著者
中谷 謙 倉澤 茂樹 森 尚彫 不破 真也 酒井 希代江 森岡 悦子 中俣 恵美 大歳 太郎
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.77-84, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
18

特別支援学校における専門職種の就業状況を把握することを目的として,全国の特別支援学校を対象に質問紙法による調査を実施し,言語聴覚士の就業状況に焦点をあてて検討した.就業状況,実働時間,学校の区分や特性等との関連性について解析した結果,言語聴覚士は,常勤数・非常勤数,実働時間数ともに少なく,就業状況は,生徒数が多い学校,聴覚障害,小学部において有意に多く,病弱,視覚障害では有意に少なかった.言語聴覚士が特定の学校や区分に集中して実働している状況が推察された.本検討の結果,連携促進のために,言語聴覚士の認知度の向上や言語聴覚療法の対象領域と専門性の理解を促す取り組みが必要と考えられた.
著者
甲斐 今日子 平松 園江 才田 眞喜代 森 まき子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.547-553, 1990-06-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
3
著者
山田 鑑照 尾崎 朋文 松岡 憲二 坂口 俊二 王 財源 森川 和宥 森 俊豪 吉田 篤 北村 清一郎 米山 栄 谷口 和久
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.27-56, 2006-02-01
参考文献数
43
被引用文献数
2

経穴研究委員会 (前経穴委員会) は福岡で開催された第54回全日本鍼灸学会学術大会ワークショップIIにおいて、経絡・経穴について3つの検討テーマを6名の委員により報告した。<BR>第1テーマ : 経絡・経穴の解剖学的検討<BR>1) 経絡と類似走行を示す解剖構造について (松岡憲二) : 遺体解剖による経絡の走行と神経・血管の走行との類似性についての研究。<BR>2) 上肢経絡・経穴の肉眼解剖学的研究 (山田鑑照) : 豊田勝良元名古屋市立大学医学部研究員の学位研究である上肢経絡・経穴の解剖学的研究紹介並びに山田の研究として皮下における皮神経・血管の走行と経穴・経絡との関係についての報告。<BR>第2テーマ : 日中における刺鍼安全深度の研究<BR>1) 中国における刺鍼安全深度の研究と進展状況 (王財源) : 中国刺鍼安全深度研究で権威のある上海中医薬大学解剖学教室厳振国教授のデータの紹介と最近の中国における刺鍼安全深度研究の進展状況報告。<BR>2) 経穴の刺鍼安全深度の研究を顧みて (尾崎朋文) : 尾崎が今まで発表してきた経穴部位の刺鍼安全深度の研究並びに厳振国教授のデータと同じ経穴との比較研究。<BR>第3テーマ : 少数経穴の臨床効果の検討<BR>1) 少数穴使用による鍼灸の臨床効果 (坂口俊二) : 1~4穴使用による鍼灸臨床効果ついての医学中央雑誌文献の検索・分析。<BR>2) 合谷-穴への各種鍼刺激が皮膚通電電流量に及ぼす影響 (森川和宥) : 合谷穴-穴への置鍼刺激、直流電気鍼刺激、鍼通電刺激が皮膚通電電流量に及ぼす影響についての研究。
著者
功刀 正行 阿部 幸子 鶴川 正寛 松村 千里 藤森 一男 中野 武
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.967-984, 2010-11-05
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

残留性有機汚染物質による地球規模の海洋汚染の時空間変動及び化学動態を把握するため,商船を篤志観測船として用い,この目的のために開発した海洋汚染観測システムを搭載し,太平洋及び南シナ海における広域観測を実施した.日本-オーストラリア間は鉱石運搬船を,南太平洋(含む南極近海)はクルーズ船を,北太平洋(東アジア-北米間)及び南シナ海はコンテナ船を,それぞれ篤志観測船として用いた.鉱石運搬船,クルーズ船には専用の海洋汚染観測システムを開発し搭載し,コンテナ船にはユニット化した小型の海洋汚染観測システムを開発して搭載し,試料採取及び観測を実施した.海水中の残留性有機汚染物質の捕集は,固相抽出法を用い,船上で100 Lの海水を濃縮捕集し,採取試料は直ちに船上で冷凍保存し,日本に持ち帰った.持ち帰った試料は冷凍庫で保存し,分析直前に前処理後HRGC/HRMS-SIM法で分析した.すべての試料から残留性有機汚染物質が検出された.低緯度海域では,HCHsの濃度は低く,かつその異性体のうちβ-HCHが最も高い,一方高緯度海域では中央から北米沿岸域ほどα-HCHが高い傾向にあるなどその濃度や異性体存在比などは極めて特徴的であり,発生源及び輸送過程を推定する上で貴重な情報を与えることが明らかとなった.
著者
川向 直樹 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2010-IFAT-100, no.6, pp.1-8, 2010-10-28

