著者
木村 優花 川上 和宜 中村 匡志 横川 貴志 清水 久範 小林 一男 青山 剛 鈴木 亘 羽鳥 正浩 鈴木 賢一 高張 大亮 小倉 真理子 陳 勁松 中山 厳馬 若槻 尊 山口 研成 山口 正和
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1075-1081, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
21

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.
著者
有馬 和彦 玉井 慎美 岩本 直樹 川上 純 江口 勝美
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第34回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.23, 2006 (Released:2006-09-01)

【背景】 マトリックスメタロプロテイナーセ群(MMPs)は関節リウマチ(RA)の骨破壊に関わる重要な酵素群である。特にMMP-9は血液脳関門の破壊にも関与していると考えられている。【目的】 RAの骨破壊の予見的所見であるMRIにおける骨髄浮腫とMMPsの機能的遺伝子多型に関連があるという仮説を検証した。【対象】 関節痛を有する84名と健康対照群96名。【方法】 MRI検査と同時期に血清学的検査を行った。MMP-1,7,9,13の機能的遺伝多型に関して単塩基多型にはRFLP解析、二塩基繰り返し多型にはフラグメント解析を用いた。検定にはカイ二乗検定を用いた。【結果】 骨髄浮腫所見を32名に認めた。MMP-9の機能的遺伝子多型頻度は、骨髄浮腫陽性群全体では健康対照群と有意差を認めなかった。更に血清学的検査で群別したところ抗CCP抗体陰性の骨髄浮腫陽性群では健康対照群に比較して有意に高発現単塩基多型が高頻度で認められた(35.0% vs 14.3%, Odds ratio=3.23, p=0.017)。【考察】 今回の検討ではMMP-9の機能的遺伝子多型のRA発症への関与は明らかではなかった。しかし、抗CCP抗体陰性RA群には、自己抗体産生という免疫学的病態以外のMMP-9の高発現による血液骨関門の破壊等といった、抗CCP抗体陽性RA群とは異なる障害機序が存在する可能性が示唆された。
著者
荒木 貴代 佐藤 敏 川上 哲史 岡本 果南 小幡 弓真 近藤 剛規 高島 幹展 真田 祥太朗 村上 弘城 出口 智宙 高瀬 恒信
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.380-385, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
20

肋骨骨折端によって遅発性に気胸を繰り返した胸部外傷の1手術例を経験したので報告する. 症例は38歳男性. 転落事故による右第7-11肋骨骨折で安静入院した. 肝損傷, 右副腎損傷は保存的に軽快したが, 第9病日, 遅発性に右気胸を生じ胸腔ドレナージを要した. 気胸は改善し外来通院していたが, 第75病日, 第97病日と右気胸を繰り返した. 右第9肋骨骨折端による肺損傷・気胸と判断し, 第111病日に胸腔鏡補助下肋骨骨折端摘除術を行った. 下位・浮肋骨骨折では, 肋骨骨折端が(1)鋭利な形状, (2)胸腔内臓器と接する, (3)胸壁接線に対する鋭角が25度以上である場合は, 予防的摘除を含めた積極的治療を考慮してもよい.
著者
井上 真理子 川上 正浩
出版者
北陸心理学会
雑誌
心理学の諸領域 (ISSN:2186764X)
巻号頁・発行日
pp.2023-05, (Released:2023-11-10)
参考文献数
25

This study examined how university students’ self-control and attitude toward delay relate to their smartphone usage time. The study focuses on both subjective and objective smartphone usage time. Participants were 74 university students who use iPhones. First, we conducted a correlation analysis by measuring subjective and objective usage time for online use such as SNS, online video viewing, and games. Next, participants’ personal characteristics, such as self-control and attitude toward delay, were measured using a 6-item method and a 5-item method, respectively. Consequently, the study found a positive correlation between subjective and objective usage time for "SNS" and "games" during 24 hours. However, no correlation was found between "videos and the Internet" or "total time ". Additionally, a positive correlation was found with external control and a negative correlation with reformative self-control scores in subjective time spent on "video and Internet". Conversely, the score of reformative self-control negatively correlated with subjective time for "video and Internet", but no correlation was found with objective time for "video and internet." The findings suggest that self-control and smartphone use differ regarding subjective and objective measures, including the purpose of use.