著者
平井 昂宏 貝沼 関志 林 智子 長谷川 和子 青山 正 水野 祥子 鈴木 章悟 西脇 公俊
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.647-650, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

プロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome, PRIS)は,プロポフォール使用中に横紋筋融解,急性腎傷害(acute kidney injury, AKI),乳酸アシドーシス,脂質異常症などを来す症候群である。早期にPRISを疑いプロポフォール中止によって救命できた一例を経験した。症例は44歳の男性,スタンフォードA型大動脈解離に対して弓部置換術を行った。術後にプロポフォールを用いて鎮静を行っていたところ,血液生化学検査でCKが15,247 IU/lまで上昇し,AKI,乳酸アシドーシスを認めたためにPRISを強く疑った。プロポフォールの投与中止によりCKは速やかに減少し,AKI,乳酸アシドーシスも改善した。後に撮影されたCTで大腿から臀部の筋内に高吸収域を認め,横紋筋融解後の変化があった。プロポフォールの長期投与中はCK,pH,乳酸値などを定期的にモニタリングし,PRISを疑った場合は早期に他の鎮静薬への変更が必要であると考えられた。
著者
渡辺 伸也 高橋 清也 赤木 悟史 水町 功子 松田 秀雄 米内 美晴 片山 努 横山 紅子 高橋 正弘 上田 淳一 長谷川 清寿 志賀 一穂
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.99, pp.149, 2006

【目的】わが国では,多数の体細胞クローン牛が生産されており,これらの牛を対象とした一連の飼養・繁殖試験を通じ,雌雄のクローン牛の成長や繁殖に関する健全性のデータが収集されている。しかしながら,クローン牛由来乳のリスク評価に重要といわれる乳中アレルゲンに関するデータ収集は不十分である。本研究では体細胞クローン牛およびその後代牛が生産した乳中のβ-ラクトグロブリン(BLG)の遺伝的変異体(多型)のタイプ(ホルスタイン種では、通常、A型,B型およびAB型の3種類)を調査した。【方法】泌乳中の体細胞クローン牛:11頭(ホルスタイン種:9頭,黒毛和種:2頭),体細胞クローン後代牛:6頭(ホルスタイン種),5頭の体細胞クローン牛(ホルスタイン種)に共通のドナー牛:1頭および対照牛:17頭(ホルスタイン種:15頭、黒毛和種:2頭)より乳を採取し,その中に含まれるBLGのタイプをBLG特異的抗体(森永生化学研究所製)を用いたウエスタンブロット法で解析した。【結果と考察】調査したホルスタイン種におけるBLGタイプは,体細胞クローン牛で,A型:2頭,B型:1頭,AB型:6頭,後代牛で,A型:0頭,B型:2頭,AB型:4頭,また,対照牛で,A型:4頭,B型:4頭,AB型:7頭であった。ドナー牛とこの牛の体細胞より生産されたクローン牛(5頭)に由来する乳のBLGタイプは全て同一(AB型)であった。一方,調査した黒毛和種におけるBLGタイプは,体細胞クローン牛2頭 (同じ体細胞由来) で,ともにB型,対照牛で,A型:0頭,B型:1頭,AB型:1頭であった。以上の結果は,体細胞クローン操作が,生産されたクローン牛やその後代牛の乳中BLGにおける遺伝的変異体のタイプに影響を及ぼしていないことを示唆している。
著者
畑瀬 理惠子 糸井 信人 長谷川 尚哉 林 正敏
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.33-40, 2020 (Released:2021-06-28)
参考文献数
26

【目的】当院の妊娠 28 週以降の骨盤位矯正を目的とした鍼灸治療を含む施術介入が骨盤位矯正率 に与える要因として初・経産婦別、骨盤位診断妊娠週数、鍼灸治療初診時妊娠週数 ( 以下、初診時 妊娠週数 )、骨盤位診断妊娠週から鍼灸治療開始までの期間 ( 以下、治療開始期間 ) を検討し、さ らに産科の紹介の有無によってその要因に差があるか検討することを目的とした。 【方法】2009 年 2 月から 2010 年 12 月までの 23 ヶ月間において、当院で骨盤位矯正を目的に鍼灸 治療を含む施術介入を行った 188 例(年齢 32.2 ± 3.9 歳;範囲 22 ~ 45 歳 ) を調査対象とし、このデー タを解析・分析した。 【結果】平均治療回数は 1.5 ± 0.9 回 ( 範囲 1 ~ 6 回 )。骨盤位矯正率の年別内訳は 2009 年 80.6%( 施術総数は 72 例、骨盤位矯正数は 58 例 )、2010 年は 97.7%( 施術総数は 133 例、骨盤位矯 正数は 130 例 ) であった。骨盤位矯正率は解析全年において 91.7% となり、経時的に増加する傾 向にあった。また、病鍼連携の有無で比較したところ、病鍼連携あり矯正群では病鍼連携なし矯 正群に比べ、骨盤位診断妊娠週数 (p=0.001)、初診時妊娠週数 (p<0.001)、治療開始期間 (p<0.001) を有意に短縮させた。 【考察】骨盤位の矯正率に影響を与える要因は医師から骨盤位の矯正を目的とした鍼灸院の紹介が あることによって短縮され、骨盤位矯正率を高める可能性があると示唆される。そのためには病 産院と鍼灸院が密接な情報共有を行い、それを持続するための関係を構築することが重要である と考える。 【結語】医師による骨盤位矯正を目的とした鍼灸院への紹介により、骨盤位矯正率は経時的に増加 した。
著者
平松 祐司 北村 豊 長谷川 雄一 堀米 仁志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

