著者
Tetsuro Miyachi Takeshi Enomoto
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.2021-025, (Released:2021-07-20)

Tropical cyclone track forecast experiments were conducted using the National Centers for Environmental Prediction Global Forecast System with the initial conditions from three numerical weather prediction centers, to distinguish between tropical cyclone track forecast errors attributable to the initial state uncertainty and those attributable to the model imperfection. The average position error was reduced by replacing the initial conditions from the European Centre for Medium-range Weather Forecasts. The northward recurvature of Lupit (2009) was not reproduced with initial conditions from the Japan Meteorological Agency. It was consistent with the preceding study, indicating sensitivity to the initial state. The sensitivity to the model and the initial state was obtained. For Parma (2009), as opposed to the conclusion of the previous study, where Parma was discovered to be insensitive to the initial state, and the error was assumed to come from the model difference. Insensitivity to the initial vortex structures in the predicted tracks for Parma indicates that the error in the steering flow formed by the environmental field around tropical cyclone contributes to the northward bias.
著者
清野 裕 南條 輝志男 田嶼 尚子 門脇 孝 柏木 厚典 荒木 栄一 伊藤 千賀子 稲垣 暢也 岩本 安彦 春日 雅人 花房 俊昭 羽田 勝計 植木 浩二郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.485-504, 2012 (Released:2012-08-22)
参考文献数
59
被引用文献数
10 1

本稿は,2010年6月発表の「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告」以降の我が国におけるHbA1c国際標準化の進捗を踏まえて,同報告のHbA1cの表記を改めるとともに国際標準化の経緯について解説を加えたものである. 要約 概念:糖尿病は,インスリン作用の不足による慢性高血糖を主徴とし,種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である.その発症には遺伝因子と環境因子がともに関与する.代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすく,動脈硬化症をも促進する.代謝異常の程度によって,無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す. 分類(Table 1,2,Fig. 1参照):糖代謝異常の分類は成因分類を主体とし,インスリン作用不足の程度に基づく病態(病期)を併記する.成因は,(I)1型,(II)2型,(III)その他の特定の機序,疾患によるもの,(IV)妊娠糖尿病,に分類する.1型は発症機構として膵β細胞破壊を特徴とする.2型は,インスリン分泌低下とインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)の両者が発症にかかわる.IIIは遺伝因子として遺伝子異常が同定されたものと,他の疾患や病態に伴うものとに大別する. 病態(病期)では,インスリン作用不足によって起こる高血糖の程度や病態に応じて,正常領域,境界領域,糖尿病領域に分ける.糖尿病領域は,インスリン不要,高血糖是正にインスリン必要,生存のためにインスリン必要,に区分する.前2者はインスリン非依存状態,後者はインスリン依存状態と呼ぶ.病態区分は,インスリン作用不足の進行や,治療による改善などで所属する領域が変化する. 診断(Table 3~7,Fig. 2参照): 糖代謝異常の判定区分: 糖尿病の診断には慢性高血糖の確認が不可欠である.糖代謝の判定区分は血糖値を用いた場合,糖尿病型((1)空腹時血糖値≧126 mg/dlまたは(2)75 g経口糖負荷試験(OGTT)2時間値≧200 mg/dl,あるいは(3)随時血糖値≧200 mg/dl),正常型(空腹時血糖値<110 mg/dl,かつOGTT2時間値<140 mg/dl),境界型(糖尿病型でも正常型でもないもの)に分ける.また,(4)HbA1c(NGSP)≧6.5 %(HbA1c(JDS)≧6.1 %)の場合も糖尿病型と判定する.なお,2012年4月1日以降は,特定健康診査・保健指導等を除く日常臨床及び著作物においてNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値で表記されたHbA1c(NGSP)を用い,当面の間,日常臨床ではJDS値を併記する.2011年10月に確定した正式な換算式(NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25 %)に基づくNGSP値は,我が国でこれまで用いられてきたJapan Diabetes Society(JDS)値で表記されたHbA1c(JDS)におよそ0.4 %を加えた値となり,特に臨床的に主要な領域であるJDS値5.0~9.9 %の間では,従来の国際標準値(=JDS値(%)+0.4 %)と完全に一致する. 境界型は米国糖尿病学会(ADA)やWHOのimpaired fasting glucose(IFG)とimpaired glucose tolerance(IGT)とを合わせたものに一致し,糖尿病型に移行する率が高い.境界型は糖尿病特有の合併症は少ないが,動脈硬化症のリスクは正常型よりも大きい.HbA1c(NGSP)が6.0~6.4 %(HbA1c(JDS)が5.6~6.0 %)の場合は,糖尿病の疑いが否定できず,また,HbA1c(NGSP)が5.6~5.9 %(HbA1c(JDS)が5.2~5.5 %)の場合も含めて,現在糖尿病でなくとも将来糖尿病の発症リスクが高いグループと考えられる. 臨床診断: 1.初回検査で,上記の(1)~(4)のいずれかを認めた場合は,「糖尿病型」と判定する.別の日に再検査を行い,再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する.但し,HbA1cのみの反復検査による診断は不可とする.また,血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと((1)~(3)のいずれかと(4))が確認されれば,初回検査だけでも糖尿病と診断する.HbA1cを利用する場合には,血糖値が糖尿病型を示すこと((1)~(3)のいずれか)が糖尿病の診断に必須である.糖尿病が疑われる場合には,血糖値による検査と同時にHbA1cを測定することを原則とする. 2.血糖値が糖尿病型((1)~(3)のいずれか)を示し,かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は,初回検査だけでも糖尿病と診断できる. ・糖尿病の典型的症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)の存在 ・確実な糖尿病網膜症の存在 3.過去において上記1.ないし2.の条件がみたされていたことが確認できる場合は,現在の検査結果にかかわらず,糖尿病と診断するか,糖尿病の疑いをもって対応する. 4.診断が確定しない場合には,患者を追跡し,時期をおいて再検査する. 5.糖尿病の臨床診断に際しては,糖尿病の有無のみならず,成因分類,代謝異常の程度,合併症などについても把握するよう努める. 疫学調査: 糖尿病の頻度推定を目的とする場合は,1回の検査だけによる「糖尿病型」の判定を「糖尿病」と読み替えてもよい.この場合,HbA1c(NGSP)≧6.5 %(HbA1c(JDS)≧6.1 %)であれば「糖尿病」として扱う. 検診: 糖尿病を見逃さないことが重要で,スクリーニングには血糖値をあらわす指標のみならず,家族歴,肥満などの臨床情報も参考にする. 妊娠糖尿病: 妊娠中に発見される糖代謝異常hyperglycemic disorders in pregnancyには,1)妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus(GDM),2)糖尿病の2つがあり,妊娠糖尿病は75 gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する. (1)空腹時血糖値 ≧92 mg/dl (2)1時間値 ≧180 mg/dl (3)2時間値 ≧153 mg/dl 但し,上記の「臨床診断」における糖尿病と診断されるものは妊娠糖尿病から除外する.
著者
吉田 毅
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.43-58, 2010-03-20 (Released:2016-10-05)
参考文献数
18

