著者
小柳 愛 渋谷 健司
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

当研究は、Hard to reach populationであるMen who have sex with men(以下MSM)の、出来る限り代表性のあるサンプルを抽出し、HIV有病率とHIV感染に関連するリスク要因を抽出することを目的としている。平成23年度は、Feasibility調査を実施した。サンプル方法として、Venue Day Time Samplingを採用するが、そのための前調査・準備として、(1)対象地域で性的少数者の自助活動グループやMSMのHIV予防啓発活動グループ、他キーパーソンへ研究の説明をし、理解を求める事、(2)MSMの協力者を得て研究計画への助言・実行に参加してもらう事、(3)アンケート内容の吟味、(4)venueのマッピングなどを行った。当研究の必要性を理解するキーパーソンも複数現れ、二人の作業協力者を得ることができた。この協力者によって、アンケート内容の吟味と、venueのマッピングも行われた。沖縄県内に、約40軒のMSM対象の商業施設があり、大部分が那覇市に集中していることが明らかになった。これらは、今後、より多くのMSMの協力者によって吟味・検討される必要がある。本調査は、Venueの経営者に再度アプローチし、丁寧に説明を尽くすことにより実現可能であると思われる。調査は、東京大学医学部の倫理委員会の承認を得た。Palm top computerを用いるアンケート調査については検討の結果、i-Padを用いる事とし、唾液によるHIV抗体検査のためのOraQuickを輸入した。
著者
村上 敬一
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究はいわゆる「コホート系列法」によって四国や九州の若年層方言の動態を解明し,日本人の言語形成期最終盤から終了直後における,言語変化モデルの構築を目的とするものである。進学や就職などによって言語をとりまく環境が大きく変動する,この世代特有の活発な言語変化のプロセスとメカニズムを「コホート系列法」を用いた言語調査によって継続的に追究し,データによって実証された言語変化のモデル化を目指す。2017年度は,前年度に引き続き徳島県西部の吉野川市立山川中学校,美馬市立岩倉中学校,三好市立井川中学校,および徳島県立脇町高校,同池田高校の生徒を対象として,アンケートと面接,談話収録による言語調査を実施した。また、徳島県西部と類似の言語環境にあると思われる、熊本県天草下島の県立天草高校でも同様の調査を実施し,簡便な報告書を作成することができた。調査結果については、村上の担当する「日本言語演習」や、卒業論文のデータとして活用したほか,5月の「日本方言研究会(ブース発表)」,11月の「第1回実践方言研究会」,台湾(2017年5月)と韓国(2018年3月)の国際学会で研究発表することができた。「コホート系列法」調査によって,中学から高校,高校から大学といった進学などに伴う活発な言語変化が観察される,若年層の言語動態が明らかにできることが少しずつ実証できている。語彙や文法における方言使用,標準語使用および使い分けの実態や,言語生活の実態を明らかにすることで,若年層における言語変化の普遍的なモデルの構築を引き続き目指していきたい。
著者
長沼 毅
出版者
広島大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

