著者
横山 直也 百鬼 史訓 久保 哲也 川上 有光
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.39-50, 2001-03-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The purpose of this study is to reveal the degree of individual motional difference and to discover the situations and parts of the body where there appears motional difference and to gain basic hints in instructing Shomen-Striking-Motion, as well as to discover implicit motional process common in Shomen-Striking-Motion of a Kendo player and to establish a model of standard Shomen-Striking-Motion by analyzing Kendo Shomen-Striking-Motion using 3-D Motion Analysis Method.The subjects of the study were sixteen males (age: 24.6±5.8years old, Kendo experience: 16.2±5.2years, ranks in Kendo: 4.0±1.3 dan, height: 174.9±6.0 cm, weight: 76.0±8.0 kg) consisting of the current students and the graduates of a university where is a specialized Kendo course.Videotaping of Shomen-Striking-Motion of the subjects was done by using two high-speed VTRs from diagonally to the right-front and left-front of the subjects with shooting speed of 250 frames per second and the shutter speed of 1/2000 second.3-D coordinates in 29 points were calculated in total with the use of DLT (Direct Linear Transformation) Method, consisting of 25 segment endpoints of a subject and 4 measuring points of Shinai.The Shomen-Striking-Motion were divided into two phases in this study; Back-Swing phase (BS phase) which is from the starting time until the ending time of Shinai to be lifted up and Forward Swing phase (FS phase) which is from the starting time until the ending time of Shinai to be struck down. Then,3-D coordinates and angle data of each subject were standardized with phase time being 100%, and the data were averaged per 1% of standard time accordig to the method of Ae et al. Coefficients of variation were calculated to compare standard deviation of each joint angle that was averaged.The following are the acquired conclusions from this study.(1) 3-D model of the standard Shomen-Striking-Motion was acquired that shows implicit motional process common in Kendo players through standardizing and averaging all the coordinate data of sixteen subjects.(2) The standard motion of each joint of Kendo players in fifteen points was exhibited through standardizing and averaging the changes of joint angle of all the subjects. Simultaneously situations that have large and small individual motional difference were observed from the standard deviation.(3) The parts were revealed where there is large individual motional difference by calculating coefficients of variation in the standard deviation of joint angles.
著者
深澤 俊貴 田中 佐智子 川上 浩司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.777-781, 2022 (Released:2022-08-01)
参考文献数
13

医療データベース(DB)を用いた観察研究の発展には、目を見張るものがある。情報技術革新に支えられた大規模DBの構築と柔軟かつ高度な疫学手法の掛け合わせは、リアルワールドにおける医薬品の使用実態調査、および有効性や安全性の評価をタイムリーに実現させている。本稿では、診療報酬請求情報(レセプト)DB、Diagnosis Procedure Combination(DPC)DB、電子カルテDBを中心に解説するとともに、それらを用いた観察研究を紹介する。
著者
根本 玲 相良 亜木子 沢田 光思郎 杉山 庸一郎 櫻井 桃子 川上 愛加 大橋 鈴世 三上 靖夫
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.69-76, 2020-04-30 (Released:2020-08-31)
参考文献数
23