本稿の目的は、オリンピック金メダリストがどのような競技生活を送って金メダル獲得に至ったのか、また、金メダル獲得は金メダリストのその後の人生にどのような影響を及ぼしているのかについて、競技者のキャリア形成の視点を踏まえ解明することであった。ここでは、冬季オリンピック、ノルディック複合団体で金メダルを獲得した日本チームの1人を事例とし、ライフヒストリー法を用いて検討した。 氏は、スポーツ少年団で本格的なジャンプを、中学時代に複合を専門的に始めた。高校時代にはハードトレーニングに打ち込んだ結果、日本代表としてジュニア世界選手権に出場し、また、インターハイで優勝した。氏の競技者キャリアは、中学時代までは「導入・基礎期」、高校時代は「強化・飛躍期」、大学時代は「停滞期」、そして実業団時代が「仕上げ期」と捉えられる。これは、競技力養成という点で、早期には結果を求めるよりも基礎づくりが重要であることを示唆する1つのモデルとなり得るだろう。また、ピークに達する前段階での停滞が奏功したモデルともいえるが、氏はこの時期にもオリンピックに出場したいとの夢を保持していた。氏が金メダル獲得に至るまでには、金メダル獲得の追い風というべき運命的な要素がいろいろと見出された。おそらく金メダリストの競技者キャリアには、そうした運命的な要素を孕む金メダル獲得に至るストーリーがあるのだろう。 氏のこのストーリーには、さらに各段階の指導者、ならびに両親をはじめとした支援者と様々な他者が登場する。 氏にとって、金メダル獲得は至福の体験であり、ほとんど良い意味で氏の人生を変えるものであった。例えば、世間の注目を浴び、あらゆる面で自信を得、多額の報奨金を得た。現役引退後のセカンドキャリア形成プロセスでは、学校等からの度々の講演依頼、また複合のテレビ解説依頼があり、仕事では知名度の高さが有利に働いた。
著者
坪井 良治
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.133, no.2, pp.78-81, 2009 (Released:2009-02-13)
参考文献数
31

