著者
喜多 敏博
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.129, no.9, pp.608-611, 2009-09-01 (Released:2009-09-01)
参考文献数
7

本記事に「抄録」はありません。
著者
守屋 和幸 広岡 博之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.1-6, 2018-02-25 (Released:2018-03-23)
参考文献数
5

各要因のグループ(水準)内のデータ数が等しくない不釣り合いデータの分散分析には,最小2乗分散分析法が用いられ,平均値には通常の算術平均値ではなく他の要因や回帰変量に影響されない最小2乗平均値が使われる.本研究では,オープンソースのフリーソフトウェアRパッケージによる最小2乗分散分析法と最小2乗平均値の算出手順を紹介し,回帰変数を含む2元配置試験の数値例を使って,Rによるプログラムと実行結果を例示した.
著者
佐々木 卓代
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.65-77, 2009-04-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
41
被引用文献数
3 3

本研究は,近年における父親の子育て参加推奨の流れと子どもの習い事ブームを背景として,子どもの習い事に対する父親のかかわりが子どもに与える影響を明らかにすることを目的として行った。子どもの習い事経験率一位のスイミングスクールにおいて質問紙を配布し,362組の父親・母親・子どもの三者マッチングデータを得た。これをパス解析した結果,父親の親役割観が高く夫婦協力が大きいほど子どもの習い事に対する父親の意識が高く,父親の意識と母親の夫婦協力が多いほど子どもの習い事に関連した父親の行動が多かった。とりわけ,父親が子どもの習い事に関連した行動をとることが習い事に対する子どもの意識を高め,それが子どもの有能感や自己受容感を高めていた。また,父親とは異なり,母親の夫婦協力は子どもの自己受容感に直接影響していた。よって,夫婦の関係性が父親の子育て参加を促し,子どもの自己受容感を高める重要な要因であることが示唆された。
著者
竹本 裕子 妹尾 正巳 神宮 英夫
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.112-117, 2001-09-15 (Released:2013-08-08)
参考文献数
6
被引用文献数
3 4

In the research of evaluation term, the relation between term and physical attribute has been discussed. It is necessary to research a nonchalant word where the customer spontaneously utters in daily life. The purpose of this research is to clarify whether Onomatopoeia and the exclamation are appropriate for the evaluation term. The sensory evaluation experiment of the milk lotion, which is already on the market, is done. The evaluation terms were 13 terms of Onomatopoeia and 12 terms of exclamation. The results of principle component analysis in Onomatopoeia and SURYOUKA III in exclamation became clear the followings. Onomatopoeia is a term that is able to evaluate physical attribute and to express affection. This is suitable for the evaluation of affections after an assessor has been aware of physical attributes. The exclamation is suitable for the expression of affections on the first impression.
著者
前田 健太 藤本 博志 堀 洋一
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.259-265, 2014 (Released:2014-03-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

