著者
石井 史 屋代 庫人 田中 美紀 杉山 茂樹 橋本 洋
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 : 日本人間ドック学会誌 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.590-594, 2004-12-20
参考文献数
9

目的:炎症性腸疾患の患者は増加してきており,特に潰瘍性大腸炎は人間ドックの便潜血反応陽性を契機に発見されることがある.方法:ドックの便潜血反応陽性で発見された潰瘍性大腸炎の例を呈示し検討した.結果:ドックの便潜血反応陽性で大腸検査をした症例201人中の2例(1%)に潰瘍性大腸炎を認めた.この2症例はともに軽症例(直腸炎型,左側大腸炎型)であり,迅速に治療を開始し,治療経過は良好であった.診断後に問診を詳細に取り直してみると,潰瘍性大腸炎によると思われる症状があっても気付いていなかったり,血便は痔からによるものと自己判断していた.結論:便潜血反応検査は大腸癌のスクリーニングが主たる目的であるが,潰瘍性大腸炎症例の増加に伴い,ドックの便潜血反応陽性を契機に診断される症例が増えると予想される.潰瘍性大腸炎を無症状あるいは軽い症状で発見できることは有意義であり,ドックで行っている便潜血反応検査もその一助を担っていると思われる.
著者
安住 誠 佐賀 祐司 橋本 博 柿崎 秀宏
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.781-784, 2006-10

著者版1994年7月〜2005年2月に3ヵ月以上の内分泌療法後に前立腺前摘除術を行い、pT0と診断された11例を対象とした。内分泌療法はLH-RHアナログ単独投与または抗アンドロゲン剤と併用投与が行われていた。病理学的に残存癌を認めない11例中9例は、サイトケラチン染色でも癌病巣は確認できなかったが、2例に残存癌が検出された(症例2と症例7)を報告した。症例2(64歳男)。1997年9月にPSA8.1ng/mlで経直腸的前立腺生検を実施し、低分化型腺癌診断のもとMAB療法を4ヵ月間実施後、翌年2月に根治的前立腺全摘除術を行った。残存癌なしで経過観察中、H-E染色で認識しにくい小腺管構造がAE1/AE3染色で多数確認された。症例7(58歳男)。2003年3月にPSA10.5ng/mlで経直腸的前立腺生検を実施し、中分化型腺癌と診断されMAB療法を5ヵ月実施した。半年後に根治的前立腺前摘除術後、残存癌なしで経過観察中、H-E染色で認識しにくい小腺管構造がAE1/AE3染色で多数確認された。
著者
李 家華 周 紅傑 清水 圭一 坂田 祐介 橋本 文雄
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.73-79, 2008-11-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1

製造発酵過程における雲南プーアル茶のポリフェノールとカフェイン含量について,発酵期間を設定するため,雲南省鎮康県,双江県および景谷県の3地域で収集した日干しした緑茶(晒青緑茶)を発酵処理開始後10日毎に茶葉サンプルを採取し,分析を行った.(-)-エピガロカテキン3-ガレート(EGCG),(-)-エピカテキン3-ガレート(ECG),テオガリン(TG),ストリクティニン(STR),1,4,6-トリ-O-ガロイル-β-D-グルコース(1,4,6-tri-O-G-β-D-G)の5種の含量は発酵に伴って有意(1%レベル)に減少したが,40日以降のそれらの含量の減少の程度は小さくなった.また,(-)-エピカテキン(EC)と(-)-エピガロカテキン(EGC)含量は発酵開始後10日目までに増加し,その後急激に減少に転じた.これに対して,没食子酸(GA)含量は発酵40日目まで有意(1%レベル)に増加し,その後有意(1%レベル)に減少した.この結果,従来から報告されている,発酵中に微生物の産生するエステラーゼによってエステル類が加水分解を受けてGAが生成することを追認し,併せて加水分解型タンニンの加水分解もGA含量の増加に関係していることを初めて明らかにした.一方,紅茶の紅色色素であるテアフラビン類は検出されなかったことから,発酵によりプーアル茶に生成している色素類は紅茶のものとは異質のものであることが明らかとなった.カフェイン含量は発酵に伴い徐々に増加し,発酵開始後60日目には最高値となった.以上の結果から,プーアル茶製造における発酵期間は40日間で十分であると結論づけられた.
著者
宇佐美 真弓 橋本 由貴 小野 桂輔 甲佐 清輝
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.73, 2005