従来から日本の図書館では日本目録規則 (NCR) に従って目録が作成されてきた.NCR では,図書館資料の基本的な書誌的事項として記述総則が定められ,それを改変したものが図書や楽譜などの個々の資料種別にあわせて示されている.近年,メタデータスキーマ作成において Application Profile という枠組みが提案されている.これは既存のスキーマを再利用する事でメタデータの相互利用性の向上をはかるものである.本研究では NCR の書誌的事項に関する規定の関係を Application Profile の一種としてとらえ直した.そして,記述総則のメタデータ語彙を定義し,各資料種別ごとの Application Profile を作成した.
著者
渡部 育子 坪野谷 和樹 三森 朋恵
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.99-108, 2009-05-30

本稿は歴史における体験学習をめぐる考察と,中学校社会科の歴史分野における教材開発について述べるものである.歴史の体験では,過去の時代を体験するという,現実には不可能なことを"体験"することになる.不可能を可能にするためには,その時代に関する総合的な知識を習得していることが不可欠の要素となる.また,体験学習では,農山漁村体験や社会体験のように,場の設定が必要である.歴史における体験学習の場としては遺跡があげられる.本稿で紹介する教材では,秋田県大仙市の払田柵跡を体験学習の場に設定した.地域学習の意義と体験学習の意義を高めるために,ゲーミング・シミュレーションの手法を用いた.わが国の律令国家が成熟する9世紀初頭の時期の時代の全体像を見据えながら,秋田という日本列島を構成する一地域の人々の生活について,ゲームの世界で体験させる試みである.
著者
森島 繁生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.66, pp.107-114, 2003-07-03
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年バーチャルヒューマンのアプリケーションとして、エンタテインメントシステムやコミュニケーションシステムが注目されている。ここではいかに人物を忠実にコピーして合成するかが課題であるが、ビジョンベースのシステムは性能に限界があり、クオリティの高い合成画像を再現することは難しい。モーションキャプチャシステムは、映画やゲームの世界で一般的に利用されるが、オンラインで合成することは難しく、後処理で多くのマニュアル操作が必要とされるのが現状である。本稿では、特に顔のアクションを高い忠実度と自然なクオリティでコピーすることを目的とし、顔画像分析・合成技術を駆使して、準リアルタイムでバーチャルヒューマンを制御する手法について述べる。さらにエンタテインメントおよびコミュニケーションを目的とするアプリケーションシステムを紹介する。Copying human action accurately is main scheme in entertainment or communication application to control and generate a virtual human in a screen. Motion capture system is generally used to generate a crone human in the scene of motion picture or interactive game, however, huge manual operation at post processing is inevitable to generate high quality image. In this paper, especially copying facial action is focused on and high quality and accurate method to generate and copy natural impression of face with semi-interactive process using face image analysis and synthesis scheme. Finally, some application systems in entertainment area are introduced.
著者
森 啓
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学法学研究 (ISSN:03857255)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.479-501, 2004-12-31

1. The citizens autonomy system 2. Situation follow idea 3. Idea and axis of coordinate 4. Decision and execution of policy 5. Meaning of "cooperation of labor" 6. Autonomy system and administrative culture
著者
森 勇一 宇佐美 徹 齋藤 めぐみ
出版者
日本珪藻学会
雑誌
Diatom (ISSN:09119310)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.75-85, 2014-06-06 (Released:2014-05-10)
参考文献数
46

Diatom assemblages in the Kameyama Formation of the Mid-Pliocene Tokai Group and distributed in Tsu City, Mie Prefecture, central Japan are investigated. They consist of 109 taxa in 49 genera, and are characterized by an mixture of both freshwater and marine diatoms. Among them, freshwater planktonic species Aulacoseira praeislandica (including A. praeislandica f. curvata) is predominant, and the marine species Schuettia annulata is subordinate. The mixed flora may suggest that the Kameyama Formation was deposited in a lake-like condition, which was invaded intermittently by seawater in the Mid-Pliocene. This marine invasion may be caused by both local and global settings: this area was located at the southernmost end of the Tokai Group sedimentary basin, and the global climate at this time was warm and the sea level was high.
著者
飯野 美穂 井上 進 二上 由紀 小林 洋紀 加藤 尚美 森田 庄治 石島 あや子 柴田 洋一 溝口 秀昭 南 陸彦
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.508-514, 2010 (Released:2010-09-10)
参考文献数
18

