著者
荒木 一視
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.6, 2014 (Released:2014-10-01)

戦前の日本の米が国内で自給されていたわけではない。少なからぬ量の米が植民地であった台湾や朝鮮半島から供給され,国内の需要を賄ってきた。その一方で,少なからぬ穀物(米,小麦,粟など)がこれらの地域に輸移入されていた。本発表では朝鮮半島の主要港湾のデータに基づき,これらの主要食用の輸移出入の動向を把握する。これを通じて,戦前期の日本(内地)の食料(米)需要を支えた植民地からの移入米を巡る動向と,1939~1940年にそのような仕組みが破綻したことの背景を明らかにしたい。  第一次大戦と1918年の米騒動を期に,日本は東南アジアに対する米依存を減らし,それにかわって朝鮮半島と台湾に対する依存を高める。円ブロック内での安定的な米自給体系を確立しようとするもので,1920年代から30年代にかけて,朝鮮半島と台湾からの安定した米の供給が実現していた。しかし,1939年の朝鮮半島の干ばつを期にこの食料供給体系は破綻し,再び東南アジアへの依存を高め,戦争に突入していく。以下では朝鮮半島の干ばつまでの時期を取り上げ,朝鮮半島の主要港の食料貿易の状況を把握する。 この時期の貿易総額は1914(大正3)年の97.6百万円から1924(大正13)年には639百万円,1934(昭和9)年には985百万円,1939年(昭和14)年には2,395百万円と大きく拡大する。貿易額の最も多いのが釜山港で期間を通じて全体の15~20%を占める。これに次ぐのが仁川港で,新南浦や群山港,新義州港がそれに続く。また,清津,雄基,羅津の北鮮三港も一定の貿易額を持っている。  釜山:最大の貿易港であるが,1939年の動向の貿易総額734百万円のうち外国貿易額は35百万円,内国貿易が697百万円となり,内地との貿易が中心である。釜山港の移出額260万円のうち米及び籾が46百万円,水産物が14百万円を占め,食料貿易の多くの部分を占める。なお,1926年では輸移出額計124万円のうち玄米と精米で50百万円と,時代をさかのぼると米の比率は大きくなる。1939年の釜山港の移入額では,菓子(4百万円)や生果(8百万円)が大きく,米及び籾と裸麦がそれぞれ3百万円程度となる。1926年(輸移入額104百万円)においても輸移入される食料のうち最大のものは米(主に台湾米)で,5百万円程度にのぼる。これに次ぐのが小麦粉の2百万円,菓子の百万円などである。 仁川:釜山港同様に1939年の総額367百万円のうち外国貿易は67百万円と内地との貿易が主となる。1920年代から1930年代にかけて,米が移出の中心で,1925年の輸移出額64百万円のうち,玄米と精米で47百万円を占め,1933年では同様に43百万円中の28百万円,1939年では106百万円のうち32百万円を占める。なお仕向け先は東京,大阪,名古屋,神戸が中心である。輸移入食料では米及び籾,小麦粉が中心となる。 鎮南浦:平壌の外港となる同港も総額213百万円(1939)のうち,外国貿易は29百万円にとどまる。同年の移出額89百万円のうち玄米と精米で15百万円を占め,主に吉浦(呉)や東京,大阪に仕向けられる。移入では内地からの菓子や小麦,台湾からの切干藷が認められる。 新義州:総額135百万円のうち外国貿易が120百万円を占め,朝鮮半島では外国貿易に特化した港湾である。1926年の主要輸出品は久留米産の綿糸,新義州周辺でとれた木材,朝鮮半島各地からの魚類などで,1939年には金属等,薬剤等,木材が中心となる。いずれも対岸の安東や営口,撫順,大連などに仕向けられる。輸入品は粟が中心で,1926年の輸入総額52百万円中17百万円,1930年には35百万円中,15百万円,1939年には46百万円中12百万円を占める。移出は他と比べて大きくはないが,米及び籾を東京や大阪に仕向けている。 清津:日本海経由で満州と連結する北鮮三港のひとつで,1939年の総額158百万円中35百万円が外国貿易である。1932年の主要移出品は大豆で,移出額7百万円中3百万円を占める。ほかに魚肥や魚油がある。移入品では工業製品のほか小麦粉,米及び籾,輸入品では大豆と粟が中心である。
著者
荒木 淳子
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.119-128, 2008-08-31 (Released:2011-01-27)
参考文献数
74
被引用文献数
3 3

