著者
村田 千代栄 鈴木 佳代 筒井 秀代 原岡 智子 近藤 克則
出版者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般高齢者のヘルスリテラシー関連要因の探索のために質問紙調査と面接調査を併用した混合研究法を用いた。教育程度や年齢、健康状態に関わらず「診療場面でわからないことを質問できない」ほど、必要な治療を中断しており、治療方針について「医師の説明を聞いたうえで医師と患者が相談して決める」(パートナーシップ型)で中断がもっとも少ない一方、質問できない理由として「忙しそう」「次の人が待っている」「質問しても無視された」「嫌な顔をされた」などの意見がきかれ、良好な治療関係には、ヘルスリテラシー向上に加え、医師との良好なコミュニケーションが重要であり、医師・患者双方への働きかけが必要と思われた。
著者
阿辺川 武 室田 真男 仁科 喜久子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

学習者作文に含まれるレジスター誤り、特にアカデミック・ライティングにおける不適切な表現を自動的に検出し、誤りを指摘する日本語作文推敲支援システムを開発している。本研究課題では、このシステムを使用した日本語学習者によるレポート形式作文の推敲支援を評価する実験をおこなった。その結果、システムの指摘の精度が不十分なため間違った誤用指摘も多く、正しく誤用を指摘した個所においても見過ごされてしまったこと、および使用後のアンケート結果から、誤用指摘だけでなくどのように訂正したらよいかという指針を含めて表示してほしいといった要望が多数聞かれた。今後これらを参考にしてシステムの利便度を向上させていきたい。
著者
日臺 滋之
出版者
玉川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

中学、高校の英語の授業でALTとのインタビューテストやクラスメートとのチャットを実施し、活動後に、生徒に英語で表現したかったけれど英語で表現できなかったことを日本語で書いてもらった。次に、その日本語を、英語母語話者の協力を得て、英語に訳し、Excel上で日本語と英語を左右一対一対応に整理し、日英パラレルコーパスを構築した。最後に、日英パラレルコーパスを分析し、日本人中学生、高校生が、なぜ英語で表現したかったのにできなかったのか、その要因について分析した。
著者
佐藤 幹哉
出版者
川崎市青少年科学館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ほうおう座流星群は、過去1956年に一度だけ大出現を記録した流星群である。研究代表者らは、ダスト・トレイルモデルでこの出現を解明し、そして2014年12月に再度出現する可能性を見出していた。本研究の目的は、2014年に予報通りの出現があるかどうかを観測すること、またその出現状況から、ダストが放出された20世紀初頭における母天体のブランペイン彗星(289P/Blanpain)の彗星活動度を推測することである。流星群は、2014年12月2日0時(世界時)の出現ピークが予測されたため、この観測条件と治安や気象条件などを考慮し、スペインのラ・パルマ島で観測することとした。観測方法は、流星群の活動度の測定のために、世界的な標準方法での眼視計数観測と、高感度ビデオ撮像による流星数観測の2種類を実施した。悪天候により島内南部に移動したため、極大時刻を過ぎてからの短時間の観測となったが、ほうおう座流星群の検出に成功した。眼視観測による流星数は、最大で12月2日0時45分~1時15分に6個を記録した。これは、ZHR(天頂修正1時間流星数)で31.4±11.9の規模であった。一方でビデオでは流星を捉えることができなかった。これは写野範囲が眼視観測より若干狭いこと、眼視観測よりも明るい流星までしか撮像できないこと、予定通りの観測継続時間を確保できなかったことが原因だと考えられた。眼視観測による出現規模から、ダストが放出された20世紀初頭の母天体の彗星活動度は、発見当初の1819年に対して約24.4%に減少していたことが推測された。これは、標準等級(H10)に換算すると、母天体が約1.6等級減光していたことに相当する。母天体は1820年から2003年まで見失われていたが、本研究の結果から、20世紀初頭の年代の母天体が、徐々に彗星活動を低下させていたことが推測された。観測結果は、研究代表者が勤務する川崎市青少年科学館にて報告会(2015年1月10日)を実施し、市民に速報した。また研究成果については、日本天文学会春季年会(2015年3月18日)にて発表した。なお、今回のほうおう座流星群については、ブラジル、アメリカ、カナダなど世界規模で検出の観測が行われたため、それぞれの成果を共有した上で論文に投稿する予定である。
著者
宮永 憲明 村上 匡且 細貝 知直 末田 敬一 川嶋 利幸 藤岡 加奈 時田 茂樹 李 朝阳 荻野 純平 宮本 翔 松山 卓弘 上須 駿一 富田 省吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