「ビタミンK低含有納豆様大豆食品」の開発を実施した。従来の研究のような納豆の発酵プロセスの改質にこだわらず、納豆粘性物質水溶液を利用して納豆風味を保持し、この水溶液に紫外線を加えてビタミンKおよび納豆菌を低減した大豆食品の加工を目指した。並行してビタミンK低産生納豆菌株の同定を実施した。粘性物質を粉末化したものを蒸煮大豆に還元し、納豆風味の大豆加工食品を作成した。1)粘性物質水溶液中のビタミンKの分解特性の解明、2)粘性物質水溶液中の納豆菌の熱特性の解明、3)粘性物質の乾燥特性の解明のための評価、さらにボランティアによる摂食試験を実施した。
著者
長谷川 孝子
出版者
清泉女学院短期大学
雑誌
清泉女学院短期大学研究紀要 = Bulletin of Seisen Jogakuin College (ISSN:02896761)
巻号頁・発行日
no.34, pp.32-42, 2015

保護者が保育補助に入る保育参加(保育士体験)は、効果を示す実践が数々ありながら、導入に慎重な傾向がある。本稿では、導入に慎重な園と積極的に取り組む園・自治体での調査等を基に両者の意識の違いを考察した。その結果、①保育参加導入に伴う課題を「懸念」とみなすか、「導入の必要性」と考えるかの違い②保護者と保育者が共に影響し合いながら育ち合う意識が高いかどうかの違いがあることが示唆された。
著者
畑 明美 南光 美子 長谷川 明子 AKEMI HATA YOSHIKO NANKO AKIKO HASEGAWA
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 = The scientific reports of the Kyoto Prefectural University. Natural science and living science (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.63-71, 1986-11-15

キュウリ, ナス, キャベツを用いて塩漬け及び糠漬けを行い, 漬け込み後経日的にpHの変化並びに無機成分の挙動を調べた。1.塩漬け, 糠漬けのいずれの場合も, 漬け材料, 糠床及び漬け汁ともに経日的にpHは低下した。2.塩漬けのキュウリ, ナス及びキャベツ中のNa含量は経日的に増加したが, キュウリ, キャベツ中のMg, Ca, K含量は減少するのに対し, ナス中では増加することが認められた。3.糠漬けのキュウリ, ナス及びキャベツ中のNa及びMg含量は増加し, Ca含量は減少した。また, ナス中のK含量は漸増したが, キュウリ, キャベツ中では減少する傾向が認められた。
著者
長谷川 浩一 林 真人 川口 健司 田代 晴彦 森川 篤憲 岡野 宏 川上 恵基 村田 哲也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.29, 2007