日本血小板・顆粒球型ワークショップの参加施設の協力を得て2007年4月から2009年3月までの2年間に各依頼施設に検査依頼があり,血小板数が15×104/μl未満であった66症例を対象とし,集計調査を行った.新生児溶血性疾患と異なり,初回妊娠から発症した症例が多くみられた.母親の妊娠回数,輸血歴,既往歴における血小板抗体陽性率に有意差はみられなかった.患児の頭蓋内出血の有無別にみた在胎週数,出生時体重,患児血小板数に有意差はみられなかった.抗体特異性はHLA抗体単独例が33.3%,HPA抗体が21.2%,陰性が40.9%で,HPA抗体陽性例の血小板交差適合試験は全て陽性であった.HPA抗体の特異性はHPA-4b抗体が最も多く,次いでHPA-5b抗体が多かった.
著者
藤森 かよこ
出版者
福山市立大学都市経営学部
雑誌
都市経営 : 福山市立大学都市経営学部紀要 = Urban Management : Bulletin of the Faculty of Urban Management, Fukuyama City University (ISSN:2186862X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.35-52, 2018-02-28

アメリカの国民作家・思想家のアイン・ランド(Ayn Rand)の思想は毀誉褒貶が激しく,特にその徹底した合理主義(rationalism)は,日本人読者にとって敬遠されやすい.ところが,実は,アイン・ランドの思想の核となる彼女の資本主義観は,日本人にとって意外に理解しやすく共感を得やすい.それは,百田尚樹の『海賊とよばれた男』という経済歴史小説と,ランドの代表作の『肩をすくめるアトラス』を比較するとわかることである.これら二作品は,どちらも「資本主義の精神」を祝福し,どちらもリバータリアニズムの立場にある.マックス・ヴェーバーが論じたように,資本主義の精神を構成するのは,「労働が宗教的救済となること」と「目的合理的な経営」と「利潤の正当化」である.山本七平が発見したように,その資本主義の精神は江戸期の日本にも生まれていた.だからこその明治以降の日本の近代化が可能であった.ランドの資本主義観は,一見奇異に見えて,ヴェーバーが論じた資本主義の精神の世俗化した形である.この文脈で,ランドの説く道徳としての資本主義は,日本人にとって理解しやすいものである.ただし,ランドが「いまだ実現していない理想」として説く資本主義の精神においては,日本的資本主義に見られるように,企業という機能集団は,共同体と未分化ではない.日本人がランドの資本主義から学べることは,個人を共同体に溶解させることによって機能集団を機能不全にすることを抑止する個人主義である.個人の尊厳である.Ayn Rand's defense of capitalism has infuriated anti-capitalists, including many American intellectuals. In popular usage in the context of literary criticism, the word "capitalism"is a synonym of evil. In such an anti-capitalist American intellectual milieu, Ayn Rand dared to refuse to renounce the concept of capitalism.Ayn Rand's view of capitalism is derived from the following ideas: reality exists as an objective absolute, independent of man's feelings, wishes, hopes, or fears; reason is man's only means of perceiving reality, man's only source of knowledge, man's only guide of action, and man's means of survival; every man is an end in himself/herself, not the means to the ends of others; man must exist for his/her own sake, neither sacrificing him/her to others nor sacrificing others to him/her; the pursuit of man's own rational self-interests based on a long-term vision and the achievement of his/her own happiness are the moral purposes of his/her life; therefore, the ideal political-economic system is laissez-faire capitalism, because it is a system where men deal with one another, not as victims and executioners, nor as masters and slaves, but as traders, by free, voluntary exchange to mutual benefit; the government acts only as a protector of man's rights; for the above-mentioned reasons, of all the social systems in human history, capitalism is the only system based on morality, though a pure system of capitalism has never yet existed even in America; that is to say, capitalism is the system of the future or the unknown ideal.Thus we can safely say that Ayn Rand's view of capitalism seems to be "humanistic" rather than "capitalistic." Ayn Rand's defense of capitalism as a moral system makes readers recognize that protection of individual rights and creation of prosperity as its result depend on the spiritualization of political-economic life through the recognition and practice of morality, or on the true spirits of capitalism which was previously discussed by Max Weber.