小田急電鉄特急ロマンスカー7代目となる「VSE」は,2005年3月より新宿_-_箱根湯本間で運行を開始した.「VSE」は「Vault Super Express(ヴォールト・スーパー・エクスプレス)」の略で,「Vault(ドーム型の天井)」をイメージした天井形状を特徴とすることにより名付けられている.車体デザインを総合プロデュースした建築デザイナー岡部憲明氏(神戸芸術工科大教授)により,従来と比較し45センチ高い天井や,景観を十分に堪能できる境目のない約4メートルの連続窓,窓側に向かって5度傾けた座席,天然石やガラスクロスの内装など,随所に様々な工夫が盛り込まれ,"最高水準の居住性とホテルのロビーのような快適な空間"を創るというコンセプトに対応している.その中で "快適な空間"の共通コンセプトに合う車内照明として照明器具を納入したので報告する
著者
金 東佑 星野 敏 橋本 禅 金 斗煥
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.221-226, 2014

韓国は1990年代の後半から社会的問題として台頭した,基盤施設が伴わない無秩序的な開発行為(以下,乱開発)を改善し,計画的な土地利用・開発を誘導するため,「国土基本法」と「国土の計画および利用に関する法律」(以下,国土計画法)を2002年に制定,2003年に施行した。しかし農村地域の乱開発は深化し続けており,上記法律に基づいた国土利用管理体系による農村の計画的開発及び保全の有効性に疑問が提起されている。ソンミリヨンらは,国土計画法の施行に際して,新たに導入される制度の特徴と予想される問題点を分析した。また,ソンジュインらは,国土計画法の導入以後の小規模分散開発など農村土地利用の問題点を全国レベルの視点から全般的に分析した。本研究は国土計画法における国土利用計画及び土地利用管理体系の特徴を明らかにすると共に,特に具体的事例から,土地利用管理の根幹になる都市(郡)管理計画(以下,都市管理計画)の農村土地利用管理手段としての限界と,農地法などその他の農村地域の土地利用に関する個別法制度の問題点を明らかにすることを目的とする。
著者
三谷 奈保 諸澤 崇裕 山下 亮 喜岡 正吏 後藤 義仁 橋本 琢磨 北浦 賢次 山田 文雄 阿部 愼太郎 石川 拓哉
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-22, 2014-12-01 (Released:2017-06-16)

The density of invasive alien mongooses on Amami-oshima Island has recently been controlled to a low level by trapping. Aiming for eradication, three dogs were specially trained to detect the location of the animals to improve the efficiency of trapping. The detection efficiency of the dogs was higher than the efficiency of sensor cameras and pipe-type kill traps in each area, which had different mongoose densities. It was also significantly higher in high density areas (p<0.05) and higher than those methods plus hair traps in lower density areas. Dogs could also contribute to capture by handlers. The capture rates of the dog handlers were lower than those of the pipe traps in higher densities areas. However, a mongoose was caught by a dog handler in an area where none had been caught in the past five years. It was revealed that detection dogs are a sensitive means that have the potential for capture by the handler. While it takes a few years to train a detection dog. The area that one pair of a detection dog and a handler could scan thoroughly in a year was estimated at 16-28 km^2. The utilization of detection dogs preferentially in extremely low density areas is considered to be efficient.
著者
東出 遼介 坂井 陽一 橋本 博明
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
雑誌
生物圏科学 (ISSN:13481371)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.15-19, 2007

