著者
板谷 裕美 廣瀬 潤子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、分娩時大量出血に伴う産後貧血を合併した褥婦と、正常な経過をたどる褥婦との間で、母乳中の鉄含有量および乳汁分泌量に差があるのかどうか、縦断的に比較検討を行うことであった。分娩時800ml以上の大量出血を起こし、産褥早期のヘモグロビン10.0/dl未満・ヘマトクリット33.0%未満の貧血を合併した褥婦5組を症例群、分娩時大量出血および産褥期貧血のない褥婦15組を対象群とし、産褥入院中、産後1カ月、3カ月、6か月の各時期における母乳中鉄含有量、1日乳汁分泌量、BDHQを用いた褥婦の鉄摂取量を調査した。その結果、母乳中の鉄含有量と乳汁分泌量にはいずれも有意な差を認めなかった。
著者
高尾 千津子 鶴見 太郎 野村 真理 武井 彩佳 宮崎 悠 井出 匠 小森 宏美 Wolff David 重松 尚
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

独ソ戦によってナチの支配下におかれた地域のホロコーストの特徴は、ユダヤ人の殺害が現地で執行されたこと、ナチによる占領の初期段階で、現地住民の一部がユダヤ人に対するポグロムに関与したことに求められる。本研究は、ソ連・東欧におけるホロコーストの事例研究に取り組み、現地住民のナチ協力に関しては、新たにソ連の支配下に入ったバルト3国やポーランド東部地域とソ連本国内の東ベラルーシ等とで相違があることを明らかにした。
著者
堤内 要 室屋 裕佐
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究では放射性廃棄物汚染の浄化、放射性廃棄物の濃縮、そして濃縮放射性廃棄物からのエネルギー生産を目的として、2つの課題に取り組む。1つは、放射性核種を捕捉できるような化学修飾を施した磁性微粒子の開発であり、磁石の力を用いて汚染水や汚染土壌の浄化を効率よく行う方法を確立する。2つ目は、水の放射線分解である。ナノ粒子を用いて水の放射線分解を行い、水素を高効率で生成させる検討を行う。
著者
宮本 憲一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、ダウン症患者の中でも比較的高頻度に見られる心奇形に焦点を当て、その原因遺伝子および発症メカニズム解明を目指し、ダウン症心奇形(DS-CHD)原因候補遺伝子の一つであるZfp295欠損マウスの作製を試みた。しかしながら、ノックアウトマウスの作製が予想以上に困難であった為、別法としてヒト人工染色体(HAC)を用いたトランスジェニックマウスの使用を検討した。
著者
西海 功 山崎 剛史 濱尾 章二 関 伸一 高木 昌興 岩見 恭子 齋藤 武馬 水田 拓
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本列島の島嶼部を中心に分布する陸鳥類の14分類群(19種)について、異所的な集団の種分化と種分類に関する研究をDNA分析、形態学的分析、およびさえずりの音声分析を含む生態学的分析によっておこなった。日本列島の島嶼部を中心とした陸鳥の集団構造や種分化が極めて多様なことが示された。つまり、遺伝的な分析からは、南西諸島の地史を直接に反映した集団構造は陸鳥類では全くみられず、集団の分化のパターンが種によって大きく異なることがわかった。遺伝的に大きく分化している地理的境界線の位置も種によって異なるし、遺伝的分化の程度も分化の年代も種によって大きく異なることが示唆された。また、形態的分化や生態的分化の程度も種によって異なり、それらは必ずしも遺伝的分化の程度と相関しないことが推測された。近縁種の存否がさえずりの進化に影響する、すなわちさえずりの形質置換があったり、人為的環境の改変への適応が行動を通して形態的適応進化を促進したりすることがわかった。また、リュウキュウコノハズクやキビタキなど多数の種で亜種分類の見直しの必要性が示唆され、ウチヤマセンニュウなどいくつかの種では種分類の見直しの必要性が示唆された。今回の研究期間ではっきりと種・亜種分類の見直しの検討が出来たのはメボソムシクイ類とコトラツグミのみであったので、それ以外の見直しは今後の課題として残された。
著者
山折 大
