著者
山崎 理
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.128, no.12, pp.615-619, 2014-12

2009(平成21)年の新型インフルエンザA/H1N1対応の経験を踏まえ, 2012(平成24年)に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が制定され, 政府行動計画, ガイドラインが策定された. これを受け, 新潟県においても新たに行動計画を策定し, 対応を行うこととなった. 新たな政府行動計画では, 「新型インフルエンザ等対策の強化を図り, 国民の生命及び健康を保護し, 国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小限になるようにする」ことが目的として掲げられ, 対策に伴う外出自粛要請や物資収用等の私権制限も盛り込んだ体系となっている. 県行動計画では, 県知事による県内の対策の総合調整, 特措法に定める緊急事態措置(外出自粛要請等)の実施, 病原性・感染力の程度に応じた対策の選択・切替がポイントとして挙げられる. 今後の総合的な対応及びその準備に向け, 関係各位の一層の御協力をお願いしたい.
著者
矢野 環
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

連歌を中心として資料収集並びに研究を行った。進化学会においては、日本における写本文献学における成果という位置づけで、宗祇連歌句集「老葉」の写本間の関係を発表した。特に有注本(宗祇、または宗長などによる注記が記される写本)について、その注文の類似性を、単なる一致不一致による分類ではなく、文章としての類似度を考察することにより、精密な関係を見出すことができ、多変量解析による処理、また系統学的処理もより明確になることを発表した。系統樹作成手法として通常は単語や文字の異文比較による最節約的変化を問題とするが、このような注釈が付されているものは、宗祇の注と宗長の注を合併する場合もあり、それも全体を転写するのではなく、一部分のみ利用する複雑な合成が行われる。そのため、個々の差異をとりまとめたより大きな特徴を、基準を定めて数値評価すれば、大局的な考察に適していることがわかる。特に、通常宗長注本の一つとされている系統が、実は宗祇の注を大きく取り入れており、別の一群として取り扱うべきことが明かとなった。この方法は連歌注釈書と限らず、他の文献の系統学的考察にももちろん適用できるものであり、今後様々な発展が見込まれて重要である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.669, pp.108-112, 2000-06-26

「景観保全」。この言葉は,住民・事業者の私権制限と隣り合わせだ。専門家に画期的と期待される東京都景観審議会の「歴史的景観保全の指針」に関する答申も,そう受け取られかねない側面をもつ。歴史的建造物の周囲100mに「網」をかける内容だからだ。しかし,逆転の発想で住民自らが地域のルールを定めれば,近隣紛争の予防にも役立つはずだ。
著者
香川 貴志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>本報告は、地理学が都市復興において果たせる役割を都市地理学の観点から提案したものである。都市復興の際には都市計画法に基づいた用途地域指定が基盤となる。旧来の用途地域指定は二次元的に地表を区分するものであったが、津波被害からの復興を視野に入れると三次元的な観点が必要である。用途地域指定に際しては、自然地理学研究者が数値標高モデルを活用して作業に関与し、人文地理学研究者が私権制限を最小限にするために参画すべきである。こうした取組が地理学のプレゼンスを一層高めることになるだろう。</p>
著者
榊巻 亮
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.94-97, 2015-03

第3回 前回は「隠れた抵抗」に対する対応を解説した。そこで今回は「表に出た抵抗」への対応方法を解説する。隠れた抵抗にちゃんと対応すると、一部はそのまま解消してなくなる…
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1023, pp.32-35, 2000-01-10

作業服の右袖に「研修生」の腕章を巻いた若者の手元に、ベテラン社員が厳しい視線を向ける。 「ストップ! 手を動かす前にちゃんと手順を考えた? こういう工数が多いものは特に頭を使うこと。もう一度よく考えてやり直してみなさい」 アルプス電気の金型製造拠点である精機センター北原工場(宮城県古川市)では今、10人の研修生が金型の設計・製作技術を学んでいる。
著者
西村 崇
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.180, pp.44-51, 2008-04

業務部門にいるユーザーにちゃんとヒアリングをしてシステム開発に着手した。それなのに開発が大詰めを迎えたとき「欲しかったのはそういう機能ではない」「このケースの処理がシステムに組み込まれていない」といった不満がユーザーから出てきた──。 仕様の詰めが甘かったために,開発作業の手戻りを余儀なくされることは少なくない。
著者
Ittetsu Yamaga Atsushi Ikegaya Shigekazu Nakamura Shigehiro Yamazaki Teruko Nakajima
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-261, (Released:2021-04-21)
被引用文献数
1