The purpose of this study was to review previous studies about workplace learning to give a theoretical basis for the future study.Because workplace learning is an interdisciplinary research topic, prevent and previous works in this field have investigated each issue on the discipline basis, e.g., economics, management studies, psychology, and sociology.The author defines workplace learning by the way they view learning and where they draw the boundaries of the workplace.They view learning as reflection through experiences or participation in communities.Reviewing the related studies, the author found that classified into four types:(1)“workplace experience approach, ”(2)“workplace participation approach, ”(3)“cross-boundary participation approach, ” and (4)“cross-boundary experience approach”. Almost all previous works appeared to belong to the “workplace experience approach”, despite the fact that workplace learning in its own form and limitation of learning chances takes place beyond the boundaries of the workplace. This must be taken into consideration in future studies, which will have to increasingly adopt the“cross-boundary experience approach”. We will fmd new conceptions of adult learning through proceeding with studies of “crossboundary experience approach”.
著者
小川 和夫 巖城 隆 荒木 潤 伊藤 直樹
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.1193-1195, 2012 (Released:2012-11-28)
参考文献数
13
被引用文献数
4 5

根室に水揚げされたサンマのフィレ内のアニサキス寄生の有無を目視で検査した。その結果,フィレ 1 枚あたり 0.9% の寄生が認められた。虫体の形態観察とミトコンドリア Cox2 遺伝子の解析によってヒトのアニサキス症の主原因となっている Anisakis simplex sensu stricto(狭義の A. simplex)と同定された。これによって,サンマ加工食品の生食によるアニサキス感染のリスクが初めて確認された。フィレ内の虫体は目視で発見できるので,加工や調理の際に確実に取り除くことが推奨される。
著者
西原 進吉 荒木 敦子 宮下 ちひろ 山﨑 圭子 岸 玲子
出版者
北海道公衆衛生学会
雑誌
北海道公衆衛生学雑誌 (ISSN:09142630)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.27-40, 2017-03-31

我が国では神経発達障害の子どもが増加傾向にある.近年,殺虫用途等で使用される農薬への曝露がその一因であるとも考えられている.そこで,本稿では,胎児期,乳幼児期,学童期における農薬曝露と,注意欠如/多動性障害を中心とした神経発達への影響に関する近年の研究動向について検討を行うことを目的とした.医学文献データベースPubMedを用いて,有機塩素系,有機リン系,ピレスロイド系,カーバメイト系,ネオニコチノイド系農薬と,注意欠如・多動性障害,不注意,多動,神経発達,行動発達を検索用語として,文献検索を行った.得られた176編の論文から,農薬と神経発達に直接関係する疫学論文40編に焦点をあてて検討した.その結果,有機リン系農薬については,胎児期曝露の影響がみられること,生後曝露の影響は一貫しないこと,有機塩素系農薬についても,胎児期曝露の影響を示す報告が多いことが示された.一方,ピレスロイド系農薬では,胎児期よりも出生後の影響が強い可能性が示唆された.カーバメイト系農薬については,胎児期曝露の影響が示唆されたが,論文数は2編のみであった.ネオニコチノイド系農薬については報告が1編のみであった.精神発達においては,検索内容に関する評価項目が多岐にわたり,また,影響が表出する年齢も異なる可能性があることから,農薬曝露と精神発達の関連についての研究報告数は,現状では不十分であり,さらなる研究の蓄積が望まれる.
著者
土山 聡宏 荒木 理 高木 節雄
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.382-390, 2020 (Released:2020-05-31)
参考文献数
22
被引用文献数
1 4

The upper and lower yield points of ferritic steel containing a small amount of carbon were discussed in terms of the critical stress for dislocation emission from a grain boundary, namely, “critical grain boundary shear stress”, on the assumption of the pile-up model. Considering some experimental results such as tensile testing, relaxation testing and nanoindentation testing on grain boundaries, we concluded that both upper and lower yield points could be similarly understood as a phenomenon of dislocation emission from dislocation sources existing at grain boundaries. The difference in stress between upper and lower yield points was explained in terms of the density of mobile dislocations, which determines the extent of stress concentration at grain boundary caused by pile-up of the dislocations. Slow cooling after annealing or aging at low temperature, by which Cottrell atmosphere is formed, leads to a significant decrement of the mobile dislocation density, and this results in an occurrence of the sharp upper yield point because of a reduced number of piled-up dislocations and insufficient stress concentration at grain boundaries.
著者
荒木 啓充 HURLEY Daniel CRAMPIN Edmund PRINT Cristin 久原 哲
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.182-185, 2011 (Released:2011-07-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

In the post-genome era, with the availability of high-throughput data, our biological focus makes a shift from a behavior of individual components to their regulatory/causative/interactive relationships. Gene network, which is inferred from microarray data by using reverse engineering algorithms, gives valuable information about the regulation of genes in the living cells under the certain conditions. In particular, this technology is applied to the biomedical research fields, e.g. identification of drug targets and prognosis markers. In this short review, we summarize what gene network is and how it is inferred. We also show our work that identified new drug target of well-known compound in human endothelial cells by gene network analysis.
著者
島田 信夫 河合 隆裕 斉藤 恭司 柏原 正樹 荒木 不二洋 中野 茂男
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