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、大麻の薬理・毒性研究の一環として大麻摂取による有害作用に着目し、大麻の 3 大成分である THC、 CBD および CBN が薬毒物や内因性物質の代謝に関わるシトクロム P450(CYP)の活性を阻害するか否かを解析した。その結果、これら主要フィトカンナビノイドが種々の CYP 分子種(CYP1A1、 CYP1A2、 CYP1B1、 CYP2A6、 CYP2B6、 CYP2C9、 CYP2C19、CYP2D6、CYP2J2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、CYP4F2、CYP4F3B、CYP4F12)の活性を阻害することを明らかにした。その機構として、可逆的な阻害(競合、非競合、混合)や不可逆的な阻害など CYP 分子種によって異なる阻害様式を示した。
著者
五野井 郁夫
出版者
高千穂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の成果概要は、SNSを活用してイシューのフレーミングするグローバル・ジャスティス運動が世界政治に与えている影響を理論化し明らかにしたことである。本研究では瞬時にイシューを共有する「ハッシュタグ・アクティヴィズム(hashtag activism)」がグローバルな政治的機会構造のなかで、イシューのフレーミングとアドボカシーによる規範のカスケードを可能にした現象を分析し理論化した。なかでも「ライク・カルチャー」の普及という概念枠組みを用いて説明し、SNSを通じての国境のきわを越えた国際規範形成を行うグローバル・ジャスティス運動を直接民主主義の新たな潮流の理論的特徴を明らかにした。
著者
松原 貴子 城 由起子
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

身体運動または運動イメージによる鎮痛と気分変化について検討した。健常ボランティアでも低強度運動により中枢感作を抑制し鎮痛効果を認め,また慢性痛有訴者でも運動継続により2週目で痛覚感受性低下,3週目で中枢感作抑制といった疼痛調節機能改善をもたらした。運動イメージによっても実運動と同様に鎮痛効果を得られた。鎮痛と気分変化との関係性は明らかでないが,運動によりまず高揚感が高まり,その後鎮静感が高まることから,時間経過とともに気分が推移することがわかった。以上より慢性痛に対する運動療法は,週数回頻度にて3週間以上継続することで主観的症状に先立ち中枢性疼痛調節系を賦活し鎮痛をもたらす可能性がある。
著者
米井 嘉一
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

我々は「『睡眠の質』向上によってメラトニン分泌が増加し糖代謝が改善する」という仮説を立て、その検証試験を行った。基礎実験ではメラトニンがAGEs架橋切断作用を有するが、プロテアソーム活性、酸化蛋白分解酵素(OPH)活性にに影響しなかった。メラトニンはマクロファージから破骨細胞への分化を促進した。臨床試験ではメラトニン摂取により食後高血糖が緩和されること、「睡眠の質」向上によりメラトニン産生が高まること、「睡眠の質」指標として6-sulfatoxy-melatoninが有用であった。『睡眠の質』向上による糖代謝改善の機序においてメラトニンが重要な役割を果たすこと示唆された。
著者
川島 慶子
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の最大の「問い」あるいは動機は、日本女性初の物理学者にして戦後日本人初の頭脳流出という稀有な存在である湯浅年子が、近年までほとんど真剣な科学史研究の対象になってこなかったのは何故か、というものである。本研究の特徴は、フランスにある湯浅資料の中でも、パリのキュリー・アーカイヴが保管するジョリオ=キュリー資料の中にある湯浅資料をとりあげることである。応募者は最近使用可能になったフランス側の資料を、日本の資料と合わせて精査することで、湯浅年子を新しい視点から問い直す。
著者
北田 正弘
