著者
麻生 武 吉良 尚子 倉中 晃子 覚前 未央 滝田 景子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

4つの研究を行った。1つは、夢をめぐる親子の会話の研究である。幼稚園児・小学校1年生・3年生の親子53組に夢について会話してもらった録音データを分析した。2つ目は、幼稚園児の夢理解についての研究である。年少・年中・年長計90名の夢理解に関して現象学的な研究を行った。3つ目は、大学生が覚えている一番幼いときの現実の記憶と夢の記憶に関する研究である。4つ目は、大学生の夢理解に関する研究である。それらを踏まえて夢を大切にする文化の創出の重要性を指摘した。
著者
境田 清隆 榊原 保志 高橋 日出男 榊原 保志 高橋 日出男
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

仙台市においては海風、長野市においては山風という局地循環がヒートアイランドを緩和している実態を観測結果から捉えようとした。仙台では春季から夏季にかけての海風吹走日に、3~5℃の気温低下が観測されるが、その効果は都心でも低減しなかった。長野においては、北西方向の裾花川から吹き出す山風が都心を冷却している実態が明らかになった。また東京都心では海風を含む南風吹走時に新宿などの風下に強雨が発現することが明らかになった。
著者
本多 芳子 臼井 節夫 児玉 亨
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生後40日までLD12:12(通常の環境)およびLD1:1(1時間ごとに明暗を繰り返す環境)で飼育すると成熟後、新奇場面で多動性を示した。この多動性は脳内のドーパミンの増加に関連し、かつメチルフェニデート投与により改善される。また、ドーパミンD5受容体のmRNA発現が基底核で正常に比べ減少していた。さらにドーパミン輸送因子のmRNA発現を調べたところ正常環境下で生育したラットでは見られない3週齢の前頭葉において発現していることがわかった。
著者
森 京子
出版者
三重県立看護大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、終末期がん患者が在宅緩和ケアへ移行する際のアドボケイトとしての看護実践とは何かを明らかにすることである。本研究は、病院看護師への参加観察および半構成的面接による質的記述的研究である。結果、従来の抽象的な議論を超えて、在宅緩和ケアへ移行する終末期がん患者に対するアドボケイトとしての看護実践のテーマとして、【選択できるように支える】、【患者が望む過ごし方を具現化する】、【スムーズな療養場所への移行を図る】が生成された。
著者
石川 烈 吉江 弘正 村上 伸也 栗原 英見 和泉 雄一 西原 達次 岡野 光夫
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現在行われている歯周治療では歯周炎の進行を阻止することにとどまり、歯周炎により破壊された組織を健常な状態に戻す再生治療には至っていない。歯周組織の再生研究は3段階の過程として示すことができる。第1段階は組織再生誘導法と呼ばれる処置で、破壊された歯周組織への上皮の侵入を阻止し、周囲の組織からのその部位への細胞増殖を待ち、定着させる方法である。これに対して第2段階の進歩は単に待つのみではなく、成長因子等を加えることにより積極的に再生を導き出そうとするものである。本研究班では川浪らはBMP-2を、和泉らはGDF-5を、村上らはβ-FGFを用いて研究を進め、それぞれの成果を示しているが、いずれも期待させる成果を得ている。第3段階の進歩は再生を導く歯周組織細胞を欠損部に直接用い、更に確実に再生を導こうとする研究である。即ち自己細胞移植を軸とした組織工学を応用した新しい歯周組織再生治療法を世界に発信することである。栗原らは骨髄からの間葉系細胞を用いて、吉江らは骨膜間葉細胞を用い、五味らは歯髄細胞を用い、大石らはヘルトビッヒ上皮鞘細胞を用い、太田らは自己増殖細胞歯根膜組織を用いてその再生機構を追求した。石川らは岡野の開発した温度応答性培養皿を用い、ヒト歯根膜細胞のシートを用いた歯周組織の再生を試みた。この結果、自己歯根膜シートを歯周組織欠損部に移植することにより、ほぼ完全なセメント質とシャーピー線維を伴う歯周組織の再生が得られることを見出した。渡辺はその臨床応用を可能にするCPCを構築した。基礎研究として小方らは石灰化機構に重要な役割を果す骨シアロタンパク質の転写促進機構を明らかにし、西原らはムコ多糖類のコンドロイチン硫酸の破骨細胞分化抑制機構を明らかにした。これらの研究は2回にわたって研究成果報告会として発表され、公開された場で充分な討議を行い、真の再生治療への可能性が高まった。
著者
川島 滋和
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は国内水産物の価格形成メカニズムに着目し、(1)産地価格と水揚量の市場間連動に関する研究と(2)国際価格が日本の水産物市場の価格形成に与える影響について分析を行った。前者は東北地方の主要サンマ漁港である女川と気仙沼の価格・水揚量データを用いて分析を行い、後者は輸入比率の高い7品目(サケ・マス類、マグロ類、エビ、イカ,タコ,カツオ,カニ)を対象に輸入価格と国内価格の長期均衡関係と誤差修正過程を明らかにした。分析結果は以下にまとめられる。第一に,気仙沼と女川のサンマ産地価格の長期弾力性は約1.0と推計され,東北地方におけるサンマの産地市場の価格形成は効率的であり,価格情報はすでに統合されていると結論づけられた。第二に,産地市場の長期代替性は1.3と推計された。個々の産地市場は代替関係にあり,漁業者の水揚行動は産地の価格情報に速やかに反応していることが明らかになった。第三に、国内水産物の短期的な価格形成に着目すれば,水産物価格は主としてそのときの水揚量によって決定されており、国内での需給バランスが短期の価格形成において重要な役割を果たしていることが分かった。第四に,輸入比率の高い国内水産物の長期的な価格形成には輸入価格の影響が強く反映されていた。水産業におけるグローバル化が進展するにつれて、日本の水産業は、国内価格の維持と国際競争という2つの課題に直面している。今後は、国際競争力を維持していくためにも、水産物の輸出振興と資源管理や品質管理を考慮した水産物の差別化が必要となるであろう。
著者
木下 百合子
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の理論的成果として、次のことが挙げられる。1.教授におけるコミュニケーション研究を異文化間コミュニケーションに拡大し、特に社会的コンペテンツについて深化させた。2.日本が文化多様性社会に移行していることを承認し、教育学的コンセプトを「国際理解教育」から「異文化間教育」に早急に転換すべきであることを論証した。3.協同学習活動とメディア教育に関する研究成果を本研究に適応可能なかたちに仕上げた。以上の、理論的研究成果をふまえ、本研究対象を、異文化間教育コンセプトとメディア教育コンセプトと協同学習活動コンセプトの接点に位置づけ、2年間の研究をとおして次のことを実証した。1.英語使用のEメイル交換による異文化間コミュニケーションは、中学生段階で十分に可能である。2.異文化と出会うことによって自己の文化が意識化され、アイデンティティ形成に貢献する。3.コンピュータ使用の方法と技術ならびに情報倫理は実践をとおしてこそ確実に形成される。4.グローバルな解決課題である環境問題について認識が深まるとともに、環境問題について日本とドイツでは取り組みの観点が違うことを発見した。5.異文化間コミュニケーションと協同学習のスタイルになれ、異文化理解には忍耐と寛容が必要であること、理解と葛藤の間を揺れ動くプロセスが重要であり、関係を継続することが重要であることを経験しえた。以上のことを研究課題にそくして実証たが、さらに、コンピュータ室の管理や教科教授と総合的学習の横断的組織化などの条件整備が緊急に必要であることも同時に検証しえた。
著者
久光 久 真鍋 厚史 山田 嘉重 木下 潤一朗
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