ハオリムシ(有鬚動物)は、後生動物にも関わらず口・腸・肛門といった消化器官を欠き、自ら食べることを放棄した生物である。その代わり、トロフォソーム(栄養体)という組織にイオウ酸化細菌を共生させている。本研究ではハオリムシの体内細菌(共生細菌かどうかは調査中)の多様性について遺伝子からの解析を行った。ハオリムシの採取は潜水調査船「しんかい2000」を用いて行った。相模湾の初島沖メタン湧水域(水深1170m)に生息するハオリムシ(Lamellibrachia sp.)とその周辺の堆積物を採取した。ハオリムシのトロフォソーム内容物と堆積物よりそれぞれDNAを抽出し、PCRにより16S rDNAクローン・ライブラリー(>110株)を作成し、塩基配列解析を行った。この結果、ハオリムシ体内の微生物相からRhodobacter (硫黄酸化細菌)やEnterobacter(腸内細菌科に属しメタン酸化細菌に近縁)といった化学合成細菌を含む複数種(>6種)の存在が確認された。これらの細菌は、ハオリムシのトロフォソーム内でmicrobial consortiumを構成し、メタンや硫化水素といった数種類の化学物質を利用した代謝経路により、宿主ハオリムシに有機栄養を供給していると考えられる。また、ハオリムシ体内細菌相と周辺の堆積物中の細菌相には、類似性のあることもわかった。今まで、ハオリムシの精子や卵から共生細菌が見つかっていないことや、ハオリムシは浮遊生活をおくる幼生初期段階には口や腸を一時的に持つことなどから、共生細菌は周囲の環境中から体内に取り込まれた可能性がある。しかし、今回シーケンスによって得られたハオリムシ体内細菌相と堆積物中の細菌相では構成種の存在比率が異なることから、比較的共生しやすい細菌とそうでない細菌がいると思われる。
著者
蛭田 明子 堀内 成子 太田 尚子 實崎 美奈 石井 慶子
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は周産期に子どもを亡くした夫婦を支援するツールの作成を目的に実施した。方法は、31名の父親と母親に対するインタビューである。夫婦のあり方は様々だが、家族の外部にも自分のサポートを得ること、悲しみに伴うお互いの一般的な感情の変化を予期できること、家族の中で子どもの存在がオープンであることが、家族の再構成に重要な影響を及ぼしていることは共通した語りであった。家族の語りにもとづき、「夫婦」と「夫婦を支えたいと願う両親」を対象とした二つのリーフレットを作成した。
著者
河原 典史
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、カナダのブリティッシュコロンビア州における日系(日本人)ガーディナー(庭園・造園業)の歴史的展開を4期にわけ、民族産業としての成立とその再編について考察した。第1期は1900年代初頭にあたり、日本庭園の模索期になる。1920年代から太平洋戦争開戦にあたる第2期では、排斥によって漁業・製材業界などから締め出された日本人のなかには、庭園業で活躍する人々も少なくなかった。1947年から1960年代初頭にあたる第3期では、戦前からの経営者のもと、二世・帰加二世が雇用者として活躍した。1970年代になり、戦後の移住者を迎える第4期では、造園業の技術が日本・アメリカから導入されるうようになった。
著者
吉原 利典 内藤 久士
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、長期間の運動刺激は筋の核内に記憶されることで、微小重力環境曝露による骨格筋萎縮の抑制に寄与するという仮説について検討した。8週間の運動不足は、暗期および明期における活動量を低下させ、ヒラメ筋におけるヒストンH3のK9トリメチル化を増加させたが、トレーニングの実施はK9のトリメチル化を抑制した。また、尾部懸垂による筋萎縮を誘導する前にトレーニングを行わせることによって、筋萎縮の誘導に関連した遺伝子の発現の増加を軽減させた。これは、長期間のトレーニングにより低いレベルで維持されたリジン残基9のトリメチル化がマッスルメモリーとして筋内に記憶されたことによると考えられる。
著者
和田 隆宏 坂東 昌子 真鍋 勇一郎
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

放射線の生体影響について、修復効果を取り入れた数理モデル(WAMモデル)によって低線量率長期被ばくの影響について定量的に解析した。特にオークリッジ国立研究所におけるマウスの突然変異の線量・線量率依存性に関する実験を詳細に検討し、WAMモデルの有効性を示した。また、ショウジョウバエにおいても線量率効果を考慮することで長期照射データが説明できることを示した。福島県の県民健康調査で発表されている市町村ごとの小児甲状腺がんの発生数と、震災から数ヵ月後に測定された放射線量のデータの相関関係を定量的に調べ、論文として発表した。また、マウスの長期照射実験における寿命短縮に関する数理モデルを構築した。
著者
小谷 瑛輔 田中 祐介 中野 綾子 若島 正 木村 政樹 矢口 貢大
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

近代において、将棋と文学は密接に関わりあいながら展開してきた。本研究では、その様相を具体的に解き明かし、データベースや論集にまとめた。一つ目は、小説という近代的な新しい概念が将棋の比喩によって誕生し、その後も文学の概念に影響を与えてきたこと。二つ目は、新聞・雑誌メディアの発展において将棋と文学がともに重要なコンテンツであったということ。三つ目は、文壇の人的ネットワークにおいて将棋が大きな役割を果たしてきたことである。
著者
今村 薫 斎藤 成也 石井 智美 星野 仏方 風戸 真理 Nurtazin Sabir Azim Baibagyssov
出版者
名古屋学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

