著者
江原暉将 沢村 英治 福島 孝博 丸山 一郎 和田 裕二 門馬 隆雄 白井 克彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.69, pp.121-126, 2001-07-16
被引用文献数
2

通信・放送機構で平成8年度から12年度まで実施した「視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発プロジェクト」の研究成果と残された課題について報告する。本プロジェクトの目的は、聴覚障害者のための字幕付きテレビ放送番組を効率的に制作するための技術基盤を確立することである。具体的な研究項目として、自動要約、自動同期、統合化システム技術がある。自動要約については、ニュース記事を対象に文字数にして70%にすることを目標にして研究を進め、「重要文抽出法」と「形態素単位文字数圧縮法」を併用して目標を達成した。自動同期については、ニュースおよびナレーション主体のドキュメンタリー番組を対象に研究し、ナレーションと背景音の比が20dB 以上の番組に対しては自動同期が可能であることを示した。統合化システム技術では、適切な点で字幕の改行・改ページを加える自動字幕画面制作技術を研究し、自動要約、自動同期とあわせて自動字幕制作システム実証モデルを構築した。本実証モデルを用いて評価実験を行い、性能評価を行うと共に実用化のための課題を明らかにした。Telecommunication Advancement Organization of Japan proceeds "Research Project for TV Production for the Seeing and Hearing Impaired" from 1995 to 2001. The purpose of the project is to establish the technologies of producing closed captions for hearing impaired people on TV programs efficiently. We have three research issues in the project: automatic text summarization, automatic synchronization with speech and captions and system engineering. Automatic text summarization summarizes Japanese news text to 70% volume. Important sentence extraction, morphem-based text shortening and bunsetsu-based text shortening are used. Automatic synchronization uses HMM-based word spotter and DP-based synchronizing point search. The method can be applicable to news and narration programs in which signal strength ratio between speech and background sound is more than 20dB. System engineering research results automatic changing method of new page and new line at a point easy to read. We integrate these elementary technologies to the automatic captioning system and evaluate it by caption creators and end users. From this evaluation experiments, we can know the system performance and future research issues.
著者
白井 美穂 黒沢 香
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.114-127, 2009-10

本研究では裁判員制度の枠組みから「専門家でない人々による量刑判断の要因」について、前科情報による効果を中心に、しかし今後の研究の土台として他要因についても多角的な検討を試みた。大学生及び社会人を対象とした2つの質問紙実験の結果から、量刑判断の主な要因としては被告人の再犯可能性や事件の悪質性の推測が挙げられ、また厳罰傾向と呼べる個人変数も重要な要因であることが示された。本研究でみられた主な前科情報の効果は、被告人に前科がある場合はより再犯可能性が高く推測され量刑も重くなったこと、また呈示事件が前科から長期間経過しておりかつそれらの事件内容が類似している場合に、事件の種類に関わらず量刑が最も重くなったことが挙げられるが、量刑判断と前科情報の関連は被告人についての情報呈示のあり方によって顕著となる可能性が示された。また本研究では性犯罪である強姦致傷も含め量刑判断において性差は一貫してみられなかったが、参加者の性別とJW得点の交互作用が厳罰傾向を媒介して量刑判断に関連したことを示し、間接的に量刑へ影響を及ぼし得ることを示した。
著者
平野 敏行 章 超樺 森下 昭寿 鈴木 健 白井 隆明
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.547-557, 1992
被引用文献数
6 35

The volatile compounds collected on a porous polymer Tenax TA from wild and cultured ayu fish were evaluated by GC-sniffing and identified by GC-MS. GC-pattern and odor quality of wild ayu were similar to that of cultured ayu. The main compounds responsible for a cucumber-like and/or watermelon-like aroma were identified as (E, Z)-2, 6-nonadienal, (E)-2-nonenal, and 3, 6-nonadien-1-ol; (E, Z)-2, 6-nonadienal play a significant role in the characteristic aroma of ayu. However, by the same analytical experiment, it was shown that carbon-9 carbonyls and alcohol were not detectable in river algae eaten by wild ayu and in artificial diets for ayu culture.
著者
白井 智美 影山 洋平 佐藤 拓也 柳楽 大気 相澤 有美 志賀 孝宏 田所 忠弘 鈴木 司 小林 謙一 山本 祐司
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.49-56, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
27