茶褐色の鶏卵面に過酸化尿素を主成分とした漂白剤(ナイトホワイトエクセル)および、過酸化水素を主成分とした漂白剤(ピレーネ)を用いて漂白を行った。漂白に対して実験1ではハロゲン光(PENCURE)とKTPレーザーをそれぞれ別々に使用し、実験2では併用使用をおこなった。実験条件は、3Wの出力KTPレーザーをそれぞれの漂白剤塗後に1分30秒、3分、5分、10分間照射した。ハロゲン光でも同様に、1分30秒、3分、5分、10分間照射し、37℃で半日保存した後、測色をおこなった。結果として、単独使用の実験1ではKTPレーザー照射クループで、ナイトエクセル漂白剤使用の場合に3分以上の照射において漂白効果が確認された。一方ピレーネを使用した場合、5分以上のKTPレーザー照射にて漂白効果が認められた。ハロゲン光照射においては、ナイトエクセル、ピレーネのどちらを使用した場合においても1分30秒照射から漂白効果が確認された。一方実験2の結果では、ナイトホワイトエクセル、ピレーネ共に1分30秒で全ての試料に漂白効果が認められた。この効果はハロゲン光とKTPレーザーの照射順序の違いには影響せず、ハロゲン光とレーザーのどちらを先に照射しても明確な違いは認められなかった。
著者
芦田 和男 湯城 豊勝 岡部 健士 藤田 裕一郎 澤井 健二 江頭 進治
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究は河床が低下する傾向にある河川の堤防・護岸の安全性を水理学的観点から明らかにすることを目的として行ったものである。以下、本研究によって得られた知見を要約する。1.河床低下の傾向にある交互砂州河道には、一般に抵水路が形成され、低水路の屈曲部には深掘れが生じる。これは流れの集中によるものであるが、低水路を満杯で流れる条件において、洗掘深は最大になる。2.護岸の被災過程には法勾配及び水潤している法長に応じて明確な差異がある。同一護岸高であれば、1割以上の急な護岸は主に土質力学的過程によって前方に押し出されるように起立して被災し、2割の護岸は目地等の間隙に働く流体力によって浮き上がるようにして被災する。3.低水路の屈曲部の深掘れを軽減するための方法の一つに不透過水制を設置する事が考えられる。この種の水制によって深掘れは著しく緩和されることが判明した。4.低水路を有する河川の弱点を捜し、その安定性を高めるための工法をより一般的に評価することを目的として、工作物の影響や2次流の影響を取り入れた平面2次元流れと河床変動に関するシミュレ-ション法を開発した。
著者
阿知波 紀郎 塩野 正明
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

