著者
山口 真美
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-8, 2010 (Released:2011-03-28)
参考文献数
31

その昔、生まれたばかりの新生児は眼が見えず、耳も聞こえないと信じられてきた。しかし数々の心理実験から、胎児の時から音を聞き、生まれた直後の新生児でも眼が見えることがわかっている。新生児のもつ、驚くべき能力の一つに、顔を見る能力がある。 1960年代Fantzにより、新生児が顔を選好することが発見された。言葉を喋ることのできない乳児の認識能力を調べるため、Fantzは行動を用いた実験手法である「選好注視法」を考案した。乳児は特定の図形に選好する傾向があることを示したその中で、顔図形への選好も発見されたのである。 視力の未発達な乳児は大人と全く同じように世界を見ているというわけではない。にもかかわらず、新生児でも顔を選好するということから、その特異な能力が検討されてきた。本講では、乳児を対象として行われた行動実験や、近年行われた近赤外線分光法(NIRS)を用いた実験の成果を紹介する。倒立顔の効果や顔向きの効果、運動情報による顔学習の促進効果や視線の錯視の認知といった、一連の実験成果について報告する。
著者
飯田 悟 一ノ瀬 昇 五味 哲夫 染矢 慶太 平野 幸治 小倉 実治 山崎 定彦 櫻井 和俊
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.195-201, 2003-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
6
被引用文献数
5 5

人々の清潔志向を背景に, 腋臭を中心とした体臭のデオドラントニーズは年々高まっている。われわれは, 官能評価および機器分析を用いてヒトの腋臭について研究した結果, 新たな臭気原因成分としてビニルケトン類 (1-octen-3-one, cis-1,5-octadien-3-one) を発見した。これらビニルケトン類のにおい閾値は非常に低く強烈な金属臭を有し, 腋臭に大きく寄与していることが示唆された。これら臭気は, 人体代謝物中の不飽和脂肪酸と鉄が接触して生成する酸化物であることをモデル実験によりつきとめ, におい発生のメカニズムを解明した。また, 植物抽出エキスの抗酸化作用により, ビニルケトン類の生成を抑制する方法をin vitro系にて検討し, 『クワエキス』に優れた生成抑制効果を見出した。
著者
杉浦 淳子 藤本 保志 安藤 篤 下田 伊津子 中島 務
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.69-74, 2008-04-30 (Released:2021-01-22)
参考文献数
13

頭頸部腫瘍術後患者で,Shaker法やMendelsohn法などの喉頭挙上訓練が実施困難であった例に対し,座位で徒手的に抵抗負荷をかける筋力増強訓練を考案し,嚥下機能の改善を得られたので報告する.症例は頸部食道癌の62歳女性および甲状腺癌の56歳女性,根治術施行後,著明な気息性嗄声,頸部筋群の筋力低下および喉頭の可動域制限があり,仰臥位での頭部挙上は不可能であった.嚥下造影検査で喉頭挙上不良,挙上期型誤嚥,クリアランス低下を認めた.嚥下機能の改善と安全かつ効率的な経口摂取を目的に,間接訓練として頸部筋群の可動域拡大訓練,椅子座位での等張性および等尺性筋力増強訓練,リクライニング位での頭部挙上訓練,pushing exercise,直接訓練として代償嚥下法指導(super-supraglottic swallow,顎引き chin-down等)を実施した.この結果,両症例ともに気息性嗄声と声の持続がわずかながらも改善,訓練開始後28~53日で全量経口摂取可能となり,訓練後の嚥下造影検査では両症例ともに舌骨変位量の増加を認め,症例1は誤嚥がなくなったが症例2は若干の誤嚥が残存した.いずれの症例も頸部の筋力低下による喉頭挙上不良に声門閉鎖不全が合併したために気道防御がより重篤に障害された例だったが,積極的な筋力増強訓練を行った結果,頸部筋群の筋力増加と喉頭の可動性に改善を得て経口摂取可能となった.このことより,頭頸部腫瘍術後の筋力低下などによってShaker法など自動的な頭部挙上訓練が実施困難な喉頭挙上不良嚥下障害例に対しては,他動的な徒手的抵抗負荷をかけた筋力増強訓練が有効と考えられた.
著者
八木 陽一郎
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.75-83, 2007-01-31 (Released:2011-01-27)
参考文献数
26

