著者
森 久栄 黒田 研二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.138-150, 2019-03-15 (Released:2019-03-26)
参考文献数
21

目的 これまで報告されていない乳児院・児童養護施設での食物アレルギー児の在籍状況および食物アレルギーの給食対応の実態を明らかにし,ガイドライン・マニュアル等の有無別に比較する。方法 全国の乳児院・児童養護施設に自記式アンケート調査を郵送した。回収数は394(乳児院107,児童養護施設287)施設,回収率は53.6%であった。有病率等の実態把握には,人数記載のある392施設を集計対象とした。ガイドライン・マニュアル等の有無との関連の検討には,食物アレルギー児がいる230施設を解析対象とした。ガイドライン・マニュアルの有無を目的変数に,アナフィラキシーショックなどのアレルギーに関連する事象の有無ならびに給食対応との関連をフィッシャーの正確確率検定および多変量ロジスティック回帰分析で検討した。結果 392施設の食物アレルギーの有病率3.31%であった。「医師の診断書等がない児童」,「アレルギー情報が未確認のまま入所した児童」,「入所時情報と事実に相違のあった児童」は,アレルギー児童の約20%~50%と高率で在籍し,入所時点での情報が把握しにくい現状がうかがわれた。 230施設のうち何らかのガイドライン等を用いている施設は25.0%,明文化された申し合わせ事項を含めても32.1%しかなかった。「施設種別」を調整変数とし,ガイドライン等による取り組みを行っている施設のオッズ比をみると,医師の診断書がない児童がいる(0.35),情報収集のための統一書式がある(5.04),定期的な更新をしている(2.85),ヒヤリハット・誤食時の報告を課している(2.49)の項目で有意であった。また,過去にアナフィラキシーショックを起こした児童がいる(9.72),アレルギー情報が未確認のまま入所した児童がいる(3.12)についても関連が強かった。結論 給食対応についてガイドライン等を用いていた施設では,情報収集書式の整備や情報の更新,ヒヤリハット・誤食の報告などでルール化された取り組みを行っていた。ガイドライン等のある方がアナフィラキシーショックを起こした児童や入所時に情報未確認の児童がいる施設が多かったが,調査時では医師の診断書を得ているなど,入所後に適切な対応がなされているものとうかがわれた。
著者
黒田 長禮
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.282-283, 1976-11-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
4

A presumed old female pintail Anas acuta with masculinized plumage pattern is here reported with its photo taken by Mr. Akio Sasagawa at Shinobazu pond, Ueno Zoo, Tokyo, early February, 1974. It has rough flank markings and elongated central tail feathess.Another example of different plumage pattern also found at the same pond, photographed a 10 February 1976, by Mr. Kazue Nakamura is added.Kuroda (1929, '39) had reported another old record of the pintail and a female Mandarin duck Aix galericulata was masculinized when molted after long kept in author's aviary.
著者
黒田 舞子
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.10, pp.783-802, 2017-03

文部科学省グローバルCOEプログラム 関西大学文化交渉学教育研究拠点松浦章教授古稀記念号[研究ノート]In the relationship between Tang and Tibet, you can see that the principal offender was the basis of important diplomatic relations. About the Tang and Tibet in the 7th century - the first half of the 8th century, the whole history of Tibet has been revealed by many previous studies. Therefore, in this paper, in the history of Tibet, which mainly includes Chinese historical documents such as "Old Tang Book" and "New Tang Book", the relationship between Tang and Tibet in the history of Tibet, ~ The relationship between Tang and Tibet in the first half of the 8th century, the historical background of the lord's principal, will clarify the meaning that the principal owner of bride's wife married to Tibet and the impact on current.
著者
黒田 祐二 桜井 茂男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.86-95, 2003-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
28
被引用文献数
12 6