本研究の目的とする多様体、特に複素多様体の幾何学と関連諸問題の研究に関して、複素空間、代数的多様体等の特異点の研究、偏微分方程式の解空間の構造、またそれに対する代数解析的研究、一般コホモロジー論、特に複素コボルディズム論の研究、代数的K-理論の研究、数理物理学的研究等様々の立場からの研究分担者による探求が進められ、多くの新たな成果と進展をみた。以下にその概要を述べる。1.島田はAdamsスペクトル系列の【E_1】-項を与えるラムダ代数の概念を、複素コボルディズム論におけるNovikovスペクトル系列の場合に拡張し、やはりその【E_1】-項を与えるMU-ラムダ代数を構成した。その幾何学的応用は今後の研究課題である。島川は多重圈の概念を活用して代数的K-理論における積構造について圈論的な存在証明を与えた、またそれらの同変理論も研究中である。2.斉藤恭司は正規ウェイト系に対応する孤立特異点をもつ超曲面に対して特異点解消、コンパクト化等の操作により、多くの重要かつ興味ある代数曲面の族を構成し、それらの分類および代数幾何学的特性について詳細な研究を行った。これは斉藤の従前からの一般ウェイト系、特異点、一般Weyl群と不変式論等の研究の進展継続を示す目ざましい成果である。成木は斉藤の仕事に関連して、或種の型の特異点解消に伴う楕円曲面系を簡明に構成した。3.中野,大沢は複素多様体上の或種の増大条件を満す正則函数の拡大に関する結果を得た。また大沢はK'dhler多様体と多変数函数論の研究を進めた。4.柏原,河合はD-が群の研究を進め多くの成果を挙げ、また三輪,神保は代数解析の方法を数理物理学へ適用し成果を得た。5.荒木は2次元Ising模型に対する相関函数の解析性に関する結果を得たまた中西,小嶋は場の理論の研究で成果を得た。その他、研究分担者による微分方程式、無限次元測度の研究がある。
著者
巻 直樹 松田 ひとみ 岡本 紀子 高尾 敏文 荒木 章裕 Von Fingerhut Georg 王 暁辰 丁 剣洋 佐藤 幸夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.455-459, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕地域在住高齢者において,睡眠の質と嚥下呼吸機能との関連について検討した.〔対象と方法〕65歳以上の地域在住高齢者を対象とし,インターネットアンケート調査を実施.対象数は400名であった.質問項目は,摂食・嚥下障害スクリーニング法(DRACE),ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQIJ)とした.〔結果〕回答を得た400名に対し,睡眠障害群と非睡眠障害群に分け比較,睡眠の質に関連する変数として,DRACE得点が見出された.〔結語〕高齢者において,睡眠の質と嚥下機能との関連性が示され,また睡眠の質と嚥下機能との関連における重要性が示唆された.
著者
中川 登 夏秋 優 荒木 徹也
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.541-545, 2004 (Released:2011-11-07)
参考文献数
6

市立伊丹病院における1993年~2003年の毛虫皮膚炎患者数を調査した。その結果, 2003年が最も多く95名,次に1993年が46名,1994年は34名で,その他の年は25名以下であった。また,2003年の毛虫皮膚炎患者95名について検討したところ,男女比は49:46であり年齢分布では9歳以下の小児と50歳以上の中高年に多い傾向があった。これらの患者の皮疹の好発部位は上肢であった。月別患者数では6月と8~9月に多く,チャドクガの幼虫が出現する時期に一致していることから,その原因の多くはチャドクガの幼虫であろうと推察された。次に毛虫皮膚炎の患者数と気候との関連を調べるため,神戸における月別降水量と平均気温について調べた。その結果,1993年と2003年は長雨,冷夏であったことが判明した。このことから気象条件が毛虫の発生,及び毛虫皮膚炎患者数に影響を与える可能性が示唆された。
著者
芦原 睦 荒木 登茂子 松野 俊夫 江花 昭一 坂野 雄二 鈴木 理俊 菊池 浩光
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.745-753, 2004-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