Numerous epidemiological surveys have shown that consuming coffee can prevent cancer development. Caffeine and chlorogenic acid are the most well known constituents which are included in coffee and prove to have an positive effect to prevent cancer. Although these constituents are known to directly act on anti cancer machineries, such as anti-oxidant effect. There are also studies showing that benefit of functional food is exhibited by metabolic changes. Therefore, we may anticipate that changing metabolic pathways may occur during coffee intake and further expect lowering the cancer risk. Thus, in this study, we analyzed the effect of administration of coffee to Eker rat which are a renal cancer and a metabolic syndrome model rat. By giving 1% coffee for 100 days, we found that renal cancer development was suppressed. We further analyzed the metabolic change by metabolomic analysis in liver and observed that the abnormal carbohydrate and ketone body production in Eker rats were restored by coffee consumption. We also confirmed that these effects were not due to the recovery of tumor suppression gene TSC2 expression. Thus, coffee may have a anti-cancer effect by changing the metabolic pathway and lower the risk factors which may lead to cancer development.
著者
水嶋 英治 吉田 右子 宇陀 則彦 白井 哲哉 逸村 裕 大庭 一郎 阪口 哲男 原 淳之 平久江 祐司 松村 敦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究はアーカイブ技術を導入し「21世紀図書館情報専門職養成研究基盤アーカイブ」を構築するとともに日本の図書館専門職養成史を再検討することを目的とする。筑波大学図書館情報メディア系の前身組織関係資料の解明に向け、図書館情報専門職教育関係史料に関して包括的研究を実施した。本研究で遂行した研究課題は(1)文献資料・実物資料の精査と電子化のための選別・整理および文献資料補足のための聞き取り調査(2)現物資料の整理・展示および組織化、文献資料の部分的電子化、多言語インタフェース設計(3)図書館職養成史に関わる現物資料群の同定とアーカイブ活用可能性の検討(4)図書館情報学教育史の批判的再検討である。
著者
白井 正明 渡辺 万葉 宇津川 喬子 林崎 涼 高橋 尚志 小尾 亮 加藤 裕真
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

静岡平野から駿河湾に注ぐ安倍川の源流域には,大規模崩壊地である大谷崩れが存在する.大谷崩れ周辺は過去幾度も大規模な崩壊を繰り返し,18世紀初頭の宝永東海地震の際の大崩壊では,崩壊土砂が土石流となって大谷川と安倍川上流の谷を埋めたとされる(例えば,土屋,2000).町田(1959)は,大谷崩れ起源の崩壊堆積物量の見積もり値を1.2×108 m3 と推定すると共に,崩壊堆積物に関連する地形を河成段丘発達史の視点から解釈している.安倍川本流において大きな落差をもつ赤水の滝については,安倍川が土石流堆積物を下刻しつつ形成した,崩壊による土砂で谷が埋まり尾根筋からの越流により滝が形成された,などの記述が見られるが,いずれも十分な根拠を示しているとは言い難い.赤水の滝周辺の「土石流」堆積物と基盤の古第三系頁岩の分布を調査すると,赤水の滝は実際には土石流堆積物上を流れ下っておらず,基盤岩上を流れ下っていること,土石流堆積物の分布は赤水の滝のすぐ上流から東側を通り,滝のすぐ下流で再び現在の安倍川に合流することは容易に見てとれる.さらに赤水の滝周辺の土石流堆積物露頭において,土石流堆積物の礫の配列から堆積物形成時の古流向を推定した.赤水の滝の下流側(南側)では,土石流堆積物は安倍川左岸の赤水の滝展望台周辺に比較的良く露出する.礫のインブリケーションから古流向は概ね西への流れであったと解釈される.また長軸は古流向にほぼ平行であり,転動とは別のプロセスにより礫が運搬されていたことを示す.岩相としては礫支持であり,一般的な土石流堆積物(基質支持)と比べて礫の濃度が高いが,基質には泥分も多く含まれており,土石流の一種として差し支えないと思われる.一方赤水の滝上流側では植生が繁茂し,巨礫の直下にかろうじて露出している中礫のインブリケーションから推定される古流向は概ね東への流れを示した.以上より,赤水の滝は大谷崩れの崩壊に端を発した土石流堆積物によって安倍川の谷が埋められた際に,水流が元々の尾根を越流し,蛇行した谷をショートカットして流れ落ちることにより形成され,現在も基盤の頁岩を下刻しつつある,と考えるのが妥当であると結論づけられる.
著者
鈴木 慎太郎 田中 明彦 岸野(大木) 康成 村田 泰規 楠本 壮二郎 石田 博雄 安藤 浩一 白井 崇生 大西 司 相良 博典 瀧本 雅文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.118-124, 2016

