著者
秋田 謙司
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.185-190, 1975

本実験は水苗代育成の成苗植区, 育苗箱育成の稚苗植区および乾田直播区を設定し, 水稲日本晴を供試してその生育過程における各種形質を追跡し, それらの相違について比較検討した。その結果の概要は次のごとくである。1. 主稈における葉の出葉間隔は13.5-14.0葉期頃まではほぼ等しかった。最終的な主稈葉数は成苗植区は17葉内外であり, 稚苗植区および乾田直播区は16葉内外であった。2. 収穫期の草丈は成苗植区と稚苗植区ではあまり差がなかったが乾田直播区は短く, 稈長も同様であった。穂長は成苗植区が最も長く, ついで稚苗植区で乾田直播区は最も短かった。3. 最高分げつ期の1株茎数は成苗植区では18.9本, 稚苗植区は24.3本で, 乾田直播区は15.7本と著しく差異があった。しかし収穫時には成苗植区は14.0本, 稚苗植区は14.9本, 乾田直播区は13.1本となり, 有効茎歩合はそれぞれ74.1%, 61.3%, 83.4%を示した。4. 地上部乾物重では成苗植区の最大は9月15日の58.9g, 稚苗植区は9月12日の56.8gで, 収穫時には成苗植区が53.2g, 稚苗植区は53.7gであった。しかるに乾田直播区の乾物重は収穫時が最大を示したがわずかに47.0gで, 成苗植区ならびに稚苗植区より劣り殊に穂重で小さかった。
著者
門田 明
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.10, pp.91-100, 1977-09-01 (Released:2009-09-16)
参考文献数
8
著者
平田 宗史
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-12, 1978-03-30 (Released:2009-01-13)
参考文献数
71
著者
上田 麻理
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

雨天時は,降雨等による環境の変化によって,視覚障害者が危険に晒されている.特に,降雨時に発生する"傘の雨滴衝撃音"によって視覚障害者や聴覚障害者が普段利用している聴覚情報の利用が妨げられており,道路横断時の自動車接触事故経験を示す視覚障害者が多い等,生命に関わる重要な問題であり,解決策の提案は急務である.本研究では雨天時の視覚障害者の歩行の安全を確保するために降雨騒音低減傘の開発,検証実験と評価指標の検討,視覚障害者用補聴器の開発,法制の整備等を行う.視覚障害者のニーズを配慮した雨天時の歩行環境整備として,以下に示す整備を実施した.◆降雨騒音低減傘の開発/検証実験と評価指標の検討(概要:これまで,降雨騒音低減傘のための基礎的検討を行ってきたが,これらの知見を踏まえ,実用化に向けて制振対策と効果の確認旧標値への追従性等),物性値の測定を行う.また,視覚障害者によるユーザビリティに関する検証実験は大変重要である)昨年度及び一昨年度の二年間は,特許修正,製品化へ向けた傘の軽量化,降雨騒音レベル測定,評価実験を実施した.さらに,視覚障害者用補聴器の開発(概要:高度技術支援システム等の新たなデバイスを用いた福祉機器による移動支援を望む視覚障害者のために,視覚障害者用補聴器の開発と提案を行った.雨天時に,傘の雨滴衝撃音等の降雨騒音にマスキングされずに,必要な聴覚情報を聞き取り易くするための補聴器の開発と補聴器のフィッティングである.さらに,どれくらい降雨騒音によってマスクされているかを明らかにするためにマスキング計算モデルの構築を行った.◆視覚障害者用聴覚情報に係る法制の整備と工業規格化,国際標準化(概要:わが国における視覚障害者支援に関する法制では,雨天時等の環境変化に応じた整備指針がないことが問題の一つである.雨天時の歩行は視覚障害者にとって危険であることから,法制の整備や視覚障害者用サイン音の設置・運用に関する標準化は重要な課題である)本研究では,法整備のためのデータ収集を実施した.◆降雨騒音傘を例とした晴眼者の音環境の価値評価に関する経済評価実験:開発した降雨騒音低減傘の販売価格を設定する際の参考にすること及び,低減傘から得られる様々な効用(メリットなど)を経済評価実験により定量化することを目的とした.対象はまずは,低減傘の主な利用者ではない晴眼者を対象として実験を実施した.
著者
根本 正之 長崎 祐二 池田 正治
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.159-166, 1992-07-31 (Released:2009-12-17)
参考文献数
13