アダマンタン誘導体のプラスチック結晶相転移および配向グラスに関する研究は、静的及び動的分子配向相関に関する興味からである。我々は、'だるま' 分子であるアダマンタン誘導体のうち、'あたま'が比較的大きな1-ブロモアダマンタン 及び、'くび'が長い1シアノアダマンタンを分子配向の典型物質として 選びx線及び中性子散乱実験により分子配向相関に関する研究をおこなった。この科学研究費をもちいて、主として、プラスチック相および配向グラス相での分子配向相関の研究のため、温度変化のできる単結晶用x線散漫散乱測定装置を開発し実験を行った。さらに、分子配向の動的挙動については 主として中性子飛行時間差法による中性子非干渉性非弾性散乱実験を行った。各年度に取り組んだ具体的な研究テーマは以下のとおりである。1)1-ブロモアダマンタンの分子配向の段階的秩序化による構造相転移の研究。単結晶X線結晶構造解析によるプラスチック相、セミオーダー相、オーダー相の構造比較。2)1-シアノアダマンタンのプラスチック相と配向グラス相の分子配向相関およびダイナミックスの単結晶X線散漫散乱による研究。3)1-シアノアダマンタンのプラスチック相から低温に単結晶のままクエンチして得られた配向グラス結晶を、グラス転移温度直下で保ち、時間的に進行する局所分子回転配向秩序をX線ブラッグ反射および、散漫散乱により追求し、新散漫散乱を(2h,1±δ 0)に見いだした。中性子非干渉性非弾性散乱実験により各相のダイナミックッスを調べた。
著者
眞鍋 勝司 佐藤 雅彦
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

7日目の黄化エンドウ芽生えから抽出し、ほぼ純粋になるまで精製したフィトクロムA分子を原子間力顕微鏡によって観察した。生の溶液試料をマイカ板に載せ窒素パージによって軽い乾燥状態にしたフィトクロムを観察した結果、像が時間的に変化するので余りはっきりした像は得られなかった。これはAFMのプローブの位置検出に用いている赤色レーザーが試料のフィトクロムの光変換をもたらす結果と考え、軽く固定した分子を観察することにした。Pfr状態で0.1%グルタルアルデヒドにより固定した試料は碁石のような円盤が2個つながった全体として上から見れば雪だるま、あるいは殻つきピーナッツのような像を与えた。像の大きさプローブの大きさが10nmと仮定して計算すると約250kDaになり、フィトクロム・ダイマーの分子量と一致するし、水力学的に測定した値とも矛盾しない。一方Prの状態で固定した試料は碁石状の円盤が2つ重なった、全体として1つの厚い球に近い楕円体の像を与えた。PfrにフィトクロムのN末端から354番目からのDAVLという配列に結合することが分かっている抗エンドウフィトクロムA単クローン性抗体Mep-1をつけてAFM観察した。雪だるま像に1個の抗体が付いた像は観察されたが2個同時に付いたものは観察されなかった。これは抗原に1個の抗体が付いた状態ではもう1個は立体的に結合できなくなっているものと推定される。IgGでなくMep-1のFab'断片を用いた場合も同様に1個しか付かなかった。以上より、フィトクロムAはPrでは薄いほぼ円盤型のものが2個重なった形を形成し、Pfrになるとその円盤が開き、雪だるま型になる。雪だるまを構成する個々の円盤はフィトクロムの単量体に対応するのではなく、2つの円の付け根付近にエピトープ部分が2つ存在する可能性が大きいと解釈している。
著者
岩堀 健治
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、詳細なナノ粒子作製条件の検討を行い、直径12nm内部空洞7nmの球殻状バイオテンプレートであるアポフェリチン内部に、ナノ電子デバイス作製に有用である3種類の新規化合物半導体ナノ粒子(CdS, CuS, ZnS)の作製に成功した。特に、溶液中のアンモニア濃度を調整することにより、異なる粒子径を持ち、異なる蛍光を発するCdSナノ粒子の作製が可能となった。同時に遺伝子変異フェリチンを作製し、フェリチン内部におけるナノ粒子形成メカニズムを明らかにした。さらにフェリチンタンパク質と直径9nmのLisDpsタンパク質をQCM基板上で結合させ雪だるま型バイオナノパーツの試作を行った。
著者
堀田 隆一
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