男性型脱毛症の治療は代表的な若返りのひとつであり,一般の人々の関心も高い.男性型脱毛症(壮年性脱毛)の診断と病態を簡単に述べるとともに,男性型脱毛症に対する治療の現状と展望について概説した.現在は,内服治療薬であるフィナステリドと外用育毛剤であるミノキシジルが,安全で有効性の高い薬剤として,単独ないし併用で広く使用されている.このほかにも数多くの外用育毛剤が使用されているが,育毛・発毛・ヘアケアに関する根拠のない情報も氾濫しているので,エビデンスに基づいた情報の提供が求められている.
著者
中山 毅
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.83-88, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2

多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS)は生殖年齢女性の5-8%に発症し,月経異常や不妊症などの主要な原因の一つである。PCOS の治療は受診年齢や背景,特に挙児希望の有無により異なる。挙児希望のある女性のPCOS に対する治療の第一選択はクロミフェン療法である。ただし抗エストロゲン作用に伴う,子宮内膜の菲薄化や頸管粘液の減少も伴うことや,クロミフェン療法が無効な患者もいる。そこでクロミフェン療法が無効なPCOS 患者に柴苓湯を併用し,排卵周期が回復した6症例を経験した。柴苓湯が有効であった症例の多くは,東洋医学的に瘀血や水滞スコア値が高く,また投与後の血中LH 値,LH/FSH 比が無効群よりも低下した。さらに柴苓湯有効群はテストストロン値もより低下していた。ゴナドトロピン療法や腹腔鏡手術などの第2選択が行われる前に,証に応じて試みる価値があると推察した。
著者
中村 國衛 野元 けい子 大沢 俊彦 高橋 幸男 秋葉 光雄 柿本 紀博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.3, pp.307-316, 1994-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
3
被引用文献数
2

有機ゲルマニウム化合物,とくにBis(2-carboxyethylgermanium)trioxide[(GeCH2CH2COOH)2O3,Ge-132],Bis(2-amino-2-carboxy-1-phenylethylgermanium)trioxide[GeCHPhCH(NH2)COOH2O3,Ge-373],Bis(2-amino-2-carboxyethylgermanium)trioxide[GeCH2CH(NH2)COOH]2O3,Ge385]の生理活性をinvitroモデル実験系および実験動物(糖尿病ラット)に投与して検討した.Ge-373は,DNAを断片化する作用を示した.この事実から,有機ゲルマニウム化合物が糖に対して特殊な作用を発揮するのではないかと考え,MaiUard反応(non-enzymaticamino-carbonylreaction)における効果の検討を行った.種々アミン酸とリボースを混合しAmadori転移およびAdvancedGlycationEndproducts(AGE)の生成を測定する実験系に,Ge-132またはGe-385を加え,AGE形成を蛍光分光光度計により測定した.有機ゲルマニウム化合物は,Amadori転移産物の形成は阻害しなかったが,AGEの形成を抑制した.とくにGe-385は,いったんできたAGEを可逆的に減少させる作用を発揮した.Streptozotocin(STZ)により誘発した糖尿病ラットにGe-132またはGe-385を100mg/kg/d経口投与し,糖尿病合併症に対する効果を観察した.Glycatedalbumin,fructosamineの低下,レンズ混濁の低下が観察された.糖と有機ゲルマニウム化合物,とくにGe-132との相互作用の様子をNuclearMagneticResonance(NMR)を用いて解析した.Ge-132は糖の1および2位のヒドロキシル基と反応し,糖一有機ゲルマニウム複合体を形成することが判明した.この反応がAmadori転移以降の反応を阻害し,AGEの可逆的可溶化を誘導する化学分子論的機序であろうと考えられる.
著者
髙田 智 榎田 修一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.799-805, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
13