近年, 沖繩本島や八重山群島においてオガサワラスズメノヒエが優占する荒廃草地が増加してきた。オガサワラスズメノヒエは, 周年に亘って成長する, 生育型が叢生-ほふく型のイネ科多年生雑草で, 家畜に対しても有害である。したがってその防除法の確立が望まれるが, オガサワラスズメノヒエの生理・生態や防除に関する研究は殆どないので, オガサワラスズメノヒエが発生したいくつかの人工草地で生態学的調査を行った。オガサワラスズメノヒエは草地内で純群落を形成するまでには至らないが, 採草地周辺部あるいは刈り取り作業機の横すべりや, 牧草の取り残し等によって生じた裸地にいったん侵入すると, その形態的可塑性を有効に発揮し, 確実に空間を占有した。一度草地内に侵入したオガサワラスズメノヒエの防除は極めてむずかしいが, オガサワラスズメノヒエより草丈が高く, かつ, ほふく型で地表面を被覆する性質をそなえたジャイヤントスターグラスの牧草としての導入はオガサワラスズメノヒエ群落の抑制に有効であるらしいことがわかった。
著者
酒井 博 佐藤 徳雄 奥田 重俊 秋山 侃
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.101-107, 1976-10-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11

沖繩における放牧用人工草地の雑草調査を行ない, 雑草の種類, 群落区分, その動態について, 次のような結果をえた。1) 雑草の種類は主に熱帯, 亜熱帯に分布するものが多く, 温帯に属する内地の種類と異なるが, 草種全体の生活型組成では大きな差異は認められない。2) 沖繩本島安田の草地は, スダジイ林を伐採して造成したもので, キク科の一年生雑草が多い。立地条件や放牧強度の差異によりワタナ-チチコグサ群落, バヒアグラス群落, ツルメヒシバ群落, イヌタデ群落, コバナビメハギ-ヒメジソ群落, リュウキュウイチゴ群落が成立し, 群落間に遷移がみられる。3) 石垣島, 与那国島では, 半自然草地を含んで群落を区分した。海岸風衝地域では半自然草地のコウライシバ-ソナレムグラ群集がみられる。隆起珊瑚礁を母材とする石灰質土壌上の草地はチガヤ草原から造成されたものが多く, チガヤ-スズメノコビエ群集が広くみられる。第3紀層砂岩に由来する酸性土壌上では, 前歴が耕作地の草地にノジアオイ-オガサワラスズメノヒエ群落が, 前歴がススキ草原の草地にカラスキバサンキライ-ススキ群落がみられる。4) 種の結びつきをもとに, 前記の群落間の類似関係を明らかにし, 人工草地における土壌条件や家畜の放牧圧などに対応した雑草群落の動態について考察を行なった。
著者
大戸 安弘 梅村 佳代 川村 肇 木村 政伸 天野 晴子 八鍬 友広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は概ね以下の三つの方向で行われ、それぞれにおいて一定の成果を収めたということができる。(1)古文書資料合同調査、(2)刊本資料分担髑査、(3)視点別個別研究調査の三っである。このうち中心となったのは(1)と (2)であるが、(3)についても、本格的な展開は今後を待たねばならないとはいえ、注目すべき成果を得ている。(1)の目的は、前近代日本における識字状況を解明するために、民衆の花押(白署)をともなう資料、たとえば、人別帳・起請文・村掟・契約書などを収集することにある。2002年8月から2005年11月にわたって、各地の歴史資料所蔵機関を訪問し、花押を有する原文書ないしはその複製資料を調査し収築した。花押を有する資料は概ね17世紀以前のものであり、貴重資料に属するものが多い。報告書に掲載した資料は、すべてこの調査によって収集されたものの一部であり、識字資料としての花押原型が磯認できるよう、有力な資料を可能な限り採録した。(2)の目的は、公刊されている諸文献のなかに、花押を有する有力な資料、とくに民衆の花押を有する資料を確認することにある。それらのなかには、短期間で原文書を確認することが困難であったり、あるいはすでに原文書が滅失したりしているものも少なくない。「平安遺文」「鎌倉遺文」などの綱羅的資料群、各県で編纂されている自治体史を分担して調査し、数多くの資料を収集した。(3)は、調査結果によりながら、職業・宗教・女性・地域・学問・花押と印章などの観点から、研究代表および各研究分担者において個別に研究を深めた成果である。
著者
奥津 聖
出版者
山口大学
雑誌
山口大学哲学研究 (ISSN:0919357X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-52, 2002