(症例)患者はインドネシア国籍の29歳男性で、平成19年1月17日に頭痛を主訴に当院外来を受診。頭部単純CTで左側頭葉に低吸収域を呈する脳病変を認めた。しかしながら不法滞在者であると判明し、それ以上の精査治療は母国で行うべきと初診医が判断し、即時の帰国を勧めた。しかしながら、症状は徐々に悪化し発熱と意識障害をきたしたため、1月21日に当院救急外来を受診し内科入院となった。入院時、口腔内カンジダ症を認め、抗HIV抗体が陽性であった。髄液検査では異常を認めなかったが、AIDSによる脳トキソプラズマ症が最も疑われ、ST合剤とクリンダマイシンの投与を開始した。治療により解熱しCRPも9.0から0.5に低下したが、意識状態の改善はあまり認められず、到底旅客機で帰国できる状態ではなかった。2月1日に局所麻酔下で定位的に病変部位の生検術を施行し、病理組織にて脳トキソプラズマ症の確定診断が得られたため、2月8日に三重大学附属病院血液内科に転院した。その後、ピリメサミンを用いた積極的な治療により旅客機で帰国できる状態にまで回復した。(当院での対応)不法滞在のため保険には未加入で、治療費は自費のため金銭的な援助をインドネシア大使館にも相談したが、予算がないため金銭的な援助は不可能との返事であった。また、当院はAIDS拠点病院に指定されていないため、県内のAIDS拠点2病院への転院も考慮したが困難であった。三重大学附属病院のみHIV感染により何らかの合併症を発症している事が確認されていれば、何とか受け入れ可能であるが、少なくとも脳の生検でAIDS以外の脳病変を否定する事が前提条件であった。HIVに対する手術器具の消毒法もHCV等と同じであるが、HIV感染患者の手術は当院では初めてであり手術室等からの反対もあったが、転院のためには他に手段はなく、当院でやむなく生検術を施行した。 (考察)不法滞在患者でなく金銭的に問題なければ、大学病院以外のAIDS拠点病院への転院も可能であったと思われるが、研究機関でもある大学病院しか受け入れは許可してもらえなかった。鈴鹿市は外国人の割合が高いので、不法滞在の外国人も多いと予想されるが、これは全国的な問題と考えられる。不法滞在者であるからといって人道的に治療を拒否する事はできず、行わなければならない。その様な場合、どこからか金銭的な援助を得て、なんとか治療を行える方法はないのであろうか。また、外来受診の翌日に名古屋の入国管理局から連絡があり、すぐに帰国させる様に伝えたが、手続き上少なくとも1週間以上かかり、結局その間に症状が悪化し帰国できなくなってしまった。不法滞在ではあるが、この様な緊急事態の場合、入国管理局はもっと早く帰国の手続きをとる事はできないのであろうか。この患者は治療により帰国できる状態にまで回復したが、回復しなかった場合は二度と自国の土を踏む事はできなかったと考えられた。
著者
河内 彩香 村田 晶子 長谷川 由香 竹山 直子 池田 幸弘
出版者
法政大学
雑誌
多文化社会と言語教育 (ISSN:24362239)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.30-45, 2021 (Released:2021-05-10)

2020 年度、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くの大学がオンライン授業に移行し、所属大学の日本語教育プログラムにおいても春学期と秋学期の授業が全面的にオンラインで行われ、LMS(Learning Management System)とオンライン会議システム(Zoom)による双方向授業を組み合わせて教育活動を行った。これまで、日本語教育におけるこれら二つを組み合わせた授業の詳細の分析はまだ十分にはなされていない。地理的な境界線を越えて実施することができるオンライン教育はコロナ収束後も発展していくことが予想されており、この実践を一過性のものとしてとらえるのではなく、実践を記録し、その効果や問題点を発信していくことが今後の言語教育の発展のために重要である。こうした点を踏まえて、本稿では、日本語教育プログラムにおいて実施した Zoom による双方向授業と LMS(Google Classroom)を組み合わせたオンライン教育の実施状況を記述し、レベル別、技能別の教育におけるオンライン教育のメリットと課題を分析した。
著者
長谷川 伸
出版者
九州共立大学
雑誌
九州共立大学研究紀要 = Study journal of Kyushu Kyoritsu University (ISSN:21860483)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.23-28, 2014

The purpose of this study was to investigate the muscle activation levels of the hip muscles duringpitching motion as ball speed was increased. Six college baseball pitchers were participated in thisstudy. Surface electromyography data were recorded in pivot leg from 6 muscles : adductor longus(AL), gracilis (GR), adductor magnus (AM), rectus femoris (RF) , biceps femoris (BF) and gluteus medius(GM). The pitching motion was divided into 5 distinct phases: wind-up, early cocking, late cocking,acceleration, follow-through. The results demonstrated that high level muscle activity (greater than 40%maximal voluntary contraction) was found in GM during early cocking phase, and in AL, GR, AM andBF during late cocking phase, and in AL, GR and BF during acceleration phase. Then, the activity levelof the hip muscles in the slow ball pitching and fast ball pitching was compared. Significantly highermuscle activity was showed in fast ball pitching in AL, GM, and BF during early cocking phase, in BFand AL during late cocking phase, and in AL, GM, and RF during acceleration phase. The findings fromthis study indicate that high muscle activity have been shown in the abductor of the hip joint duringearly cocking phase that produce translational movement, and high muscle activity have been shown inthe adductor and extensor of the hip joint during late cocking phase and acceleration phase that producerotational movement.
著者
浅香 美由紀 長谷川 雄一
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.231-237, 2014-11-25 (Released:2015-12-23)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