【目的】皮膚筋炎に伴う重度の摂食嚥下障害は,回復まで長期間を要するとされている.さらに間質性肺炎と縦隔気腫を伴うと,治療はより困難になる.われわれは皮膚筋炎に間質性肺炎と縦隔気腫を合併し,重度の摂食嚥下障害をきたした症例に対し,リハビリテーション治療を行い良好な経過を得た.本症例で実施した摂食嚥下リハビリテーション治療の工夫と経過について報告する.【症例】69 歳男性.四肢の関節部痛と筋力低下,嚥下困難感を訴え,皮膚筋炎と診断された.間質性肺炎を併発し,プレドニゾロン,免疫抑制剤による薬物療法が開始されたが,嚥下困難感が増悪したため,リハビリテーション科に紹介された.嚥下造影検査では咽頭収縮は不良で,嚥下内視鏡検査(以下VE)ではとろみ水(段階1 よりうすいとろみ),ゼリー(コード0j)で誤嚥,喉頭蓋谷残留を認めた.摂食嚥下障害臨床的重症度分類2,藤島グレード2 であった.摂取エネルギー維持目的に経管栄養を開始した.過用による皮膚筋炎増悪防止のため頭部挙上運動などの間接訓練は実施せず,とろみ水(段階1)とゼリー(コード0j)の複数回嚥下による直接訓練を開始した.2 週間後,胸部CTで縦隔気腫と診断された.直接訓練では,縦隔気腫の増悪や縦隔炎の予防目的にゼリーを中止したが,摂食嚥下機能向上を目的にとろみ水(段階1)のみ継続した.疲労感,とろみ水摂取量,血清CK値,VE所見から摂食嚥下機能を総合的に評価し,食形態を段階的に変更した.12 週で,摂食嚥下障害臨床的重症度分類6,藤島グレード7 に改善し,1 日3 食の嚥下調整食(コード4)の摂取が可能となった.13 週目,亜急性期病院に転院した.【結論】皮膚筋炎に間質性肺炎と縦隔気腫を合併し,重度の摂食嚥下障害をきたした症例に対してリハビリテーション治療を行った.皮膚筋炎の過用に注意して経鼻経管による栄養管理を行い,縦隔気腫を増悪させないために間接・直接訓練を工夫することで,摂食嚥下機能の向上が得られた.
著者
津崎 実 川上 央
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

次元コンピュータ・グラフィックスでの人体モデルに人間らしい動作をつける際に,モーションキャプチャーシステムを使う場合には測定上の誤差に対する後処理的な修正が必要となることが多い。本報告ではダンス動作をキャプチャーした際の誤差修正の手段として,足先の接地状態を補助的な視覚映像に基づいて施すことの効果について,バイオロジカル・モーション刺激を用いた対比較による強制選択法による知覚評価実験と,fMRIによる脳活動計測を実施した。その結果として,修正による変化は確実に存在し,修正版を良いと判断した評価者がいる一方で,修正版は躍動感という点においては無修正版よりも低下することを示唆する結果を得た。
著者
川上 恵治
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E1107, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】前頭葉損傷患者では自発性や意欲の低下、行動開始の遅延、衝動コントロールの不良などを伴うことが多く、これらの付加要因があるとリハビリテーションにのりにくい。今回、既往歴に小脳出血がある前頭葉症状を呈した症例を担当し、前頭葉症状の中核となる遂行機能障害に対し問題解決療法なる段階的教示を実施したところただちに改善が見られたが、その後拒否と易怒性のために理学療法実施が困難となった。認知症の辺縁症状を考慮して理学療法を実施した結果、著名な改善が見られた症例を経験したので報告する。【症例】62歳男性。介護老人福祉施設入所中平成18年6月14日熱発、6月19日誤嚥性肺炎で当院入院し絶食と補液。6月30日肺炎軽快。7月31日理学療法開始。既往歴は32歳腹膜炎、高血圧症、52歳小脳出血手術、多発性脳梗塞、高血圧症、平成18年1月腸閉塞。【初期評価】把握反射は両手陽性。動きは拙劣。左半身低緊張。体幹の立ち直り反応なし。意識清明。HDS-R6点。発語少ない。寝具に包まれ臥床している。寝返り、移乗動作全介助。端座位は左へ傾き立ち直ろうとせず。車椅子座位は左へ傾き背あてに押し付けている。食事動作全介助、排泄オムツ。問題点;1発動性の低下、2起居動作全介助、3食事動作全介助。ゴール:車椅子の生活、食事・トイレ動作の介助量の軽減。プログラム:1起居動作訓練、2食事動作訓練。【経過】段階的教示法に基づき動作を誘導した。起座は手すりを把持し軽介助。座位は口頭指示にて右へ重心移動可となり保持可能となった。車椅子座位は傾き、背もたれへの押し付けが減った。平行棒は介助にて1往復可能となった。食事動作は自力摂取可となったが、気が向かないと自力摂取せず、スプーンを持たせると拒否し怒った。同じように起居動作訓練も拒否し怒り実施困難となった。拒否されないように接し方を変え、一方的に誘導するのでなく本人の了解を一つ一つ得ながら実施した。その結果、拒否や暴言はなくなり訓練が可能となり食事も自力摂取するようになった。【退院時評価】拒否、易怒性が見られなくなり、食事動作は自力摂取となった。自発語が増加した。姿勢の傾きは減り体幹が安定してきた。排泄動作は訴えがなく実施できなかった。問題点:1発動性の低下、2起居動作要助、3排泄オムツ。【考察】認知症の評価は機能や生活上の問題点だけを課題抽出するのではなく、本人の能力や・願望・好みといった「したいこと」や「できること」をアセスメントする事であり、拒否や暴言は認知症の辺縁症状で、接し方により改善の可能性があると言われる。症例に対し評価の視点、接し方を変えることにより、辺縁症状が改善し理学療法の実施が可能となり効果が表れたと考える。
著者
内田 明彦 川上 泰 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.525-527, 1998-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

