著者
栗山 敏秀 青井 利一 前田 裕司 伊東 隆喜 上野 吉史 中家 利幸 松井 信近 奥村 浩行
出版者
近畿大学生物理工学部
雑誌
Memoirs of the Faculty of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University = 近畿大学 生物理工学部 紀要 (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
no.27, pp.39-46, 2011-03-01

[要旨] 冬季に、自動車のドアや玄関の金属製ノブに手が触れた瞬間、「パチッ」と火花が飛んで痛みを感じた、という事はよく経験する。これは、身体にたまった静電気が金属との間で放電したためで、この時、身体の電圧は10,000ボルト以上になっている。カミナリも、よく知られているように、雲が帯電(静電気を帯びること)し、雲と雲、雲と地面などの間で放電する現象である。 我々は、医療、福祉、そして生活の向上に貢献したいと願い、人体の帯電を含め、さまざまな静電気を測定する技術を開発している。とくに、最近のLSI(集積回路)や液晶パネルにおいて、静電気により壊れるという現象が頻繁に起こっており、人体だけではなくモノ同士の接触、剥離による静電気の発生にも取り組んでいる。静電気は目に見えないので対策が困難であるが、これを見ることができる装置ができれば、それを防ぐ設計や対策に役立つと考えられる。今回、シリコン・マイクロマシーニング技術(半導体製造技術などによりシリコンを微細加工する技術)を用いシリコン製マイクロミラーを製作し、これを光学的な手段と組み合わせて静電気を測定する装置を開発し、摩擦帯電装置を用いた人体の帯電モデルについて適用した。 [Abstract] A silicon micro-mirror array fabricated by MEMS (Micro Electro-Mechanical Systems) process has been made for an electrostatic field distribution measurement system. Each silicon micro-mirror is suspended by two thin torsion bars, which is made by semiconductor process. Deflection of each micro-mirror is measured optically by using an optical scanner and PSD(Position Sensitive Detector). The electrostatic field distribution measurement system is applied to a human body model.
著者
松井 宏方
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
地域経済政策研究 (ISSN:13458795)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.241-256, 2004-03-31

Recognizing the relationship of the Latin roots civitas and urbs for the English word city, this paper observes the successive development of the city since the Industrial Revolution. During the Industrial Revolution in Britain, the intense concentration of people in rapidly growing industrial cities created an inferior habitat. Although many altternative models for cities based on socialist utopian ideas have been proposed, Marxists refused to accept the concrete city image. It is pointless to propose city reform without social reconstruction through socialism. Modern city planning in solidality with politics has therefore not taken place in favor of technical methods aimed at ameliorating the habitat. In the process of modernizing Japan by accepting Western ideas in all fields, city planning techniques have not had the opportunity to draw upon a more integrated planning approach. It is important to realize the current Town Planning and Zoning Act does not include the depiction of an integrated idea for the city.
著者
鈴木 泰輔 秋山 正行 松井 洋明 溝田 泰達 住 正宏 岩附 慧二
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.199-205, 2014 (Released:2014-09-25)

間接加熱法(PLT)および直接加熱法(INJ)によるUHT殺菌牛乳(TBA容器)の10℃での長期保存における物理化学的性状および官能特性の変化を調査した。各殺菌牛乳の殺菌直後の乳清タンパク質変性率,RNT,フロシン,およびラクチュロースの分析結果から,加熱殺菌による影響は150℃ 2.4秒間のINJ殺菌牛乳の方が,140℃ 2秒間のPLT殺菌牛乳よりも小さいことが示された。保存経過に伴い両殺菌牛乳のRNTは次第に減少したが,その程度はINJ殺菌牛乳の方がPLT殺菌牛乳に比べて小さかった。溶存酸素量は,両殺菌牛乳とも保存経過に伴い同様に減少する傾向がみられたが,保存期間を通じてINJ殺菌牛乳の溶存酸素量はPLT殺菌牛乳と比べて極めて少なかった。専門家パネルによる官能属性評価スコアを用いた主成分分析により,両殺菌牛乳ともに,保存経過により濃厚感が増し新鮮感が減少するが,INJ殺菌牛乳の方がPLT殺菌牛乳よりも濃厚感と新鮮感が強いことが示された。また,官能総合評価において,保存開始時のINJ殺菌牛乳は,PLT殺菌牛乳よりも評価スコアが高く,保存経過に伴いINJ殺菌牛乳の評価スコアはほとんど変化しなかったのに対し,PLT殺菌牛乳の評価スコアは低下する傾向がみられた。以上より,直接加熱法(INJ)によるUHT殺菌は,間接加熱法(PLT)よりも品質の安定性に優れ,風味上も好ましいLL牛乳の製造に適する可能性が示唆された。
著者
松井 鋳一郎 禿 泰雄
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.49-55, 1994-12-28
被引用文献数
3