この論文は、山口大学哲学研究第10巻p.19-44の奥津聖『言語の構造としての視覚藝術』に依拠している。ただその中から徐冰の〈天書〉、〈新英字書道〉シリーズ、〈身外身〉の三作品に焦点をあて、それらの関係性に新たな考察を加えている。また前回の考察において保留されていた「四つの要素の一種の混成」という問題について更なる検討が加えられた。 この英文は、「2002亜細亜藝術學會 韓國大会會」(釜山廣域市2002年9月15日-18日)での発表のための草稿である。 日本文は、前回と重複するところもあるが、進展した考察もかなりあると思うので参考として付すことにする。 図版は重複を避けたので、前著の図版も参照されたい。その多くを徐冰のホームページ、 Xu Bing's Homepage: http://www.xubing.com/ http://virtualchina.org/archive/leisure/art/xubing.html http://www.chinese-art.com/volume1issue4/xubing.htm等に依拠している。 現在、拡大図版は入手不可能になっているものも多い。
著者
Etsuji Okamoto Kiyotaka Kikuchi Ginji Endo
出版者
(公社)日本産業衛生学会
雑誌
Journal of Occupational Health (ISSN:13419145)
巻号頁・発行日
pp.13-0067-BR, (Released:2013-09-10)
被引用文献数
2 7

Objectives: The aim of this study was to assess the risk of developing bile duct cancer among workers in the printing industry in comparison with workers in all industries in general. Methods: Prevalence of bile duct cancer was compared between workers in the printing industry and age-standardized controls in all other industries using the claims database of the Japan Health Insurance Association, which insures workers of small-medium sized employers of all industries. Results: Young (aged 30-49) male workers in the printing industry showed an elevated but insignificant standardized prevalence rate ratio (SPRR) for bile duct cancer in comparison with workers in all other industries (SPRR, 1.78; 95%CI,0.63-5.00). The risk was higher for intrahepatic bile duct cancer but remained insignificant (SPRR,3.03; 95%CI,0.52-17.56). Conclusions: The sharply elevated risk of bile duct cancer observed among proof-printing workers of a printing factory in Osaka may not be generalizable to workers in the printing industry nationwide.
著者
池永 真義 森永 裕幸
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第5部門, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.105-116, 2013-02

第一報となる本稿では,美術科と社会科による共同授業を通して「思考力・判断力・表現力」を高める教育プログラムの開発にあたってふまえるべき諸点について論じている。まず,「思考力・判断力・表現力」を促進する授業づくりの条件として,従来の教科内範疇を超えた教材開発が必要であること,適切な教材の機能性をふまえることの二点を確認した。次いで実際の教育プログラム開発における基本的視座として,情報分析力を高めるために日本の古典絵画を積極的に活用すること,「みる力」を「思考力・判断力・表現力」を促進するストラテジー(手立て)として捉えること,英語をコミュニケーションメディアとして学習過程に積極的に活用することの三点をあげた。第二報では以上の諸点をふまえ,実際のプログラムおよび授業の展開,考察等について論述する。This paper is intended as a study for a new education program which combines Art and Social Studies ; the aim being enchancing students's ability to think critically and express views. In this first half we are going to point out two conditions for enhancing such abilities. One is the development of teaching materials beyond conventional framework. The other is that teaching materials must be on the basis of appropriate functions. The second half concerning the development of this Education is as follows; 1)Analize information with the help of the Japanese traditional Paintings. 2)Enhance abilities to think critically and express their views by visual training as effective strategies. 3)Making use of English as a communication media through the process of learning. In the next issue we are going to expand the actual curriculum and practices based on these conditions and concepts.
著者
橋本 かほる 能登谷 晶子 原田 浩美 伊藤 真人 吉崎 智一
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.132-137, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
10

