著者
青木 達也
出版者
宇都宮大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、日本の近代化・産業化に寄与した歴史的遺産が地域再生の資源として活用されている。そして、歴史的調査・研究が地域の個性と魅力を引き出す支えとなっている。日光市足尾町について見れば、「近代足尾銅山と鉱害問題の歴史やその関連遺産」が、環境保護の大切さを伝える植樹活動や世界遺産登録を目指した取組みなどに活用されている。足尾地域の遺産を種別に分類すると、探鉱・採鉱、選鉱、製錬、精錬、輸送・通信、生活・文化・教育、維持管理、エネルギー・用水、浄水・廃棄物、経営などに分けられるが、本研究対象はその種別でいうところの「輸送」を担った遺産となる。
著者
青木 優里香 白髪 誠一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.372, 2020 (Released:2020-08-27)

本研究は,三次元ジグソーパズルをデザインするために必要な内部構造の定式化,使用する材料とその高精度な加工方法のアルゴリズムを構築することを目的としている。本報では,内部構造の定式化について行ったアルゴリズムの構築とプロトタイプの製作について報告している。; パズルの外形を立方体とし,それを等分割して立方体のピースを定義する。隣合うピースの接する面に対して,コネクターによって嵌合する接合面と嵌合しない接触面を市松パターンで与えることで全体の組立が可能で,かつ,全体としての一体性を確保することを目標とした。市松パターンのみでは,全体の一体性が確保できないことが明らかとなり,一部に追加の接合面を与えることで一体性を確保した。接合面におけるコネクターの嵌合方向は,各方向の面で一致させることで組立が可能となる。ただし,ピースの角部で隣合うコネクターが干渉するため,コネクターの位置の調整を行った。; 得られた三次元ジグソーパズルの3Dモデルを用いて,スタイロフォームをロボットアームで切削してプロトタイプを製作した。プロトタイプによって,全体の組立が可能であること,一体性が確保されていることを確認した。
著者
澤原 光彦 北村 直也 末光 俊介 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1353-1359, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)

わが国の自殺死亡者は年間3万人を超える事態が1998年から14年間続いた後,2011年から減少に転じ,2014年には25,000人台に減少したが,若年者の自殺死亡率は依然としてきわめて高い水準にあり,15〜39歳までの各年代の死因の第1位を「自殺」が占めている.本稿では,警察庁統計,自殺対策白書,自殺総合対策大綱,各種レビューを参照して,若者の自殺の特徴を紹介した.次いで,学校,地域,救命救急センターで現在行われている自殺防止活動の一部を紹介した.さらに,救命救急センターにおいて自殺企図者に精神科医が対応するときに,注意を要する点を述べた.最後に,思春期・青年期に自殺企図を生じ,そのために筆者が関与した症例のうち代表的な事例3例を提示し,それぞれに短く解説を加え,私見を述べた.
著者
輪島 丈明 中南 秀将 青木 沙恵 瀨山 翔史 野口 雅久
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.1, pp.135-142, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Environmental microorganisms can cause several infections in humans, especially in compromised hosts. Since there are many compromised hosts in a hospital setting, it is important to control environmental pathogens in such scenarios. To disinfect the environment, photocatalysts that produce reactive oxygen in response to light have attracted attention. In the present study, the effects of a visible-light-driven antimicrobial photocatalyst, silver (I) iodide and benzalkonium complex, on bacteria, viruses, and fungi were evaluated in vitro. In addition, uncoated panels and panels coated with the photocatalyst were set up at 11 points in a university campus for 6 months, and the adherent bacteria and fungi were measured. Bacteria, bacterial spores, viruses, and fungi were completely inactivated within 45 min on the photocatalyst-coated surface exposed to approximately 700-lux fluorescent light. In the university setting, there were fewer viable adherent bacteria and fungi on the coated plates. Our findings indicate that the silver (I) iodide and benzalkonium complex photocatalyst can decrease environmental bacteria in vitro and in actual environmental settings, and thus highlight its potential in controlling and disinfecting environmental pathogens.
著者
三浦 誠司 西岡 道人 野澤 慶次郎 藤田 正信 青木 久恭 和田 浩明 捨田利 外茂夫 三重野 寛治 小平 進
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.18-23, 1998 (Released:2009-06-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

