著者
根本 哲生 森山 美樹 坂田 泰子 山本 嘉子 江石 義信 菅野 純
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.343-346, 2000-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

背景:家族性大腸腺腫症 (Familial adenomatous polyposis以下FAP) はAPC遺伝子のgermlinemutaionに起因する遺伝性疾患であり, 若年女性の甲状腺に乳頭腺癌をしばしぼ合併することが知られている.近年, 甲状腺乳頭癌に細胞の節状配列や充実性増殖などの組織学的特徴を有するcribriform-morular variant (CMV) が提唱され, FAPに伴う甲状腺乳頭癌は, 多くがその範疇に入るものと考えられる.今回, われわれは家族性大腸腺腫症に合併した甲状腺癌の2例を経験し, 穿刺吸引細胞像を検討した.症例:症例はいずれも20歳女性.甲状腺腫瘤に対し穿刺吸引細胞診が行われた. 通常の乳頭癌にもみられるコロイド, 核の切れ込みなどの他に, 1) 細長い核を有する高円柱状細胞の柵状配列, 2) 多角形細胞の充実性胞巣, 3) 立方状細胞の節状配列が特徴的な細胞所見であり, 穿刺吸引細胞像からCMV甲状腺癌の推定が可能と考えられた.結論:CMVは非FAP患者では比較的まれであることから, 甲状腺穿刺吸引細胞診でこれらの特徴的な細胞像を認めた場合には, 甲状腺腫瘤が初発症状として気付かれたFAPである可能性を考慮する必要があると考えられる.
著者
森 治 佐伯 孝尚 白澤 洋次 加藤 秀樹 船瀬 龍 大野 剛 松本 純 中条 俊大 菊地 翔太 寺元 祐貴 矢野 創 中村 良介 松浦 周二 川口 淳一郎
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.117-122, 2015-04-05

ソーラー電力セイルはソーラーセイルにより燃料を節約できるだけでなく,太陽から遠く離れた場所でも,大面積の薄膜太陽電池を利用して探査機に十分な電力を確保できる.ソーラー電力セイルで得た電力を用いて,高性能なイオンエンジンを駆動すれば,ソーラーセイルと合わせたハイブリッドな推進が可能となる.JAXA ではこのコンセプトを踏まえ,ソーラー電力セイルによる外惑星領域探査計画を提案している.本計画では,日本独自の外惑星領域探査技術を確立し,日本が太陽系探査を先導すること,および,新しい科学分野であるスペース天文学等を切り拓くことを目指している.本稿では,本計画について紹介し,初期検討結果を示す.
著者
大東 宏 小野 祐幸 冨永 茂人 森永 邦久 工藤 和典
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.331-346, 1980