世界には、おもにモンゴルに分布するフタコブラクダとアラビア半島からサハラ砂漠に分布するヒトコブラクダの2種の家畜ラクダがいる。これらは別種だが、カザフスタンでは昔から目的に応じて2種の交配が行われてきた。近年は、乳量の多いヒトコブラクダと、寒さに強くてカザフスタンの気候に適したフタコブラクダを交配させたハイブリッドの作出が盛んになってきている。そこで、ラクダの動物としての特性をDNA、生態、行動の点から解明すると同時に、ラクダを人間がどのように利用してきたか、その相互交渉の歴史と現状についての研究を進めた。
著者
平岡 斉士 喜多 敏博 鈴木 克明 長岡 千香子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

eラーニングなどの自動採点を前提としたテストは知識の確認をするものがほとんどである。一方、実際の教育場面では知識を応用するスキルの修得が求められている。しかし知識を応用するスキルを評価するテストには複数の制約があり、教育設計の知識やスキルに乏しい教員が作成することは容易でない。本研究では、知的技能の特性を踏まえたテスト作成方法を整理・体系化し、教育設計の非専門家でも使える問題作成支援ツールを開発する。あわせて自動採点テストを作成するための諸問題(手動採点用問題からの適切な代替、誤答選択肢の質、類題の確保など)を解決する方法を確立し、問題作成支援ツールと連動させたシステムを設計・開発・評価する。
著者
日野 愛郎 西川 賢 MCELWAIN KENNETH FAHEY ROBERT・ANDREW 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究は、ポピュリズムの国際比較研究プロジェクトにおいて空白国となっている日本の基礎データを構築して広く公共財として提供すると同時に、他国と比較してなぜ日本においてポピュリズムが不在(と言われる)かという問いに一定の答えを提示することを試みるものである。ポピュリズム研究の第一人者であるCas Mudde氏と協働しながら、日本型ポピュリズムの独自の視点を提起するとともに、政治家・政党のメッセージの内容分析やソーシャル・メディアのテキスト分析の統合データを国際基準に準拠・発展させて整備することを目指す。
著者
粟谷 佳司
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度も昨年度から引き続き、表現文化と市民運動が交差する領域に関して、文献・資料調査と聞き取り調査により分析を行った。本年度の研究では、昨年度から継続している、鶴見俊輔の文化・芸術論と市民運動に関わる活動の表現文化への影響について、文献・資料による分析を行った。併せて、市民運動と交差した表現者たちの実践について、1960年代後半の社会状況から1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)での活動につながる表現や言説を、関連する著作や雑誌(『美術手帖』『デザイン批評』『うたうたうた フォーク・リポート』を中心とした美術、ポピュラー音楽関連雑誌)の内容分析により検証した。研究では、表現者たちの活動が、いかに1960年代後半の社会状況と交差して作品や著作に実践されたのかということを、表現文化の社会への関わりという観点から考察した。また、昨年度に行った「ベ平連」の関係者への文化実践に関する聞き取り調査の分析と並行して、本年度も片桐ユズル氏への聞き取り調査を行った。調査では、片桐氏が編集・発行していたミニコミ(『かわら版』)や著作の内容への聞き取りを中心に、市民運動という空間が著作や表現活動に与えた影響について考察した。特に、鶴見や「ベ平連」の関係者との交流が、表現活動における着想の一つとなっていたことを検証した。また、9月には片桐氏の紹介によりジェームス・ドーシーJames Dorsey氏(ダートマス大学)と京都で面会し、1960年代後半の日本のフォークソング運動と音楽文化に関して意見交換を行った。研究業績として、本年度は学会報告(日本ポピュラー音楽学会第31回大会)、公開講座での報告(朝日カルチャーセンター芦屋教室)、著書(共編著)の出版を行った。
著者
小長谷 賢一 谷口 亨
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

植物ウイルスベクターは、植物へ感染するウイルスを遺伝子の運搬体(ベクター)として用い、目的遺伝子を植物体内で発現制御できる系として、遺伝子の機能解析や形質の改変等に利用されている。本ベクターの利点は組織培養技術を必要とせず、宿主植物のゲノムを遺伝子組換えすることなく形質を改変できる点にある。本研究では、リンゴ小球形潜在ウイルス(ALSV)ベクターを用いて花器官形成に関与する遺伝子を制御することで、スギを効率的かつ迅速に無花粉化させる技術の確立を目指す。スギにおける遺伝子発現抑制(ノックダウン)について、RNA二次構造アルゴリズムを用いて標的遺伝子RNAのトリガーに適した領域を推定し、その領域断片をベクターへ用いることで、ALSVベクターによる遺伝子ノックダウンの効率化に成功した。また、人工気象器内で長日条件下での培養を6ヶ月、段階的に低温にした短日条件下での培養を6ヶ月行うことで無菌的に雄花を成熟させることに成功し、季節によらず稔性調査可能な培養系を確立した。一方、スギ雄花のマイクロアレイ解析と雌花のRNA-seq解析から雄花で特異的に発現し、花粉形成に関与すると推定される遺伝子を17個単離した。これらを標的とするALSVベクターを感染させたスギの獲得と雄花の着生に成功し、また、一部の標的遺伝子で雄花における遺伝子ノックダウンを確認した。得られたノックダウン系統のうち、雄花が成熟した系統について花粉形成の調査を行なった結果、2つの標的遺伝子について正常な花粉粒が観察されず、異形な細胞が蓄積する傾向が確認された。しかしながら、着花の培養条件においては多くの系統で育成中にウイルスが脱落し、花粉形成までにノックダウンを維持させることが困難であった。今後はスギにおけるALSVベクターの安定性を考慮した培養条件を検討する必要がある。
著者
大塚 哲平
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