Dendrobiumのピンク品種,Den. xChristmas Chime 'Asuka' と黄色品種,Den. xYellow Ribbon 'Delight'の花弁の形質と花色に及ぼす気温と光およびアブシジン酸の影響を調査した。両品種とも低温(昼夜温,18-15℃)で中温(25-20℃)や高温(32-25℃)より開花が遅れた。ピンク品種は中温で長い花弁となったが黄色品種は高温でその発達がよかった。ピンク品種の花弁先や唇弁目玉でのアントシアニンの生成は低温で多かったが黄色品種花弁では高温で著しく多かった。カロチノイドはピンク品種の唇弁では低温で多く,黄色品種の唇弁周辺部や花弁では高温で少く,唇弁は多かった。光のある条件で咲いたピンク花は幅の狭い花弁と広い唇弁となり,唇弁先の紅は大きくなった。黄色の品種にはほとんど影響がなかった。花弁のアントシアニン生成は両品種とも光のある条件で暗黒条件より優れていた。カロチノイドの生成は光条件でピンク品種の唇弁は著しく多かったが,黄色の品種では影響がなかった。蕾へのアブシジン酸の処理は唇弁の生重が高ったことアントシアニンの生成に阻害的であったことを除くと他の形質には影響がなかった。
著者
松井 崇晃 石崎 和彦 中村 澄子 大坪 研一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.204-211, 2013-05-15 (Released:2013-06-30)
参考文献数
28
被引用文献数
5

イネにおいてLgc1遺伝子を用いて胚乳貯蔵タンパク質中のグルテリンを低下させた低グルテリン品種が開発されている.本報告ではLgc1座に関する準同質遺伝子系統対を2組用いてLgc1遺伝子による米の低グルテリン化が米粉の特性や米飯の食味に与える影響を検討した.今回用いた準同質遺伝子系統対では低グルテリン系統で味度値の低下が見られ,米飯の食味低下が示唆された.また,低グルテリン系統のアミロース含有率は通常のタンパク質組成の系統を約1ポイント上回った.ラピッド·ビスコ·アナライザーを用いた糊化物理特性において低グルテリン型の系統では最終粘度が有意に上昇し,コンシステンシーが増加した.テンシプレッサーを用いた米飯の物性測定においては米飯表層の粘りが低グルテリン型の系統で有意に低下し,硬さと粘りのバランス度においても有意な低下が認められた.15°Cにおける白米粒の吸水においては低グルテリン化による有意な差は認められなかった.一般に低グルテリン品種は通常のタンパク質組成の品種に比べて米飯の食味が不十分であることがこれまでにも指摘されている.今回の測定において低グルテリン系統と通常のタンパク質組成を持つ系統との間に見られた差がタンパク質組成の変化だけによるものとは限定できなかったが,低グルテリン品種の米飯の食味や加工特性の違いの一因と考えられた.

1 0 0 0 OA 警察叢譚

著者
松井茂 著
出版者
清水書店
巻号頁・発行日
1907
著者
竹井 裕介 松井 亮 グェン ミン ジュン 高畑 智之 松本 潔 下山 勲
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. E, センサ・マイクロマシン部門誌 (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.138, no.2, pp.54-58, 2018
被引用文献数
1

<p>We measured flow speed of a moving object in a water with Doppler effect using a MEMS ultrasonic receiver. This measurement is aimed for non-invasive blood pressure measurement. We proposed a wide frequency range receiver to measure both blood flow speed and vessel diameter at the same time in a blood vessel. Our sensor has a piezoresistive cantilever which is put on the boundary between air and liquid in a device. According to this structure, proposed receiver can measure acoustic waves from Hz to MHz order frequency, so that we can obtain blood flow speed (MHz order), and blood pressure change (Hz order) with the same device. On this paper, we measured flow speed ranging from 64.0 to 76.3 mm/s with 5.6 to 19% error.</p>
著者
松井 秀郎 竹内 淳彦 田邉 裕 濵野 清 吉開 潔
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

