著者
西堀 佑 多田 幸生 曽根 卓朗
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.127(2003-MUS-053), pp.37-42, 2003-12-21

被験者に発音タイミングの異なる2つの音を提示し、どちらの音が早く発音されたかを回答させることで、どれくらいの音の遅延を認識できるのかを調査した。その結果得られた最も弁別し易い音(スネアドラムとピアノ)を用いて、楽曲中に遅延を発生させ、演奏にどのような影響をもたらすのかを分析した所、30ms以上の遅延だと認知され、50ms以上の遅延だと演奏が困難になることが分かった。また、遅延時間の提示方法により弁別能力が変化することが分かった。これらの結果を元に、遅延のある演奏系でのリアルタイムセッションの可能性について検討した。
著者
曽我 謙悟
出版者
JAPANESE POLITICAL SCIENCE ASSOCIATION
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.2_144-2_165, 2008 (Released:2012-12-28)
参考文献数
43

This review article explores the recent trends of the studies on central-local relations. I categorize the researches into two; one which treats central-local relations as an independent variable and one which tries to explain the central-local relations as a dependent variable. In another words, the former asks what is an “institutional equilibrium” of the central-local relations and the latter questions how and why a central-local relation becomes an “equilibrium institution”. Although the inquiries on central-local relations in the United States cannot be said productive before 1990s comparing with other research fields, we see the improvement in this decade. I prospect the future trend will be the integration of the “institutional equilibrium” analyses and the “equilibrium institution” analyses. I also derive the implication and make a suggestion to the researches in Japan from the researches in the United States.
著者
安藤 明人 曽我 祥子 山崎 勝之 島井 哲志 嶋田 洋徳 宇津木 成介 大芦 治 坂井 明子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.384-392, 1999-12-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
48 73

The Aggression Questionnaire (Buss & Perry, 1992) has been used to investigate links between personality factors and health outcomes. We developed the Japanese version of the Buss-Perry Aggression Questionnaire (BAQ) and assessed validity and reliability of the scale. Study I (N=1 125 college students) used a 45-item rating questionnaire measuring each of four components of aggression: Anger, Hostility, Physical Aggression, and Verbal Aggression. Four aggression subscales emerged clearly from exploratory factor analysis. Study II (N=611 college students) used a 24-item questionnaire and replicated factor structure and factor loadings of Study I. The scales were shown to be highly internally consistent, and stable at appropriate levels over 4-month time period. Normative data, factorial validity, and external evidence of construct, convergent, and discriminant validity for the scales were also presented.
著者
小木曽 智信
雑誌
じんもんこん2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.25-32, 2012-11-10

旧仮名遣いで書かれた口語文のテキストを形態素解析する場合、既存の形態素解析辞書では不十分な点があった。発表者は既存の形態素解析辞書UniDicをベースに見出し語の追加やコストの再学習を行い、旧仮名遣いの口語文を解析するのに適した新しいUniDicを開発した。本稿では、この旧仮名遣いの口語文を対象とした形態素解析辞書の作成方法とその解析精度について述べる。
著者
三輪 聖 森田 達也 松本 禎久 上原 優子 加藤 雅志 小杉 寿文 曽根 美雪 中村 直樹 水嶋 章郎 宮下 光令 山口 拓洋 里見 絵理子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.281-287, 2021 (Released:2021-10-26)
参考文献数
18

【目的】緩和ケア医が苦痛の評価を行う上で知っておくことが必要と考える方言を収集する.【方法】2020年2月から4月に緩和医療専門医・認定医762名を対象とした全国質問紙調査を実施した.緩和ケア医が苦痛の評価を行う上で知っておくことが必要と考える方言とその意味を自由記述で質問し,症状別に分類した.【結果】有効回答492名(64.8%).233名(47.4%)が方言として116語を挙げ,苦痛を表現する方言は101語であった.「倦怠感・特定できない苦痛・全体的な調子の悪さ」(N=62),「疼痛」(N=13),「呼吸器・循環器症状」,「精神症状」(各N=8),「消化器症状」,「神経・筋・皮膚症状」(各N=5)であった.【結語】緩和ケア医が苦痛の評価を行う上で知っておくことが必要と考える方言とその意味が明らかになった.苦痛の適切な評価のために,苦痛を表す様々な方言があることを理解することが必要である.
著者
小木曽 洋一
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.221-226, 1994-09-20 (Released:2010-08-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1
著者
菊地 賢 金指 あや子 大曽根 陽子 澤田 與之 野村 勝重
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.457-464, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

ハナノキは,東海丘陵地域に生育する落葉高木で,絶滅危惧II類に指定されている絶滅危惧種であるが,自生地域では街路樹としてよく植栽されている。こうした植栽木の中に北米原産の近縁種アメリカハナノキとみられる個体が混入し,一部で実生が定着している実態が明らかとなった。近縁外来種は,競争だけでなく,浸透性交雑や繁殖阻害のように生殖を介しても影響を与えるため,在来種の存続に深刻な影響を与える可能性がある。そこで外来種を同定するための簡便な種識別手法の開発を試みたところ,葉の形態的指標である LDIは,種間で有意差が見られたものの識別手法としては有効とはいえなかったが,葉緑体遺伝マーカーは種の識別に有用であった。さらに生理生態特性の解析から,アメリカハナノキは暗条件下でハナノキより高い光合成速度を示すこと,さらに,ハナノキとアメリカハナノキとが交雑可能であることが明らかとなり,アメリカハナノキの侵入可能性が示された。今後,アメリカハナノキの侵入拡大を未然に防除するために,早急に植栽混入の現状や流通経路を究明し,生物学的侵入リスクを生態・遺伝・生理等の面から評価する必要がある。
著者
野田 聖子 山田 麻子 中岡 加奈絵 五関‐曽根 正江
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.21-29, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
38
被引用文献数
1

