著者
渡邊 慎一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.231, 2009

<B>目的</B> 本研究は、アンケート調査に基づいて炬燵の使用実態を把握すると共に炬燵の使用終了日を特定することを目的とする。<BR><B>方法</B> アンケート調査は2008年4月下旬から7月に、愛知県を中心に実施した。回収したアンケート総数は1488件である。アンケートは以下の8項目から構成した。1.今年、炬燵を使用したか 2.いつ炬燵の使用を止めたか 3.性別 4.年齢 5.居住地の郵便番号 6.居住形式 7.築年数 8.自由記述。<BR><B>結果</B>(1)炬燵の所有率は全体の70%であった。住居形式別にみると、戸建住宅が77%、集合住宅が61%であった。また、炬燵の使用率は全体の53%であった。<BR>(2)地域によって炬燵使用を終了する時期に差があることが示された。20%の人が炬燵使用を終了する日は愛知県が3月20日、島根県が3月27日、長野県が4月1日であった。また、80%の人が炬燵使用を終了する日は愛知県が5月10日、島根県が5月11日、長野県が6月19日であった。寒冷な地域において炬燵使用を終了する時期は、温暖な地域よりも遅いことが示された。<BR>(3)20%の人が炬燵使用を終了した日の最低気温は、愛知県が7.8℃、島根県が5.6℃、長野県が0.7℃であった。また、80%の人が炬燵使用を終了した日の最低気温は、愛知県が14.6℃、島根県が11.2℃、長野県が12.6℃であった。<BR>(4)男性の方が女性より早く炬燵使用を終了する傾向がある。<BR>(5)30歳までは炬燵使用を終了する時期に差がみられないが、31歳以上になると徐々に炬燵使用を終了する時期が遅くなる傾向がある。<BR>(6)集合住宅の方が戸建住宅より早く炬燵使用を終了する傾向がある。
著者
合場 千佳子 中垣 晴男 森田 一三 大澤 功 渡邊 貢次
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-29, 2011
参考文献数
21

成人期の初めとしての大学生を対象に,Sense of Coherence(前向き姿勢:SOC)の強さと歯科衛生士の業務の認知度との関係を明らかにするために本研究を行った.対象は,名古屋市郊外にあるA私立大学の学部生全2年生中,質問調査票に回答した男女合計1,772名(有効回答率は90.7%)の学生である.歯科衛生士の業務の認知度は松田が用いた方法を,また,SOCスケールは,日本語版29項目スケールを用いた.その結果,歯科衛生士業務の認知度得点(平均値±SD)は,男子5.0±2.6,女子5.8±2.3で,SOC得点の平均値は,男子116.8±17.7,女子117.1±16.3であった.歯科衛生士業務の認知度は,女子のほうが高かった.また,70%以上が「ブラッシング指導」を歯科衛生士業務であるとしていた.さらに「リスク検査」を業務としている男子のSOC得点は,誤答の男子より有意に高かった.女子では,歯科衛生士業務10項目の正解者と誤答者の間には,SOC得点に有意な差はみられなかった.男女とも歯科衛生士業務を認知している学生は,その業務を認知していない学生より,SOC得点は高い傾向にあった.大学生のSOC得点の高い学生は,歯科衛生士業務の認知度得点も高くそれぞれが関連していること,また大学生の歯や口腔に対する保健行動や歯科衛生士業務の認知には,SOCの強さが関係すると考察された.以上から,歯科衛生士の業務を認知している学生は,認知していない学生より,SOC得点は高い傾向にあると結論できる.
著者
高橋 史昭 一條 俊浩 高橋 千賀子 渡邊 昭夫 沼津 敬治 中村 行雄 上田 一之 足立 吉數
出版者
日本家畜衛生学会
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.157-163, 2009 (Released:2011-03-05)

黒毛和種牛繁殖農家2戸において、イベルメクチン製剤(アイボメックトピカル(R);IVMT)を用いた駆虫プログラムを実施した。駆虫プログラムは、(1)先ず、牛群全頭にIVMTの推奨量を一斉投与してから一定期間経過後、(2)母牛には分娩1ヵ月前に1回、(3)育成子牛には生後1ヵ月齢と6ヵ月齢の2回投与とした。駆虫プログラム実施後は、1)2戸の農家ともに、乳頭糞線虫の汚染が大幅に改善し、他の蠕虫卵も糞便検査で検出されず、コクシジウムの汚染のみが観察された。2)また、駆虫プログラム実施後、子牛の消化器疾患の罹患数および平均診療回数の減少が確認された。3)生産性については、母牛では空胎日数の短縮および2産目までの人工授精回数の減少傾向が観察された。また、子牛では3ヵ月齢の子牛の体高が標準値を上回り、素牛出荷時における体重の増加傾向が観察された。4)子牛の血清アルブミン値は150-249日齢において対照群より有意に高値を示した(P<0.05)。これらの結果から本駆虫プログラムの実施により消化管内線虫がコントロールされ母牛および子牛の生産性が向上することが示唆された。
著者
今野 佳絵 茆原 弘光 松本 桃代 小笠原 加代子 永井 泰 福岡 秀興 渡邊 浩子 吉池 信男
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.286-293, 2011-07-01
参考文献数
12