一般的に、LIDARを用いた歩行者検出では多数の特徴量が利用される。しかし、SVMなどを用いた識別機の構築では、利用する特徴量や特徴算出におけるパラメータは手動で決定する必要がある。そこで、統計学習手法であるReal AdaBoostを利用した識別器の構築による特徴量やパラメータの自動決定を行った。
著者
JYUJI MISUMI
出版者
Psychologia Society
雑誌
PSYCHOLOGIA (ISSN:00332852)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.229-235, 1959 (Released:2021-07-30)
被引用文献数
6
著者
松本 伊左尾 秋本 隆司 今井 誠一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.75-82, 1993-01-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
9
被引用文献数
5 6

発酵室温(30, 35, 40, 45℃)及び納豆菌の接種菌数(102, 104, 106/蒸熟大豆1g)を異にした納豆の発酵を行い,納豆の品質と直接関係のある外貌,納豆菌数,硬度及び色調を経時的に調べ,次の結果を得た. 1. 外貌観察より,発酵中の納豆はいくつかのステージを経ることが分かった.低い室温でかつ接種菌数の少ないものほど発酵は遅れた.逆に高い室温ほど発酵は進み,接種菌数が多いものほど早く過発酵しやすかった. 2. 納豆の品温は,設定室温あるいはその近辺まで一旦低下し,蒸熟大豆の表面が光沢をおび,濡れたようになった(「照り」の観察)頃より上昇し,蒸熟大豆の表面が白色の菌膜状の物質で覆われて(「菌膜」の観察)から最高値に達した.そして,最高値をしばらく保った後,品温は徐々に低下した.品温の上昇開始より品温の最高値までの時間は,接種菌数より室温の影響が大きく,高い室温で発酵させたものほど短かった. 3. 納豆菌数は誘導期,対数期を経て「菌膜」が部分的に溶けた(「菌膜消化」の観察)頃,定常期に至る変化を示した.納豆菌の生育は,同室温であれば接種菌数の多いものほど,同一接種菌数では高い室温で発酵させたものほど速かった.ただし,最高菌数(室温30℃は発酵30時間の菌数)は室温45<30≦35〓40℃の順であった. 4. 納豆の硬度は,発酵30時間まで増加し続け,同室温であれば接種菌数の多いものほど,同一接種菌数ならば高い室温で発酵させたものほど高くなった. 5. Y値は,「照り」の観察された以後より上昇し,最高値を示した後,室温30℃・接種菌数102/gで発酵させたものを除き低下した.x値・y値は,Y値のほぼ逆の消長を示した.また,蒸熟大豆の黄色が消失し,灰緑色を呈する期間はz値が高く推移した. 6. 通常の納豆の発酵時間である18~20時間の外貌,硬度及び色調より,室温35℃・接種菌数102~106/g,室温40℃・接種菌数102~104/gで発酵させたものが品質的に好ましいと判断された.
著者
本郷 由希 喜多 伸一
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-21, 2005-08-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

視覚的時間順序判断に聴覚が及ぼす影響を,視覚刺激と聴覚刺激の左右に関する空間一致性に注目して調べた.視覚刺激を短い時間間隔をおいて呈示し,その前後に聴覚刺激を呈示した.第1実験では,視覚的時間順序判断の能力が,視覚刺激と聴覚刺激が空間的に一致している場合には良くなるが,視覚刺激と聴覚刺激が空間的に不一致な場合には悪くなることが示された.この成績変化は視聴覚刺激の時間間隔(AV-SOA)が640 msという長い条件になっても残った.第2実験では,こういった成績変化に対して,視覚刺激に先行する聴覚刺激の方が,後続する聴覚刺激よりも,より強い影響を与えていることが示された.これらの実験結果は,視覚的時間順序判断に対する聴覚の優位性に対し,空間一致性が影響することを示すものである.
著者
田中 萌生 野本 優二 土田 恵美子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.247-251, 2021 (Released:2021-07-29)
参考文献数
18