ウンシュウミカンの栽植様式. 樹形. 整枝並びにせん定などの樹形管理技術の合理化と品質向上対策を図るための基礎資料を得る目的で, 1977年の7月から同年12月にかけて, 開心自然形と柵仕立ての杉山系普通ウンシュウミカン成木の異なる着果部位における受光量, 気温及び果実温の日変化を調査した. 結果は以下のとおりである.<br>1. 各月の1日の総全周短波放射量は, 開心自然形樹では樹冠の南側上部において最も高く, 他の着果部位でも概して上部において南側とほぼ同じであったが, 柵仕立て樹では樹冠上部でも少なかった. この相違は, 柵仕立て樹が南北方向の生垣状樹形で, 日射程度が午前と午後とでかなり異なるためであり, 開心自然形樹では半球状樹相のため, 終日平均的に日射を受けることによるものであろう. 樹冠下部の1日全周短波放射量はかなり少なく, 特に北側下部では, 秋季には南側上部の2%程度に落ち込み, 夏季においても45%程度となった. 樹冠内部における1日の総全周短波放射量は低く, 特に柵仕立てでは南側上部の10~20%程度であった.<br>2. 開心自然形樹の着果部位ごとの気温は, 樹冠南側, 東側上, 下部, 内部では, 日の出から正午過ぎにかけて西側上, 下部, 北側上, 下部よりも早く昇温したが, その後日没まで, 西側上, 下部よりも低くなって徐々に下降した. 西側上, 下部では14時頃までは, 昇温が遅れぎみとなったが, その後16時頃までにかなり高くなり, 更に日没まで他の部位よりも高く, 特に東側上, 下部よりも明らかに高温で推移した. 北側上部では日の出から時期にもよるが16~18時頃まで昇温は遅れたが, その後日没まで東側上, 下部よりも高くなった.内側では午前中西側上, 下部, 北側上, 下部より昇温は早かったが, その後16~18時頃まではほぼ一定気温で推移し, 概して16時以降東側上, 下部よりも高かった.<br>柵仕立て樹の着果部位ごとの気温は, 午前中は樹冠の東側上, 下部の昇温が顕著であり, 西側上, 下部では東側よりも遅れて昇温した. 正午になると, 西側上, 下部において高くなり, その後日没に向って下降するものの, 他の部位よりも明らかに高く, 特に, 東側よりも西日の影響が強く現れ, 長く高温が持続するものと思われる. 樹冠内側では東西から太陽の影響を受けているため, 各部位の同時刻の気温の昇降変化のなかで常に中間的な推移を示した. ところが, 東側上, 下部では時期にもよるが14時頃から気温の低下が速くなり, 日没まで各部位中最低の気温を示した. このように, 柵仕立て樹では午前と午後とで気温分布がかなり異なっていることが明らかである. その理由として, 同樹形樹は南北方向の壁様樹相を呈し, しかも樹冠幅は狭いものの枝葉の着生密度が高いため, 大気が枝葉間を流れにくい状態となっていることから, 午前中は東側が, 午後は西側の気温が高まりやすくなると考えられた. そのため, 特に西側では西日の受熱量が貯えられやすいものと思われた.<br>3. 開心自然形樹の果実温は, 午前中, 東側上, 下部の温度上昇が早く, その後西側上, 下部が高くなった. 南側の果実温は午前中は, 東側よりも, また, 午後には西側よりもそれぞれ低くなった. 北側上部の果実温は, 午前中低かったが, 午後かなり過ぎると, 南側よりもむしろ高くなった. 北側下部では果実温の昇温は著しく遅れ, 日中は低かった. 内部でも北側下部とほぼ同様に果実温の上昇は遅れ, 午後も低くなった. 柵仕立て樹では午前中, 東側上, 下部, 西側上部の果実温は早く上昇し, 東側下部ではその後急下降したが, 正午以降再び上昇した. そして, 日没に向って下降した. 西側下部, 内部の果実温は正午過ぎまで他の部位よりも上昇は遅く,しかも最高温度も低く, 更に, 夕刻近くなると, 内部の低下は特に早かった. 西側下部では西日を受け, しかも地表面温度の影響を受けるためか, 果実温度の下降は遅れぎみとなった.
著者
森下 雄太 宮地 利明 上田 丞政 清水 満 濱口 隆史 藤原 康博 林 弘之
出版者
日本放射線技術学会 = Japanese Society of Radiological Technology
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 = RADIOLOGICAL TECHNOLOGY (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.587-590, 2008-05-20
参考文献数
13
被引用文献数
2

The purpose of our study was to assess the mechanical effect on tattoo seals and eye makeup caused by a spatial magnetic gradient in the magnetic resonance imaging (MRI) system. Seven kinds of tattoo seals and three kinds of eye makeup, i.e., mascara, eye shadow, and eyeliner were used. On a 3.0-Tesla MRI, we determined these deflection angles according to a method established by the American Society for Testing and Materials (ASTM) at the position that produced the greatest magnetically induced deflection. Eighty-five percent of the tattoo seals showed deflection angles greater than 45 degrees of the ASTM guidelines, and the mascara and eye shadow showed over 40 degrees. This was because these contained ferromagnetic pigments such as an iron oxide, but those translational forces were very small owing to slight mass. However, it is desirable that these should be removed before MRI examination to prevent secondary problems.
著者
一盛 和世 矢島 綾 森岡 翠 福田 智美 鴨川 由美子
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.337-347, 2013-12-20 (Released:2014-01-14)
参考文献数
12

