著者
小川 徹 阿部 和久 紅露 一寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.54A, pp.114-123, 2008 (Released:2008-08-01)

The paper attempts to enhance the VOF-basedfinite element method for snow deformation problem by taking into account the deposition process. The variation of snow shape due to the deposition is modeled by involving the supply from snowfall in the advection equation of the VOF function. The snowfall process is described by simplified advection and diffusion models. The developed method is verified through a comparison with a semianalytical solution for a one-dimensional deposition problem. Besides, the simulation of Nakamura's experiment for snowpack with an embedded beam is achieved. Based on these analyses the significance of snow deposition process and deformation hardening in the mechanical behavior is discussed.
著者
蓮尾 英明 神原 憲治 阿部 哲也 三枝 美香 石原 辰彦 福永 幹彦 中井 吉英
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.134-140, 2012-02-01
参考文献数
17

認知機能が低下している患者とのかかわりに対して,家族が無力感を感じていることは多い.その中で,家族が患者の手を握りながら寄り添っている光景をよくみかける.そこで,手を握る行為が患者の自律神経機能に与える影響を客観的に評価することは,家族の自己効力感の向上につながると考えられた.今回,家族が手を握る行為による患者の胃運動機能の変化,その結果の説明による家族の自己効力感の変化を評価した.対象は,胃瘻による栄養を受けている認知機能の低下した癌終末期を含む患者とその付き添い家族の計13組とした.胃運動機能は,体外式超音波で評価した.家族の自己効力感は,一般性自己効力感尺度などで評価した.結果は,家族が手を握る行為下では非行為下と比較し,前庭部運動能,胃排出能ともに有意に亢進した.その結果の説明にて,家族の自己効力感は高まった.
著者
阿部 勝征
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.851-873, 1991-03-29 (Released:2008-05-30)

フィリピンのルソン島中部で1990年7月16日に発生した大地震(Mw7.6)について現地調査や波形解析を実施し,地震の発生機構を調べた.この地震はルソン島の地表に最大水平変位6mの地震断層を出現させた.それは島弧中央断層であるフィリピン断層系の一部である.地震断層の現地調査ではBongabonからRizar, Digdigを経てCapintalanまで実地踏査し,これらの地域を含めてDingalan湾よりImugan北方までを100km以上にわたってヘリコプターで上空より調査した.現地調査,地震波解析,余震データから得られたフィリピン地震の全体像は長大な左横ずれ断層運動である.断層面の走向は154°NE,傾斜角は76°Wであり,断層の長さは120km,幅は20km,断層面上での平均変位量は5.0mである.地震による横ずれ断層としては世界有数の規模である. TSKにおけるP波初動部分の変位記録は,震源での継続時間が約50秒あり,約10秒間の小さな立ち上がりに続いて2個の大きなサブイペントが約20秒の間隔で発生したことを示唆する.ラ・ウニオン州のルナで約2mの高さの津波が発生したが,局地的なもので,液状化に伴って生じたとみられる. 17日に発生した最大余震(Mw6.4)は逆断層運動によるもので,主断層運動の東側のブロックが断層の北端付近を圧縮したために起きたと考えられる. The Luzon, Philippines earthquake of July 16, 1990, with Ms=7.8, was generated by left-lateral slippage in central Luzon Island. We surveyed surface breakage over the area from Bongabon to Capintalan through Rizar, Puncan and Digdig by vehicles, and also made an aerial survey by helicopter from Dingalan Bay to north of Imugan. Ground breakage was observed and mapped for a distance of 110km along the Philippine fault system and its splay known as the Digdig fault. Maximum horizontal offset as measured on the fault at Imugan is 6m. It is one of the largest strike-slip earthquake ever recorded in the world.
著者
小森 貞男 副島 淳一 伊藤 祐司 別所 英男 阿部 和幸 古藤田 信博
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.917-926, 1998-11-15
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