背景.数多くの健康食品が販売されており,医薬品と併用している場合も少なくない.なかでも滋養強壮を謳った「にんにく卵黄」は盛んに広告されており,愛飲者も相当数が見込まれる健康食品である.症例.69歳男性.4年前から「にんにく卵黄」を服用し続けていた.数週間前から労作時の呼吸困難と乾性咳嗽を自覚し,近医で肺炎の診断にて抗菌薬と副腎皮質ステロイドを投与されるも改善せず,当科を紹介受診した.胸部X線およびCT上,両側中下肺野,末梢側優位のすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加を認め,気管支肺生検ではリンパ球主体の炎症と軽症の器質化肺炎様の所見を認めた.「にんにく卵黄」の服用中止により速やかに改善し,リンパ球刺激試験でも同商品で陽性反応を示したため,同食品による肺障害を強く疑った.結論.健康食品やサプリメントの摂取歴についても,問診で詳細に聴取することが大変重要である.
著者
灘村 妙子 白井 沙緒里 村木 敏明 相原 育依 池田 恭敏 黒澤 也生子
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学付属病院職員研究発表報告集 : ひろき (ISSN:13448218)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.39-47, 2008
被引用文献数
1

回復期リハ病棟では25〜40%の患者が抑うつ状態にあるとの報告がある。抑うつ状態の予防・改善については、個別での身体機能への介入やADL介入のみにとどまるのではなく、早期から患者同士のコミュニケーションの場を設け、援助することの重要性が指摘されている。そこで、当院OT科では通常の個別介入に加え、他職種へのOT,自分の健康意識向上の啓発を含めて病棟デイルームにて小集団OTを実施している。研究1では、回復期リハ病棟における小集団OT介入による入院中の脳血管疾患患者の心理社会機能の検討を目的とし、連続8回以上参加した18名に対して集団活動評価、うつ・情動障害スケールにて効果を検討した。その結果、いずれの項目においても有意な向上、改善が認められ、小集団OTが入院生活、退院後の生活の閉じこもり傾向を予防しうる可能性が示唆された。研究2では2事例を通して小集団OT参加による病棟内での生活状況と個別介入の変化を検討した。その結果、集団の特性を生かした個別介入により、成功体験による、自己有能感の向上や主体的なリハビリを促すことが可能であることが示唆された。
著者
森昭太 松尾直志 白井良明 島田伸敬
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.20, pp.1-6, 2013-03-07

画像から手話を認識するためには,顔・手領域を抽出する必要があり,特に手形状の抽出は非常に重要である.しかし手話によっては手同士,顔と手で隠蔽がおこる場合がある.その場合,肌色やエッジ検出のみでは顔と手を分離することが困難であった.そこで深度センサ(Kinect for Xbox360)を用いることが考えられる.しかし手話によっては顔と手が密着する場合には,顔・手を分離することが困難である.本手法では,1フレーム前の手領域を現在フレームの手領域があると推測される領域に対して顔の3次元テンプレートマッチングを行うことによって,手領域候補を抽出する.その領域に手以外の領域が含まれていないか距離のヒストグラムから判別分析法により自動で判断し手領域を求める.手同士の隠蔽時も同様の処理を行う.その結果,隠蔽が起こる手話に対して隠蔽中の顔・手領域を正確に分離し,手話認識に用いる領域特徴を抽出する.以上をの手法の有効性を実験によって確かめた.
著者
白井 匡人 三浦 孝夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.4, pp.392-402, 2016-04-01