放射性トリチウムによって汚染された金属材料の保管・廃棄にかかるハンドリングや除染時において、外部被爆や経口摂取による内部被爆を防止する観点から、金属表面および内部のトリチウム挙動を理解することは極めて重要である。金属材料表面には極めて高密度にトリチウムが偏在することが知られているが、この表面に偏在したトリチウムが及ぼす材料内部からのトリチウム放出に及ぼす影響は必ずしも明らかになっていない。本研究ではトリチウムトレーサー技術を利用し、金属中のトリチウム吸・放出挙動に及ぼす表面に偏在したトリチウムの影響を解明することを目的としている。水素溶解度や拡散係数が既知である各種金属にトレーサーレベルのトリチウムを含有した水素を高温気体吸収法(400℃,4kPa)により溶解し、これら金属の表面水素濃度をトリチウムイメージングプレート(IP)法により、また材料からの水素放出速度を液体シンチレーション計測法により測定し、両者の関係を調べた。この結果、表面に偏在した水素と内部に溶解した水素との存在量比によって、金属からの水素放出挙動が整理されることがわかった。ニッケル(Ni)のようなFCC金属では、内部に溶解した水素量が表面に偏在した水素量よりも多いため、金属からの水素放出は、見かけ上、内部に溶解した水素の拡散によるものである。表面に偏在した水素は、金属表面酸化膜に-OH基や吸着水として存在しており、深い捕獲サイトに捕獲されたものであると考えられる。このような表面捕獲水素の室温付近における脱捕獲速度は小さい。このため、内部に溶解した水素が放出されてしまえば、相対的に存在量が多くなった表面に偏在した水素の脱離が見えるようになる。同様に、表面酸化膜が水素を捕獲しやすい銅(Cu)やBCC金属からの水素放出は、内部に溶解した水素量が表面に偏在した水素量よりも少ないため、表面に偏在した水素の脱離によるものであるといえる。
著者
高良 倉吉 狩俣 繁久 赤嶺 政信 山里 純一 豊見山 和行 池田 栄史 真栄平 房昭
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

歴史学分野では戦後のアメリカ統治期の約5年間に与那国島を南の拠点とし、口之島を北の拠点とする密貿易・密航ルートが先島諸島・沖縄諸島・奄美諸島・トカラ列島そして九州にまたがって形成されていたことから、トカラ列島の問題を前近代史に限るのではなく、現代史にも位置づけ直す必要がある点が確認された。沖縄県立博物館所蔵の古図の分析を本格的に行ない、同図が15世紀中期に朝鮮で作成された琉球国之図に近似していること、原図作成者と見られる中世の九州海商がすでに九州・トカラ・奄美そして琉球に至るネットワークを形成し、彼らの活動舞台に関する詳細な情報を入手していたことなどが明らかとなった。この古図の分析結果は中世日本史の分野に対する十分な問題提起になりうると思う。トカラ列島中之島を対象とする民俗学的調査では過疎化や住民の交替などにより古層を伝える伝承者がすでに存在せず、むしろ能動的な民俗変容こそ問題とすべき段階にあることが葬墓制の事例研究などから明らかとなった。言語学的にみてトカラ方言が九州方言と琉球方言をつなぐ重要な位置にあり琉球方言形成史解明のための手がかりを与える方言であることが確認された。研究の最終作業として行なわれた2度にわたるワークショップでは、トカラ列島の位置づけをめぐって薩摩・九州からの視点と奄美・沖縄からの視点だけでなく、中国をふくめた環東シナ海における位置づけが重要であるなどの論点と今後の主要な課題が確認できた。
著者
井内 良仁
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

短寿命の昆虫種の中にあって「寿命と生殖のトレードオフ」を打ち破り, 10年以上の超長寿命と多産を可能にしたヤマトシロアリの生存戦略について,抗酸化システムに注目した解析を行った。その結果ヤマトシロアリは他種の昆虫に比べて非常に優れた抗酸化システムを有しており,特に長寿の生殖虫では抗酸化酵素そして酸化傷害修復酵素がその長寿命と高い生殖能に積極的に働いていることが示唆された。