【目的】非妊娠時BMI別の推奨体重増加量と新生児の体格との関連,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた栄養素等摂取状況との関連について,妊娠各期を経時的に検討した。【研究方法】対象は基礎疾患のない197名の妊婦。妊娠12,20,32週にBDHQを実施,妊婦健診時に体重測定,分娩後に出生時体重,胎盤重量を測定した。対象者は非妊娠時BMI別にやせ,普通,肥満群の3群に分けた。さらに各群は妊娠推奨体重増加量別に過少,適切,過多群のサブグループに分け,サブグループ間での評価項目の差異を比較検討した。【結果】やせ群において,体重増加量が過少な群は適切または過多に増加した群と比較して,新生児の身長,胎盤重量が小さく,妊娠12週においては栄養素摂取量のn-3系脂肪酸,ナトリウム,亜鉛が少なかった(P<0.05)。【考察】非妊娠時にやせの妊婦が体重増加不良であると,新生児体格が小さくなること,有意に摂取量の少ない栄養素があることが明らかになった。今後は非妊娠時「やせ」の母体や体重増加量不良の妊婦も含めて管理していく必要性が示唆された。
著者
野坂 千秋 星川 恵里 久保田 浩二 小川 宣子 渡邊 乾二
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.2-9, 2001-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
被引用文献数
2

The texture and taste of Vichyssoise soup cooked by a professional chef (VP) and that produced by a food manufacturer (VM) were compared by examming their physical properties in order to investigate the optimum cooking conditions for making desirable Vichyssoise soup.In comparison with VM, VP was lower in apparent viscosity, larger in potato-cell size, and higher in the ratio of particle volume. Micro-structural observations showed that the starch particles in VP were retained in the potato cells, whereas those in VM had leaked from the cells due to severe cell damage.It was found that soup like the VP sample could be obtained by a straining the potatoes at 90°C through a sieve of 250μmin mesh size-which minimized damage to the potato cells by and made a product lower in viscosity and higher in particle volume than the VM sample.A sensory test was carried out on two products made by different processing techniques. The mixing method was found to damage the cells more and spoil the texture of the potatoes. The straining method with a sieve, however, gave favorable results, producing a soup that was less viscous, and that retained the potato particles, while still being smooth in the mouth.
著者
須賀 利雄 齊藤 寛子 遠山 勝也 渡邊 朝生
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.103-118, 2013 (Released:2020-02-12)
参考文献数
32

亜熱帯循環の通気密度躍層下部(σθ=26.3~26.6kg m-3)の等密度面が冬季にアウトクロップする亜寒帯前線帯では,主に移行領域モード水(TRMW ; S<34.0)が形成されることをArgo データの解析から示した.さらに,密度変化を補償し合う水温・塩分前線を横切る鉛直シアー流がソルトフィンガー型二重拡散対流を引き起こし,TRMW は形成後速やかに高温・高塩分化して,その一部が重い中央モード水(D-CMW ; S>34.0)に変質し得ることを示した.また,シノプティックなXCTD 断面の解析から,亜寒帯前線帯から沈み込んだTRMW やD-CMW などの低渦位水の一部は,中規模渦によって平均流を横切って南に運ばれた後に,亜熱帯循環の通気密度躍層内に広がっていることが示唆された.この輸送過程は,亜寒帯前線帯の深い冬季混合層と亜熱帯循環内に広がる等密度面上の低渦位舌が気候値の流線で直接結ばれていない理由を説明し,TRMW の変質過程とともに,亜寒帯前線帯起源の水塊が亜熱帯密度躍層の維持に寄与するメカニズムを担っている可能性がある.
著者
近藤 久益子 佐藤 桃子 広瀬 侑 渡邊 麻衣 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.295-301, 2009-03-31

フィコビリソームはシアノバクテリア,灰色藻,紅藻に広く存在するフィコビリタンパク質の集光超分子複合体で,光エネルギーの捕集と光環境への順化,分配や貯蔵タンパク質として重要な役割を果たしているが,まだ不明な点が多い.
著者
瀧本 真也 羽生 道弥 新井 善雄 長澤 淳 御厨 彰義 中根 武一郎 寺西 宏王 渡邊 隼 辻 崇
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.466-470, 2013-11-15 (Released:2013-12-04)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