世界保健機関(World Health Organization)はこれまで、顧みられない熱帯病に含まれる17の特定熱帯病について、疾患別に対策戦略を講じるべく、専門家会議を度々開催し、1948年から2012年に開催された過去の世界保健総会では、実に66ものNTD疾患に関連する決議が採択されてきた。しかし、1970年代に提唱されたプライマリヘルスケア、2015年を達成期限として発表されたミレニアム開発目標(MDGs)など、世界における国際保健動向に伴い、従来の疾患別縦割りプログラムよりも、それまで「その他の伝染病」と呼ばれていた特定熱帯病をNTDとしてまとめて制圧することにより、より効果的に貧困削減、ひいてはMDGs の達成に貢献することを目指して、2005年にはNTD対策部を発足した。その後、2007年に初のNTD対策国際パートナー会議開催、2010年に初のNTDリポート発表、2012年にNTD各疾患を制圧するための指針として「NTDの世界的影響克服の推進-実施に向けたロードマップ」を発表、同年に製薬会社13社や資金・技術援助を行う米・英政府、ビル・メリンダゲイツ財団、世界銀行を含む22の保健分野の国際組織による「NTDに関するロンドン宣言」採択、2013年にNTDレポート第2版を発行、というダイナミックな流れを受けて、ついに2013年にジュネーブで開催された第66回世界保健総会で、疾患別ではなく「顧みられない熱帯病」として初めて、その制圧・対策に向けた活動の更なる強化を要請する決議が採択された。この決議により、NTDの2020年制圧・対策目標の達成に向けて、WHOと蔓延国、そのパートナーたちの取り組みがさらに加速していくことが確信される。
著者
山口 惠三 大野 章 石井 良和 舘田 一博 岩田 守弘 神田 誠 辻尾 芳子 木元 宏弥 方山 揚誠 西村 正治 秋沢 宏次 保嶋 実 葛西 猛 木村 正彦 松田 啓子 林 右 三木 誠 中野渡 進 富永 眞琴 賀来 満夫 金光 敬二 國島 広之 中川 卓夫 櫻井 雅紀 塩谷 譲司 豊嶋 俊光 岡田 淳 杉田 暁大 伊藤 辰美 米山 彰子 諏訪部 章 山端 久美子 熊坂 一成 貝森 光大 中村 敏彦 川村 千鶴子 小池 和彦 木南 英紀 山田 俊幸 小栗 豊子 伊東 紘一 渡邊 清明 小林 芳夫 大竹 皓子 内田 幹 戸塚 恭一 村上 正巳 四方田 幸恵 高橋 綾子 岡本 英行 犬塚 和久 山崎 堅一郎 権田 秀雄 山下 峻徳 山口 育男 岡田 基 五十里 博美 黒澤 直美 藤本 佳則 石郷 潮美 浅野 裕子 森 三樹雄 叶 一乃 永野 栄子 影山 二三男 釋 悦子 菅野 治重 相原 雅典 源馬 均 上村 桂一 前崎 繁文 橋北 義一 堀井 俊伸 宮島 栄治 吉村 平 平岡 稔 住友 みどり 和田 英夫 山根 伸夫 馬場 尚志 家入 蒼生夫 一山 智 藤田 信一 岡 三喜男 二木 芳人 岡部 英俊 立脇 憲一 茂龍 邦彦 草野 展周 三原 栄一郎 能勢 資子 吉田 治義 山下 政宣 桑原 正雄 藤上 良寛 伏脇 猛司 日野田 裕治 田中 伸明 清水 章 田窪 孝行 日下部 正 岡崎 俊朗 高橋 伯夫 平城 均 益田 順一 浅井 浩次 河原 邦光 田港 朝彦 根ケ山 清 佐野 麗子 杉浦 哲朗 松尾 収二 小松 方 村瀬 光春 湯月 洋介 池田 紀男 山根 誠久 仲宗根 勇 相馬 正幸 山本 剛 相澤 久道 本田 順一 木下 承晧 河野 誠司 岡山 昭彦 影岡 武士 本郷 俊治 青木 洋介 宮之原 弘晃 濱崎 直孝 平松 和史 小野 順子 平潟 洋一 河野 茂 岡田 薫
出版者
日本抗生物質学術協議会
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.428-451, 2006-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
37
著者
小幡 史明 影治 照喜 田畑 良 長瀬 紗季 生田 奈央 森 敬子 谷 憲治 坂東 弘康
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.18-22, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
11