1995-1996年に相模湾および駿河湾で獲られた5, 555匹 (18種) の魚類についてアニサキス幼虫の感染状況を調べたところ, 相模湾産のカタクチイワシ6.1%, マサバ33.7%, マルアジ2.0%, ヒラソウダ23.1%および駿河湾産のマサバ21.0%, カタクチイワシ3.5%, マイワシ0.5%, シイラ33.3%から幼虫が検出された. 感染虫は大部分がAuisakis I型 (Anisakis simplex) で, Anisakis IIおよびIV型, ContracaecumBおよびD型, 旋尾線虫の幼虫も検出された.
著者
大槻 貴司 尾羽 秀晃 川上 恭章 下郡 けい 水野 有智 森本 壮一 松尾 雄司
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.142, no.7, pp.334-346, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
53
被引用文献数
2

This study investigated cost-effective energy mix for realizing net zero CO2 emissions in Japan by 2050, employing an energy system optimization model with hourly electricity balances. The detailed temporal resolution enables the model to capture intermittency of variable renewable energy (VRE) and costs of system integration measures. Siting constraints on VRE, such as prohibiting solar PV and onshore wind developments in forest and offshore wind developments inside fishery rights area, are incorporated in the model to reflect the environmental protection and social acceptance perspectives. Simulation results imply that a well-balanced power generation mix, combining renewables, nuclear, gas-fired with carbon capture and storage, as well as ammonia-fired, would contribute to curbing mitigation costs. In contrast, a simulation case with very high VRE penetration poses economic challenges. Average shadow price of electricity in 2050 in a 100% renewables case (RE100) is projected to be more than doubled from a reference case which is based on middle-of-the-road assumptions. Marginal CO2 abatement cost in 2050 increases from 49,200 JPY/tCO2 in the reference case to 75,300 JPY/tCO2 in the RE100 case. The economic viability of high VRE penetration is improved by relaxing the siting constraints, although it may raise environmental and social concerns.
著者
山名 高志 西山 直樹 足立 雄太 川上 直樹 齋藤 弘明 山下 高明 若井 陽子 齊藤 和人 篠原 陽子
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.144-149, 2018-03-25 (Released:2018-03-29)
参考文献数
10

背景.特発性CD4陽性Tリンパ球減少症はHIV感染などの基礎疾患や免疫抑制剤の投与などの原因がなく,後天性にCD4陽性Tリンパ球が減少する稀な疾患であり,日和見感染を高率に合併する.症例.生来健康な68歳女性,亜急性の呼吸困難と胸部CTにてびまん性のすりガラス影を認め入院した.経気管支肺生検で肺胞内に多量のニューモシスチスの囊子を認め,末梢血CD4陽性Tリンパ球は著明に減少していた.HIV抗体は陰性で他の原因となる基礎疾患や薬剤投与歴はなく,特発性CD4陽性Tリンパ球減少症に合併したニューモシスチス肺炎と診断した.本症例の臨床像はHIV感染時と類似していたが,気管支肺胞洗浄液の細胞数の低下などHIV感染症時とは異なる所見も認めた.結語.合併したニューモシスチス肺炎を気管支鏡で診断した特発性CD4陽性Tリンパ球減少症の1例を経験した.
著者
川上 佐知 羽原 浩史 篠崎 孝 鳥井 英三 古林 純一 菊池 泰二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1231-1235, 2003-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