オクターブ近い周波数広がりのレーザーとプラズマの相互作用を研究するために、レーザーの技術開発と将来の応用に向けて陽子加速を研究した。広帯域光パラメトリック増幅(OPA、OPCPA)に関しては、誘導ブリルアン散乱パルス圧縮を利用したサブナノ秒OPCPA、回折格子対とレンズ対の4f構成光学系による周波数領域2段ピコ秒OPA、パラメトリック蛍光の低減手法を開発した。陽子加速に関しては、ナノチューブでのクーロン反発効果による加速手法を考案し、最大10MeVの加速を観測した。また、球状クーロン爆発による陽子加速では、比較的思い元素を混合させることで単色化が可能であることを水クラスターで実証した。
著者
小島 孝之
雑誌
成城文藝
巻号頁・発行日
no.210, pp.1-15, 2010-03
著者
小川 伸彦
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学社会学論集 (ISSN:13404032)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.115-138, 2005-03-01

Clarification of the sociological of the connection between a disastrous event and the invention of a new institution, that is, between the loss of the ancient wall paintings of Horyji-temple by fire in 1949 and the enactment of the Law for the Protection of Cultural Properties in 1950
著者
森 理恵
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.19-28, 2006-12-25

1889年の創刊以来現在まで日本美術史研究の権威とされる,美術誌『国華』において,その研究を支えた思想の変遷と戦争との関係を明らかにすることを目的とし,日露戦争期,第一次世界大戦期,日中戦争期・太平洋戦争期における,誌上の論説の分析をおこなった。その結果,『国華』の思想は,戦争と深くかかわり,戦争を賛美し,戦争の進展にともなってその思想を発展さ,常に日本帝国主義と歩調を合わせて展開してきたことが明らかになった。
著者
佐藤 努 藤橋 雅宏 品田 哲郎
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ゲノムマイニングおよび基質許容性解析・多機能性解析から新規テルペンの発見や非天然型テルペンの創出を達成することができた。特に、オノセロイド(スクアレンの両末端環化によって生合成されるトリテルペン)合成酵素を初めて見いだすことができた。加えて、香料や媚薬として利用される龍涎香の主成分アンブレインの酵素合成に成功した。マイコバクテリア由来の新型酵素の発掘や新規酵素の触媒機構解析も順調に進んだ。
著者
浦野 聡 師尾 晶子 太記 祐一 草生 久嗣 中谷 功治 小笠原 弘幸 深津 行徳 益田 朋幸 村田 光司 田中 咲子 松崎 哲也 奈良澤 由美 KORKUT Taner
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