背景 : 発症4.5時間以内の急性期脳梗塞患者に対するrt-PA静注療法が認可され有効性が報告されているが, 医療過疎地域では専門医不足と地理的条件からその実施は困難なことが多い.目的及び方法 : 2013年2月から2014年2月までの間, 当院に救急搬送された急性期脳梗塞患者は75例あり, このうち4例 (5.3%) に遠隔画像システム (k-support) を用いて画像診断を行いrt-PA静注療法のdrip and ship法を行った. この4例をretrospectiveに再評価し, 発症後の時間経過や治療転帰などについて検討した.結果 : 4例に対してdrip and ship法を施行し, 1例において閉塞血管の再開通が得られ症状の改善が見られた.考察 : 遠隔画像システムを利用することによってrt-PA静注療法のdrip and ship法が医療過疎地域においても安全に実施できると考えられた.
著者
佐藤 友亮 新城 拓也 石川 朗宏 五島 正裕 関本 雅子 森本 有里
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.162-167, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
20
被引用文献数
1

在宅療養をしていた終末期がん患者の,食事と補完代替療法の現状調査を行った.神戸の5診療所で治療され,自宅で死亡した200名を対象に,患者遺族に質問紙を2014年2月に発送した.回収率は66%,患者の平均年齢は74歳だった.食事や食品の情報入手先を問う質問では,書籍・雑誌・新聞(48%),医療者(46%)という回答が多かった.積極的に摂取した食材は,お茶(64%),乳製品(62%),大豆食品(60%),制限した食材は,アルコール(49%),脂質(31%),塩分(31%)という回答が多かった.補完代替療法を43名(32%)の患者が取り入れており,サプリメント,ビタミン剤(28%)が多かった.がん患者は,一般的に健康に良いと考えられているものを摂取していた.終末期がん患者の食事,補完代替療法には科学的根拠が乏しいため,今後の研究が必要である.
著者
森 祐馬 榎堀 優 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.12, pp.1-6, 2013-10-29

不良姿勢での生活は,肩凝りや筋肉の痛みなどの身体的悪影響を発生させる.そこで我々は,一日を通じて負荷の無い姿勢で生活して,肩こりなどの不快な症状を感じること無く一日を終えられるようにサポートするシステムを開発している.本システムは,不良姿勢をとった時に警告を発し,悪化度合いに従って警告の強度を変化させることで,利用者がよい姿勢に近づいたことを理解し,自身で良い姿勢に修正できるようにサポートする.本稿では,姿勢評価部分について言及する.人の姿勢は頭部,背部,腰部の傾きの組み合わせで表現できると仮定し,各部の傾きの組み合わせから姿勢を点数化した.首が垂れた姿勢,前傾姿勢,反り腰の三つの不良姿勢を対象とし,良い姿勢に近づくほど評価が良くなることを確認した.Bad postures yield abnormal load for muscles, and then the load become causes of various pains, such as stiff shoulder. To prevent occurrences of such pains, we are developing a wearable system to assist people in keeping good posture. In this paper, we focus into the sensing and scoring functions of the system. Our prototype uses the head, back, and waist leans measured with three wearable accelerometers to generate posture scores. The scores showed improvements and good correlations in almost cases when subjects changed their posture from bad ones to good ones, in our evaluations.
著者
新崎 知 細谷 聡 森 俊男
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.41-49, 1994-03-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
8

The purpose of this paper was to examine correlations between efficiency of energy transfer and several indices obtained from strain gauges equipped with on a bow, and found a criterion to evaluate a shooter's technique with regard to the left hand. We analysed twisting moment and bending strain of a bow during a bow's restoration.The conclusions were as follows:1. The efficiency is significantly correlated with values of twisting moment of a bow in the latter part of the bow's restoration sequence, but not significantly correlated with values in the former part.2. The efficiency is significantly correlated with values of twisting moment integrated by time (P<.01), and with time when the maximum values of the moment is obtained (P<.05). However, it is not significantly correlated with the maximum value itself.3. Some spectrums of vibration of bending strain are negatively correlated with the efficiency, especially in the low frequency domain. The number of frequencies at which spectrums are positively correlated with the efficiency is obviously smaller than number of negative correlations. Vibration of twisting moment has little meanings in comparison with that of bending strain because of the magnitude of its energy.Some of these are widely known as an empirical law. Our conclusions are consistent with it.Consequently, the conditions of a shooter's technique to transform a bow's energy efficiently are regarded as follows:* Twisting moment integrated by time is large, and the maximum values of the moment is obtained in the latter part of the bow's restoration.* Vibration of a bow's bend in low frequency (especially, about 100Hz or 200Hz) is small.
著者
森實 彩乃
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.223-229, 2014-06-01