2006年5月、2007年4月と同6月に愛媛県今治漁業協同組合魚市場で体形が異常なテナガダコOctopus minorの雄3個体が採取された。通常雄は右第III腕のみが交接腕であるが、2006年の1個体はさらに左第III腕も交接腕になっており、奇形と思われた。また2007年の2個体は全体的に"水ぶくれ"状態であるが衰弱し、特に腕部は水のような透明な液体を内包して萎縮状態であった。これは繁殖産卵を終えた死滅前の病理的な現象ではないかと思われた。
著者
羽渕 琢哉 橋本 隆志 中野 聡 古屋 繁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

本研究は,1960年から2013年までに発売された国産乗用車(軽自動車・商用車を除く)の車体形状の変化を時系列で追うことで,変化の主要な傾向をマクロ的な視点で把握するとともに,その要因について考察した。 327台の車種(3BOXのみ)の諸元や基本寸法をもとに,それらを22の比で表したものをデータとして,主成分分析を行い,変化の主たる因子を7つ抽出した。 因子は大きく ①キャビンの大きさ、形、位置などつまり室内空間を空力などとどう折り合いをつけていくかを考えるもの ②前後のオーバーハング、つまりFFとFRという駆動方式の関係を示すもの ③空力特性の向上 の3つに分類できた。 またクラスター分析を行い得られた樹形図からは,一時は車体形状の多様化が見られたが,近年は車体形状の収束が見られる。現状の車体形状は,①大きなキャビンをもつFFのスモールカー,②中サイズのFF,③スモールキャビンのFRの大型車の大きく3つのグループがある。
著者
白田 由香利 橋本 隆子 チャクラボルティ バサビ
出版者
学習院大学経済学会
雑誌
学習院大学経済論集 (ISSN:00163953)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.31-41, 2016-07

ベイズ推論は,文書のトピック分析を始め,画像のパターン認識のほか,画像を用いた服装コーディネイト推薦,買い物履歴情報からの消費パターン分析など,広い分野で活用されている。本稿では,ベイズ推論の手法を大学ブランドイメージ分析に適用する。我々は,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)の代表的アルゴリズムであるギブズサンプラーの実装により,シンプルトピックモデルによるベイズ推論のクラスタリングの過程を可視化するツールを開発した。このツールにより,大学ブランドイメージという共通の知識を共有するデータを対象として,クラスタリングのマルコフ連鎖の変動のようすを可視化する。このような手法のポイントは,共有する知識に基づく分析事例を示し,その事例からその背景にある数学的手法を連想させ,理解させる,ことである。このMCMC における定常状態の連鎖プロセスにおいては,ある大学が2 つのクラスの間を頻繁に行き来するなどの興味深い変動が見られた。こうした可視化により,クラスタリングのツールをただ使って結果を出すだけではなく,その背景にあるギブズサンプラー,シンプルトピックモデル,などの数学プロセスを理解することが可能となる。そうした数学プロセスの理解は,的確な分析に必須であるので,こうした数学教育はベイズ推論において重要と考える。
著者
凌 薇 市川 真帆 尾方 壮行 堤 仁美 田辺 新一 堀 賢 橋本 果歩 森本 正一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.65-68, 2018 (Released:2019-10-30)

本研究の目的は、近距離における飛沫核濃度と相対湿度の関係を実験的に把握することである。実験として、模擬咳発生装置(咳マシン)により飛沫を含んだ模擬咳を発生させ、被感染者が感染者の近傍で咳に曝露された場合に吸引しうる飛沫核個数を測定した。実験結果を基に感染リスク評価を行い、近距離曝露における相対湿度、距離および遠距離曝露における換気回数が飛沫核濃度に与える影響について考察した。更に、異なる距離における飛沫核濃度を比較した。
著者
茂木 千聡 橋本 大 藤原 肇
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.87-92, 2021-01-20