To prevent the decay of satsuma mandarin fruit during the distribution process, we investigated the effect of ultraviolet-C (UV-C) irradiation and temperature treatment (TT) on scoparone (a phytoalexin) production in fruits. To this end, the fruits were maintained at 20°C for 24 h following irradiation, and then the scoparone content was measured after export to Singapore by sea freight or after domestic storage. The scoparone content in the flavedo of TT fruits significantly increased for 24 h after UV-C irradiation, compared with that in the flavedo of non-TT fruits. In fruits exported in reefer containers (0°C), the scoparone content in the TT fruits was 59.1 μg·g−1FW, whereas that in non-TT fruits was 15.1 μg·g−1FW. The domestically stored fruits showed similar trends to those of the exported fruits. The scoparone content in domestically stored fruits was higher than that in the exported fruits because the storage temperature was higher than the temperature in the reefer container used for export. There was a significant difference in the decay rate between UV-C-irradiated and non-irradiated fruits. These results showed that UV-C irradiation was effective in reducing the decay of fruits exported by sea, and TT before storage induced scoparone production in the flavedo, even under cold storage.
著者
井上 優 Masaru INOUE
出版者
国立国語研究所
雑誌
研究報告集 = Occasional Papers
巻号頁・発行日
no.14, pp.333-360, 1993-03

国立国語研究所日本語の「ヨ」(低)を含む命令文は,「動作を実行するよう要求する」ためではなく,「当該の動作が実行されるべき時に実行されなかったことを非難する」ために用いられることがある。(締切日の翌日にレポートを出しに来た学生に)ちゃんと昨日のうちにレポートを出してくださいよ(低)。このことをふまえ,本稿では,(i)日本語の命令文の第一の機能は「話し手の意向が聞き手の知識に導入されるよう働きかける」ことにある,(ii)命令文の機能の決定には次の二つの要因が関与する,ということを主張する。・「現在動作実行のタイミングにある」「現在動作実行のタイミングにない」のいずれを前提とするか(タイミング考慮/タイミング非考慮)・「話し手の意向と矛盾することがらが存在する」「話し手の意向と矛盾することがらがない」のいずれを前提とするか(矛盾考慮/矛盾非考慮)日本語の場合,(i)は種々の文法形式により,(ii)は終助詞及びイントネーションによって表される。17の書名 : 国立国語研究所研究報告集
著者
渕上 倫子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.294-298, 1983 (Released:2010-03-25)
参考文献数
13
被引用文献数
11 6

酸性溶液中でペクチン質を加熱したとき, メチルエステルを含むベクチンと含まないペクチン酸の分解の差異を検討した結果, 次のような知見を得た。1) ペクチンはpH4で最も分解しにくく, pH5以上で急速にトランスエリミネーションにより分解する。pH1~3では加水分解による分解が認められた。2) ベクチン酸はpH5以上では加熱による分解を起こしにくく, pH4以下で加水分解により分解し, その速度はpHが下がるほど早い。また, メチルエステル化したベクチンと比較した場合, ベクチン酸のほうが分解速度が早い。これは非解離のカルボキシル基の分子内接触反応が影響しているためであると思われる。3) 酸不溶性ペクチン酸もそれをメチルエステル化したものに比べて速かに分解した。酸可溶性ペクチン酸は酸性溶液中で酸不溶性ペクチン酸より速やかに分解した。4) ペクチンを98℃30分加熱すると, pH2~5ではメチル基の脱離は起こらず, pH5.5でけん化が起きるようになり, pH7では約70%のけん化が認められた。pH1.2でも約28%メチル基の脱離が起こった。
著者
石関 沙代子 足立 吉數 鈴木 優香 小針 大助 安江 健 金澤 卓弥 青柳 陽介 阿部 由紀子 秋葉 正人 楠本 正博
出版者
日本家畜衛生学会
雑誌
家畜衛生学雑誌 (ISSN:13476602)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.85-90, 2013-11

子牛の消化器病で大腸菌感染症は重要な感染症であり、特に哺乳中の子牛で大きな経済的な被害が発生している。Escherichia属は数種の菌種からなっているが、動物で重要な病原体はE. coliのみである。この菌種は子犬、子豚、子牛、子馬、子羊の敗血症の原因になっている。そして、すべての動物で日和見感染の原因菌とも考えられている。われわれは、腸管接着性微絨毛消滅性大腸菌が子牛の腸管上皮細胞に定着する仕方に2種類あることを示唆してきた。しかし、血縁関係にある子牛の下痢についてはよく知られていない。今回、農学部附属フィルドサイエンスセンター(FSC)で発生した哺乳子牛の消化器疾患が他の農場との交流がない閉鎖空間で発生したこと、および特定の血縁関係にある牛群において2002年から斃死する子牛が認められ、2012年まで続いていることから死因を調査し対策を講じることを目的に調査研究を行った。