著者
秋山 裕一 田中 利雄 熊谷 知栄子 岡崎 直人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.352-360, 1982-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
24

自然界における物質輪回・ロがみ酒の歴史を現代の科学で眺め, 追求し, 新しい醸酒法の確立に迫ろうとする技術を紹介していただいた。その進め方が清酒を目標とするか新しい酒類を目標とするかと著者も問いかけている。真の理は常に漸近線の上にあリ, これからの発展が期待される。
著者
跡見 順子
出版者
日本宇宙生物科学会
雑誌
Biological Sciences in Space (ISSN:09149201)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.172-180, 2008 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5

「進化」においても「発達」においても、ヒトは重力に抗して二足で「自立」し行動するようになる。直立姿勢では、脊椎を重力に対し平行な状態に保つために、脊椎を支持する筋を常時活動させている。「丹田」として意識に上る部位はほぼ立位時の身体重心に相応する。それ故自分の身体の重心をコントロールする技でもある。と同時に四足歩行では下垂しても腹壁で支えられていた内蔵を、立位では骨盤を取り巻く骨盤底筋・腹筋などの筋収縮により下方への落下を防ぐ必要がでてくる。これらの筋に力を籠める、いわゆる「丹田に力を入れる」ことを意識的して習慣にすることは、歩行時の転倒を予防し、長期的には人間の尊厳において最も必要な「排泄の自立」を保証するための最低限の筋肉の維持が可能になる。重力場での二足歩行直立への進化の研究は、高齢社会を生き抜く知恵を私たちにもたらすだろう。
著者
平 伸二
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.57-70, 2009-04-30 (Released:2010-12-28)
参考文献数
61
被引用文献数
3 2

本稿は,脳機能の指標として記録される,事象関連電位(ERP)と機能的核磁気共鳴画像(fMRI)によるconcealed information test(CIT)に関する最近の研究を主に論述した。ERPによるCIT研究によると,犯罪捜査への実務応用に最も有望な指標は,被験者の課題に関連し,まれで有意味な事象に対して生起するP300である。しかしながら,ERPによるCITに対するカウンタメジャーへの対抗策と個別判定の基準が,犯罪捜査に応用する前に確立されなければならない。fMRI研究のほとんどは,被験者が本当のことを言うより,嘘をつくときに前頭前野の大きな賦活を示している。しかしながら,これらの研究は,2つの目的に分かれており,1つ目が嘘に伴う機能的な神経解剖学と認知処理への関心,2つ目がCITをさらに洗練させることに向けられている。今後,CIT手続きに基づく研究が,犯罪捜査のために必要であろう。
著者
佐野 嘉則 堀 貴之 早川 拓人 藪田 哲郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.78, no.790, pp.2171-2186, 2012 (Released:2012-06-25)
参考文献数
11

It is one of great functions required for a robot to perform a task instead of a human. Particularly, if a human skilled task is realized to a robot, and moreover it might be applied widely, it is possible for a robot to accept many demands. Here, we adopt the yoyo manipulation as a skilled task with the limber motion of the human upper limbs, which is intended to realize with a 9DOF redundant finger-arm robot system. Unlike conventional method using the yoyo dynamic model, human skills in the yoyo manipulation are extracted by measuring the yoyo operation of a human being with a motion capture system, and are implemented to the robot system. In this way, the yoyo operation can be performed by the robot whose results are friendly understood as human being knowledge. Furthermore, this study tries without a vision sensor, as it were, in the blindfold. Here, we show that continued control of the yoyo can be obtained using both force sensor and position control in its difficulty condition.
著者
中口 哲治
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.189-197, 2020 (Released:2020-04-30)
参考文献数
23

Recently, value-sharing consumption and participation behaviors triggered by words and images transmitted by celebrities, bloggers, and friends are attracting attention. The focus of this research is to clarify the various processes involved in sharing these values, and to contribute to the business management of an industry that relies heavily on sense and emotion. First, I define the idea of value-sharing, then I outline three hypotheses of the processes involved in sharing these values, followed by establishing my hypothesis model. In order to test these hypotheses, I conducted a survey targeted to influencers and event attendees, and conducted a psychological experiment about memory infiltration. The hypotheses were partially supported, however the hypothesis model leaves room for further verification. This research revealed images shared on social media were associated with memories of previously encountered images and real-life memories, and participants showed a unification of a positive state of emotions with others.
著者
吉田 光由 米山 武義 赤川 安正
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.481-483, 2001-07-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
13 13