本研究は, 友人関係場面における目標志向性と抑うつとの関係に介在するメカニズムを明らかにすることを目的として行われた。両者に介在するメカニズムとしては, Dykman (1998) により提唱されたディストレス生成モデル (目標志向性が対人行動を通してネガティブな出来事を促進 (ないし抑制) し, その結果抑うつが促進 (ないし抑制) される) に加えて, 新たにユーストレス生成モデル (目標志向性が対人行動を通してポジティブな出来事を促進 (ないし抑制) し, その結果抑うっが抑制 (ないし促進) される) を提唱し, この2つのモデルを検討した。重回帰分析による結果から, 3つの目標と抑うつとの関係はいずれもユーストレス生成モデルで説明できることが示された。すなわち,(1) 「経験・成長目標→関係構築・維持行動及び向社会的行動→ポジティブな出来事の発生→非抑うつ」,(2)「評価一接近目標→関係構築・維持行動→ポジティブな出来事の発生→非抑うつ」,(3)「評価一回避目標→関係構築・維持行動の不足→ポジティブな出来事の非発生→ 抑うつ」,という結果が示された。本研究の関連する既存の研究領域及び教育的介入に対する示唆が論じられた。
著者
幡野 敦 黒田 真也
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.37-45, 2018 (Released:2018-12-29)
参考文献数
28

近年,細胞内で分子活性を計測するオミクス技術が次々と開発され,オミクス研究はこれまでの網羅的解析以上に多様な付加価値を持つようになった.一方でこれらのオミクスデータをどのように解析するかに関して明確な指針はなく,研究者それぞれが試行錯誤の末,データから新たな知見を見出すことが一般的である.そこで我々はオミクスデータ解析の一つの指針として多階層生化学反応ネットワークの再構築を行うトランスオミクス解析を提案している.トランスオミクス解析では複数のオミクスデータをデータベースに基づいた事前知識により統合することで多階層生化学反応ネットワークを再構築し,生化学反応の数理モデルにより反応網羅的にその特性を明らかとする.本稿ではトランスオミクスの概念を示し,実際にトランスオミクス解析に有用なプロテオミクス技術とそのメリット・デメリットについて紹介する.
著者
本多 正史 石崎 太一 黒田 素央
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.443-446, 2006-08-15 (Released:2007-09-14)
参考文献数
16
被引用文献数
13 23

本評価では,(1) 1日4時間以上VDT作業を行っている労働者であり,(2) 11名中9名が「眼が疲れる」「眼がかすむ」「肩,腰がこる」を感じており,(3) 平均年齢が45.7±7.8歳のパネル11名(男性)を対象に解析を行い,以下2点が明らかになった.(1)鰹節だしの4週間継続摂取により,自覚症状に関して,眼精疲労にみられる「眼が疲れる」「眼がかすむ」「涙がでる」「眼が赤くなる」などの項目が初期値に比べて主に摂取3週目,4週目で改善傾向を示した.(2)フリッカーテストの結果,主に夕方のフリッカー値が初期値に比べて摂取4週目で有意に上昇した.前観察期間のフリッカー値のΔ(朝-夕方)の平均値を基準に層別解析を行った結果,平均以上のパネルでは,顕著にΔ(朝-夕方)が低下した.平均以下のパネルでは,ほとんど変化しなかった.以上の結果から,鰹節だし摂取により眼精疲労が改善される可能性が示唆された.
著者
原 政代 黒田 研二
出版者
関西大学人間健康学部
雑誌
人間健康学研究 (ISSN:21854939)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.15-23, 2018-03-31