This research describes some new facts discovered from an actual case regarding individual creativity, which plays an important role in organizational creativity, a topic that has been undergoing extensive discussion since the 1990s.The research on individual creativity had been conducted through laboratory-based research in the field of social psychology so far, but it did not consider effects of human interaction on the assumptions. Thus, the knowledge about what factors affect individual creativity in team situations has not taken shape yet.This research focuses on the positive correlation between individual creativity and levels of intrinsic motivation which is confirmed by many laboratory-based researches, and inspects what impacts occurred on the relationship within the team situations that described as a case study.It was considered that under the team situations, not only a high level of intrinsic motivation, but also a cognitive framework change led by metacognition has a great role in enhancing creativity of individuals.
著者
渡辺 雄貴 瀬戸崎 典夫 森田 裕介 加藤 浩 西原 明法
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Suppl., pp.109-112, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

モバイルデバイスの画面は小さく,提示する情報である教授メディアは適宜選択しなくてはならないことから,その開発はeラーニングコンテンツの開発方法とは異なる可能性がある.本稿では,講義スライドとインストラクタおよび指示棒の合成,講義スライドとポインタの合成という指示メディアの異なる2通りのコンテンツを開発し,学習者に与える影響を測定するために実験を行った.その結果,パフォーマンステストでは,両コンテンツで学習効果には差がないものの,主観評価では多くの項目でポインタを合成したコンテンツが高い値を得た.
著者
石井 明子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第43回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S11-1, 2016 (Released:2016-08-08)