はじめに 鼻出血は,耳鼻咽喉科の日常診療や救急現場でよく遭遇する一般的な疾患の1つだが,出血部位の同定が難しい場合や出血部位によっては,しばしば止血に難渋し,入院対応や止血手術が必要となる。当科では過去に,2009〜2013年の5年間の鼻出血489例の臨床的検討1)を行った。今回われわれはさらにその後2014〜2018年の5年間の鼻出血症例の臨床経過をまとめ,鼻出血のリスク因子,特に難治例(入院例・再出血例・手術例)の傾向を検討したので報告する。
著者
長山 克也 橋本 弘一 矢部 慶昭 山中 一郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.7, no.11, pp.107-108, 1988-03-31

硬質レジン前装冠の臨床応用に際し, リテンションビーズなどの機械的維持装置を付与しないで金属とレジンを接着させることにより, 歯質削除量の減少, 辺縁部の良好な封鎖性, 色調表現の容易さなどを得ることを目的として種々の金属表面処理を行い検討を加えた結果についてはすでに第5, 6回の本学会で報告した^<1, 2)>。今回は新しいレジン前装システムによる金属とレジンとの接着強度について, 種々の試験法を用いてその接着強度を測定し, またサーマルサイクル試験による接着強度の減少傾向について実験を行い, 接着界面の観察を行った結果, 従来の接着システムより良好な結果が得られ, 剪断試験によるNi-Cr合金とセボンドMKVの接着強度は16.4Mpa, Ag-Pd合金とは13.2Mpaの接着強度が得られた。
著者
酒井 真次 長沢 次男 橋本 綱二
出版者
[農林省東北農業試験場]
雑誌
東北農業試験場研究報告 (ISSN:04957318)
巻号頁・発行日
no.81, pp.p41-49, 1990-03

ダイズシストセンチュウに対する高度抵抗性品種の早期作出を目標として,寒冷地の大豆育種ではこれまでほとんど試みられなかった年3回の世代促進育種方法を開発するとともに,世代促進中における抵抗性検定の実施,実用品種の戻し交配等を組合せることによって抵抗性育種の効率化を図った。1)世代促進育種試験に利用した温室は自動短日処理装置とオイルヒーターを備えただけの簡易な施設である。2)世代促進育種法は面積が限られた施設内で多数個体を供試して実施するために,密植条件(1m2当り417個体)で行った。3)1年を第1期(2月~5月),第2期(6~9月),第3期(9~12月)の3生育期間に区分し,1世代の生育日数を90日に制御することによって,1年に3世代を生育させることを試みた。4)成熟期群が極早~極晩の7品種を供試して生育初期に短日処理した場合の生育日数に及ぼす影響を調査した。この結果,生育日数を目標の90日以内にとどめるためには,日長が最大となる第2期の短日処理が重要であること,中生~中生の晩の育成材料では2週間以上,晩生の育成材料では4週間以上の短日処理が必要であることが明らかになった。5)短日処理区における供試品種平均の個体当り採種粒数は,第2期で4.6粒,第3期でも3.1粒であり,無処理区との間に差異が認められなかったことから,等量採種法を採用することによって育種材料の偏りを避けて育種を行うことが可能であることを実証した。6)ダイズシストセンチュウに対する抵抗性検定は,従来夏季に行っていたが,冬季にも世代促進を行いつつ検定できることが実証できた。また,抵抗性検定は密植栽培でも可能なことから,ペーパーポットに栽植したF2又はF3の集団にも適用でき,抵抗性個体の早期選抜が可能となった。7)確立した世代促進法を用いて選抜した高度抵抗性系統に実用品種を戻し交配し,更に世代促進法を繰り返して,成熟期,主茎長及び収量性等の実用形質が東北地方の基幹品種並みの系統を,短期間に育成することができた。