This paper presents the estimation method of the slip ratio limitation for electric vehicles that ensures traction, based on the tire brush model considering tire side slip. Also the estimated slip ratio limitation is applied to the driving force control, a traction control that has been proposed by the authors' research group. According to the proposed method, vehicle safety can be improved by preventing understeer when cornering with accelerating or decelerating on slippery roads. Effectiveness of the proposed method is verified by experiments using an experimental electric vehicle.
著者
Hitoshi Goto Michihisa Umetsu Daijirou Akamatsu Hirofumi Sugawara Ken Tsuchida Yoshitaro Yoshida Shunya Suzuki Takashi Kamei
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-20-0713, (Released:2021-03-09)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Background:Because anticoagulant drugs for ambulatory patients with cancer-associated venous thromboembolism (CAT) are limited to warfarin and direct oral anticoagulants (DOACs) in Japan, it is important to assess the outcomes of both drugs.Methods and Results:We retrospectively assessed the outcomes of CAT patients who were treated with warfarin or edoxaban between 2011 and 2017. The assessment was limited to the duration of anticoagulant administration. CAT patients who did not receive anticoagulation therapy were also compared with the warfarin and edoxaban groups. We enrolled 111 CAT patients treated with warfarin (n=58, mean age 62.6 years, mean time in therapeutic range [TTR] % 61.1) or edoxaban (n=53, mean age 64.6 years). Although venous thromboembolism (VTE) recurred in 2 warfarin-treated patients, the 2 treatment groups were not significantly different (P=0.18). Bleeding during anticoagulation therapy occurred in 6 warfarin-treated patients (2 with major bleeding) and in 5 edoxaban-treated patients (no major bleeding) (P=1.0). The non-anticoagulation group (n=37) showed a high recurrence rate (P<0.01) compared with the anticoagulant group.Conclusions:This study showed that warfarin and edoxaban are equally effective in preventing VTE recurrence and bleeding. However, warfarin control in CAT patients presented some difficulties. This study also demonstrated the efficacy of anticoagulant drugs, compared with no anticoagulation, for CAT patients to prevent VTE recurrence.
著者
Noboru SASAKI Yoshinori IKENAKA Yumiko INOUE Takahiro ICHISE Noriyuki NAGATA Mayumi ISHIZUKA Syouta MM NAKAYAMA Kensuke NAKAMURA Mitsuyoshi TAKIGUCHI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.20-0508, (Released:2021-03-05)
被引用文献数
5

Measurement of urinary metanephrines in spot samples is used for the diagnosis of canine pheochromocytoma (PC). We describe a simple analytical method based on liquid chromatography tandem mass spectrometry (LC-MS/MS) for measuring free metanephrine (MN) and normetanephrine (NMN) in spot urine samples. Using the developed method, we evaluated the stability of urinary free-MN and free-NMN at various storing conditions. In addition, we assessed the feasibility of urinary free-MN and -NMN measurement for diagnosing PC. Urine samples were mixed with stable isotope internal standards and thereafter purified by ultrafiltration. The purified samples were analyzed by LC-MS/MS in the multiple reaction monitoring mode after separation on a multimode octa decyl silyl column. The coefficient of variation of free-MN and -NMN measurement was 7.6% and 5.5%, respectively. The linearity range was 0.5–10 µg/l for both analytes. Degradation was less than 10% for both analytes under any of the storage conditions. The median free-NMN ratio to creatinine of 9 PC dogs (595, range 144–47,961) was significantly higher (P<0.05) than that of 13 dogs with hypercortisolism (125, range 52–224) or 15 healthy dogs (85, range 50–117). The developed method is simple and may not require acidification of spot urine. The results of this preliminary retrospective study suggest that the measurement of urinary free metanephrines is a promising tool for diagnosing canine PC.
著者
川端 悠士 日浦 雅則
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.441-445, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
22
被引用文献数
4 13

〔目的〕下肢の筋力低下は高齢者の転倒のリスク要因の1つに挙げられる。CS-30(30-seconds chair-stand test)は簡便な下肢筋力評価法として近年広く使用されているが,CS-30と転倒との関係についての報告は少ない。本調査では転倒予測テストとしてのCS-30の有用性を検討することを目的とした。〔対象と方法〕地域在住高齢者135例を対象にCS-30を行い,転倒歴との関連を調査した。〔結果〕CS-30のROC曲線を作成した結果,最も統計学的に有効なcut-off値は14.5回であった。また転倒歴を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析により,算出したcut-off値の妥当性が確認された。得られたcut-off値14.5回における転倒予測の感度は88%,特異度は70%を示し, AUCも85.2%と高値を示した。〔結語〕これらの結果からCS-30の転倒予測テストとしての有用性が示唆された。
著者
橘 啓盛 池谷 朋彦 高橋 伸政 村井 克己 青山 克彦 星 永進
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.790-794, 2006-07-15 (Released:2008-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は38歳女性.月経に一致した左気胸を発症し当センターを紹介された.月経22日後に行った胸腔鏡下手術にて,肺瘻の部位や気腫性嚢胞は確認できなかったが,左胸腔内の臓側,壁側胸膜にびまん性に多発する褐色の結節を認めた.病理学的に臓側,壁側胸膜ともに子宮内膜組織を認め,月経随伴性気胸と診断した.術後第3病日に月経が開始し右気胸を併発したが胸腔ドレナージにより改善した.後にホルモン療法を施行し,術後1年の経過では気胸の再発を認めていない.本症例は月経直前に手術を施行したため脱落する前の病変が観察されたと考えられた.発症機序は腹腔からの子宮内膜組織の侵入と臓側胸膜病変の脱落による気胸発症と推測された.壁側胸膜に子宮内膜組織を認めることはまれであり,月経随伴性気胸の発症機序を考えるうえで,本症例は興味深く貴重な症例と思われた.
著者
武中 桂
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究 (ISSN:24340618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.104-119, 2006-10-31 (Released:2018-12-25)
被引用文献数
1