22歳,男性.主訴は入工膣からのガス・便の排出.1年10か月前に海外で膣造設術を含む性転換手術を受けている.造影および内視鏡検査では瘻孔は高位にあり,直腸膣中隔の膣側上皮は広汎に欠損していた.手術は経仙骨的アプローチで施行し,直視下に瘻孔を切除して層々に縫合閉鎖した.術後3年以上経過した現在,再発はない,本症例は腹部や大腿部に創痕が残るような術式を拒んだため,瘻孔を閉鎖できたが,膣を安全に使用できるような術式ではなかった.男性性転換手術者に発生する直腸膣瘻の治療は困難で,その理由として発生原因が人工膣の萎縮防止用ステントを長期間使用したための圧迫壊死であること,および造膣手術時に広範囲に剥離が行われていて周囲組織を瘻孔閉鎖手術時の修復に利用できないことなどがあげられている.欧米の報告では本症の発生率は低いが,観察期間が短いものが多いことから過小評価されている可能性が考えられる.
著者
宮崎 哲治 中川 彰子 青木 省三
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.57-66, 2014-01-31

妊娠中の強迫性障害に対し、薬物療法は行わず曝露反応妨害法を中心とする行動療法のみで奏効した患者を経験したので、若干の考察を加え報告する。患者は28歳女性。結婚後、トイレを汚したのではないか、自分が歩いた所は汚れてしまったのではないかという強迫観念が生じ、夫や実母に何度も汚くないとの保証を要求するようになった。妊娠後さらに強迫症状は悪化した。妊娠28週でA精神科診療所を初診したが、トイレに行った際には、除菌シートで足やトイレの床を拭き、トイレでの行動を克明にメモし、携帯電話のカメラで自分の行動などを撮影し確認していた。また、汚れやばい菌をまき散らしてしまうという強迫観念のため料理などの家事もできない状態であった。曝露反応妨害法を中心とする行動療法を開始したところ、強迫症状は徐々に改善していった。出産後は家事も育児も本人が行えるようになり、約半年後の受診時にも強迫症状は認めなかった。
著者
木下 裕介 増田 拓真 中村 秀規 青木 一益
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.127-152, 2018-07

近年,持続可能な社会や都市への移行に向けて,日本の地方自治体(以下,自治体)においては,社会・経済の低炭素化や加速化する少子化・高齢化を含む,各種課題への対応が求められている。これは中長期にわたる包括・包摂的視座の下,既存施策・政策の再編を必須とする構造的変革(structural transformation) の可否を問うものであり,自治体にとっては,地域やコミュニティにおける集合的意思決定を如何にして行い課題解決をはかるのかという,ガバナンスにかかわる問題も含んでいる(Bulkeley et al. 2011; Hodson and Marvin 2010)。これらの点に関連する直近の政策動向としては,SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成をはかるため,2017年12月に国が打ち出した「地方公共団体における持続可能な開発目標(SDGs) の達成に向けた取組の推進」を挙げることができる。この施策は,「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」(2017(平成29)年12 月22 日・閣議決定)および「SDGsアクションプラン2018」(2017(平成29)年12月26日・持続可能な開発目標(SDGs) 推進本部決定)における,「『日本のSDGsモデル』の方向性」において取り決められたものである。このことは,SDGsの達成が,日本の都市・まちづくりを通じた地域・コミュニティの再興(すなわち,地方創生)に資するとの命題が,政府の政策体系に位置づけられたことを意味する。また,ここでの命題を具体化する事業として,国(内閣府地方創生推進事務局)は,2018年2月,自治体によるSDGsの達成に向けた取り組みを公募し,優れた取り組みを提案した最大30程度の都市を「SGDs未来都市」として選定の上,SDGs推進関係省庁タスクフォースによる支援提供を行うとした。上記政策展開において特筆すべきは,SDGsの達成に向けて,自治体が取り組むべき課題・対応策等をめぐり当事者・ステークホルダーが意思決定を行う際の手法として,「バックキャスティング(backcasting)」が明示的に採用された点である。