英語の名詞複数形の-sが現代英語にみられるように圧倒的に優勢となる傾向が現れたのは,初期中英語期(1100~1300年)である.本研究では,電子コーパスや語彙拡散理論を援用しながら,なぜ(WHY)どのようにして(HOW)この時期に-sの拡大が進行したかを明らかにしようとした.結論として,初期中英語期における名詞複数形態の発展は,種々の言語内的・外的要因により,およそ語彙拡散理論が予想する型に従って進行したことが判明した.
著者
吉沢 豊予子 跡上 富美
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

性差における女性特有のケアの検証-女性とリンパ浮腫との関係から-における3年間の研究により,以下の内容を明らかにすることができた.1. 健康な成人女性の生理学的指標を用いた,浮腫に関連するデータの蓄積である。今まで浮腫に関連する健康な成人女性のデータがなかったため、今回のデータが浮腫に影響を及ぼす関連因子を明らかにすることができ,浮腫の予防等の指導に意義あるものと思われる.成人女性5名を対象に最低3日間の朝・夕の下肢周囲測定,下肢のポンプ機能測定,むくみの自覚,BMI,筋肉率,体脂肪率を測定しその関連を統計的に分析した.その結果,下肢の周囲測定においては朝夕で有意差は認められなかった.下肢のポンプ機能はVRT(Venous Refilling Time)を使用し測定した。その結果朝夕では、VRT値は夕方低下するものの有意差は認められなかった。また、VRT値と年齢、体脂肪率,筋肉率,BMIとの関連を調査した結果年齢,体脂肪率,BMIで負の相関が認められ,筋肉率と正の相関が認められた(p<.001)。2. がん患者のリンパ浮腫に対する知識およびセルフケア能力およびリンパ浮腫と関連因子を明らかにするため,がん患者会参加者35名の協力を得て,調査を実施した.今回の協力者は子宮頸がん,体がん,卵巣がんの患者で有り、80%リンパ廓清を行っていた.リンパ浮腫に対する医師からの説明は約40%のみが術前に聞いており,その後は雑誌あるいは患者仲間からそれぞれ3割の方々が情報を得ていた.今までリンパ嚢腫を含めリンパ浮腫にり患した経験のある者が、45.7%と多く,この方々はとらえず手術をした病院へ出かけるか、自己セアで対処していた.その後自己流の予防ケアをされている方々が、8割おり、この方々は自己効力感も高めの傾向にあった。正しい知識を与え、セルフケアにつなげる必要がある。
著者
田中 望 斎藤 里美 岡崎 敏雄 山田 泉 林 さとこ 上野 田鶴子 大橋 敦夫 大谷 晋也 古川 ちかし
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