本稿は,札幌市近郊の大規模森林を事例に,行政の管理下にある自然環境に対して,かねてからその周辺に暮らす人びとが今日に至るまでどのようにかかわってきたを考察したものである。野幌国有林は,昭和43年(1968年)に「北海道開基百年」を記念して道立自然公園に指定されて以来,「野幌森林公園」として知られている。ライフスタイルの変化や都市化などにより自然環境に触れる機会が減少傾向にある現代,そこは近隣住民にとっての「身近な自然」であり,多くの人びとに幅広く利用されている。一方で,指定直前まで,そこは周辺部落に暮らす人びとの生活の糧「ヤマ」であった。ただし,次第に生活の糧としての国有林の役割は薄れ,自然と「ヤマ」との関係は希薄になる。野幌部落の人びとは物理的な要因を認めつつも,その決定的な理由を「公園化」に求める。そしてそこが公園であるという現実を理解しながらも,彼らは今なお野幌国有林を「ヤマ」と呼び,「ヤマ」を守る活動を続け,そこを「ヤマ」として生活意識につなぎとめている。よって,現在の野幌国有林を,「重層的な環境意識を備えた空間」として提示することができる。さらに,野幌部落の人びとは今日に至っても国有林を「自分たちのヤマ」とし,「かかわることの正当性」を主張する。その根拠は,生活設計の結果として大地を切り開く行為としての「開拓」にある。つまり,具体的な働きかけの場面を喪失しても,入植当初からの土地に関する区分と領有意識を受け継いでいる意味において,ある種の「所有」を正当化しているのである。
著者
藤原 知子
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成26年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.5, 2014 (Released:2014-10-01)

長い間,スピネルは処理されていない宝石と信じられてきた.しかし2005年のGIAラボによる加熱処理実験を皮切りに,ミャンマー産•タンザニア産のレッド∼ピンク石について同様の実験報告がなされ,熱処理されたスピネルが市場に流通している可能性が指摘されている. 今回は,入手できた非加熱のスリランカRatnapura産ピンクスピネルの原石を1000°Cで5時間,酸化雰囲気の下で加熱処理した実験結果を報告する.処理前と処理後の変化をEDXRF,紫外可視分光スペクトル測定,フォト•ルミネッセンス分光,および蛍光分光光度計を用いて比較•グラフ化した.処理後の測定グラフと,フラックス合成スピネルについての測定グラフとの比較は,興味深い結果となった. スピネルとルビーは見た目や成因がよく似ていて産地も重なり,クロム含有レッド∼ピンクスピネルは,ルビーと同じく,微量元素のCr(クロム)が色因である.片や,光分析における天然レッドスピネル特有のクロム•ライン「オルガンパイプ」は.ルビーでは見られない.そこで,非加熱のミャンマーMong Hsu産ルビー原石を上記ピンクスピネルと同じ条件で加熱処理し,処理前後の変化をスピネルのそれと比較した.この比較に基づき,加熱処理によってスピネルに生じたクロム•ラインの変化の要因を考察してみたい.
著者
三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.9-12, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
4