自然再生を目的として人工干潟が各地で造成されているが, 造成後の人工干潟がどの程度干潟本来の機能を発揮しているかを評価する技術は未だ確立されたものがない. 本研究では, 干潟生態系の中核をなす底生生物に着目し, 環境条件の類似する自然干潟と比較することにより人工干潟の成熟性を評価する方法について提案した. その結果, 底生生物の生態的特徴により分類することで,(1) 生息状況の類似性,(2) 新たに提案したPW図による底生生物の大型化,(3) 干潟への依存性の高い注目種の生活サイクルの確認が可能となり, 概ね人工干潟の成熟性の評価が可能であることが明らかとなった.
著者
峯玉 賢和 川上 守 寺口 真年 籠谷 良平 米良 好正 隅谷 政 中川 雅文 山本 義男 松尾 咲愛 左近 奈菜 中谷 友洋 北野 智子 中川 幸洋
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.798-807, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
16

はじめに:腰部脊柱管狭窄症に対する監視下での理学療法(PT)は,非監視下での運動療法よりも短期的には有効であるが,その効果が持続するかについては明らかとなっていない.本研究の目的は,監視下でのPTと非監視下での運動療法の1年後の治療成績を比較することである.対象と方法:43例がPT群(週2回6週間),43例がホームエクササイズ(HE)群に無作為に割り付けられた.PT群は,徒手療法,個人に合わせたストレッチと筋力増強,自転車エルゴメーター,体重免荷トレッドミル歩行を実施した.主要評価項目は,チューリッヒ跛行質問票(ZCQ)の重症度とし,1年後の患者立脚型アウトカムと手術移行率を2群で比較した.結果:PT群はHE群に比べ,1年後のZCQ重症度と身体機能,日本整形外科学会腰痛質問票の腰椎機能障害,SF-36体の痛みと全体的健康感のMinimum clinically important difference達成率が高く,手術移行率は低かった(P < 0.05).結語:監視下での理学療法は,非監視下での運動療法に比べ,1年後でも有効で,手術移行率も低かった.
著者
安積 典子 秋吉 博之 吉本 直弘 生田 享介 川上 雅弘 深澤 優子 萩原 憲二 種田 将嗣
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

小学校教員を志望する学生の大半はいわゆる文系型に属し,理科や科学の非専門家であるにも関わらず,教師就職後は理科の授業・実験を行わなければならない。そのために教員養成課程の理科教員は,理科に関する知識や関心が低い学生に対して,限られた時間で理科授業のための職能教育を行わねばならない。本研究では教員養成系大学に特有のこの課題を,科学の専門家と非専門家の間のコミュニケーションの視点から分析する。その結果を踏まえ,課題解決の手段として,小学校理科教員を目指す理科専攻以外の学生の文脈に沿った教科書コンテンツを作成する。
著者
川上 輝昭
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.45-57, 2021-03-10

本稿の課題は、障害者を対象とした生活介護支援施設(以下、支援施設)の現状と課題について若干の考察を試みることである。障害があるために一般就労が困難な人たちを対象に、生活介護支援施設が設けられている。支援の内容は食事、排せつ、軽作業等を主とした日中活動である。この施設を利用者している人たちは、それぞれ障害の種類も程度も異なっている。したがって生活を支えている支援員には障害に対する広い知識と高い専門性が求められている。しかし、慢性的な人手不足に加えて、日々、多忙で研修の時間さえ確保しにくいという現実もある。生活介護支援施設は、今後も多様な人たちの利用が想定されているだけに、個の思いに寄り添った支援のあり方やその内容が問われている。
著者
田原 英一 斉藤 大直 川上 義孝 荒川 龍夫 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1-2, pp.63-69, 2002-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7