'金星'と'レッドゴールド'および'千秋'と'いわかみ'の不和合性を手がかりとして,'デリシャス','ふじ','ゴールデン・デリシャス','はつあき','紅玉','国光','千秋','東光'とそれらの交雑実生を用いて主要栽培品種のS遺伝子型解析を試みた.その結果6つのS複対立遺伝子と7つのS遺伝子型の存在が示唆され,9品種のS遺伝子型を以下のように決定した.(S_Ja, S_Jb)='ゴールデン・デリシャス'(S_Ja, S_Jd)='東光'(S_Jc, S_Jd)='紅玉','ひめかみ'(S_Jc, S_Je)='デリシャス'(S_Jc, S_Jf)='ふじ'(S_Jd, S_Jf)='千秋','いわかみ'(S_Je, S_Jf)='国光'また'東光'のS_Jd因子は'印度'に由来していることが明らかになった.さらに'金星'と'レッドゴールド'のS遺伝子型は(S_Ja, S_Je)または(S_Jb, S_Je)のいずれかであり,'はつあき'のS遺伝子型は(S_Ja, S_Jc)または(S_Jb, S_Jc)と考えられる.
著者
阿部 亮
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.969-972, 2009-10

飼料構造論。濃厚飼料と粗飼料。日本標準飼料成分表では飼料を、「生草」、「サイレージ」、「乾草」、「ワラ類および殻類」、「穀類、マメ類およびイモ類」、「植物性油粕類」、「ヌカ類」、「製造粕類」、「動物質飼料」、「非蛋白態窒素化合物・単体アミノ酸」、「酵母類」、「油脂類」、「糖類」、「リーフミール類」、「木質系飼料」、「その他」と分類している。しかし、このような区分での呼び方はあまりしない。日常的には飼料は粗飼料と濃厚飼料の二つに区分され、呼称されてきた。この日本語の由来はおそらく、Concentrate(濃縮)とRoughage(粗)からであろう。行政でも、産業界でも、試験研究・普及組織でも、飼料をこの二つに分断し、それぞれ独自の歩みをさせながら、それぞれの世界を構築し、両者の接近・融合を考えることが少ない環境の中に日本の畜産が置かれ、そのことによってある種、不幸な局面がもたらされてきたのではないかと筆者は考えている。
著者
阿部 仁一郎
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.98-107, 2005 (Released:2005-04-08)
参考文献数
55
被引用文献数
4

Giardia intestinalis is a protozoan parasite found in the intestinal tract of humans and animals. Recent molecular studies show considerable genetic diversity among isolates from humans and animals, suggesting that this species is not a single species but is composed of multiple genotypes that have zoonotic potential or are host-adapted. Cross-infection studies using the isolates from different hosts and molecular epidemiological studies in endemic areas strongly support the zoonotic transmission of G. intestinalis. Molecular analysis of the isolates is therefore essential in order to reveal the sources of Giardia infection and thus develop appropriate countermeasures. In Japan, the molecular epidemiology of Giardia infection is as yet unclear as only a few isolates from humans and animals have been genotyped. This report finds that further studies are required for an understanding of the zoonotic significance and molecular epidemiology of Giardia infection in Japan.
著者
阿部 生雄
出版者
筑波大学出版会
巻号頁・発行日
pp.1-336, 2009-01
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.902-909, 2004 (Released:2005-07-08)
参考文献数
25
被引用文献数
8 9

浦野川において魚類の種組成, 個体密度, 成長率および食物関係について調査した。合計で14種, 7,052個体の魚類が採集された。オイカワがもっとも優占し40%以上の個体数を占め, ついでドジョウ, ウグイ, カマツカが多かった。これらの魚種は6月から8月にかけて正の成長を示した。大半の魚はユスリカなどの水生昆虫を捕食していたが, オイカワだけは底生藻類を主食としていた。浦野川の調査区においてはナマズなどの魚食性魚類がほとんど生息しておらず, その生態的地位が空白となっている。したがって, オオクチバスなどの外来魚食魚の侵入が危惧される。
著者
阿部 弘和 小路 聡
出版者
山口大学
雑誌
研究論叢. 自然科学 (ISSN:05131693)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.45-58, 2001-12