バイオ医薬品(組換えタンパク質医薬品)は,目的物質を発現する組換え細胞の培養,及び,細胞あるいは細胞培養上清からの目的物質の精製工程を経て,製造される.バイオ医薬品原薬の構成要素には,目的物質,目的物質関連物質の他,目的物質由来不純物,製造工程由来不純物が含まれる.目的物質由来不純物は,目的物質の分子変化体(前駆体,製造中や保存中に生成する分解物,凝集体,アミノ酸配列変異体等)で,生物活性,有効性及び安全性の点で目的物質に匹敵する特性を持たないものである.製造工程由来不純物には,細胞基材に由来するもの(宿主細胞由来タンパク質,DNA等),細胞培養液に由来するもの,あるいは細胞培養以降の工程である目的物質の抽出,分離,加工,精製工程に由来するもの(試薬・試液類,クロマトグラフ用担体からの漏出物等)がある.これらの不純物の評価・管理については,ICH Q6Bガイドラインに基本的な考え方が示されているが,具体的な許容値や管理値は示されていない.バイオ医薬品開発に際して,中間体,原薬,あるいは製剤を対象とした特性解析により,各種不純物の存在と残存量が明らかにされ,製剤中の不純物含量が安全性に影響のない値以下に管理できるよう,原材料の管理,工程パラメータ管理,工程内試験,規格及び試験方法等からなる品質管理戦略が構築される.不純物の管理値については,最終的には,臨床試験に用いたロットにおける不純物含量等をもとに決定されている.不純物の安全性への影響は,製剤の投与経路等によっても異なる場合があるので,各製品の意図した用途に応じた品質管理戦略が必要である.本講演では,バイオ医薬品に含まれる各不純物の特徴,不純物が問題となった事例,及び,不純物管理戦略の概要を述べ,不純物に焦点をあてたバイオ医薬品品質管理の現状と課題を考察したい.
著者
長谷川 由理 石井 慎一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3O1023, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】我々は第44回日本理学療法学術大会において、スクリューホームムーブメント(以下SHM)と大腿骨前捻角度(以下FNA)の関係性について報告し、FNAの大きさにより大腿骨の運動方向、回旋量に違いが生じることを報告した。その中でFNAが大きいほど大腿骨の内旋、膝関節の外旋が大きくなるが、これらの回旋角度の増加が下腿や足部に及ぼす影響については、不明な点である。そこで本研究では、荷重位における膝関節伸展運動時の脛骨、足部の運動を調べ、FNAとの関係性を検討することを目的とした。【方法】対象は、下肢に既往のない成人男性4名、女性10名の計14名(平均年齢23.3±6.0歳)とした。測定課題は、自然立位から膝関節を約90°屈曲し、再び自然立位へと戻るハーフスクワットとした。計測には、三次元動作解析装置VICON612(VICON-PEAK社製)を使用した。赤外線反射標点を体表面上の所定の位置に計16個貼付し、課題動作中の標点位置を計測した。関節角度の算出はオイラー角を用いて、膝関節屈伸角度、大腿骨回旋角度、脛骨回旋角度、大腿骨と脛骨の相対回旋角度(膝関節回旋角度)、膝関節内外反角度を求め、さらに横足根関節回内外角度、前額面上での脛骨傾斜角度(脛骨傾斜角度)を算出した。角度の算出には、歩行データ演算用ソフトVICON Body Builder(VICON-PEAK社製)を使用した。またFNAの計測は、CTやレントゲン所見と相関が強いとされるcraing testにて行った。分析は、各被験者の屈曲60°から最終伸展位における大腿骨回旋角度、脛骨回旋角度、膝関節回旋角度、膝関節内外反角度、横足根関節回内外角度、脛骨傾斜角度を調べ、FNAと各角度の相関の程度をPearsonの相関係数を用いて検討した。統計学的有意水準は、危険率p<0.05とした。【説明と同意】本研究を行うにあたって、対象とした14名の被験者には、本研究の目的と方法について説明し、すべての被験者において同意を得られた。また年齢や計測結果などの個人情報は、本研究以外では使用しない旨を説明し、情報の管理に配慮した。【結果】膝関節伸展時、すべての被験者において膝関節は外旋し、SHMが生じた。FNAと正の相関が認められたのは、大腿骨回旋角度(r=0.62 p<0.05)と膝関節回旋角度(r=0.53 p<0.05)であり、脛骨回旋角度は相関が認められず(r=-0.18)、前回の報告と同様の結果を示した。またFNAと膝関節内外反角度、脛骨傾斜角度、横足根関節回内外角度との相関は認められなかった。しかし、膝関節内外反角度は、大腿骨回旋角度(r=0.79 p<0.01)、膝関節回旋角度(r=0.72 p<0.01)と正の相関を示し、脛骨傾斜角度は、大腿骨回旋角度(r=0.79 p<0.01)、膝関節回旋角度(r=0.60 p<0.05)、横足根関節回内外角度(r=0.56 p<0.05)と正の相関を示した。なお、膝関節伸展運動中、大腿骨は内旋、脛骨は外旋、外側傾斜、横足根関節では回外が生じ、膝関節は内反運動が生じていた。【考察】FNAは、立位姿勢における股関節アライメントを変化させる要因であり、FNAが大きいと、大腿骨頭中心が寛骨臼中心に対し前方に位置するため、大腿骨を内旋させて関節面の適合性を高めているものと考察する。また本研究結果から、大腿骨の内旋角度が大きいと、膝関節の内反、脛骨の外側傾斜が大きくなる傾向が確認された。従来の報告では、FNAが大きいと膝関節は外反外旋し、Knee-inする傾向にあると言われているが、脛骨の外側傾斜と膝内反が生じ、FNAが大きくても荷重位での膝関節伸展運動の最終局面では膝関節は内反することが分かった。それは、過剰な大腿骨の内旋運動が強要されると、膝関節の後内側関節包や内側側副靭帯、ACL、膝窩筋などの張力が増加し、大腿骨内旋が制動されるため、大腿骨と脛骨が連結した状態で、回転軸が膝から足部に移動したためであると考えられた。そのため、FNAが大きい被験者では、大腿骨の内旋運動に追従して、脛骨の外側傾斜、膝関節の内反が引き起こされたと考えられた。【理学療法学研究としての意義】FNAなどの形態は先天的なものであるが、長年の月日を経て二次的に変形性股関節症や膝関節症を引き起こす要因となりうるものである。今回得られた結果からも、FNAが大きいと膝関節内反、脛骨の外側傾斜が大きくなるため、内反変形を助長しやすい運動パターンであることが示唆された。二次的な機能障害の発生を予防していくためにも、閉鎖性運動連鎖を解明していくことが重要であると考える。