幼児期金沢方式による言語訓練中に人工内耳を装用した12例の就学後の問題点と対策について報告した。就学時までに3000語以上の文字言語理解を獲得した文字先行移行パターンを示した8例中7例は就学以降も学業に著しい問題を示さず, 人工内耳においても文字言語の有用性が示唆された。幼児期に手話先行未移行パターン, 文字先行未移行パターンを示した例は就学以降の言語習得に問題が多いことがわかった。したがって, 人工内耳装用後も就学前に十分な言語力を獲得しておく必要があると考えた。さらに, 就学以降も言語力ならびに構音の維持のために定期的な評価・指導の必要性が示唆された。
著者
野堀 潔
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Double transgenic mice crossed GFP-LC3 transgenic mice with alphaMyHC-mCherry-LC3 transgenic mice are a new and useful tool to examine the role of autophagy in the heart. Terada M, Nobori K, et al. Circ J. 2010 Jan;74(1):203-6.上記論文にて報告した我々が作製したalphaMyHC-mCherry-LC3トランスジェニックマウスを、理化学研究所・バイオリソースセンターに寄託した。C57BL/6-Tg(Myh6-mCherry/LC3)1Acvmという名称で登録となり、2011年5月のRIKEN BioResource Center Mouse Mail Newsにて、Mouse of the Monthとして取り上げられた。alphaMHC-mCherry-LC3トランスジェニックマウスとGFP-LC3トランスジェニックマウスとのダブルトランスジェニックマウスを利用した上記論文に記載したオートファジー解析方法により、心不全を発症するデスミン心筋症モデルマウスα-β-crystallin R120Gにて、オートファゴゾームとライソゾームとの融合障害が起きているかについて検討した。
著者
武内 清
出版者
青少年問題研究会
雑誌
青少年問題 (ISSN:09124632)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.p4-12, 1988-04
著者
村嶌 由直 森 義昭 岡田 秀二
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究は,一つは北米における育成的林業の成立過程と,それの採取的林業との併存構造を解明し,木材の対日輸出の経済力を問うこと,あと一つはその結果として,それが日本国内でどのような問題を生んでいるか,とりわけ日本林業との競争関係を解明することであった。明らかになった点をあげると以下のようである。1. 北米における採取的林業から育成的林業への展開は,old growthの生産から second growth の生産へ移行しつつ,その過程でアメリカ国内市場における地域問競争の激化と対日輸出の拡大をよんでいる。2. また一方,old growthの生産は環境保護を求める動きのもとで制約を受け,国公有林の生産規制へと発展している。その結果,輸出は木材企業(紙パルプ多国籍企業)の売り手独占的な構造になり,比較優位をより確実なものにさせている。3. しかも,80年代半ばからの円高ドル安移行とその定着は,製品輸入に中心を移しつつ,より外材化を進めた。それが日本の国内自給率を4分の1段階へといっそう後退させる結果になっている。4. しかし,円高現象は日本の企業の海外活動を活発化させた。日本の紙パルプ企業の北米企業の工場買収や,経営参加,さらには発展途上国における植林など新たな動きが展開した。製材企業や木材問屋の中にも海外投資を展開する企業が現れた。5. こうした外材中心の市場体制のもとで日本林業は後退傾向を強めているし,建築用の木材市場をみたとき輸入製品,国内挽き製品,国産材製品の三者が激しく競争を展開している。この中で日本の森林資源の管理の在り方が問われている。
著者
加藤 文夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.97, no.208, pp.79-88, 1997-07-25
参考文献数
15

情報理論において, 通信路符号化定理等の土台をなす重要な概念である漸近的等分配性について, その数値計算による検証を行う. 単純な (2元無記憶) 情報源を想定して, それから出力される十分長い系列の分布が具体的にどのような様相を呈するのか, また, 系列長が増大するにつれて, どのように変化して行くのかを調べるために, パソコンによる数値計算を行う. その結果を利用して重要な諸量の近似式を求め, 漸近的ふるまいを明らかにする. それを踏まえて, 漸近的等分配性とその簡略化された説明の妥当性を検討し, ややもすると誤解を生じ易い注意点のいくつかを指摘する. ここで提示される計算データや結果は漸近的等分配牲の正確な理解を促進することが期待される.
著者
佐々木 一郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1294, pp.76-77, 1990-01-20