The specie of Fagacea in the compound of 27 shrines in Onoda-shi, 22 shrines in Sanyo-cho, and 51 shrines in Mine-shi was invesitgated. Fifteen species belonging to four genera, 10 broad-leaf evergreen species and 5 broadleaf deciduous species, were identified: Quercus acuta (in 4 shrines), Q.glauca (in 59), Q.myrsinaefolia (in 18), Q.salicina (in 3), Q.sessilifolia (in 6), Q.gllva (in 1), Lithocarpus edulis (in 2), L.glabr (in 7), Castanopsis cuspidata (in 35), C.cuspidata. sieboldii (in 3), Q.variabilis (in 2), Q.acutissima (in 8), Q.serrata (in 31), Q.aliena (in 1), and Castanea crenata (in 19). In this area, Q.glauca is a dominant and Q.serrata and C.cuspidata are common. The number of species in a shrine was 2.0 on the average. However, there are some differences in the kind of species and frequency among dsitricts. Mine-shi, the moutainside, is most abundant in the kind and most in the number of species a shirine. Those values in Mine-shi were about twice as much as those in the coastal district, Onoda-shi, respectively. The habitat of L.glabr observed in 7 shirines ranged north and south in Mine-shi. L.glabr is a rare in Yamaguchi and has been common only the in eastern area in Yamaguchi Prefecture.
著者
川田 知依 加藤 登志子 阿部 稔
雑誌
文化ファッション大学院大学紀要論文集ファッションビジネス研究
巻号頁・発行日
vol.3, pp.18-29, 2013-03-01

ミリタリーウェアとは軍用の制服のことであり、一般的に陸軍の軍服を指している。現在ではコレクションブランドからファストファッションに至るまで、軍服風のデザインを取り入れたファッション、いわゆるミリタリールックを多く発表しており、性別を越え、ファッションの定番として広く定着していると考えられている。本研究では、この認識のもとミリタリーウェアの魅力をさまざまな方面から探り、第二次世界大戦に、ドイツ陸軍で着用されていた 1936年型野戦服 「M36」 を通してミリタリーウェアの時代的変遷、機能性、デザイン性を研究、現代に適したミリタリー調のレディスウェアを提案し、制作を行なう。
著者
米田 信之 阿部 昭博 狩野 徹 加藤 誠 大信田康統
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.45-57, 2008-01-15
参考文献数
22
被引用文献数
10

近年,観光地では高齢者,障害者,外国人を含む,様々な人に配慮したユニバーサルデザイン(UD)の考え方が重視されつつある.しかしながら,案内版設置,ガイドスタッフ,施設改修では限界があり,携帯端末を利用した情報提供面での支援に期待が寄せられている.我々は,2008 年世界遺産登録を目指す平泉地域を研究対象として,携帯電話とアクティブRFID を用いて多様な観光客に配慮したプッシュ型情報提供を可能とするUD 観光情報システムの開発を行った.本論文では,まずUDの観点から観光客の情報ニーズについて分析する.そして,その分析結果に基づいた情報システム設計と開発について述べる.開発したシステムの評価を目的に平泉町中尊寺で実施した社会実験を通して,我々の設計アプローチの有効性について,おおむね良好な結果を得ることができた.In recent years, tourist regions have placed greater stress on the concept of Universal Design (UD), which takes into account the needs of a more diverse range of people, includingb senior citizens, the disabled, and foreign visitors. We have been conducting research and development on a system, based on the UD concept, for providing tourist information suited to various user characteristics, by Mobile Phone and Active RFID. The system is designed for Hiraizumi, a tourist area which is aiming to register its historical cultural assets on the World Heritage List in 2008. This paper analyzes needs relating to UD of tourist information, and describes system design and development efforts based on that analysis. Through a social experiment at Chusonji Temple, satisfactory results were obtained regarding the effectiveness of our approach.
著者
米田 信之 阿部 昭博 大信田 康統 狩野 徹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.27, pp.93-100, 2006-03-17
参考文献数
10
被引用文献数
5