著者
森野 佐芳梨 堀田 孝之 大橋 渉 有馬 恵 山下 守 山田 実 青山 朋樹 石原 美香 西口 周 福谷 直人 加山 博規 谷川 貴則 行武 大毅 足達 大樹 田代 雄斗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】妊娠により,女性の身体には様々な解剖学的および生理学的変化が生じ,腰痛に代表される多様な不快症状が発生する。これらの症状は医学的に母児への影響が少ないとされ,マイナートラブルと定義されている。しかし,この症状により妊婦のQOLが損なわれ,妊娠経過に悪影響を与えることから,対処を行う必要があるが,妊娠経過とマイナートラブルに関する調査は十分ではない。また妊娠前には,ホルモンバランスを整え,順調な妊娠経過を送るために,適正なbody mass index(BMI)を維持することが重要である。しかし,これは主に妊娠高血圧や妊娠糖尿病などとの関連において重要視されており,マイナートラブルとの関連についての十分な検討はなされていない。そこで本研究の目的は,妊娠中の女性に発生するマイナートラブルと妊娠前BMIとの関連を縦断的に検討することとする。【方法】対象は名古屋市内のXクリニックグループにおけるマタニティフィットネスに参加していた妊婦355名(31.1±4.1歳)とした。調査項目は2009年から実施されたメディカルチェックシート,および電子カルテから得られる身体情報(年齢,身長,妊娠前体重)である。メディカルチェックシートは,日本マタニティフィットネス協会が発案したものであり,睡眠,便秘,手指のこわばり,むくみ,足のつり,腰背痛,足のつけ根の痛み,肩こり・頭痛,肋骨下の痛み,食欲・むねやけの10項目について,妊婦が即時的に症状のある項目をチェックする自己記入式質問紙である。これをもとに,マイナートラブル有病率を算出し,記述統計的に検討を行った。また,妊娠前のBMI値からBMI低値群(BMI:18kg/m<sup>2</sup>未満),BMI標準群(BMI:18~22 kg/m<sup>2</sup>),BMI高値群(BMI:22kg/m<sup>2</sup>以上)の3群に群分けを行い,妊娠中期,妊娠後期のマイナートラブルの発症との関連を検討した。統計解析は,それぞれの時期において,従属変数を各マイナートラブルの有無,独立変数にBMI標準群をリファレンスとして低値群および高値群を投入し,年齢で調整した二項ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】当該施設の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】BMI各群の人数は低値群47名(30.4±4.2歳,BMI:17.4±0.6kg/m<sup>2</sup>),標準群236名(31.2±4.0歳,BMI:19.8±1.0 kg/m<sup>2</sup>),高値群72名(31.2±4.2歳,BMI:23.5±1.8 kg/m<sup>2</sup>)であった。対象者全体での各種マイナートラブル有病率の推移は,妊娠経過が進むにつれて大部分の項目は増加傾向を示したが,便秘,肩こり・頭痛については減少傾向を示した。回帰分析の結果,BMI高値群において妊娠中期では足のつけ根の痛みの有病率が有意に高く(OR:2.38,95%CI:0.41-3.94),妊娠後期では睡眠障害(OR:2.00,95%CI:1.08-4.82),手指のこわばり(OR:3.00,95%CI:0.51-5.09),足のつり(OR:2.29,95%CI:0.50-2.40),腰背痛(OR:2.20,95%CI:0.99-3.98),足のつけ根の痛み(OR:2.14,95%CI:0.94-4.03),肩こり・頭痛(OR:2.01,95%CI:0.69-3.86)の有病率が有意に高かった(p<0.05)。一方,BMI低値群において妊娠中期では肩こり・頭痛の有病率が有意に高く(OR:2.84,95%CI:1.35-5.96),妊娠後期では便秘の有病率が有意に高かった(OR:2.28,95%CI:1.08-4.82)(p<0.05)。【考察】本研究の結果,マイナートラブルの中には,妊娠経過とともに有病率が増加するだけでなく,減少傾向を示す項目もあることが明らかとなった。また,妊娠前BMIとマイナートラブル有病率が関連することが示された。BMI低値群においてはBMI標準群と比較して,妊娠期のホルモン変化の影響を受けるとされる便秘や頭痛などの項目に関して強い関連がみられた。一方,BMI高値群においては腰背痛や足のつりなどの筋骨格系および循環系のトラブルの項目に関して強い関連がみられた。これまで妊娠準備のために適切なBMIを保つことが重要であることは指摘されていたが,マイナートラブルの発症を防止するうえでも重要であることが示された。マイナートラブルに関しては,妊娠中という治療法が限られる状況を考えると,妊娠前からの予防が重要である。今後は,BMI以外の要因も考慮に入れ,より詳細なリスク予測の指標を作成していく必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】近年,理学療法学の分野において,ウィメンズヘルス分野への参加が重要視されている。本研究結果より,妊娠期に問題とされる各種マイナートラブルについて,それぞれの発症が母体の妊娠前のBMIと関連する結果が示されたことから,理学療法士として妊娠前の女性の体型にアプローチする事で各種トラブルに対する予防・対処の方法を提案する一助となると考える。
著者
岩尾 憲明 須波 玲 大森 真紀子 樋口 浩二 伏見 美津恵 中嶋 ゆう子 深澤 宏子 小笠原 英理子 小室 真祐子 奥田 靖彦 平田 修司 星 和彦
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.486-491, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

