著者
篠原 邦夫 鷲尾 方一 近藤 威 成山 展照
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

放射線治療の新しい方法として、微小平板ビーム放射線療法(MRT)が提案されている。本研究では、SPring-8放射光を用いたMRT動物実験の照射条件、動物実験による作用機構、高エネルギーX線の利用可能性、治療法としての最適化、の検討を行い、照射の際にアライメントの精密化が必須であること、作用機構としては照射後に腫瘍内に低酸素細胞の増加を確認したこと、また適正なビーム幅があること、およびX線のエネルギーとして100-250 keVが適正と考えられることなどを明らかにした。
著者
山口 裕文 佐合 隆一 伊藤 一幸 榎本 敬 種坂 英次 秋本 正博 副島 顕子 大野 朋子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

耕地雑草あるいは侵入植物として生物多様性に影響を及ぼす恐れのあるヒエ属植物(イネ科)について、ユーラシア、北南米、アフリカ、オセアニア地域において海外踏査を行い生態的特性と形態的多様性の実態を調査し、植物標本館における調査と併せて、地域ごとに多様性の実態をまとめた。一年生種は原生地および侵入地とも稲作や畑地の雑草として、国際移動した多年生種は侵入種として水辺や湿地の生物多様性に影響すると推定される。
著者
山本 光正 宇田川 武久 齋藤 努 三宅 宏司 保谷 徹 山本 光正 坂本 稔 PAULJACK Verhoeven 前川 佳遠理 高塚 秀治 村上 藤次郎 法華 三郎信房 法華 三郎栄喜 伊達 元成 服部 晃央
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

国内・国外に所蔵される銃砲に関する文献史料(炮術秘伝書)および実物資料(銃砲)の調査を行い、16世紀なかば鉄炮伝来から19世紀末の明治初年までの日本銃砲史が5期に区分できることを示し、またその技術的変遷を明らかにした。鉄炮銃身に使用されている素材である軟鉄を作るための精錬方法である大鍛冶はすでに技術伝承が途絶えていたが、文献記録にある各工程の意味を明らかにし、その再現に成功した。
著者
吉村 臨兵 北 明美
出版者
福井県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

米国の最低賃金規制についてリビング・ウェイジ(生活賃金)条例を中心に数カ所で聞き取り調査を行った。そうした制度を実現して実効性を維持するための取り組みがどんな社会集団によってどのように行われているか、具体的な情報が得られた。また、連邦最低賃金が毎年上昇する時期に重なったこともあり、リビング・ウェイジが直接の賃金上昇よりも、むしろ労働基準の広範な改善のきっかけとしての機能を強めつつあることがわかった。
著者
宮島 昌克 北浦 勝 池本 敏和 村田 晶 清野 純史 能島 暢呂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在,被害地震の直後には被災建築物応急危険度判定士によって建物の健全度が判定されているが,医療機関の機能の健全度を評価するものではないので,医療機関においては効果を発揮し得ない。このような観点から本研究では,医療機関における建物の健全度のみならず,救命ライフラインや医療機器の耐震機能評価法を考究することを目的とする。まず,過去の地震における医療機関の被災資料を収集した。近年わが国で発生した地震のみならず,アルジェリア・ブーメルデス地震やイラン・バム地震などの被害についても調査し,世界共通の視点から分析した。その結果,地震後の医療機能損失の要因としては建物そのものの損壊,ライフラインの機能喪失,医療機器の転倒,落下に大きく分ける必要があることが明らかとなった。つぎに,2007年3月に発生した能登半島地震と7月に発生した新潟県中越地震の際に被災地の医療施設に対して地震被害が医療機能に与えた影響に関するアンケート調査を実施した。ここでは,上記のように,建物そのものの損壊,ライフラインの機能喪失,医療機器の転倒,落下に分けて,それぞれの被害が医療機能にどのような影響を及ぼしたかについて整理,分析した。その結果,能登半島地震および新潟県中越沖地震では,医療施設において生活機能,医療機能の両面に対して断水被害の影響が目立ったことが明らかとなった。さらに,長周期地震動に対して敏感であると考えられ,しかも医療機器類に多い,キャスター付き機器の振動特性を明らかにするために,正弦波を用いた振動台実験を行い,医療機器類のフラジリティ曲線を求めた。さらに,病院内のライフラインの損傷や薬品棚の転倒が医療機能に及ぼす影響を検討し,それぞれのフラジリティ曲線を提示するとともに,地震時の医療機関の機能損曲線を提案した。
著者
鉄村 琢哉 本勝 千歳
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