Pancoast腫瘍は比較的稀な疾患であるが,腫瘍が神経叢を侵すためしばしば強い痛みを伴いその疼痛コントロールに苦慮する.またPancoast腫瘍では放射線治療ががんそのものの治療としてだけでなく除痛目的としても選択されることが多い.Pancoast腫瘍の放射線治療は頭部固定具を用いて治療体位の再現性がよいことを確認してから治療を行う.このため安静保持の必要があるが,その強い痛みで安静保持ができない場合は治療困難となる.今回Pancoast腫瘍による強い上肢痛があり,安静仰臥位を保つことが困難であった患者に対して持続頸部硬膜外ブロックで疼痛コントロールを行い,放射線治療を完遂できた症例を経験した.硬膜外カテーテル留置による感染や出血のリスクとの兼ね合いはあるが,本疾患で疼痛コントロールに苦慮する場合は持続頸部硬膜外ブロックの併用が提案される.
著者
阿部 玄治 千葉 駿太 玉山 優奈 平野 詩織 向山 和枝 黒後 裕彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.69-72, 2017-08-31 (Released:2017-09-15)
参考文献数
10

【目的】 靴踵部の補強であるヒールカウンター(HC)が,前後方向の立位バランス制御に与える影響を検討する こと。 【方法】 健常若年者27名を対象とした。HCなし,またはHCを入れた上靴を履いた条件間で,直立肢位に対しつま先側あるいは踵側へ最大に重心移動した際の足圧中心(COP)の前後方向の移動距離を上靴のサイズで正 規化し比較した。 【結果】 前方へのCOP移動距離は,HCなし条件が26.10±0.91%(平均±標準偏差),HCあり条件が23.9±0.94% であった。後方へのCOP移動距離は,HCなし条件が15.88±1.36%,HCあり条件が17.34±1.38%であった。 バランス制御方向とHCの有無との交互作用を認め,後方へのCOP移動距離はHCあり条件がHCなし条件よりも長い傾向を認めた(p=0.062)。 【考察】 HCあり条件における後方へのCOP移動距離の増大は,HCが壁の役割を担い踵部の安定性が向上したた めと考えられる。 【結語】 若年健常者では,HCは後方への立位バランス制御に貢献することが示唆された。
著者
中島 徹
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.11, pp.202111, 2021 (Released:2021-05-11)

昨年から続くCOVID-19 の世界的な流行により、博物館の活動は大きく影響を受けることとなりました。本稿では、学び研メルマガ第330 号と362 号に寄稿した内容を再録し、この1年間でオンラインの取り組みがより工夫を凝らしたものに進化してきたことを振り返ってみたいと思います。
著者
高橋 晋平 猪岡 光
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-6, 2004-11-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7

People can enjoy Japanese traditional comic storytelling by both hearing the voice and watching the gesture of a teller. Some records of comic storytelling are available only by a voice record. If the animated motion for the talk is generated, we may enjoy storytelling more. We propose two methods to generate animation in accordance with a talk. One is a real time teaching; animation is generated at real time using a mouse. The other is a semiautomatic method; the timing for a new motion will be searched and the candidates of possible motion patterns are shown to an operator. The operator will choose a motion pattern fitted with the talk of a teller. Experimental results showed the effectiveness of these methods. The methods will be applicable to the development of animation fitted with voice or music data.
著者
下島 裕美 佐藤 浩一 越智 啓太
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.74-83, 2012-07-31 (Released:2012-09-07)
参考文献数
31
被引用文献数
6 16

「ある一定の時点における個人の心理的過去および心理的未来についての見解の総体」を時間的展望という(Levin, 1951 猪股訳 1979)。本研究は,時間的展望の個人差を測定する尺度であるZimbardo Time Perspective Inventory(ZTPI)を日本語に翻訳し,原版と同様の5因子構造が得られるかどうか確認することを目的とした。大学生748名を対象に調査を行い,探索的因子分析の結果,未来・現在快楽・現在運命・過去肯定・過去否定の5因子計43項目が見出された。回転前の5因子で全分散を説明する割合は37%であった。確証的因子分析の結果,CFI=.681, GFI=.829, AGFI=.810, RMSEA=.057, AIC=3125.726であった。α係数は.65から.76,再検査信頼性(n=110)は.63から.78(p<.05)の範囲であり,原版に劣らない信頼性が確認された。原版と日本版の項目を比較したところ,日本版の現在快楽は「刺激希求性」の意味合いが強いことと,未来とのつながりがあることが示唆された。妥当性を検討した上で日本版尺度を完成させ,現在進行中である国際比較研究への参加が期待される。