分娩時大量出血が生じた際に希釈性凝固障害,あるいは播種性血管内凝固症候群の併発が止血を困難にしている場合が少なくない.また,分娩時出血は外科的縫合だけでは止血できない特殊性もある.このような状況では血液凝固因子を速やかに止血可能域の濃度に上昇させて止血を図ることが最も重要である.そのためには新鮮凍結血漿だけでは不充分であり,凝固因子の濃縮製剤であるクリオプレシピテートを使用して急速に凝固因子を補充することが必要である.当院産科において分娩時に大量出血を生じた14症例(平均出血量5,005.6ml)に対してクリオプレシピテートを投与したところ,全例でフィブリノゲン値の速やかな上昇を認め,止血を得ることができた.大量出血による希釈性凝固障害で高度の低フィブリノゲン血症を生じた産科危機的出血に対してはクリオプレシピテートを併用した輸血療法が極めて有用であると考えられる.
著者
森本 千佳子 渡辺 知恵美 櫻井 浩子 木塚 あゆみ 永瀬 美穂
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.261-264, 2015

近年、企業では性別・年齢・価値観など人材の多様性を活かし、働き方を改革するダイバーシティの取り組みが進められている。女性の積極的な活用もその中の一つである。しかし、IT 業界ではこの5 年間のうち女性社員の割合はほぼ12%前後の横ばい、企業の半数以上で管理職全体における女性管理職の割合は10%以下という現状にある。このような要因として、仕事と家庭の両立が困難、「技術者」としての将来のキャリアが描けないなどが考えられる。本研究では、女性IT技術者へのインタビュー調査を通して得たキャリアパスの課題について整理し、環境に応じた臨機応変(アジャイル型)のキャリア開発について提案する。
著者
Coppola Anthony 石森 富太郎
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.4-13, 1995

米国宇宙航空産業界は、国防省(DOD)の調達へのMIL規格の適用に距離を置く旨の国防長官通達の成り行きを、引き続きかたづをのんで見守っている。他方、品質保証プログラム規格集のISO9000番台は、相対的にかつ着実に世界で通用する規格になりつつある。現在取り上げられている問題には、信頼性予測の正確さ;プラスチック累積回路への適用;信頼性向上を目的としたコンピュータ支援技術;ソフトウェアの信頼性に関するものが多い。共同研究およびネットワーク作りが増えており、信頼性に関心を持つグループの結成がインッタネットに基づいて行われる例も多い。数多くの有用なツールが多数入手できるようになったものの、依然として問題を楽に解決するための"特効薬"はない。
著者
森田 椋也 後藤 春彦 山崎 義人 野田 満
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.81, no.730, pp.2731-2740, 2016
被引用文献数
1