古代から中世にかけての地中海世界における聖域空間と社会の関係の変動を具体的に調査するため、リキア地方(トルコ南西部)のトロス遺跡の司教座聖堂に焦点を定め、発掘調査を行った。この聖堂は、古代の都市の主聖域に建造されており、それ以前の神殿や聖域との関係で重要な知見を得られることが期待されたが、キリスト教の国教化から50年ほど経った五世紀の半ばには完成し、その後、11世紀に至るまで、隣接する旧都市の主神殿クロノス神殿までの空間に教会付属の工房区域が形成され、都市の手工業の中心となったことが明らかにされた。
著者
瀧本 彩加
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、モラルの基盤となる高次感情の制御の柔軟性と、協力行動の発達レベルや家畜化との関連に着目し、モラルの系統発生的起源を解明することである。前年度までに実施した研究では、ウマが他個体よりも不利に扱われる状況に対して不公平感を示すことが明らかになった。具体的には、ウマはそのような状況では課題に取り組むモチベーションを低下させ、課題達成までに有意に長く時間をかけるようになった。しかし、そうした不公平感が他個体との何の違いによって生じているのかを究明するには至らなかった。そこで、本年度では、新たに実験条件を1つ追加し、その不公平感が他個体との何の違いに起因して生じているのかを区別することを目的とした検討をおこなった。参加個体は、ヒト実験者が手にもつ標的物体を鼻でつつき餌を得るという課題を訓練された。本実験では、並んだウマ2個体のうち、実験個体は課題をおこなって常に価値の低い餌を得た。他方、相手個体は条件によって、課題をおこなって価値の低い報酬を得たり(公平条件)、課題をおこなって価値の高い報酬を得たり(報酬不公平条件)、課題を行わずに価値の低い報酬を得たり(労力不公平条件)、課題を行わずにただで価値の高い報酬を得たりした(両方不公平条件)。また統制条件(相手なし条件)では、相手個体がその場におらず、価値の高い報酬を実験個体に見せるだけ見せ、実験個体に課題を課し、価値の低い報酬を与えた。10頭(5ペア)のデータ収集・分析したところ、実験個体の課題遂行にかかる反応時間は両方不公平条件と労力不公平条件において最も長くなり、それらの反応時間は公平条件や相手なし条件よりも有意に長い傾向を示した。この結果は、ウマは他個体との報酬の質よりも労力の量における不公平に敏感であることを示唆している。しかし、まだサンプルサイズが小さいので、今後、参加個体数を増やしていく必要がある。
著者
佐藤 伊佐務 李 徳新 山村 朝雄
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、風力発電の出力平滑化を用途としたウラン電池の実用化に向けた基礎研究として、ウランのV価とIII価のβージケトン錯体、テトラアミド錯体の合成と物性化学の検討、小型レドックスフロー電池方式の電解試験によるこれら錯体調製時のイオン交換膜の検討を目的とする。活物質候補として種々の安定なウランV価、III価錯体の調製法を確立し、配位子と物性の関係を検討した。
著者
鈴木 毅彦
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1-25, 2000
被引用文献数
15 14

飛騨山脈南西部の貝塩給源火道から噴出した貝塩上宝テフラ (KMT) は,大規模火砕流堆積物と中部~東北南部を覆った降下テフラからなる大規模テフラである.本稿ではその特性・分布・年代を示し,噴出前後に形成された地形面の編年・古地理について論じた.KMTの認定においては,黒雲母・石英・高ウラン濃度ジルコンの存在,火山ガラス・チタン磁鉄鉱の化学組成を指標とした.従来の放射年代値と房総半島上総層群中での層位から,KMTは海洋酸素同位体ステージ (MIS) 17.3~15.2に降下し,その年代は0.58~0.69Maの間と判断された. KMTは関東の狭山面・阿須山面・喜連川丘陵上位面,松本盆地の梨ノ木礫層堆積面形成後まもなく降下した.これら地形面はMIS17~16に形成されたと推定され,当時は扇状地面を広く発達させる地形形成環境があったとみられる.また, KMT噴出時,飛騨山脈中軸部がすでにかなりの高度を有していた可能性を指摘し,阿武隈山地に発達する小起伏面群の形成年代の上限を示した.
著者
森山 園子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

線形計画問題(LP)を解くアプローチの1つに,単体法[Dantzig(1947)]に始まるピボットアルゴリズムがある。多項式時間ピボットアルゴリズムの存在の解明はLPにおける重要な未解決問題である。本研究では,多項式時間達成の可能性があるピボット規則として近年注目を集めている最小訪問規則[Zadeh(1980)]に着目し,以下目標を通じてこの未解決問題の解決に挑んだ。(1) ピボットアルゴリズムの振る舞いを記述するLPグラフの列挙法を構築;(2) 最小訪問規則から着想した履歴依存型ピボット規則の振る舞いをLPグラフ上で解析;(3) ピボット規則の適用回数に関する予想の成立・不成立を検証