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著者
畑中 裕己
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.128-135, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)
参考文献数
37
著者
村山 英晶 影山 和郎 成瀬 央 島田 明佳
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.883-886, 2002-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6

構造の状態を正確に把握することができれば,構造物の安全性を保証することが可能になる.さまざまな環境下で使用される実構造物のひずみや振動をモニタリングするためには,正確な測定ができるだけではなく,耐久性にも優れたセンサーが必要となる.酎久性に優れる光ファイバーセンサーは,近年,発展が著しく,既存のセンサーにはない優れた特駐を兼ね備えている.本稿では,世界的なヨットレースに出場した笈さ25mの競技用ヨットに光ファイバーを張り巡らせ,船体のひずみを測定した結果を示す.これにより,船体が設計どおりの剛性をもつことが確認され,また経時的な剛性の変化を評価することが可能となった.
著者
宮内 哲 上原 平 寒 重之 小池 耕彦 飛松 省三
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-7, 2012 (Released:2017-04-12)

磁気共鳴現象を利用して生体の断層像を撮像するために開発されたMRI 装置で脳活動を計測するfMRI の原理が確立されてから二十年が経った。この間fMRI は、特定の刺激やタスクに対する反応として一過性に賦活される脳領域を高い空間分解能で同定する計測法として用いられ、多くの知見が蓄積されてきた。近年になって、安静時の自発性脳活動のfMRI 信号から、離れた脳領域間の活動の相関を求めたり、グラフ理論により脳全体を情報ネットワークとみなして脳の状態を推定する研究が飛躍的に増大している(resting state network及びdefault mode network)。本稿ではfMRI を用いた脳研究の最近の動向として、安静時の自発性脳活動に関するresting state network及びdefault mode networkについて概説する。
著者
福井 次郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.165-175, 2004-06-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Jiun Masuda (1883-1947) was a bridge designer representing Japan who played an active part in the Showa period of prewar days from the end of Taisho period (1920th-1930th). However, few documents remain from that time, but Masuda has been known only to a small group of specialists. In Fall 2002, it became clear that many reports and drawings for bridges that Masuda designed are saved in the Public Works Research Institute. In this paper, the achievements of Masuda were reviewed through these new documents and the actual bridges he designed. The research clarified that besides the well known bridges, Masuda had designed about 20 more bridges, subway stations, docks, quay walls etc. Moreover, it was revealed that he worked with very capable staff, designed the bridge of a variety of structure types, etc. Finally, the future application of these documents was discussed.
著者
土場 学
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.302-317, 1998-09-30 (Released:2010-04-23)
参考文献数
23

女性研究と男性研究を統合するものとしてジェンダー研究というアイデンティティが確立しつつある。しかし, この女性研究と男性研究がどのような意味でジェンダー研究として統合できるかということは今のところ曖昧なままにされている。しかしながら, 女性/男性研究 (運動) を誘導する「解放のパラダイム」の基本的論理を明らかにすることによって, それらの関係を簡潔に整理することができる。すなわち, この解放のパラダイムは, 大きく三つのタイプ-ジェンダー統一化のパラダイム, ジェンダー分断化のパラダイム, ジェンダー相対化のパラダイム-に分類することができる。そして, まず, ジェンダー統一化のパラダイムのもとでは, 女性/男性研究は, それぞれそのパラダイムのレベルで統一化されることで, それぞれのアイデンティティで閉じるよりは, ジェンダー研究というアイデンティティを確立しうる。 また, ジェンダー分断化のパラダイムのもとでは, それぞれそのパラダイムのレベルで分断化されることで, それぞれのアイデンティティで閉じ, ジェンダー研究というアイデンティティは確立しえない。さらに, ジェンダー相対化のパラダイムのもとでは, それぞれそのパラダイムのレベルで相対化されることで, それぞれのアイデンティティで閉じることも, ジェンダー研究というアイデンティティを確立することもできない。また系譜的に見ると, 「ジェンダーからの解放」のパラダイムは, ジェンダー統一化のパラダイムのもとで自立化し, ジェンダー分断化のパラダイムのもとで自閉化し, ジェンダー相対化のパラダイムのもとで自壊化するという否定弁証法的なダイナミズムを展開してきた。そして今やそれは, その解放の理念の出発点に立ち戻ったと見なすべきであろう。
著者
土屋 久
出版者
島しょ医療研究会
雑誌
島しょ医療研究会誌 (ISSN:24359904)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.10-15, 2021 (Released:2021-02-01)
参考文献数
7