&nbsp;The aim of this paper is to clarify the reality of the reviving of shrine ritual in order not only to rethink ongoing projects implemented under the word &ldquo;Earthquake Disaster Reconstruction&rdquo; but to think post-earthquake rebuilding of town in future tsunami-prone areas.<br>&nbsp;The results are the following:<br>&nbsp;(1) Damage and Post-Earthquake Movement of the Shrines Hit by Tsunami:<br>&nbsp;Most of the shrines hit by tsunami have been rebuilt or rehabilitated by the time of the survey. In some cases, the shrines got support from outside.<br>&nbsp;(2) Relationship between Shrine Rituals and Folk Cultural Assets in Yamada-Town:<br>&nbsp;In Yamada-town, the shrines play an important role in sustaining the folk cultural assets.<br>&nbsp;(3) Movement of Ohsugi Shrine Annual Festival Before and After the Earthquake:<br>&nbsp;Ohsugi shrine has been rebuilt until two years after the earthquake. After further a year, the annual festival was held with the traditional content.<br>&nbsp;(4) Processes and Problems of Reviving of the Groups of Folk Performing Artists:<br>&nbsp;Most of the groups of folk performing artists participated in Yamada Festival a half year after the earthquake, and have finished getting an almost full set of equipment until four years after the earthquake, the time of the survey.<br>&nbsp;(5) Processes and Problems of Reviving of the Group of Mikoshi Bearers:<br>&nbsp;The group of mikoshi bearers was reorganized for its reviving a year and a half after the earthquake. After further two years, it participated in Yamada Festival in the traditional format once again. When the group of mikoshi bearers was reorganized, the chief priest of Ohsugi shrine became the top adviser of it. Carrying mikoshi in the annual festival is not the same as before in several points because rebuilding of dwelling environment is not going along smoothly.<br>&nbsp;(6) Relationship between the Rebuilding of Town and the Reviving of Shrine Ritual in Yamada-Town:<br>&nbsp;The rebuilding of dwelling environment and the industrial recovery reached major milestones at almost the same time as the reviving of shrine ritual. The buildings for the sake of industrial recovery have been used as bases of the group of folk performing artists and the group of mikoshi bearers.<br>&nbsp;We consider that disaster victims could feel that Reconstruction is going along if annual events were held with the traditional content without suspension. In that sense, it can be said important to hold annual festivals with the possibly same content as before the earthquake since the early stage of rebuilding of town. Although restoring and carrying Mikoshi require a high amount of funds, we infer that support for reviving should be provided as soon after earthquake as possible. Besides, we found that it is especially necessary to make a point for each group to get bases commensurate with its size in likely place.<br>&nbsp;We also argue the importance of the role played by the chief priest of shrine in rebuilding and sustaining of town to contribute to sustaining the groups of folk performing artists, the group of mikoshi bearers and therefore the community based on above-referenced groups.<br>&nbsp;Interestingly, the reviving of shrine ritual reached major milestones to coincide with the shifts of dwelling environment from shelter to temporary housing, or from temporary housing to disaster public housing.<br>&nbsp;Not only in Yamada-town but in general reconstruction, it is hoped that as well as being a memorial for victims of the disaster, shrine ritual would be revived while linking it organically to rebuilding of dwelling environment and industrial recovery to which it is indivisibly related.
著者
大森 重宜 櫻井 貴志 佐々木 達也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.289_2-289_2, 2017

<p> 「青柏祭の曳山行事(通称でか山)」は、石川県七尾市の大地主神社の例大祭「青柏祭」に奉納される山車の曳行行事で1983年(昭和58年)に国重要無形文化財に指定され、2016年ユネスコ無形遺産に登録された33の「山・鉾・屋台」の一つである。</p><p> 日本の祭りは、華やかな神輿の渡御や山車曳行などがその中心にある。本研究では日本一巨大な山車「青柏祭の曳行行事」を身体運動文化と捉え、神輿、山車などを担ぎ、舁き、曳くという遊びとしての山車曳行の身体技法と神事での祝詞などから儀式性を考察し、青柏祭曳山行事の身体性と真正性を考察する。</p>
著者
森田 一弘 涌井 伸二
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.579-584, 2017

This paper proposes an eccentricity computation algorithm using the complete elliptic integral of the second kind for a pre-aligner. A CD-SEM is an inspection tool of the semiconductor device using the electron beam. Highly precision CD-SEM is required by the high integration of the semiconductor device progressing. Also, high throughput CD-SEM is required by the increased production of semiconductor devices which are smaller and thinner, because they are required by growing of smartphones and tablet PCs. A pre-aligner which is installed to improve throughput is a part of CD-SEM. The pre-aligner computes eccentricity of a Si wafer, and transfers it to inside the CD-SEM precisely. It is a non-contact type which can prevent contamination using a line image sensor to compute eccentricity. However, it is difficult for a conventional method to be highly precise, because it depends on an approximation and an experience even though it computes eccentricity using derivative and statistics calculation. At first, this paper shows that a wave pattern of the line image sensor is proportional to the complete eccentric integral of the second kind based on geometry analysis. Then, it proposes highly precise eccentricity calculation algorithm based on an analytical result. Finally it shows high precision pre-aligner by an experimental result.