将来シナリオの策定におけるバックキャスティングとは,予測を表すフォアキャスティング(forecasting) と対をなす用語として理解され,通常,あるべき将来を始点としてそこから現在を振り返る方法と定義される(Robinson 1990)。また,一般にバックキャスティングシナリオは,比較的遠い未来(例えば,2050年)のあるべき姿(ビジョン)を設定した後,その達成のために何をすればよいか(パス)を未来から現在まで時間的逆方向に考えるというプロセスで生成するものを指す(Kishita et al. 2016)。バックキャスティングを用いた将来シナリオの作成は,社会・経済を規定する制度・構造にまで踏み込んだ,イノベーションを伴う抜本的変革が求められる課題遂行において有効とされる。サステナビリティ・サイエンス(Sustainability Science)の分野では,2000年代以降,気候変動,エネルギー,SDGsといった政策課題への対応において,バックキャスティングを用いた将来シナリオがさかんに作成されるようになってきた(Kishita et al. 2016)。持続可能な社会への移行を企図したシナリオ作成に孕む困難な問題として,各自治体が目指すべき都市や地域に関する理想の将来像(ビジョン)が必ずしもステークホルダー間で共有されていない点が挙げられる。この問題の解決に向けたより民主的な政策立案の手法として,サステナビリティ・サイエンスの分野では参加型アプローチ(participatory approach) が注目を集めている(Lang et al. 2012; Kasemir et al. 2003)。その具体的な事例は欧州でさかんに見られるが,日本でもここ最近は行政や専門家が参画した市民ワークショップの開催という形態を中心として,さかんに実践されている(Kishita et al.2016; McLellan et al. 2016; 木下・渡辺 2015)。しかしながら,自治体や都市・地域の将来ビジョンを作成するための理論や方法論は,いまだ確立されていないのが現状である。また,ビジョン作成をどのように政策立案プロセスあるいは合意形成プロセスに反映させるべきかといったガバナンス問題に関する調査研究も,依然として萌芽段階である。そこで,本稿では,上記の研究課題の解決に向けたアプローチのひとつとして,市民ワークショップ(以下,WS)を用いたバックキャスティングシナリオ作成手法を提案する。本稿で提案する手法では,ロジックツリーと呼ばれるツールを用いて市民WSでの議論を因果関係に沿って構造化した上で,ビジョンに関する重要なキーワード(キーファクター)の抽出に基づいて複数のビジョンを作成する。さらに,シナリオの作成過程でWS参加者が議論した内容の論理構造を分析するため,持続可能社会シミュレータ(以下,3S シミュレータ)という計算機システムを用いる(Umeda et al. 2009)。このシステムは,持続可能社会シナリオの理解・作成・分析を統合的に支援することを目的として筆者らが開発してきたシステムであり,ビジョンとパスから構成されるシナリオの論理構造を可視化することができる(Umeda et al. 2009)。本研究では,以上の手法を,2064年の富山市における持続可能社会のシナリオを描くことを目的とした市民参加型WSに適用した。そこでは,年齢・性別・職業が多様になるように,10~70代の男女,合計16名を集めたWSを,全3回にわたって富山市で開催した。WSでは,参加市民を同様の人員構成となるよう2つのグループ(各8名)に分け,中立的ファシリテーションの下で対話・討議し,そこで示された様々なアイディアを記した文章と録音による発話データに基づいて,バックキャスティングシナリオを作成した。本稿の主たる目的は,市民WSを用いて得られた2本のシナリオのコンテンツおよびシナリオ作成のプロセスを通して,ビジョンの実現のために満足すべき目標と,とりうる政策オプションやその他の手段との関係性を分析することにある。さらに,本稿では,筆者らが提案したシナリオ作成プロセスが,ステークホルダー間の合意形成や自治体における政策立案に対してどのように資するのかという,ガバナンス問題についても考察を行う。
著者
益川 敏英 山脇 幸一 棚橋 誠治 原田 正康 野尻 伸一 前川 展祐 早川 雅司 戸部 和弘 酒井 忠勝 野中 千穂 青木 保道 松崎 真也 柴田 章博 曽我見 郁夫 深谷 英則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