アルカリホスファターゼ (ALP) はリン酸モノエステルを加水分解する酵素であり, 小腸に局在する小腸型ALPは食事性因子との関わりが大きいが, その生理機能は未だ不明な点が多い。本研究では, ヒト結腸癌由来細胞で, 培養後に小腸上皮様細胞に分化するCaco-2細胞を用いて, ビタミンDがALP発現および腸の分化マーカーである加水分解酵素の発現に及ぼす影響について検討を行った。コンフルエント後14日間培養し, Caco-2細胞にビタミンDを添加した結果, 添加後3, 5, 7日目において1,25-ジヒドロキシビタミンD3濃度100 nMのALP活性およびヒト小腸型ALP遺伝子のmRNA発現量が0 nMと比べて有意に高値を示した。一方, スクラーゼ・イソマルターゼの遺伝子発現はビタミンDにより増強されなかった。本研究において, ヒト小腸上皮様細胞でのビタミンDによる小腸型ALP発現の増強作用を示すことができ, 小腸型ALP発現調節を介したビタミンDの新たな生理機能の解明につながることが期待された。
著者
曽山 毅
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.185-202, 2013 (Released:2020-01-13)

日本統治期台湾の教育機関が実施した修学旅行について、民族属性や多様な参観地選択などに注目して検討した。とくに、総督府国語学校に導入された修学旅行には統治者/日本人と被統治者/台湾人という図式が顕著に表れたが、これは日本統治期の修学旅行の基底に存在し続けた。1920年代には中等教育機関の中に南支旅行を実施する学校があらわれ、修学旅行における内地と台湾の関係性は相対化され、台湾人と日本人との間に存在する修学旅行における意味づけの相違が判別しにくくなった。1920年代以降、内地修学旅行を再認識する動きが見られたが、これには、内地が修学旅行の絶対的な選択肢ではもはやないという側面と、内地旅行を植民地統治という文脈において復権しようとする側面があった。修学旅行は初等教育機関にまで普及していくが、1930年代には、日本人児童にも内地旅行が要請されるようになり、台北市などが小・公学校児童を対象にした内地修学旅行を実施するようになった。この旅行では日本人児童と台湾人児童の統治・被統治の関係に由来する優劣性にはある種のねじれが生じることになった。
著者
曽我 洋二 黒川 学 衣川 広美 内野 栄子 白井 千香 河上 靖登
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.269-276, 2012 (Released:2014-04-24)
参考文献数
16

目的 病原体サーベイランスが経口生ポリオワクチン接種後の便中ポリオウイルスの保有状況を知る一指標として有用であるかを検討し,その現状を分析すること。方法 神戸市における報告例:2000年 1 月 1 日から2010年 6 月30日の10年 6 か月間に,便検体よりポリオウイルスが検出された例を抽出し,接種からウイルス検出までの期間,年齢,性別について検討する。  全国における報告例:2000年 1 月 1 日から2010年12月31日の11年間に,全国感染症サーベイランスの病原体検出情報システムに登録された糞便検体からポリオウイルスの検出報告があった例を抽出し,検出されたウイルスの血清型,年齢,性別を分析し,年齢とポリオウイルスの血清型別の関連についてさらに検討する。結果 神戸市における報告例:10年 6 か月間に,31症例33件の便からのポリオウイルス検出があった。年齢は 2 歳以下が96.8%を占め,性別では,女性が54.8%を占めていた。ポリオウイルスの検出は,ワクチン集団接種期間中および,接種後 2 か月間に限られていた。  全国における報告例:11年間に,全国感染症サーベイランスシステムの病原体検出情報システムに,852件の報告があった。年齢は 2 歳以下が97.3%を占め,性別では女性が54.6%を占めていた。ポリオウイルスの血清型の分布を年齢別にみると 0 歳代の群では 1 型,2 型,3 型がそれぞれ33.2%,44.8%,22.0%,1 歳代の群では22.8%,27.6%,49.6%と 1 歳を境に排泄されるポリオウイルスの血清型の分布に違いがみられた。1 歳以上の群では 1 歳未満の群に比べ,便からの 3 型の検出が有意に高かった(オッズ比3.4,95%信頼区間2.5–4.6)。結論 神戸市および全国の病原体サーベイランスのデータは,経口生ポリオワクチン接種後の便中ウイルス検出に関する知見と矛盾していなかった。病原体サーベイランスは比較的幅広い対象から集積されていることから,その結果を地域における経口生ポリオワクチン接種後の便中ポリオ保有状況の間接的な指標として捉えることができる。生ワクチン接種者からの二次感染の現状を重く受け止めるべきであるとともに,将来の不活化ワクチン移行に向けサーベイランスの精度の向上等が期待される。