目的:本研究は、生活保護現業員の仕事のやりがい感に関連する要因を明らかにし、やりがい感を支援する方策を検討することを目的とした。方法:政令指定都市、中核市、特例市である3つの市の10か所の福祉事務所の生活保護現業員全数212人を対象に自記式質問紙調査を行った(有効回答数178人、有効回答率85.6%)。調査内容に含まれる項目のうち、仕事のやりがい感(5件法で質問し回答に1点~5点を付与)を従属変数とした。回答者の属性、職場内の事例検討等の実施、受給者への健康支援の対応、受給者に対する支援関係の基本姿勢、他部門・他機関・他職種等との連携から独立変数を設定して分析を行った。まず、2変数間の関係をt 検定、分散分析、相関係数により調べ、仕事のやりがい感に有意に関連を示す変数を見い出し、次にそれらを独立変数としたステップワイズ(漸増法)の重回帰分析を行った。結果:2変数間の関係の分析の結果、仕事のやりがい感と回答者の所属自治体、専門職資格の有無、職場での支援困難事例の相談・検討、定期的な事例検討、健康支援得点、支援関係得点、行政内連携、および医療・介護との連携との間に、有意な関連が見出された。所属自治体を除く7変数を独立変数とする重回帰分析により、仕事のやりがい感に対し、健康支援得点、支援困難事例の相談・検討、行政内連携が有意な関連を示した。結論:生活保護現業員の仕事のやりがい感を支援するには、受給者との関係で健康支援の観点を重視すること、支援困難事例の検討等のスーパーバイズを重視した職場環境づくり、さらに関係部門・機関との連携を図ることが重要である。支援者自らが仕事のやりがい感を感じることは、受給者のQOLの向上を図る上においても重要であろう。[Objective] This study aims to clarify factors affecting the feeling that their work is worthwhile among caseworkers engaged in livelihood protection programs and to identify measures to promote this feeling. [Method] A questionnaire survey was conducted at 10 welfare offices in 3 municipalities. The survey participants were 212 caseworkers, of whom 208 returned questionnaires. Statistical analyses were performed for 178 questionnaires, as the valid response rate was 85.6%. The caseworkers' feeling that their work was worthwhile was evaluated using a five-point scale to obtain the worthwhile work score (WWS). In the statistical analyses, WWS was used as the dependent variable, and the relationship between WWS and each independent variable was analyzed using t-test, analysis of variance, and correlation coefficients to identify statistically significant variables. A multiple regression analysis was then conducted using significant independent variables. [Results] The following variables exhibited a statistically significant relationship to WWS: municipalities, professional qualifications, consultation regarding difficult cases, regular case study meetings, health support score, helping relation score, collaboration within the local government, and collaboration with medical and long-term care. The multiple regression analysis using seven variables as independent variables excluding municipalities revealed that health support score, consultation regarding difficult cases, and collaboration within the local government were significantly related to WWS. [Conclusion] To promote the feeling that their work is worthwhile among caseworkers, it is important for them to develop an attitude of respect for the health and well-being of their recipients. In addition, job environments that ensure supervision and consultation, and increased collaboration with the relevant government department and facilities are important. Promoting the feeling that their work is worthwhile among caseworkers will also contribute toward the improvement of recipients' QOL.
著者
下島 優香子 井田 美樹 西野 由香里 石塚 理恵 黒田 寿美代 仲真 晶子 平井 昭彦 貞升 健志 甲斐 明美
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.209-214, 2015-12-30 (Released:2016-01-08)
参考文献数
28

2010~2013年に都内の食肉処理場および小売店で購入した牛内臓肉104検体について,糞便系大腸菌群,VTEC,C. jejuni,C. coli,SalmonellaおよびL. monocytogenesの調査を行った.その結果,糞便系大腸菌群は, 85検体(81.7%)が陽性であった.VTECは25検体(24.0%)から31株検出された.そのうち1検体は糞便系大腸菌群陰性であった.血清群O157は 17検体(18株),O26が1検体(1株),O103が1検体(1株),その他の血清群(O1,O28,O91,O153,OUT)が7検体(11株)から検出された.付着遺伝子保有状況を調べた結果,eaeは血清群O157,O26,O103の20株が陽性,saaは血清群O28,O153,OUTの5株が陽性であった.aggRはすべての株が陰性であった.C. jejuniは42検体(40.4%)から50株,C. coliは16検体(15.4%)から16株が検出された.Salmonellaは4検体(3.8%)から5株検出され,血清群はO4群が4株(いずれも血清型Derby),O3, 10群が1株(血清型Amsterdam)であった.L. monocytogenesは22検体(21.2%)が陽性であった.以上の結果から,牛内臓肉は腸管出血性大腸菌を含む食中毒菌に高率に汚染されていることが明らかとなった.
著者
黒田 昌克 森山 潤
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.169-172, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
5