近年 観光地では高齢者 障害者,外国人を含む様々な人に配慮したユニバーサルデザイン(UD)の考え方が重視されつつある. 我々は 歴史文化財の2008年度世界文化遺産登録を目指しているが古都平泉において UD概念による観光情報システムの研究開発を行っている. 本稿では まず研究基盤として試作したRFID/GIS連携サーバについて述べる. 次にRFID携帯電話とITAGサーバを使った観光情報UD化のための基礎的な実験で得られた知見について報告する.In recent years, in tourist sites, the notion of universal design, which gives special consideration to various types of tourists including elderly, disabled and foreign people, is becoming increasingly important. In Hiraizumi areas that are expected to be registered on the World Heritage List in 2008, we are currently conducting experimental field tests for the universally designed tourist information system. This paper first describes the prototyping of the ITAG server to connect RFID and GIS and then examines some important points obtained through the basic testing using ITAG server and mobile phones with RFID readers.
著者
阿部ちひろ 伊藤彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-96, no.3, pp.1-6, 2012-08-02

本稿では,Ngram 言語モデルをもとに歌詞候補文を生成する作詞補助システム 「patissier」 への実装を想定した,歌詞テキストの特徴分析結果を報告する.作詞においては,音韻やアクセントなど技巧的な側面の考慮とともに,楽曲のテーマや歌詞のストーリー設定も重要な要素である.より歌詞らしい候補の生成を目的として,コンテンツ投稿サイト 「ピアプロ」 に投稿された歌詞テキストを用い,一般に歌詞らしさと呼ばれる特徴の定量的検討を行った.また,CSJ (日本語話し言葉コーパス) や blog 記事との比較から,主に使用される単語の違いにより,歌詞とその他の文章は統計的に区別可能であることが示唆された.さらに,3 種類のモデルを用いた歌詞生成実験により,それぞれ異なった傾向を持つ文が生成されることが確かめられた.
著者
猪瀬 武則 山根 栄次 栗原 久 阿部 信太郎 山岡 道男 淺野 忠克 山田 秀和
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

価値多元社会における多面的多角的見方を育成する経済教育カリキュラムの開発研究である。研究を進める上で、「カリキュラム班」と「金融リテラシー班」の二つに分けた。カリキュラム班では、「価値多元社会における多面的多角的見方」の原理研究と海外のカリキュラム調査を試みた。金融リテラシー班は、中学生の金融リテラシー調査結果をもとに、経済的見方の有無にかかわらず一定の経済知識はあることが明確となった。カリキュラム班で明らかにした多面的多角的見方育成の原理と、リテラシー調査班で明らかにした中学生の現状の一端を説明する。前者に関しては、第一に、多面的多角的見方育成のための原理として、(1)一元的な経済学教授から多元的な経済学教授へ、(2)政策決定学習などでの経済論争を基礎とした既得観念との差異を対象化する学習、(3)経済学の合意・不合意を前提としたカリキュラム教材の構成を、(4)行動経済学などの成果を基にした感情などを踏まえた意思決定モデルの精緻化を提起した。また、カリキュラム教材としては、米国では、問題基盤経済学、経済学の倫理的基礎付け教授などのカリキュラム教材によって、英国からはビジネス教育のカリキュラム教材にそのモデルを見いだした。後者のリテラシー班では、稀少性などの経済基本概念がきわめて弱く、福利などの知識が弱かった。財の種類、収益が高い貯蓄商品、複利計算、株と債券の違い、投資家の収益(配当)、分散投資などは、米国に比しても高く、半数以上は把握していた。日米の差異は、文化的背景も考えられるが、カリキュラムや教材を含め、多面的内容構成に課題を投げかけている。