屈曲した培養根は多数の側根を形成するというシロイヌナズナで認められた知見をもとに、バーミキュライトを添加し、ゲルライトで固化した培地を根発達培地として使用することにより、カキ栽培品種およびマンゴー実生由来のミクロ挿し穂から発生した1次根に側根を形成させることに成功した。この根発達培地は発根能力の低いニホンナシ栽培品種やマンゴー実生由来のミクロ挿し穂の発根率を向上させた。シロイヌナズナの側根形成に関わる遺伝子解析のための変異系統の作出に成功した。
著者
崔 ジュン豪 中尾 節男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではSi-DLC膜の表面に酸素プラズマ処理を施すことで超低摩擦および高硬度を兼ね備えた膜を開発し,その摩擦摩耗機構の検討を行った.シリコン含有量の増加とともにSi-DLC膜の摩擦係数と硬さはともに減少する.酸素プラズマ処理によりSi-DLC膜の膜全体の硬度は維持したまま,摩擦係数は0.02まで低減できる.酸素プラズマ処理により,シリコン酸化物,カーボンで構成される移着膜を増やすことができ,これにより低摩擦化が実現できる.グラファイト化が進んだカーボンの移着は,Si-DLC膜の低摩擦の一つの原因である.以上の結果から酸素プラズマ処理は,Si-DLC膜の低摩擦化,シリコン添加による硬度減少の防止に有効であると考える.
著者
大野 早苗 伊藤 成康 神楽岡 優昌 茶野 努 東郷 賢
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトの第一の目的「国際商品価格の決定要因及び変動特性の分析」では、世界的な流動性増大を背景に商品市場への投機資金の流入が急増した2000年代以降、商品価格に対する流動性要因の影響が拡大し、また商品価格と株価との相関が上昇などの結果が確認された。また、本研究プロジェクトの第二の目的「資源保有国に対する海外資本流入の形態とその決定要因」に関して、資源価格の上昇はFDIよりもむしろ短期資金流入を促進させたり、為替変動が投機的資金流入を促し「資源の呪い」問題を悪化させる可能性が示唆された。
著者
木越 英夫 北 将樹 早川 一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,抗腫瘍性および腫瘍細胞増殖抑制活性を持つ研究代表者独自の化合物であるアプリロニンA,オーリライド,ハテルマライド類の抗腫瘍性および腫瘍細胞増殖阻害活性の発現機構に関する研究を行った.アプリロニンAについては,人工類縁体(ハイブリッド化合物)を合成し,その生物活性を検定した.オーリライドについては,その標的分子がプロヒビチンであることを確認し,活性発現機構を解明した.ハテルマライドについては,その人工類縁体を調製し,構造活性相関を得た.
著者
村山 留美子 内山 巖雄 中畝 菜穂子 岸川 洋紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

全国の成人を対象とし,一般市民のリスクや科学技術に関する認知レベルとその構造の把握のための調査を行った。その結果,1)17の項目について,それぞれの項目が持つ特徴的な認知構造について明らかにした。日常良く使用するものや科学技術では,必要性や恩恵を感じている場合,危険度の認知が低くなる傾向が示された。2)東日本大震災一年前の市民の地震へのリスク認知は非常に高かった。特に京浜,東海地域で意識が高く,一方で東北地方はやや低くなっていた。また,原子力発電所については,生活への必要性が高いと認知されている項目であった。半数以上が危険であると認知し,安全性がないとの意識を持っていたが,他の項目から相対的に見た場合,その意識はそれ程高くなかった。東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の事故を鑑み,大地震や原子力発電所等の電力供給源については東日本大震災以後大きく認知構造が変わる可能性があり,今後もその変動を検討する必要がある。
著者
熊倉 俊郎 陸 旻皎 石坂 雅昭 田村 盛彰 山口 悟
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

季節的な大雪や強い降雪は雪国の社会生活に危険を及ぼす。これを避けるために除雪、防護柵設置、安全情報の配信などが行われているが、その際に、本来利用したいのにできないのが、雨か雪かあられかの降水種別情報である。理由は、粒子種別を正確にかつ簡易的に自動で行う機器がないためである。そこで、ここでは簡易的な雨・雪・あられの判別器を試作し、特別なデータ処理により、自動では難しいとされる雪とあられの判別率を8割にまで高めた。また、この降水種別データを用い、未解明な課題に対して新たな知見を得た。
著者
沖津 進 百原 新 守田 益宗 苅谷 愛彦 植木 岳雪 三宅 尚
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,本州中部日本海側山地において,高山・亜高山域での最終氷期以降の植物群と環境の変遷史を,湿潤多雪環境の推移および植物地理的な分布要素に基づき整理した植物群の挙動を中心として,固有性の高い植物群落の形成過程に焦点を当てて明らかにし,「乾燥気候が卓越した最終氷期時にも,より湿潤な気候下に分布するベーリング要素植物群が,地形的なすみわけを通じて共存分布していた」との,全く新しい植物群・環境変遷史を提示した.
著者
五島 正裕 坂井 修一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