今回の3年間の研究の結果として概略つぎのようなことが判明した.1. アジアからの外国人女性たちに対する日本語教育は,多くの場合,抑圧的な構造をもち,彼女たちを日本人につごうのよい「疑似日本人」にしたてるために機能する,同化的なものであること.2. それに対して,日本人による支援活動のなかに,アジアからの外国人女性たちにコミュニティでの声をもたせることに成功している少数の例があること.3. 地域社会では,抑圧的な日本語教育と声をもたせるための支援活動のあいだで,どちらをとるかの議論がおこっており,外国人に日本語を教えるというパラダイムに変更を迫る動きがあること.なお,3年間の調査を通じて,もつとも重要な成果といえるのは,調査研究そのものに対する見直しを被調査者から突きつけられたことである.このことは,エスノグラフィ的調査といえども,調査のもつ搾取的構造から逃れられないことを意味しており,調査のあり方に根本的な反省を加えなければならないことになった.今後は,調査研究という枠組みをはなれて,研究者といえどもたんなる「異者のかかわり」として地域社会と関係をもつというあり方を追求する必要があると思われる.
著者
千葉 則茂 原美 オサマ
出版者
岩手大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1. 自然物体・現象を可視化媒体としたレーザプロジェクション技術の開発降雪への投射や積雪への投射効果について実験を行い, 積雪はスクリーンとして, 降雪はビームの可視化媒体として十分に活用できることが分かった. また, 樹木(大木)への投射実験も行い, 投射側から観察するスクリーンとして活用可能であることも分かった. 防風林や街路樹の活用が期待できる.2. 天空でのグラフィックス技術の開発スクリーンを用いない投射では, 観察者側への反射が弱く認識が難しかった. また, 平行ビームの消失点により認識を容易にできることを期待し, 投射を試みたが, やはり良好な結果は得られなかった. ただし, レーザ強度にも依存すると思われるので, 結論を出すためには, さらなる検討が必要である. (購入したプロジェクタの強度300mWでは, 降雪や靄など可視化媒体密度が高くないと可視化されなかった.)3. 効率的で自由度の高いビーム投射技術の開発(1) タイミングを自動的に取るチューニング法レーザプロジェクタは電子的な要素と機械的な要素からなるため連続する描画コマンド間に適当な待ち時間をとらないと, ビームのon, offのタイミングや, 角の描画において, 描画データとの間に不一致が発生する. この待ち時間を自動的に取る手法を開発した.(2) ベクトルデータから効率的な一筆描きを構成する方法レーザプロジェクタでの描画は, 与えられたベクトルデータにビームをoffにして走査するブランクベクトルを加えて一筆描きをすることである. 最小数のブランクベクトルデータと描画に適する一筆描き順を求めるアルゴリズムを開発した.(3)並列投射を可能とするためのキャリブレーション法一般的な平面スクリーンではなく, 任意の可視化媒体(曲面スクリーン)を仮定し, 描画の歪みを補正し, 複数台のプロジェクタにより, 複雑度の高い描画を可能とする方法を開発した.
著者
安斎 ひとみ
出版者
目白大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

訪問看護に関する研究は多く報告されているものの、積雪寒冷地に居住する利用者宅に訪問する訪問看護の冬の問題と課題に焦点をあてた研究は報告が少ない。平成17年度および平成18年度の研究成果をもとに、平成19年度は積雪寒冷地における訪問看護ステーションの冬期の在宅支援方法と訪問のあり方を明らかにすることを目的とした。2008年2月に、東北地方の訪問看護ステーションを291か所の所長を対象に、自記式郵送法によるアンケート調査を行った。その結果、68名の回答があった。訪問看護ステーションが訪問している利用者は、冬に積雪などにより外出する機会が少なくなることがあり、筋力低下を予防するために室内体操やリハビリテーションを中心とした計画に切り替えているという事例があった。山間地で夜間凍結の危険がある地域の利用者を対象とするテレケアやパソコンを利用した遠隔地ケアシステムの導入は、予算的な問題があり難しいと答えた事業所が多かった。平成18年度研究結果を、学会で報告した。
著者
石井 彰三 福田 昌宏 堀田 栄喜
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