本研究では,全国の小学校教員を対象にプログラミング教育の課題や教員研修に対する意識を調査した(n =522).その結果,全体の92.0%がプログラミング教育に関する自己の知識・理解の不足に課題を感じていた.教員研修で得たい情報としては,81.4%がモデル授業の実践事例が必要と回答した.しかし,現任校の情報機器整備の不十分さに課題意識を持っている小学校教員がプログラミング教育のカリキュラム案に必要性を感じる傾向が強いなど,教員研修の内容に対するニーズは,課題意識の持ち方によって異なっている傾向が示された.
著者
黒田 美代子
出版者
駒沢女子大学
雑誌
駒沢女子大学研究紀要 (ISSN:13408631)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.43-52, 2000-12-24

The Mideast Peace Process involving Syria, Palestine, Israel and the U. S. has no prospect of bearing fruit despite the efforts of President Clinton to mediate the dispute. As his term comes to the end there seems no end to a conflict that has lasted more than fifty years. To most people, the problems between the Palestinians and the Israelis seem insoluble ; however, the author feels that there is a solution. The United Nations Security Council, as a legitimate international body, has historically held serious and wide-ranging discussions on the problem ; further, they have passed resolutions which show the way toward a lasting solution. However, the logic of power politics prevails at peace talks and the spirit of international cooperation and conciliation has been sacrificed to the reality of power. The failure of the peace process is therefore structural in nature : one party wants to negotiate based on the resolutions passed by the Security Council ; the other party insists on using the logic of power politics. In the end, both parties must rely on principle rather than power politics. As long as the adherence to power politics remains more important than the belief in principles based on ethical and moral right, the pease process will wither before it has had a chance to bear fruit. By observing the U. N. resolutions, the process of peace can become a reality rather than a dream. This paper will seek to clarify the problems caused by the misinformation disseminated to obscure the essential aspects of the situation, making an understanding of the problem so hard to grasp. It is to be hoped that once the parties involved come to adhere to the U. N. resolutions, a permanent peace will be achieved.
著者
橋本 佳延 服部 保 岩切 康二 田村 和也 黒田 有寿茂 澤田 佳宏
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.151-160, 2008
参考文献数
40
被引用文献数
4

タケ類天狗巣病は、麦角菌科の一種Aciculosporium take Miyakeの感染によって生じるタケ類を枯死に至らしめる病気で、日本国内では野外においてマダケおよびモウソウチクを含む6属19種8変種8品種2園芸品種のタケ類、ササ類で感染することが確認されており、近年では国内各地で本病による竹林の枯損被害が報告されている。本研究は、兵庫県以西の西日本一帯を中心とした地域において、マダケ群落およびモウソウチク群落のタケ類天狗巣病による枯損の現状を明らかにし、天狗巣病の影響による今後の竹林の動態を考察することを目的とした。西日本の17県および新潟県、宮城県、静岡県の3県において、本病によるマダケ群落およびモウソウチク群落の枯損状況を調査した結果、西日本におけるマダケ群落における本病発症率は全体では93.2%、各県では75%以上と高い水準であったほか、本病による重度枯損林分は10県で確認された。一方、モウソウチク群落における本病発症率は、西日本全体では3.9%、発症率10%未満の県が15県(うち6県が0%)と極めて低い水準で、重度枯損林分も島根県で1ヵ所確認されたのみと被害の程度は低かったが、参考調査地の静岡県においては発症率が50%と高かった。これらのことから、本病は、(1)西日本各地でマダケ群落を枯損に至らしめる可能性のある病気であり、ほとんどのマダケ群落で発症していること、(2)西日本ではモウソウチク群落を枯死させることはまれな病気であり発症率も低いが、局所的に発症率の高い地域もみられることが明らかとなった。また、今後はマダケ群落の発症林分における病徴が進行し国内の広い範囲でマダケ群落の枯損林分が増加すると予想されたが、モウソウチク群落については発症林分や枯死林分の事例が少ないことから今後の動向についての予測は難しくモニタリングにより明らかにする必要があると考えられた。
著者
黒田 源次
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理研究 (ISSN:18841066)
巻号頁・発行日
vol.10, no.55, pp.33-49, 1916-07-01 (Released:2010-07-16)
参考文献数
12
被引用文献数
2 4