本研究は,教職員用情報共有システムを導入した学校の1年間の書き込みの実態を把握し,今後導入を予定している学校の参考となる知見を提供することを目指している.ある学校で活用されている教職員用情報共有システムへの1年間の書き込み内容について調査したところ,1回の書き込みの平均文字数は200字程度であること,学校行事やイベントが多い月は情報量が多くなること,校内で指導的な立場にある者は投稿数が多くなること,「予定の確認・変更」,「施設・設備・備品」等が書き込みの内容として多いことなどが明らかとなった.
著者
福岡 賢二 孫 一 大月 一弘
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.1-4, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
7

本研究は,日本での就職を希望する日本語を話せない留学生を対象に,企業で働くために必要な「社会人観」についての理解状況を調べ,日本語を話せる留学生や日本人学生の理解状況と比較する.本学に在学している大学院生らを対象に,アンケート調査を行い,その結果について分析を行った.アンケート調査の内容には,企業で求められていると留学生が考える能力要素や「社会人基礎力」の概念についての理解状況,重要と思われている社会人基礎力の項目などが含まれる.調査結果の分析により,留学生にとって,日本語を理解するニーズが高く,日本のビジネスマナーについて知りたい要望があると確認できた.このようなニーズは,留学生の就職を支援する際の参考となると考える.
出版者
兵庫県立人と自然の博物館
雑誌
人と自然 (ISSN:09181725)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.117-135, 2007 (Released:2019-03-29)

兵庫県の主要14水系における外来植物の分布と優占群落の形成状況を既存文献を元に解析した.外来植物の分布については,14水系に出現した外来植物の合計種数は309種,帰化率は22.1%で,水系別では加古川(186種,31.6%),揖保川(183種,32.6%),猪名川(177種,27.1%)の3水系で外来植物種数,帰化率が高かった.外来植物優占群落については,14水系で209地点31群落が確認され,加古川(14群落),武庫川 (12群落),明石川(12群落)で多く確認された.環境省の指定する特定外来生物指定対象種については,アレチウリ,オオカワジシャ,オオキンケイギク,オオフサモ,ナガエツルノゲイトウ,ボタンウキクサの6種が,要注意外来生物種については43種が確認された.
著者
幸田 仁志 岡田 洋平 福本 貴彦 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100012, 2013 (Released:2013-06-20)