1.シンポジウムの趣旨 1)新学習指導要領における地誌学習(諸地域学習)の拡充 平成25年度からいよいよ高等学校での新学習指導要領が完全実施となる。なかでも地理Bでは、三つの大項目の中で「(3) 現代世界の地誌的考察」を設け、諸地域の地誌的な学習内容を充実し、また、「地誌的に考察する方法」を身に付けさせることも重要なねらいとされている。 内容の取扱いでは「アで学習した地域区分を踏まえるとともに,様々な規模の地域を世界全体から偏りなく取り上げるようにすること。また,取り上げた地域の多様な事象を項目ごとに整理して考察する地誌,取り上げた地域の特色ある事象と他の事象を有機的に関連付けて考察する地誌,対照的又は類似的な性格の二つの地域を比較して考察する地誌の考察方法を用いて学習できるよう」とされ、これまでのいわゆる静態地誌,動態地誌に加えて、比較地誌の方法によっても考察することが求められている。 2)地理学における地誌研究などの衰微と再興への方途 高等学校での地理教育において、地誌学習が拡充される一方で、地理教育の根幹となる地理学における地誌研究や方法論としての地誌学の衰微が著しい。宮本昌幸・武田泉によれば地誌学を専門とする日本地理学会会員数は減少し、題名に地誌と明記した著書・論文や学会発表も低調な状況にある。 このような問題意識から、地誌学の興隆期から地誌学に強い関心を抱きつつ研究を続けてこられた先生方や、高校教育現場の長として地理教育に力を入れておられる校長先生、全国の学校での地理教育・社会科教育の指導を進めている教科調査官の参加を求めて、本シンポジウムを地誌研究などの再興に向けた講演と総合討論の場としたい。2.講演内容の概要 (1)濵野 清:「新学習指導要領における地誌学習の位置付け」 新学習指導要領における地誌学習重視の視点は、小・中・高等学校を貫く改訂の柱である。学力の重要な要素として基礎的・基本的な知識、技能の習得が求められる中、日本や世界の諸地域に関する地理的認識を養うための学習が、改めてその学習指導要領の内容として位置付けられることとなった。 ここでは、とりわけ大項目レベルで内容構成が変更された中学校と高等学校に焦点を絞り、その概要を確認したい。 (2)竹内 淳彦:「いま、地誌を考える」 「地誌」は正しい地方づくりのための基本である。"地域性の解明と記述"を目的とする地誌の基本は田中啓爾の研究に見られ、田中の「指標をもとにした地域性の解明」と動態的な「地位層」の考えこそが地誌研究のベースとなる。これらをもとに地域区分、域の重層、シンボルなどが検討される。「地誌」の充実のためには、学界、教育界、行政挙げての強力な取り組みが不可欠である。 (3)田邉 裕:「私の受けた地誌教育から考える」 1950年代の大学では、多田先生が外国地誌、福井先生が自然地誌、飯塚先生が「日本と世界」を中心に地誌全般を講じ、1960年代のレンヌ大学ではフランス地誌を受講した。共通する特徴は系統的・画一的でなく、「そこはどのような所か」を明らかに出来るような地域性の指摘から入っていた。自分がヨーロッパ地誌を講ずる立場になって、網羅的でありながらトピック的な地誌とその順序性の論理構築を心がけた。 (4)吉開 潔:「私の体験的地誌教育論」 グローバル人材の育成やリベラルアーツの重視など、総合的な知識・思考力を求める最近の教育動向は、地誌学及び地誌教育の活性化に資するものといえる。かつて高校地理教師として世界地誌を指導したとき、大学で地誌関係講座を履修した経験が活きた。新学習指導要領で地誌学習が充実された今こそ、地誌学研究者と中・高地理教師が連携・協力して、魅力ある地誌授業の開発・実践に取り組んでいく必要がある。
著者
松井 剛 加藤 宗規 山﨑 裕司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.103-106, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
9