SIMDは,ベクトル処理の方式として中心的な地位を占めているが,プログラマビリティに問題があり,複雑化するアプリケーションに対処することができない.本研究は,プログラマビリティと最大性能を両立することを目標とする.Switch-on-Future-Eventマルチスレッディングは,プログラマビリティを犠牲にすることなく,最大で33.5%の性能向上を達成することができる.マルチスレッディングのために生じるレジスタ・ファイルの大型化は,非レイテンシ指向レジスタ・キャッシュ・システムによって緩和することができる.シミュレーションにより,回路面積は24.9%にまで削減できることが示された.
著者
岩井原 瑞穂 吉川 正俊 馬 強 浅野 泰仁
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究はソーシャルネットワークサービス(SNS)やWikiに代表されるソーシャルコンテンツから有用な情報を抽出する技術の開発を目的としている.wiki型コンテンツは多人数が1 つの記事を更新することにより,バージョンが蓄積されるが,その派生過程を正確に求める手法を開発した.またSNSにおいて利用者が行うプライバシー設定の傾向を分析し,適切な設定を推薦する手法を開発した.さらにコンテンツのアクセス制御について効率的な手法の開発を行った.
著者
早瀬 晋三 加藤 剛 吉川 利治 桃木 至朗 弘末 雅士 深見 純生 渡辺 佳成
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、つぎの3つの柱を中心に活動を進めた:1.日本における東南アジア史教育の現状と課題の把握、2.他分野・他地域との関連、3.外国史と自国史。それぞれ1年間の活動を目処におこない、3年目は平行して研究成果のとりまとめをおこなった。第1年度の「日本における東南アジア史教育の現状と課題の把握」では、長年東南アジア史研究・教育に従事してきた先達に、その経験から現状と課題を指摘してもらうと同時に、学生時代に戻って卒論・修論を書くなら、どのようなテーマを選び、どのような準備をするかなど、現在の学生の身になった具体的な論文構想を語ってもらった。また、近年各大学で取り上げられた東南アジア関係の卒論・修論のテーマを収集し、その傾向と問題点を探った。第2年度は、周辺領域分野・地域との関連で東南アジア史研究を考えた。東南アジア史研究に有効な関連分野の理論・手法を学ぶとともに、関連分野に東南アジア史研究で培った理論・手法がどのように活かせるかを考察した。関連分野の研究者との意見交換により、東南アジア史研究の幅を広げ、奥行きを深めることを目標とした。第3年度は、「自国史」と「外国史」の問題を考察した。具体的には、東南アジア各国の高校・大学で「自国史」として使用されている教科書やカリキュラムを検討した。また、各国を代表する歴史学研究者と意見交換した。以上、3年間の成果をふまえて、テキストづくりの作業が進んでいる。すでに、叩き台となるべき「フィリピン」の草稿ができている。また、この研究活動を通じて、テキストのほか、史料の目録・索引、史料の復刻、翻訳、モノグラフの刊行も必要であると感じた。その準備も着々と進められている。まずは、この研究の原成果ともいうべき、報告・報告要旨28篇をまとめて発行する。
著者
野田 公俊 盛永 直子 桑原 聡 清水 健 森 雅裕 盛永 直子 桑原 聡 清水 健 森 雅裕
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

蛍光色素で標識した精製SubABを作製した.この毒素の標的臓器は上部消化管であると推察された.臨床分離株大腸菌におけるSubAB産生株の出現頻度について解析した.使用したEHEC29株中、全株がStxを産生しており、2株だけがsubAB遺伝子を保有し、かつSubAB毒素を産生してた.SubAB産生株を効率良く迅速に検出するためのキット作製には、SubAB毒素の特異的酵素活性による検出法が有効と結論された.
著者
鎌田 憲彦 福田 武司 平山 秀樹
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

バンド間励起光に禁制帯内励起光を重畳する2波長励起フォトルミネッセンス法を基盤に、ゲートICCDカメラによる時分解測定機能を加え、発光・電子デバイス用材料内の非発光再結合(NRR)準位の光学的評価を進めた。InGaN量子井戸では1.55eV付近にNRR準位を検出し、ドーピングによる影響の低減を示した。InGaAs量子井戸、Ba_3Si_6O_<12>N_2:Eu^<2+>蛍光体でもNRR準位を初めて検出し、そのふるまいを明らかにした。
著者
大東 一郎 石井 安憲 芹澤 伸子 小西 秀樹 鈴木 久美 佐藤 綾野 于 洋 上田 貴子 魏 芳 大東 一郎 石井 安憲 清野 一治 木村 公一朗
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、中国の制度・政策転換と東アジア圏の国際相互依存関係への影響に関わる政治経済学的問題を、財政・金融・産業・環境に焦点を合わせて考究した。財政制度の効率性比較、途上国での望ましい工業汚染規制、企業の株式持合いと政策決定の関係、混合寡占下での公企業の役割、途上国企業の部品の内製・購買の選択を理論的に分析した。中国の社会保障制度の実態、マイクロファイナンスの金融機能を明らかにし、税制の機会均等化効果の日韓台間比較、為替介入政策の市場の効率性への影響分析を行った。
著者
村中 孝史 西村 健一郎 水島 郁子 荒山 裕行 皆川 宏之 高畠 淳子 岩永 昌晃 木南 直之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

労働法や社会保障法の分野においては、労働者又は国民の生活利益に着目した法規制が数多く見られ、そこでは労働者等が「家族」の一員であることから生じる様々な利益が考慮される。そのような考慮は社会保障法において顕著であるが、労働法においても近年は拡大傾向にある。しかしながら、家族の多様化は、そのような考慮に対し様々な問題を投げかけており、それに対して法が対応すべき分野が増加している。