【目的】 高齢者や重度障害者は,寝たきり予防のため車椅子を使用する.しかし,不良姿勢での長時間座位は,体位変換及び除圧動作を出来ない対象にとって,褥瘡発生の危険性を高める.褥瘡は治癒困難な慢性創傷の一つとして位置づけられ,理学療法士は褥瘡予防の観点から,車椅子座位に及ぼす外力に対して介入を行う必要がある.外力とは圧迫力と剪断力を示し,圧に剪断力が加わることで褥瘡発生の危険性を高めるとされている.車椅子機構が殿部圧迫力に及ぼす影響が数多く報告されてきたが,殿部剪断力に及ぼす影響を検討したものは見当たらない.我々は第47回日本理学療法学術大会においてリクライニングにおける前方への剪断力の増加,ティルトにおける後方への剪断力の増加を示した.しかし,ティルト・リクライニングの組み合わせによる外力の影響は明らかでない.本研究の目的は,ティルト・リクライニングを組み合わせた角度変化が,圧迫力および剪断力に及ぼす影響を検証することとする.【方法】 対象は神経疾患,骨関節疾患に特記すべき既往がない健常成人12名(23.9 ± 1.8歳,男性6名,女性6名)とした.対象者はティルト・リクライニング機構が備わった車椅子上で3分間の座位保持を行い,測定中に不快を感じても姿勢を変えないように指示した.アームレストは使用せず,両上肢を組んだ状態で保持するように指示した.フットレスト高は,同一検者が被験者の大腿部と座面が水平になる高さに調節した.衣服は,座面とズボンの摩擦を統一するため,全被験者が同じ素材のものを着用した. 測定は,リクライニング0°,10°,20°の3条件、ティルト0°,5°,10°,15°,20°の5条件を組み合わせた計15条件で行った.対象者の疲労の要素を考慮して,各条件はランダムな順序で実施した.殿部に生じる圧迫力および剪断力の測定は,車椅子の座面に設置した可搬型フォースプレート(アニマ株式会社,KtSmp)で行い,それぞれ3分間の床反力垂直成分および前後成分の平均値を各対象者の体重で除した値とした. 統計学的解析には,ティルトとリクライニングを2要因とした反復測定二元配置分散分析を使用した.下位検定として各要因について一元配置分散分析を行い,Bonferroni法を用いて多重比較検定を行った.有意水準は1%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は所属機関の研究倫理委員会の承認(H23-21)を受けて実施された.対象者にはヘルシンキ宣言に基づき,実験の目的,方法,及び予想される不利益を説明し書面にて同意を得た.【結果】 圧迫力においては,2要因間での交互作用は認めず独立した要因であった.リクライニングの角度変化に主効果を認め,多重比較の結果は全てのリクライニング条件間において,傾斜角度の増大に伴い圧迫力の有意な低下を認めた. 剪断力においては,ティルトとリクライニングの交互作用は有意であった.単純主効果検定の結果はティルトに有意差を認め,全てのティルト条件間に有意差を認めた.多重比較の結果はティルト0°条件に対してティルト5°,10°条件は,前方剪断力の有意な低下を認めた.ティルト5°条件に対してティルト10°条件は,前方剪断力の有意な低下を認めた.ティルト10°条件に対してティルト15°,20°条件は,後方剪断力の有意な増加を認めた.【考察】 本研究の結果,リクライニング傾斜に伴う圧迫力の低下,ティルト5°,10°における前方剪断力の軽減,ティルト15°,20°における後方剪断力の増加が示された.リクライニングは,殿部へ加わる力を背面へ分散することで圧迫力を軽減したと考察する.先行研究では,リクライニングが前方剪断力の増加を示したことから,組み合わせて用いる際,後方剪断力を誘発するティルト傾斜をより必要とすると予測した.剪断力は二要因の交互作用がみられたが,結果的に全てリクライニング角度条件において,ティルト10°に剪断力軽減がみられた。ティルト10°の際は,背面から生じる前方への反力と,座面傾斜により生じる後方への滑りの力が,互いにほぼ等しい力の大きさとなり,殿部に生じる剪断力を軽減したと考察する.従って,圧迫力軽減にはリクライニング,剪断力軽減にはティルト10°の介入が推奨される.今後は,骨盤や脊柱といった体節の変化についての言及が課題である.【理学療法学研究としての意義】 本研究では,ティルト・リクライニングの組み合わせが,殿部に生じる外力に及ぼす影響を検証した.リクライニング20°ティルト10°の設定が,圧迫力および剪断力の双方の軽減を得る可能性が示唆され,褥瘡予防を介入する上で臨床的意義は大きい.
著者
中村 康則 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.77-80, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
11

本研究では,セルフ・ハンディキャッピング(SHC)とハーディネスの特性に注目して,社会人学生を類型化し,その成績・学習時間との関係について検討した.クラスター分析によって分類した結果,学生は「高SHC 型」「時間不足SHC型」「低SHC 型」の3タイプに類型化された.これらの3タイプにおける成績・学習時間の差を検討したところ,「高SHC 型」の成績は,他にくらべ有意に低いことが示された.また,「低SHC 型」は,学習時間が他にくらべ有意に長く,成績は「高SHC 型」よりも有意に高いことが示された.本研究で示された学生の類型を用いることにより,成績や学習時間の傾向を予測できる可能性が示唆された.