ピンチ形式のプラズマ発生法において、大強度軟X線源、軟X線レーザーへの応用のうえで優れた特徴のある炭素薄膜ライナー圧縮方式を提案し、その原理を実証した。まず、雪かきモデルに類似したシミュレーション法により薄膜の圧縮過程を定量的に検討し、理論的にも本方式は問題が無いことを明らかにした。次に、成膜法の最適化について高周波放電、交流あるいは直流アーク、グロー放電、パルス放電等の各種形式について試み、細い炭素棒をジュール加熱して行う真空蒸着を用いれば、一様でかつ電気抵抗の低い薄膜ができることを示した。しかし現段階では炭素薄膜の場合、成膜に時間がかかり過ぎること、プラズマの圧縮過程が一様でないことなど問題点も多く存在する。そこで炭素にこだわることなく、導電性物質を薄膜とする概念に拡張して研究を発展させた。電気抵抗を低くするには金属薄膜が優れていることから、膜形成が容易なアルミニウムに着目し、その薄膜ライナーと圧縮を検討した。成膜はタングステン・ヒータを用いたアルミ真空蒸着法が確実であり、しかも一様にできること、および蒸着源の部分を工夫すれば真空を破らずに連続運転も可能であることを示した。内径7cmのアクリル製放電容器の内壁へ電極間に幅4cmでつけた膜の厚さは、10〜数10オングストロームであった。これを容量4.4μFのコンデンサ電源で放電電流70KAで駆動した実験により、原理通りの圧縮を実現し、本研究の提案が正しいことを示した。プラズマの振る舞いは、軟X線計測、高速度カメラによる観測だけでなく、これまでライナー圧縮実験では行われたことのない磁気プローブによる磁界測定を実施した。実験で得た軟X線出力を検討するため、平均イオンモデルならびに混成原子モデルによりアルミニウムプラズマからの軟X線放射スペクトルを理論計算から求め、現段階では、内殻電子からの放射強度が強くないことを示した。
著者
深尾 正之 斉藤 愿治 小村 浩夫 神藤 正士
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

この研究は、通常の雪かきモデルの成立するピンチプラズマと異なり、高速電子成分を含む非平衡プラズマを生成することが目的である。その方法として、放電電圧印加後にガスを導入して点孤させる爆燃放電を採用した。通常のガスパフZピンチプラズマ型の構造を持つ放電電極を用い、電極間に並列に接続したインダクタンスに電流を流して、予め電極に電圧を印加した後に、ガスを導入することにより、爆燃モ-ドとした。これにより、通常のガスパフZピンチ放電との比較を行なうことができた。電源には、3.75μFの低インダクタンス高速キャパシタ-及びギャップスイッチを用い、20kVまで印加した。非平衡プラズマでは、数keVの電子を多数生成する必要があり、印加電圧を低く抑えた。X線発生量の時間依存計測は、表面障壁型ダイオ-ド(SBD)とアルミニウム・フィルタ-を組み合わせて行った。X線放出量が多く、SBD出力が飽和するのを避けるために、直径1mmのピンホ-ルで絞り、かつプラズマから80cmの距離をおいて測定した。これまで、X線収量の放電電圧依存性を測定してきた。従来型Zピンチプラズマでは、電圧の上昇とともに、X線量が急上昇するのに対し、爆燃放電では、X線発生量が充電電圧に余り依存しないという特徴のある依存性が明らかになったが、X線収量の絶対値は、同程度ないし、後者の方が少ないという結果しか得られていない。X線放出の空間分布は、ポラロイドフィルムを用いたピンホ-ルカメラで測定した。放電条件により、プラズマ及び電極から放出されることが判った。並行して、X線スペクトルの測定を目的とする、プロポ-ショナルガスカウンタを試作してきた。これまでに、^<55>Feからの5keV X線にたいしてFWHM15%程度の性能を得ているが、信頼度・再現性の改善がなお必要である。
著者
中牧 弘允 CARLE Ronald Denis
出版者
国立民族学博物館
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

調査研究活動-岐阜県大野郡白川村 平成15年12月18日より24日まで-白川村役場:訪問と集材-白川村荻町区「合掌造り集落」での一般参与観察-野外博物館「合掌造り民家園」で来客との聞き取り調査-大雪の日:旧近所の雪かき手伝い運動と近況聞き取り調査-岐阜県大野郡白川村 平成15年12月27日より平成16年1月元日まで-白川郷荻町八幡神社の年末行事の参与観察-白川村荻町区「合掌造り集落」での一般参与観察-野外博物館「合掌造り民家園」で来客との聞き取り調査-大雪の日:旧近所の雪かき手伝い運動と近況聞き取り調査-沖縄県八重山郡竹富町竹富島 平成16年1月元日より16日まで-竹富島における町並み保存の一般調査:町並み保存の実践に関する聞き取り調査観光業の経営に関する聞き取り調査来客に聞き取り調査-沖縄県八重山郡竹富町竹富島 平成16年3月8日-28日まで-竹富島における町並み保存の調査:町並み保存の実践に関する聞き取り調査と参与観察(保存会委員会、海岸美化運動など)観光業の経営に関する聞き取り調査観光業の行事観察(海開き祭りなど)来客に聞き取り調査学会活動-Anthropologists of Japan in Japan (AJJ) Autumn 2003 WorkshopSofia University, TokyoNovember 1-2, 2003聴講