う蝕および歯周病の発症は,口腔内細菌によって形成されるプラークに起因しており,いずれも適切なプラークコントロールを習慣づけることにより予防することができる.平成22 年国民健康栄養調査によると,口腔清掃用器具の使用状況として歯ブラシは96%だが,歯間ブラシは20%,デンタルフロスは12%である.通常使用する歯ブラシでは歯間隣接面のプラークの除去率は58%であり除去することが難しいために,この部位から歯肉の炎症が生じ歯周病へと移行することが多い.このことから歯間清掃用具のデンタルフロス,歯間ブラシなどを使用する必要がある.しかしその重要性を認識していない患者が多いのが現状である.また歯間清掃用具の中でも特にデンタルフロスの重要性を理解し活用することで,隣接面のう蝕予防と歯周病予防が可能である.そこで当院における口腔衛生指導を含め,特にデンタルフロスに注目したジンジバルプラークコントロールについて,繰り返しの指導により良好な結果を得られた一症例を提示し,考察を加えて報告する.【顎咬合誌 34(3):231-237,2014】
著者
添田 泰弘 北本 拓磨 長谷川 光司
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.239-245, 2014
被引用文献数
1

<I>Oshibori</I> is a small wet towel to wipe hands before meal in Japan. Most of researches on <I>oshibori</I> have investigated the towels from the perspective of cleaning and sanitation. Few studies have assessed the qualitative and sensory characteristics associated with <I>oshibori</I>. In this paper, subjective evaluation experiments were carried out using cotton <I>oshibori</I> of different temperatures such as 5, 15, 30, 45, 60, and 75 &deg;C in the laboratory temperature at 20, 25 and 30 &deg;C over four seasons. 29 males and 33 females evaluated <I>oshibori</I> on following properties such as &ldquo;favorite,&rdquo; &ldquo;rare,&rdquo; &ldquo;hot,&rdquo; &ldquo;feel-smooth,&rdquo; &ldquo;high-grade,&rdquo; &ldquo;comfortable,&rdquo; &ldquo;soft,&rdquo; and &ldquo;moist,&rdquo; according to five point grading. As results, the <I>oshibori</I> at the temperature of 5, 15, 45 and 60 &deg;C were evaluated to be comfortable. Contrary, those of 30 and 75 &deg;C were evaluated uncomfortable. Moreover, sexual specificity of the evaluation was observed.
著者
バアスティアン ソフィー 長谷川 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 = Acta humanistica et scientifica Universitatis Sangio Kyotiensis (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.53, pp.3-13, 2020-03

本稿はアンドレ・ブルトンとアルベール・カミュという20 世紀フランス文学を代表する重要な作家の関わりを分析するものである。40 年代に彼らは政治的な感覚と倫理的な要請を共有していた。また全体主義と死刑への反対の立場でも協力し,世界市民という国際主義的な運動に賛同していた。カミュが有名なエッセイ『反抗的人間』を1951 年に出版すると,センセーショナルな論争が始まる。しかし絶対自由主義という大義のために,彼らは再び声を合わせるようになる。カミュが亡くなるまで彼らは50 年代を通して協力した。本稿は良心という見逃されがちなふたりの共通点から彼らの関わりを明らかにしている。
著者
田中 俊夫 長谷川 典子 小原 繁 佐竹 昌之
出版者
徳島大学
雑誌
徳島大学大学開放実践センター紀要 (ISSN:09158685)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.55-88, 2007-08

2005年12月11日に開催された第34回JALホノルルマラソンに参加したランナーに対してアンケート調査を実施した。調査対象者はホノルルマラソンに向けたトレーニングプログラムの参加者であり,207名から回答を得た。男女比は1:1で,平均年齢は46歳,半数がジョギング未経験者で7割がフルマラソン未経験であった。ジョギングの練習は平均で,週3回,約1時間行っていた。10月・11月の月間走行距離は150kmで,1回の練習における最長距離は26kmであった。ホノルルマラソンの最大の目標は「目標タイムで走る」が46%で最も多かった。ゴールタイムの平均は5時間29分で,半数が「思ったよりも走れなかった」と回答した。後半かなり遅くなった人,歩いた人,エネルギー切れを感じた人がそれぞれ約半数いた。太もも前側,太もも裏側,ふくらはぎ,足の裏,膝がレース中に痛みを感じた部位のトップ5であり,20kmを越えてから痛みを感じる割合が急増していた。レースの翌日に発熱や頭痛,下痢などの症状があった人はわずかであった。3分の2が太ももの前側に筋肉痛を感じていて,半数がふくらはぎに筋肉痛があった。また3分の1が膝の痛みを感じていた。長距離練習を実施したか否かがレース中の身体の痛みの出現の大きな要因となっていると考えられる。21.5km未満の練習しか行っていない群では,30km以上の練習を行った群に比べて,20kmを越えると太ももや膝,ふくらはぎ,足の裏などに痛みを感じる人が多かった。レース前日の睡眠時間の多少はレースのパフォーマンスに影響を与えないことが示された。