医療における心理士の資格について議論されて久しい. 本学会においても, 1995年の第36回日本心身医学会総会(末松弘行会長)の際にワークショップ「臨床心理の現状と今後の課題」で取り上げられて以来, ほぼ毎年議論が続けられている. さらに, 2000年6月にはコメディカルスタッフ認定制度委員会が発足し, 具体的な医療心理士(仮称)制度の制定と運用に関する議論を重ねてきた. 同委員会の2001年12月までの活動報告は, 本誌42巻8号「医療における心理士の資格-現状と現実的問題点を含めて」に記載したので参考にされたい. 今回は, その後の議論を含め, 第44回日本心身医学会総会(石津宏会長)での, パネルディスカッションにおける各パネリストの発表をもとにした総説としたい. まず, 医療心理士の現状と研修という点から, 心理士と医師の各々の立場から述べた松野論文と江花論文を掲載したい.
著者
座光寺 秀典 宮本 達也 神家満 学 犬塚 秀康 土田 孝之 荒木 勇雄 武田 正之
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.29-33, 2010-01-20
被引用文献数
2

われわれはロタウィルス胃腸炎後に両側尿管結石による急性腎不全となった2幼児例を経験した.症例は2歳4ヵ月の男児と1歳1ヵ月の男児.4〜5日続く下痢,嘔吐に引き続いて無尿となったため当院を受診した.便中ロタウィルス抗原陽性で腹部超音波検査と腹部CTで軽度水腎症と両側尿管結石を認めたため,ロタウィルス胃腸炎後の尿管結石嵌頓による腎後性腎不全と診断した.直ちに経皮的腎瘻を造設し,数日で腎機能は正常化した.尿アルカリ化を行い腎瘻カテーテルから砂状の結石の排出を認めた,結石分析の結果酸性尿酸アンモニウムであった.酸性尿酸アンモニウム結石は先進国ではまれであるが,近年ロタウィルス胃腸炎後の両側尿路結石による急性腎不全の報告が散見される.これまでロタウィルス感染後の急性腎不全の主因は持続する脱水症と考えられていたが,本例のような尿管結石による腎後性の要因も考慮すべきであると思われた.
著者
座光寺 秀典 宮本 達也 神家満 学 犬塚 秀康 土田 孝之 荒木 勇雄 武田 正之
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.29-33, 2010 (Released:2012-03-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1

われわれはロタウィルス胃腸炎後に両側尿管結石による急性腎不全となった2幼児例を経験した.症例は2歳4カ月の男児と1歳1カ月の男児.4~5日続く下痢,嘔吐に引き続いて無尿となったため当院を受診した.便中ロタウィルス抗原陽性で腹部超音波検査と腹部CTで軽度水腎症と両側尿管結石を認めたため,ロタウィルス胃腸炎後の尿管結石嵌頓による腎後性腎不全と診断した.直ちに経皮的腎瘻を造設し,数日で腎機能は正常化した.尿アルカリ化を行い腎瘻カテーテルから砂状の結石の排出を認めた.結石分析の結果酸性尿酸アンモニウムであった.酸性尿酸アンモニウム結石は先進国ではまれであるが,近年ロタウィルス胃腸炎後の両側尿路結石による急性腎不全の報告が散見される.これまでロタウィルス感染後の急性腎不全の主因は持続する脱水症と考えられていたが,本例のような尿管結石による腎後性の要因も考慮すべきであると思われた.
著者
荒木 淳子
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.119-128, 2008-08-31
被引用文献数
2 3

The purpose of this study was to review previous studies about workplace learning to give a theoretical basis for the future study. Because workplace learning is an interdisciplinary research topic, prevent and previous works in this field have investigated each issue on the discipline basis, e.g., economics, management studies, psychology, and sociology. The author defines workplace learning by the way they view learning and where they draw the boundaries of the workplace. They view learning as reflection through experiences or participation in communities. Reviewing the related studies, the author found that classified into four types: (1) "workplace experience approach," (2) "workplace participation approach," (3) "cross-boundary participation approach," and (4) "cross-boundary experience approach". Almost all previous works appeared to belong to the "workplace experience approach", despite the fact that workplace learning in its own form and limitation of learning chances takes place beyond the boundaries of the workplace. This must be taken into consideration in future studies, which will have to increasingly adopt the "cross-boundary experience approach". We will find new conceptions of adult learning through proceeding with studies of "cross-boundary experience approach".
著者
荒木 淳子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.131-142, 2009-10-10 (Released:2016-08-06)
参考文献数
26
被引用文献数
7

職場での学習や知識創造の分野では,実践共同体の重要性が着目されている.しかし,企業において実践共同体をどのようにデザインするかに関する実証的研究は少ない.本研究では,社会人の職業アイデンティティ獲得やキャリア形成への意欲向上(キャリア確立)を促す実践共同体のあり方について明らかにすることを目的に,10の実践共同体に参加するメンバー30名に半構造化インタビューを行った.その結果,キャリアの確立を促す実践共同体のあり方として,(1)職場を越える実践共同体と職場との行き来を踏まえたデザイン,(2)メンバーの多様性を活かした活動,(3)コーディネーターの配慮型リーダーシップ,の重要性が明らかとなった.今後は,これらを踏まえた実践共同体のデザインが必要であると考えられる.