伊豆諸島南部地域の医療習俗について,八丈島と青ヶ島の巫俗(ふぞく:シャマニズム)を中心に考察した.神懸かりするミコ(巫女)は神役として中心的存在であり,祭祀儀礼に携わる他に各種相談に当たる役割も兼ねている.あるミコが対応した健康相談の内容を民俗病因論上類型化し,先行研究と比較した ところ多くの点で符号していた. 該当しない内容は祭文・経文の中に共通項を見出すことができた.当該地域に暮らす人々の伝統的な病気観や健康観,治療観を考察する作業は,保健医療の現場における問題を考える上で有用と思われる.
著者
河野 勝 三村 憲弘
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1_61-1_89, 2015 (Released:2018-06-10)
参考文献数
22

This paper explores the nature of human moral intuition which motivates us to assist others in hardship. Building upon the idea originally developed by Hannah Arendt, we distinguish “compassion” and “pity” as different mental sources, arguing that each entails a distinct pattern through which the institution is translated into or attitudes and behavior. More concretely, we hypothesize that two variables are particularly relevant in determining these patterns: the degree of familiarity with the environment in which the hardship is taking place, and the number of identifiable people who face the hardship. Survey experiments we conducted in August and December 2012 support this hypothesis, showing that the level of willingness to assist others is affected most significantly by the location of the hardship. The findings also suggest that the sentiment of pity motivates our willingness in the context of foreign countries, while the feeling of compassion dominates our intuition and ironically constrains our willingness in the case of the hardship taking place in our own country. The paper discusses the normative implications drawn from these empirical findings and concludes that the two areas of political science, normative theory and positive analysis, must be more integrated in future research.
著者
Ju-Won CHOI Su-Min KIM Jung-Hyun KIM
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.21-0018, (Released:2021-05-26)

A 12-year-old, 3.5-kg, intact female dog was presented with polyuria, polydipsia, and a pendulous abdomen. Laboratory examinations showed elevated hepatobiliary enzyme levels and neutrophilic leukocytosis. The adrenocorticotropic hormone stimulation test confirmed hyperadrenocorticism (HAC). Trilostane therapy managed the clinical condition and cortisol concentration. However, lymphocytosis and nonregenerative anemia developed after HAC remission. Bone marrow aspiration analysis revealed a lymphoproliferative disorder with a clonal T-cell population. Accordingly, the patient was diagnosed with T-cell chronic lymphocytic leukemia (CLL) and concurrent HAC. Thereafter, chemotherapy was initiated, which improved the lymphocytosis. However, euthanasia was performed because of worsening quality of life at 45 weeks after the first presentation. These results suggested that CLL could be masked by excessive endogenous cortisol and discovered after HAC remission.
著者
鈴木 啓生 大浦 一雅 山原 可奈子 金 正門 田口 啓太 高橋 海 高橋 健太 岩岡 和博 前田 哲也
出版者
岩手医学会
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.191-204, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
50

パーキンソン病における骨粗鬆症は骨折のリスクのため予防が重要である.骨代謝は性別,年齢,栄養状態や活動度に影響される.パーキンソン病は運動障害が主徴であり,これらを一致させた上で比較が必要だが,同様の検討はない.本研究は慢性期脳血管障害を疾患対照とし,骨密度と骨代謝マーカーを用いて病態を検討した.両群50例を前向きに登録した.パーキンソン病は骨密度低値,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値,血清総ホモシステイン高値,活性型ビタミンD低値であった.骨粗鬆症を有する両群間比較ではパーキンソン病は活性型ビタミンD低値であった.パーキンソン病で骨粗鬆症を有する群はない群より女性が多く,body mass index低値,臨床重症度高値,1型コラーゲン架橋N-テロペプチドと酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値であった.パーキンソン病の骨粗鬆症の病態には一般的リスクに加え骨吸収亢進とビタミンD関連骨形成不全,パーキンソン病自体の重症度の関与が示唆された.