症例は58歳,男性.大動脈弁閉鎖不全症に対し手術適応と判断されたが,既往のなかで歯科治療のさいの補綴物が原因の金属アレルギーの既往が判明した.当時の記録では金,鉄,白金,コバルト,クロム,銅,亜鉛に対しパッチテストで陽性を示していた.胸骨正中切開で行う開心術において通常使用される金属製の手術材料のうち,長期間体内に留置される可能性のある,胸骨サージカルワイヤーや一時的ペーシングワイヤー,血管結紮クリップと金属一般においてパッチテストを施行した.胸骨ワイヤーとペーシングワイヤーにアレルギー反応を認めた.他金属ではアルミニウム,錫,パラジウム,インジウム,イリジウムに陽性反応が出た.機械弁含有金属データより,CarboMedics社製機械弁とOn-X機械弁は使用可能と判断した.手術は本人希望にて胸骨正中切開アプローチとし,上行大動脈送血・右房脱血にて体外循環を確立後,CarboMedics社製機械弁(27 mm)で大動脈弁置換術を施行した.一時的ペーシングワイヤーは離脱のさいに必要であったため留置としたが術翌日に抜去した.胸骨は5号Ethibond糸を用いて閉鎖した.術後急性期および術後1年経過時点でアレルギー反応なく,経過良好である.
著者
渡邊 孝一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.21, pp.31-32, 2003-03-18

ドイツの有名な城「ノイシュヴァンシュタイン城」を汎用ソフトウェアである「Shade6spirit」を用いて3次元コンピュータグラフィックスという形で再現しました。
著者
安井 健 松本 万里 渡邊 智子 安井 明美
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.171-180, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
7

日本食品標準成分表2020年版 (八訂) (以下, 2020年版) では, 日本食品標準成分表2015年版 (七訂) (以下, 2015年版) で利用していたエネルギーの計算方法を変更している。本講座では, 2020年版のエネルギー計算方法, 特に, 2020年版で利用している収載値の不確かさの程度によって, 利用可能炭水化物 (単糖当量) あるいは差引き法による利用可能炭水化物のいずれかを用いるかを決定する方法について解説する。次いで, 2020年版に収載している食品のエネルギー値について, 2015年版のエネルギー換算係数とエネルギー計算方法によるエネルギー値とを比較し, 食品群別, 2015年版でエネルギー計算に利用したエネルギー換算係数の由来別および2020年版でエネルギー計算に利用した主なエネルギー産生成分の成分項目の組み合わせ別のエネルギー値の違いを説明する。さらに国民健康・栄養調査の基礎データを用いて, 摂取エネルギーへのエネルギー値の変更の影響を見る。
著者
豊田 輝 田中 和哉 平賀 篤 佐野 徳雄 菅沼 一男 西條 富美代 安齋 久美子 渡辺 長 相原 正博 渡邊 修司 青栁 達也 新永 拓也 中山 彰博
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.657-664, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックへの対応経験を理学療法士(PT)養成課程における一つのモデルとし,今後の備えとなる事業継続マネジメント(BCM)の在り方を検討した.具体的には,BCMプロセスに沿って本学科のパンデミック発生後からの対応を振り返り検討した.結果,BCMプロセスごとに8つの問題点が抽出され,その対応策としてパンデミックに対応する業務継続計画を策定した.今回,BCMプロセスに沿った検討により,本学科における全業務の洗い出しと業務優先度の選定,それに必要な組織体制の見直しが可能となり,さらには今後の課題も明確となった.今後も,社会の要請に応えるべく,パンデミック発生時においても質の高いPTの養成が継続できる組織であるため再考を続けたい.
著者
門脇 佳代子 渡邊 泰伸
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.93-107, 2016

船形山神社は宮城県北部南端の大和町に位置する。この地域は,古代において色麻柵を中心とした色麻郡の領域に含まれる。船形山神社に御神体として伝わる金銅仏「菩薩立像」は,久野健氏,松山鉄夫氏の紹介によって韓半島由来のものであることが指摘され,多くの識者の検討により百済仏とされてきた。本稿では従来までの美術史的な見方に,考古学的な知見を加味して,本像をこの地にもたらした人々の存在に迫った。古墳の変遷,官衙の成立,生産遺跡の操業などを視座にみると,渡来系の移民の姿が垣間見られる。中でも色麻古墳群より出土する須恵器は湖西窯跡品と考えられ,多数の移民の存在を推定できる。また色麻町土器坂瓦窯跡から出土した雷文縁4葉複弁蓮華文軒瓦によって7世紀末~8世紀初頭に紀寺系の軒瓦を使用した官衙と寺院が成立したことがわかる。古代色麻郡は多賀城以前の7世紀後半代には北進・西進の拠点となり,活発な動きのあった地域でもある。よって,従来まで8世紀~9世紀と考えれていた「菩薩立像」の当地への伝来の時期を見直し,渡来系移民による7世紀後半に位置付けたい。