〔目的〕立位保持が困難な重症片麻痺者における立位保持時間を平行棒把持条件と垂直棒把持条件において比較した.〔対象と方法〕対象は,平行棒内立位保持が困難な脳卒中片麻痺患者9症例とした.平行棒片手把持での立位条件(条件A)と,垂直棒片手把持での立位条件(条件B)における立位保持時間を5日間にわたって計測し,比較した.〔結果〕5日間とも条件Aに比較して条件Bにおいて立位保持時間は有意に長かった(p<0.05).6例は,5日目の条件Bにおいて60秒の立位保持が可能となったが,条件Aでは不可能であった.〔結語〕平行棒での立位保持が困難な重症片麻痺者に対しては,垂直棒の利用を検討すべきである.
著者
梅村 坦 庄垣内 正弘 三友 健容 吉田 豊 松井 太 鈴木 健太郎 李 肖 DESMOND Durkin-Meisterernst
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究対象は、ベゼクリク千仏洞から1980~1981年に出土した非漢字の古文献約600点であり、その大部分は未公開の断片類である。使用される文字はウイグル文字、ソグド文字、ブラーフミー文字を中心とし、言語は古ウイグル語、ソグド語、サンスクリット語、トカラ語、漢語などにおよび、形式には写本、印刷があり、内容は仏教文献を中心として契約や公文書、詩、手紙などの俗文献に至り、10~13世紀頃のトゥルファンの複合文化を浮き彫りにする第一級の資料群であることが判明した。
著者
松井 利仁
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

交通騒音によって睡眠妨害以外の健康影響が生じることは必ずしも知られていない。しかし,近年の大規模な疫学調査などにより,虚血性心疾患や脳卒中の罹患率・死亡率の上昇が明らかにされてきた。欧州WHOはそれらの知見に基づいて,交通騒音による健康損失を障害調整生存年(DALY)で評価する方法を示している。本研究では,我が国にこれを適用する際の様々な課題について検討を行ない,DALY算定のための方法を確立した。
著者
梅末 正芳 松崎 浩史 園田 拓道 松井 完治 塩見 哲也 芦原 俊昭
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.157-161, 2007-05-15
被引用文献数
1

症例は76歳,男性.平成17年5月21日左回旋枝の完全閉塞による急性心筋梗塞(後側壁)に対しシロリムス溶出性ステントを挿入された.残存する左前下行枝近位部の90%狭窄病変にに対し冠動脈バイパス術を施行することとなった.手術1週間前よりチクロピジン,手術2日前よりアスピリンを休薬し,ヘパリンを手術5日前より手術前まで静脈内持続投与し,6月9日に心拍動下に左内胸動脈を左前下行枝へ吻合した.手術当日夜よりヘパリン持続点滴を開始し,手術翌日よりアスピリンおよびチクロピジンを開始したが,術当日に急性心筋梗塞を発症した.緊急心臓カテーテル検査では,バイパスグラフトは良好に開存していたが左回旋枝に留置したステントの完全閉塞を認め,同閉塞に対しカテーテル治療を行い血流再開を得た.薬剤溶出性ステント挿入後はステント血栓症予防のために最低3カ月のチクロピジン投与および無期限のアスピリン投与が推奨されているが,出血性疾患の合併や外科手術のために抗血小板剤の休薬を要する状況も想定される.本報ではそのような患者における抗血小板療法,抗凝固療法につき検討した.
著者
駒形 依子 小川 正樹 橋本 誠司 櫻井 理乃 菊浦 沙織 寺田 美里 土山 史佳 佐々木 かりん 金野 潤 三谷 穣 牧野 康男 松田 義雄 松井 英雄
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.344, 2012-10-25

第8回東京女子医科大学メンタルヘルス研究会 平成24年7月18日(水)18:15~20:00 東京女子医科大学 総合外来センター5F大会議室
著者
松井 健人
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.33-41, 2017

This paper aims to offer an insight into the meaning of reading in Bildungsroman Santaro's Diary, written by Jiro Abe. Scholars have mainly studied Santaro's Diary through its reception among readers and the influence it had on students of later generations. Above all, this Bildungsroman has been considered as the principal main cause that, which brought about the boom of indiscriminate reading of western classical books in the Taisho Era. More recent studies have revealed that such a statement was based mostly on the reception of the book, rather than its content. Despite this, however, what it meant to read in Santaro's Diary remains unclear. Therefore, in this paper, I am going to show that the reading of Santaro has important function as an art of self-inquiry. Moreover, the limit of the act of reading as self-inquiry will be clarified.