近年,安価な労働力として学生を雇うアルバイトとは一線を画し,学生と職員が協働して図書館を運営する学生協働という取り組みが注目され,多くの大学図書館で実施されている。筆者も大学在学中に学生協働を経験した一人だ。その時に得た経験から大学図書館員という仕事に興味を持ち,母校の大学図書館に就職して今年で3年目になる。本稿では,学生時代の実体験を振り返りながら,学生協働の意義と課題について考察するとともに,図書館員になるための最近の勉強法や,図書館員として実際に働いてみて感じたこと,図書館員の将来について思うことを述べる。
著者
歳森 敦 北原 夕里歌 植松 貞夫
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.33-45, 2000-03-30

市区立図書館中央館を対象とした標本調査により, ブックディテクションシステム(BDS)導入の動向と, 設置館・非設置館の蔵書紛失率を明らかにするとともに, それらの結果をもとにBDSの設置効果を試算した。BDSの設置状況として, 1割弱の館にBDSが設置されていること, 最近数年間の新築時BDS設置率は4割強であること, 一部のコーナーに限定する形で導入する部分設置館が2/3以上であることを明らかにした。年間蔵書紛失率の平均は1.33%となった。BDSを全館を対象に設置した場合には蔵書紛失率が有意に低く, 不正持ち出しの防止に一定の効果があると判断できる。最後に, BDSを設置した場合に必要な費用とBDSを設置しない場合に必要な費用の差としてBDSの設置効果を定義し, 一定の条件を与えて設置効果の試算をおこない, 設置効果を得られる館は一部であること, 部分設置の効果が限定的なことを示した。
著者
永田 真啓 服部 誠 花嶋 正昭 吉岡 秀 黒野 剛弘 森 真介
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.15, no.42, pp.7-14, 1991-07-18

In order to apply to the applications of an image processing, we have improved VM and VI of Smalltalk-80 on standard EWS. We developed operational evironment of positron CT(PET) system using Smalltalk-80 as an example of practical applications. These approach is only by adding new class for image processing. The limitation of Smalltalk-80 using standard EWS are made clear. Particulary, in the case of system extension, we are faced with the bottle neck of hardware potential of standard EWS and with the limit of real-time potential by UNIX. Then, we considered these limits of applications and developed new original object oritented machine, OOPS (Object Oriented Processing System), which is used Smalltalk-80 as operating system.
著者
森 章夫 小田 力 和田 義人
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 Tropical medicine (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.79-90, 1981-06-30

ヒトスジシマカの休眠卵は低温短日下で育った雌成虫によって産まれるが,卵休眠を誘起する温度,日長条件に最も感受性が高いのは蛹と成虫期であった.長崎では9月中旬から休眠卵が多くなり,10月下旬には産まれる卵がすべて休眠卵であった.休眠卵は翌年2月頃覚醒するまでは孵化することはなく,屋外では3月中旬から5月下旬にかけて孵化する.しかし,非休眠卵でもある程度の耐寒性を備えており乾燥していたりすると越冬も可能である.それゆえ休眠卵は秋に卵が孵化し冬の寒さで幼虫が死滅することを防ぐのに役立っていると考えられる.Diapausing eggs of Aedes albopictus are laid by females reared under the condition of low temperature and short photoperiod. The pupa and the adult are sensitive stages to temperature and photoperiod in the induction of egg diapause. In Nagasaki, diapausing eggs increase in mid September, and all eggs laid after October are in diapause. These diapausing eggs overwinter, and would not hatch until the diapause is broken in February of the next year. Hatching of diapausing eggs begins in mid March and continues until late May. Through some non-diapausing eggs can overwinter, it is sure that most overwintering eggs are in diapause in the field. It seems that the advantage of egg diapause is to prevent eggs from hatching before winter.