著者
服部 晃 田邊 直仁 岩田 文英 服部 麗波
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.637-649, 2015
被引用文献数
1

ターミナルは人生の最後の舞台とも言え, 主役の希望に沿って医療・福祉者は真摯な対応を求められる。患者や家族の希望を知ることが, 容易とは限らない。調査目的は, 2008年佐渡でのアンケート調査で, ターミナル告知が大きく許容されていると思われたことから, 広い地域で, 大規模に, 広い年齢層で, 性, 身分・職種の差を検討し, 佐渡調査で私たちが提案した, 本人, 家族の意向に沿った予想告知率を調べることであった。自由参加・無記名によるアンケート調査を行なった。質問の内容および回答選択肢は佐渡方式で, 年齢14~91歳, 女/男比1.9, 高校生, 看 (護) 学生, 医療・福祉 (医福) 職, (その他) 一般職に層化して特徴を調べた。告知は本人―, 家族―, 一般―告知を調べ, また, 本人と家族の意向に沿った予想告知率を算出し, これまでと比較した。 114病院中74病院から7,811の有効回答をえた。本人告知希望は76%, 一般告知は29%, 家族告知は35%であった。推移: 本人希望は徐々に増加し, 告知拒否は減少した。本人と家族との意向に沿った予想告知率は85%と最高。高校生, 看学生の認識の特徴, 若年者と高齢者は共通点とともに対蹠的所見も呈すること, 各種の年齢・性・職種差があった。それらの把握が応用面で重要と考えられた。最期の場所に関する中年女性の変貌, 職種による男女差が注目される。告知許容社会への移行があり経時的な調査が必要。ターミナルの悩みに正対し改善を計ることは, 社会や宗教にとっても重要であろう。
著者
神長 輝一
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、電離放射線が誘発するDNA損傷およびミトコンドリア損傷に起因する、ATP加水分解の亢進と、ミトコンドリア脱共役による温度およびpHの経時変化、そしてその生物学的意義の解明を目指すものである。本研究の特色は、細胞内の温度、pHという物理・化学的要因に着目し、その計測のため量子センサーの一種である蛍光ナノダイヤモンドを用いることである。本研究で得られる知見は、放射線を含む外部ストレスに対する温度、pH変化を介した細胞恒常性維持機構の解明に貢献できると期待される。
著者
吉田 隆
出版者
日本国際観光学会
雑誌
日本国際観光学会論文集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.123-127, 2013

「2010年までに訪日外客1000万人」を目標に始まったビジット・ジャパン・キャンペーン(以下、VJCと省略する。)は、当初順調に訪日外客数を増加させたものの、2008年に発生したリーマン・ショックの影響を受け、2010年の訪日外客数は861万人にとどまった。しかし、訪日客の動向を市場別にみると、中国、タイ、シンガポールのように訪日客を2002年の倍以上増加させた市場がある一方、英国などは減少させており、市場によって成果に大きな違いがある。VJCの成果を評価する際には、このような市場別の視点が重要である。本論は、VJCの成果を踏まえた今後の施策の検討をするために、訪日客の動向を市場別、期間別に分析したものである。
著者
岡川 梓 堀江 哲也 日引 聡
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

農業の生産性・効率性上昇のためには、農業経営の大規模化を図ることと、高付加価値化が重要であることが従来から指摘され続けてきたが、いまだ実現できていない。本研究では、農家の効率性評価を行い、地域、出荷先、環境保全への取り組みと非効率性との間に統計的な関係がみられることを示した。とくに出荷先の選択は農家の経営技術が反映されていると考えられ、農協頼みでない農業経営が効率性の高さと相関することがわかった。また、作物選択と環境保全への取り組みについても統計的な関係が認められた。
著者
Pred Allan 西部 均
出版者
大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修
雑誌
空間・社会・地理思想 (ISSN:13423282)
巻号頁・発行日
no.9, pp.148-167, 2004

本稿は, 従来とは異なるタイプの地域地理学あるいは場所中心の地理学のために, 理論的基礎を提示するものである。その枠組みは, 時間地理学と登場しつつある構造化理論を集約したものに基づいている。それはまた, 景観として眼に映るさまざまな特徴の組み合わせとしてだけでなく, 絶えず生成する人間の生産物としても, 場所を概念化することで構築される。場所はひとつの過程とみなされ, その過程を介して社会的・文化的諸形態の再生産, おのおのの個人誌の形成, 自然の変形がやむことなく相互生成し, 同時に時間-空間の種別的な諸活動や権力諸関係が絶え間なく相互生成する。さらに, こうした諸現象が場所や地域の生成過程に織り込まれるときには, 普遍的法則にしたがうのではなく, 歴史的状況に応じてさまざまなやり方があると強調される。その枠組みからおのずと浮かび上がる三つの経験的論点について, 手短に検討される。
著者
加賀爪 優
出版者
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻
雑誌
京都大学生物資源経済研究 (ISSN:13418947)
巻号頁・発行日
no.8, pp.47-77, 2002-12
被引用文献数
1

現在、オーストラリアは、WTO体制下のグローバルな貿易自由化を主張する一方で、タイ、シンガポールと自由貿易協定を結び、さらに、アメリカ、日本との自由貿易協定の可能性を模索している。これに加えて、緩やかな地域間協定として、アセアン自由貿易地域と豪州・ニュージーランド経済緊密化協定地域との間の経済協力関係(AFTA-CER-CEP)を構築しつつある。本稿の課題は、こうした状況の下で、オーストラリアの自由貿易協定への取り組みと豪米自由貿易協定の経済効果について検討することである。
著者
長瀬 健介 中井 検裕 沼田 麻美子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1030-1037, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

東京では駅を中心に作られた街が多く、異なる路線の複数駅が近距離に位置する地域では各駅が相互に影響しながら街の発展に貢献してきた。複数駅に挟まれた地域では都市整備のあり方として駅間を一体的に見た発展の可能性が考えられる。東京都郊外地域において駅間の距離が1km以内で住宅地を挟んでいるものを除く67ペアを商業地の連続性により分類し、駅のペアの特徴についての分析、街の歴史的発展過程や自治体による複数駅を一体的に見た施策の調査を行った。その結果、駅間が連続的に発展している地区の多くは両駅の規模の差が小さく、戦前に開業していたことがわかった。一方、同様の条件のペアで駅間が発展していないものもあり、そのような地域では一体的に見た拠点整備が望まれる。
著者
戸松 誠
出版者
秋田県総合食品研究センター
巻号頁・発行日
no.18, pp.17-20, 2016 (Released:2017-04-28)