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本刀はわが国が世界に誇る鉄鋼の文化財である。その美術的な価値はもちろんのこと、手作りに近い技術水準の時代に、非常に高品質の鋼を生産し、異なる鋼種を使い分け、加工・熱処理技術も高い水準に達していたとみられる。大量生産には適する技術ではなかったが、その技術には現代でも学ぶべきものがあると考えられ、先端科学的な研究が必要である。しかし、日本刀に関する現代の材料科学水準での研究は全く行われておらず、その評価内容は伝承と鑑賞面だけのものであった。そこで、日本刀の材料科学的評価に着手し、鋼の微細構造、非金属介在物の微細構造、機械的性質、化学的性質などを総合的に検討してきたが、その結果の中に工業的に得られる平均結晶粒径(25~30μm)より小さいものが見出された。これが日本刀における標準的なものなのか、あるいは見出された刀だけのものなのかを判断するには、ある程度の数の日本刀を調べなければならない。そこで、鎌倉時代から江戸時代末期までに造られた日本刀の微細組織を調べ、日本刀における微細結晶粒の状況と、これらの結果から導かれる微細結晶粒の生成機構について追及した。その結果、鎌倉時代から室町時代末までに製作された日本刀には、平均結晶粒径が10~20μmのものが多く観察され、最も小さいものでは数μmの結晶粒径をもつ日本刀が観察された。しかし、江戸時代の刀では結晶粒径の小さいものは少なく、時代によって変遷のあることが明らかになった。最も結晶粒径の小さい日本刀は室町中期頃に製造されたものである。ただし、統計的に時代の変遷あるいは特徴を把握するだけの数の試料は分析していないので、上述の時代依存性は実験の範囲内に限った傾向である。微細結晶粒は刃に使われている鋼および刃と芯金の境界領域で観察される。刃の非金属介在物を観察すると、結晶粒径の小さいものほど非金属介在物が小さい傾向を示す。これは、鋼の鍛錬の回数が多いことを示し、鍛錬加工と結晶粒度に深い関係があることを示す。また、非金属介在物の微細構造を観察すると、芯金の非金属介在物が融解して複雑な構造を示すのにたいし、刃金の非金属介在物は比較的単純な構造を示し、かつ、破壊された形状を示すものが多い。これは、刃の部分の加熱温度が低いことを示唆するものと考えられる。実際の加熱方法は不明であるが、比較的低い温度で熱間の鍛錬が行われ、導入された転位等の欠陥による再結晶が生じても、低温のため結晶粒成長が少なく、小さな結晶寸法を保っているものと考えられる。また、鍛錬の回数が多いため、蓄積されるひずみエネルギーが大きく、再結晶における結晶核の生成数が多く、結晶粒の微細化を促しているものと推定される。また、刃金と芯金の境界に微細な結晶粒が存在するものもある。刃金の炭素濃度は平均で約0.6mass%の中炭素鋼であり、芯金の炭素濃度は0.1mass%以下の低炭素鋼である。刃金と芯金は鍛接されるが、加工熱処理の段階で炭素の拡散が生じ、これと同時に加工によるひずみが導入される。これが再結晶の核形成頻度を増大させているものと考えられる。定量的データーを得る段階には達していないが、これらの結果は、微細結晶粒を鋼に付与する方法として有効な成果と考えられる。
著者
吉野 浩司 梅村 麦生 吉田 耕平 磯 直樹
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

〈善く生きる〉のための社会学とは、人間が生きる上で必要な生きがい、愛、喜びといった人間のポジティブな側面を対象とし、その発生メカニズムの解明と社会への実装とを目的とする科学である。この社会学を、亡命知識人論というグローバルな社会学史の観点から、その源流にまでさかのぼって捉え直そうとするものである。わけても〈善く生きる〉ための思索の片鱗は、20世紀初頭のロシア社会学にも組み込まれており、後に欧米の社会学にまで浸透していった。世界各地のアーカイブに残された亡命知識人の資料を掘り起こし、かつてのロシアや中東欧の思想から現代の欧米の社会学にいたる様々な試みを総合的に把握する。
著者
浅井 武 洪 性賛 小池 関也
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では,回転,及び無回転(低回転)で自由飛翔するスポーツボール(サッカー,バレー,ラグビー)の飛翔軌跡,非定常流体力,及び非定常渦構造を,3次元モーションキャプチャシステム,ボールインパクトロボット,表面流れ計測用特製ボール(タフトボール),高速カメラ,ステレオ流体可視化システム(Particle Image Velocimetry)を用いて高精度に同時計測し,ボール飛翔軌跡と,流体力,渦構造の関係を検討すると共に,ボールリリース時(インパクトを含む)の初期条件(直線運動と回転運動)やボール変形,打突形状が,ボール飛翔軌跡や非定常流体力に与える影響を明らかにする.