本研究では文書ストリームを対象としたマルチラベル分類手法を提案する.特徴の変化が起こる文書ストリームでは新たな文書が逐次発生し文書集合が動的に変化することから,あらかじめ決まった定常な確率分布によって分類を行うことは困難である.このため,ラベルに対応する文書集合の特徴を動的に学習して分類を行う必要があり,マルチラベルでの特徴の変化も考慮することが求められる.提案手法では,ラベルの定常的な特徴とストリーム中に発生する局所的な変動を考慮したトピックモデルを用いる.各文書集合の特徴を学習し,ラベル間の共起関係をラベリングに利用することで文書ストリームのマルチラベル分類を行う.
著者
白井駿著
出版者
白順社
巻号頁・発行日
1995
著者
松本 嘉夫 白井 道子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.608-611, 1963-07-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
1
被引用文献数
3 1

ロ紙上でCr3+のスポットにフェロシアン化カリウム溶液(たとえば5%水溶液)を噴霧すると,噴霧直後は少しも呈色しないが約3時間後には顕著な黄色を呈し,それが数日間安定であり,また水溶液中においてもCr3+にフェロシアン化カリウムを加えると溶液の色調が徐々に変化し,3時間後には液は橙黄色を呈することがわかったので,ペーパークロマトグラフィーを用いてCr3+の定性分析を行なう方法を研究した.展開剤は田村らの研究による溶媒系を用い,呈色試薬として前記のフェロシアン化カリウムを用いてごく普通の陽イオンおよびCrO42-からCr3+を区別する実験を行なった結果,クロマトグラムの位置および呈色の相違を利用してCr3+を区別確認することができた.本方法によるCr3+の確認限界量は約5μgであり,クロム酸に変化させてジフェニルカルバジドで呈色させる従来の方法に比して感度においてやや劣るが操作は簡単,呈色は安定で信頼性がある.
著者
北村 匡彦 白井 大介 藤井 竜也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.279, pp.31-36, 2008-10-30

本稿は,LDPC符号の一種であるLDGM符号の復号並列化を検討する.LDGM符号は,符号長および符号化率を自由に設定でき,符号・復号がシンプルに構成可能なブロック符号である.特にマルチキャストをはじめとするUDP/IPを想定した場合には,下層の機能により誤り検出が完了しているため,LDGM符号では誤り訂正のみを行えばよい.このため,高速かつ効率的にFEC処理が可能である.LDGMの復号処理は超多元1次の検査方程式を解く過程に相当し,その解く順序を決定することが求めれる.本稿では,まずはじめに処理コストの軽い検査方程式順序の走査を行い,その後で処理コストの重い誤り訂正処理を実行する2パス処理手法を提案する.これにより,受信ホストでは単位ブロックのパケットを受信した瞬時に,つまり,誤り訂正処理を行う前に,消失したパケットの回復の可/不可を判別することができる.また,同時に,検査方程式の集合全体の依存関係を知ることができるため,並列処理が可能になる.
著者
大伴 潔 宮田 Susanne 白井 恭弘
出版者
日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.197-209, 2015

日本語を母語とする子どもにおいて動詞の多様な形が生産的に使われるようになる過程や順序性の有無については,ほとんど明らかになっていない。本研究は,子どもの発話を縦断的に分析することにより,動詞語尾レパートリーの獲得の順序性の有無を明らかにするとともに,母親が使用する動詞の表現形との関連性について検討することを目的とした。研究1では,4名の男児の自発話の縦断的データに基づき,1歳から3歳までの期間の動詞語尾レパートリーを分析したところ,動詞語尾形態素の獲得に順序性が存在することが認められた。順序性を規定する要因として,養育者からの言語的入力,形態素が表す意味的複雑さ,形態素の形態論的・統語論的な複雑さが考えられた。研究2では,3組の母子を対象に母親の動詞語尾形態素を分析し,子どもの形態素獲得の順序性と母親からの言語的入力との関連について検討した。その結果,子どもの形態素獲得順序が母親の形態素使用頻度およびタイプ数と相関するだけでなく,母親同士の間でも形態素使用頻度・タイプ数について有意な相関が認められた。この知見は,母親の発話が文脈に沿った形態素使用のモデル提示となっていることを示すとともに,自由遊び場面での話者の観点や発話の語用論的機能に関する一定の傾向があり,意味内容と発話機能に関するこのような傾向が子どもの形態素獲得の過程に反映する可能性が示唆された。