質量の起源を担うヒッグス粒子が発見されたが、その本性は未解決のままである。本計画は「はしご近似」や「ホログラフィー」の模型的計算に基づき、ヒッグス粒子が「ウォーキングテクニカラー理論」で予言された軽い複合粒子「テクニディラトン」として説明できることを示した。一方、第一原理計算方法である格子QCDの計算機シミュレーションにより、フレーバー8のQCDが「ウォーキングテクニカラー理論」の候補となること示し、他のグループも追認した。さらに、フレーバー12(複数の他グループが追認)とフレーバー8において軽いフレーバー1重項スカラーメソンを発見した。後者は「テクニディラトン」の候補である。
著者
岡田 康志 松岡 里実 石島 秋彦 伊藤 創祐 川口 喬吾 池崎 圭吾 澤井 哲 佐々 真一 神原 丈敏 榎 佐和子 竹内 一将 猪股 秀彦 沙川 貴大 青木 一洋 小林 徹也 中島 昭彦 福岡 創
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本領域は、生命現象を分子レベルから定量的に計測する技術の発展と、非平衡系の統計力学・情報熱力学理論の深化を背景とした、両者の融合領域である。生命現象の理解という具体的な課題に対して「情報を力、エネルギーと同列に物理的対象として議論する新しい物理学」を構築することで、生物学と物理学の間の新たな学際領域を開拓する。この目的を達成するために、本総括班は、領域内での生物系の実験研究と物理系の理論研究の学際融合研究を推進する
著者
小栢 進也 樋口 由美 青木 紫方吏 松島 礼佳 岩田 晃 淵岡 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0285, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節の滑膜に囲まれた空隙には滑液が貯留されており,関節運動の円滑性に寄与するとされる。関節内圧の変化によって滑液の貯留量は一定に保たれているが,炎症などによって滑液が過剰に産生されると関節浮腫を形成する。関節浮腫は大腿四頭筋の活動抑制や膝関節痛を生じるとされており,高齢者の身体活動に重要な膝伸展筋力の低下につながる。一方,高齢者の身体機能低下の予防には筋力トレーニングが実施され,筋力増強,動作能力向上など多くの効果が報告されているが,関節浮腫にどのような影響を与えるかに関しては十分な知見が得られていない。関節内圧は筋収縮によって上昇するため,筋力トレーニングは滑液循環に影響を与えることが予想される。さらに近年は筋力トレーニングによって炎症が抑制されるとの報告もあり,トレーニングにより関節浮腫を予防できる可能性がある。滑液量が過剰になると膝蓋上嚢の肥厚が認められることから,本実験では高齢者を対象として膝伸展筋力トレーニングを実施し,膝蓋上嚢の厚さがどのように変化するかを調べた。【方法】日常生活が自立している60歳以上の地域在住高齢者122名を対象とし,関節浮腫のスクリーニング検査を行った。ベッド上背臥位で膝30°屈曲位とし,膝蓋骨上縁に大腿骨長軸と水平になるよう超音波診断装置(Logiq Book XP)のプローブを当て,膝蓋骨上縁を撮像した。スクリーニング検査で膝蓋上嚢に1mm以上の肥厚が認められた方を対象として,実験の参加者を募った。ただし,膝窩部の浮腫であるバーカーズシストが確認された被験者は研究対象から除外した。研究参加に同意が得られた被験者を無作為にトレーニング群とコントロール群に分類した。トレーニングはセラバンドを用いた膝伸展抵抗運動10回3セットを自宅で実施することとし,週4回2か月間実施した。なお,高負荷トレーニングが実施できるよう初回に強度を指導した。介入前後に超音波を用い膝蓋骨上方の内側,中央,外側を撮像して,関節上嚢の厚さを計測した。身体機能検査は膝伸展筋力,歩行速度を計測した。統計解析にはSPSSを用い,トレーニング前の群間比較にt検定およびカイ二乗検定,トレーニング効果の検証に介入前のデータを共変量とした共分散分析を用いた。有意水準は5%とした。【結果】スクリーニングテストより対象となった73名のうち,45名に研究参加の同意が得られ,トレーニング群23名,コントロール群22名に割り付けた。トレーニング群1名,コントロール群2名は介入後の測定が困難であった。また,コントロール群の2名にバーカーズシストが確認されたため,最終的にトレーニング群22名(男性10名,女性12名,年齢74.0±6.8歳),コントロール群18名(男性6名,女性12名,74.1±5.8歳)が解析対象となった。介入前はすべての項目で有意差を認めなかった。膝蓋上嚢の厚さは内側部と外側部で交互作用を認め,トレーニング群で減少した(内側部:トレーニング群 介入前3.5±1.7mm介入後2.8±1.5mm,コントロール群 介入前4.1±1.5mm介入後4.2±1.4mm,外側部:トレーニング群 介入前4.0±2.3mm介入後3.4±1.7mm,コントロール群 介入前4.5±1.8mm介入後4.7±1.8mm)。膝伸展筋力にも交互作用が認められ,トレーニング群で筋力が向上した。その他の項目に有意差を認めなかった。【考察】トレーニング群では介入後に膝蓋上嚢の厚みが減少した。これは膝蓋上嚢に貯留している滑液が減少したためと考える。膝関節の滑液は膝蓋上嚢と膝窩部に貯留しやすいと言われているが,今回の研究では膝窩部の浮腫であるバーカーズシストが確認された被験者は除外している。よって,関節上嚢の厚み減少は膝関節全体の関節液貯留量減少による可能性が高いと考える。【理学療法学研究としての意義】膝伸展筋力トレーニングは筋力増強効果だけでなく,膝関節の滑液貯留量を減少させる可能性がある。本研究では筋力トレーニングの新たな効果が示された。
著者
野口 康彦 青木 聡 小田切 紀子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

質問紙及びインタビューによる調査等から,子どもが別居親と交流を持つことは,子どもの親への信頼感において,重要な要因となることが確認された。また,別居親と子どもが満足するような面会交流がされている方がそうでない場合よりも,自己肯定感や環境への適応が高いことも明らかになった。また、ノルウェー視察の結果については、関連の学会だけでなく、家庭裁判所の調査官や臨床心理市などの専門家への研修においても、報告をすることができた。日本における離婚後の子どもの権利擁護のあり方について、一定の示唆を行うことができた。
著者
秋枝(青木) 美保
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.A21-A34, 2006-03-01

現代作家の中でも宮沢賢治の作品を最も多く引用している長野まゆみの作品において、その引用が童話「銀河鉄道の夜」に集中していることを示し、そこに「病む女性」という共通の要素があることを指摘する。さらに、それが一九八〇年代文化と一九二〇〜三〇年代の文化的背景との共通の問題の基盤に由来することを示唆する。