著者
山口 和巳
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

幼稚園児を対象にフッ化物配合歯磨剤使用後の口腔内残留フッ素量を測定した。対象となった幼稚園は,園医が週1回歯みがき指導を行っており,園児の歯みがき技術は比較的一定している。169名の園児のうち,園児自身で歯みがきをする習慣があり,かつ歯磨剤を併用している園児で,本実験に参加を希望する園児39名を対象とした。その内訳は,3,4歳児19名,5歳児20名である。使用した歯磨剤はフッ化ナトリウム配合で,表示フッ素濃度は1000ppmの市販品である。日頃使っている量の歯磨剤をつけさせた後,十分な監督のもとで,日常行っている方法と時間で歯みがきをさせた。その後の洗口には8mlの蒸留水の入った紙コップを用意し,自由に洗口させた。ブラッシング途中と終了時の吐き出し液ならびにブラッシング後に使用した液,歯ブラシ上に残留した歯磨剤をロ-トによって回収し,微量拡散法を用いて口腔内残留フッ素量を求めた。年齢別の使用歯磨剤量および口腔内残留フッ素量とその割合は順に,3,4歳児で0.29±0.15g,48.0±35.6mug,16.4±7.7%,5歳児では0.40±0.34g,62.3±68.2mug,14.3±9.7%,全体では0.35±0.27g,55.3±54,6mug,15.3±8.7%となった。平均値の差の検定では両者にいずれも有意差はなかったが,使用歯磨剤量,口腔内残留フッ素量では5歳児にやや多い傾向が示された。しかし,残留率としては3,4歳児のほうがやや多かった。以上の結果より,1000ppmF配合歯磨剤を幼児が1日1回用いてブラッシングした場合の口腔内残留フッ素量は約0.055mg,2回では0.111mg,3回では0.166mg程度であり,フッ素症歯の発生など慢性毒性の心配はない。また,う蝕予防のために,他のフッ化物局所製剤を併用しても問題はないものと思われた。
著者
小泉 利恵 深澤 真 横内 裕一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の目的は、高校の英語授業内でスピーキング評価を行うために課題となっている「採点の信頼性の低さ」を解決するための採点指針をまとめることである。英語のパフォーマンス評価で、教員間や教員内での採点結果は一致するとは限らず、採点の安定性(信頼性)が低いことがある。本研究では、その点を改善するために、英語教員に対してどのような採点トレーニングを行ったらよいかに焦点をあて、採点指針としてまとめる。
著者
藤井 克則
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々はGorlin症候群患者由来細胞を用いて紫外線ないし放射線照射実験を行った。PTCHの免疫染色は内因性PTCHが少なく、通常のPTCHポリクローナル抗体では染色精度が低かった。内因性ヘッジホッグタンパクの検出では、ヒト皮膚線維芽細胞におけるヘッジホッグシグナル構成分子(Gli1, Gli2, Gli3)のRT-PCRを行いシグナリングの線維芽細胞内での機能を確認した。これらは紫外線・放射線照射を行うことで増幅され阻害剤cyclopamineで阻害された。
著者
原 圭寛
出版者
湘南工科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は,学士課程のカリキュラム編成の際に「知識」と「能力」の関係がどのように問われてきたのかについて,思想史的に研究するものである。特に本研究では,1828年にイェール・カレッジが出版したカレッジ・カリキュラムについての報告書において1つのキーワードとなっている"discipline"という概念に着目する。この報告書は,学士課程の編成意図について論じられたまとまった文書としては,アメリカ最古のものの一つであるとされている。この文書における中心的な概念がどのような経緯で出現し,またその後のアメリカの学士課程編成にどのような影響を与えたのかについて分析を進めることで,上述の課題に答える。
著者
鈴木 宏幸 石井 賢二 飯塚 あい 小川 将 村上 深
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、認知機能の低下のない高齢者を対象とする囲碁を活用した認知機能低下抑制プログラムを開発し、その効果を多面的に評価した。対象者を、集団でコミュニケーションをとりながら囲碁を学習するグループ(集団群)、タブレットPCを用いて個人で学習するグループ(個人群)、囲碁を学習しない対照群に振り分けた。認知機能検査の結果、集団群と個人群では視覚情報処理に関する記憶機能が向上し、その効果は個人群よりも集団群で大きかった。また、プログラム受講により脳活動の増加が示され、1年後のフォローアップ調査の結果では囲碁の学習を継続している者は精神的健康が向上することが示された。
著者
沖 明典 石川 博 丸島 愛樹 松丸 祐司 松村 明 豊村 順子 大山 晃弘
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

申請者らは、幹細胞が多いとされるヒト歯髄にも全能細胞(Muse細胞)[間葉系マーカー(CD20, CD105, CD90 陽性とES細胞マーカー (SSEA-3) 陽性)が存在することを発見した。そこで、歯髄由来のMuse細胞を天蓋培養して胚様体を形成させ、これを還流培養して3胚葉性の胚子様構造物を育てる。ここから中枢神経の原基を採取し初代培養する。このなかには中枢神経を構成する細胞がone set存在しているはずである。本研究は、胚子様構造体から中枢神経原基を採取し、脳梗塞やパーキンソン病の患者に自家移植できれば、感染、免疫、倫理の問題もなく極めて安全性の高い治療を開発できると考えた。