療養型病床群で釣藤散投与を契機に経管栄養から経口摂取が可能となったと考えられる症例を経験した。症例1は84歳, 男性。誤嚥性肺炎の後, 寝たきり, 胃瘻状態で当院へ転院。入院時は会話もほとんど不能であったが, 釣藤散 (TJ-47) を投与開始後, 意欲の向上が見られ, その後嚥下訓練を行い, 経口摂取が再開となった。症例2は99歳女性。大腿骨骨折術後, 経鼻経管栄養状態で当院へ転院。経口摂取に対して拒否的であったが, 釣藤散投与開始後徐々に経口摂取が可能となった。症例3は84歳女性。誤嚥性肺炎の後, 寝たきり, 経鼻経管栄養状態で当院へ転院。左大転子部に褥瘡形成を認め, しばしば発熱があったが, 釣藤散投与後意欲の改善を認め, 嚥下訓練と合わせて経口摂取が可能となった。また経口摂取に伴い, 褥瘡も治癒した。高齢者の経管栄養からの離脱に際し, 釣藤散は試みられて良い方剤と考えられた。
著者
森 英章 岸本 年郎 寺田 剛 永野 裕 苅部 治紀 川上 和人
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究 = Ogasawara research (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
no.46, pp.95-108, 2020-03

2019年9月、西之島において、初めて専門家による陸上節足動物の上陸調査が行われた。2013年より度重なる火山活動によってほぼすべての地域が溶岩に覆われた一方、一部草地が残された。定量調査と定性調査を並行して実施し、旧島部に残存する節足動物を確認するとともに、新たに形成された大地への進出状況を明らかにすることとした。4綱15目28科33種の陸上節足動物を確認した。うち21種は同島から初めて確認された。既存の記録を加えるとこれまでに西之島から確認された陸上節足動物は少なくとも44種となる。特に2013年噴火後に新たに形成された植生のない溶岩台地において海鳥の死体下よりトビムシ、ササラダニ等の土壌分解者が発見されたことは一次遷移の過程に関する新たな視座を提示するものである。一方、外来種であるワモンゴキブリが残存していることが確認され、対策の実施が望まれる。トラップを用いた定量調査も行われたことにより今後の継続的なモニタリングの基礎情報となる。
著者
山口 鉄平 新田 泰広 稲葉 雅美 秋山 義幸 杉山 達也 川上 真澄 島袋 潤 小川 秀人
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2012-SE-176, no.1, pp.1-6, 2012-05-14

制御機器のソフトウェア開発では,制御パラメータの調整工数削減による開発工数削減を目的に,モデルベース開発の適用がすすんでいる.制御式を設計する制御設計者とソフトウェアを開発するソフト開発者の違いや,制御式が書かれた制御仕様書と機器の動作実現方法が書かれたソースコードの違いにより,従来の開発方法からモデルベース開発への移行は困難となっている.本報告では,モデルベース開発時に,制御設計者によるモデルの修正とシミュレーションが可能な新たなモデルベース開発への移行方法を提案する.提案方法は,3パターンでのソースコードのリファクタリングと,モデルとソースコードのデータの受け渡しおよび処理の呼び出しを定義するという特徴を持つ.
著者
久保 啓太郎 川上 泰雄 金久 博昭 福永 哲夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.597-605, 1999-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
32
被引用文献数
4 5

The purpose of this study was to investigate the viscoelastic properties of tendon structures in humans. Elongation of the tendon and aponeurosis of medial gastrocnemius muscle (MG) was directly measured by ultrasonography, while subjects (N=12) performed ramp isometric plantar flexion up to the voluntary maximum, followed by a ramp relaxation. The relationship between estimated muscle force (Ff) and tendon elongation (dL) was fitted to a linear regression, the slope of which was defined as stiffness of the tendon structures. The hysteresis was calculated as the ratio of the area within the Ff-dL loop (elastic energy dissipated) to the area beneath the load portion of the curve (elastic energy input) . The resulting Ff-dL relationship was non-linear in form, as previously reported on animal and human tendons in vitro. The mean stiffness was 24.0±5.6 N/mm. However, there was a considerable inter-subject variability (15.8 to 36.8 N/mm) . The Young's modulus, i. e., the slope of the stress-strain curve, was 280 MPa, which tended to be lower than the previously reported values for human tendons. It was also found that the strain of the tendon structures was homogeneously distributed along its length. The mean hysteresis (energy dissipation) was 23.4±12.4%. However, again there was a considerable inter-subject variability (8.7 to 39.3%) . The present results indicated that the tendon structures of human MG was considerably compliant and its hysteresis was in accordance with previously reported values.