高齢者の肺炎の多くが口腔内細菌の誤嚥により引き起こされる誤嚥性肺炎であることが指摘されている. とりわけ, 誤嚥性肺炎起炎菌として歯周病菌であるグラム陰性嫌気性菌が注目されており, 口腔内に歯がある有歯顎者の方が歯のない無歯顎者よりも誤嚥性肺炎が発生する危険性が高いという報告も見受けられる. 我々は全国11カ所の特別養護老人ホーム入所者366名を口腔ケアを行う群 (ケア群184名, 平均年齢82.0歳) と行なわない群 (対照群182名, 平均年齢82.1歳) に分け, ケア群には, 看護士もしくは介護職による毎食後の歯磨きならびに1%ポピドンヨードによる含嗽の他に, 週に1回, 歯科医師もしくは歯科衛生士がブラッシングを行なったのに対し, 対照群では, 従来行われていたケアをそのまま継続することで, 両群の肺炎発生頻度を比較した. 2年間にわたる追跡調査の結果, 誤嚥性肺炎は, 脳血管障害の既往 (p<0.05) のあるADLの低下 (p<0.01) した者で有意に発生したものの, 有歯顎者と無歯顎者との間で肺炎の発生に差はなかった. さらに, 期間中の肺炎発生者は, ケア群で21名 (11%), 対照群で34名 (19%) とケア群で有意に低く (p<0.05), この傾向は, 有歯顎者においても有意に (p<0.05), 無歯顎者でも有意差はなかったもののほぼ同様の傾向が示された. このことは, 口腔ケアは口腔内の歯の有無に関わらず, すべての要介護高齢者の肺炎予防に効果的であることを示唆している.
著者
岡本 留美 我部山 キヨ子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.194-202, 2015-11-02 (Released:2015-11-17)
参考文献数
28

目的:胎児異常の診断を受けた女性とそのパートナーの支援に関する文献を整理し,支援の方向性と今後の研究課題について示唆を得る.方法:PubMed, Web of Science, 医学中央雑誌を用いて“fetal abnormality (胎児異常)”“women(女性)”“partner(パートナー)”“nursing(看護)”をキーワードに2003年1月から2013年12月の期間に発表された文献を検索.胎児異常を診断された女性の体験や心理に関する研究とパートナーの体験を含む26文献(国内文献10件・海外文献16件)を分析対象とした.結果:妊娠期の女性に焦点を当てた研究がほとんどであった.女性とパートナーの心理特性では,診断時における悲嘆,不安,ショック,などの心理的反応に性別の違いはなく,夫婦間での一致の頻度は高かった.また,夫婦ともにネガティブな感情だけでなく,希望などのポジティブな感情もみられた.医療者には,胎児異常の診断時から正確な情報提供を行うことや共感的で継続的な支援が求められていた.結論:日本の研究は海外に比べ集積が少ない現状にあり,日本の社会文化的背景のなかでの検討が必要である.今後は,ケアシステム構築のため,パートナーも含めたケアニーズやケアの質評価に関する検討が必要である.女性とそのパートナーの支援を行う看護者への教育プログラムの必要性が示唆された.
著者
小鷹 研理
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.407-409, 2019-12-01 (Released:2020-03-01)
著者
竹島 伸生 小林 章雄 田中 喜代次 新畑 茂充 渡辺 丈真 鷲見 勝博 鈴木 雅裕 小村 堯 宮原 満男 上田 一博 加藤 孝之
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.197-207, 1989-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
33
被引用文献数
3 1

本研究は, 中高年ランナーに対して自転車エルゴメーター作業を負荷することにより, LTおよびall-out時でのVo2, HR, SBP, DBPを測定し, これらの加齢変化やトレーニング内容などとの関係について検討した.その結果は, 次のように要約できる.1.身長, 体重, %fat, 体格指数は, 年代間で有意な差は認められず, すべての年代のランナーは類似の痩身体型であった.週当りの走行距離時間, 頻度などは個人差が大きいが, 平均値でみると年代間に有意な差は認められなかった.ランナーとしての経験年数も年代間に有意な差は認めちれなかった.しかし, 加齢に伴い走パフォーマンスは著明に低下した.2.年齢とVo2@LTとの間には有意な相関 (r=-0.686) がみられた.しかし, %Vo2max@LTは, 各年代でほぼ同値であり, 年齢との間に一定の関係は認められなかった.3.年齢とHR@LTとの間には有意な相関がみられたが, %HRmax@LTは%Vo2max@LTと同様に年齢とは無関係であった.4.SBP@LT, DBP@LTについては年代間に有意な差は認められず, 年齢との関係は明らかでなかった.5.加齢による変化は, Vo2@LT (0.5ml/kg/min/yr) よりもVo2max (0.7ml/kg/min/yr) の方が大きかった.6.Vo2maxの加齢による変化は, 既報の一般人やランナーと比べて大きかった.しかし, 各年代でのVo2maxは, 一般人に比べ平均で50~60%高く, 例えば70歳代ランナーのVo2maxは一般人の40歳代に相当した.7.Vo2maxとトレーニングの経験年数との間には有意な関係はみられなかったが, ランナーとしてのトレーニング開始年齢とVo2maxとの間には, 有意な相関が認められた.8.HRmaxは, Vo2maxと同様に加齢による低下を示し, 同性同年代の一般人と比べて有意差はみられなかった.9.推定HRmaxと実測したHRmaxとの間には, 有意な相関 (r=0.600) がみられたものの, 個人差が大きく±10拍/分以上の誤差を生じた者が約32%いた.10.SBPmax, DBPmaxは, 年代間で有意な差はみられず, 中高年ランナーにおいては年齢と血圧の関係は明らかでなかった.
著者
山田 郁 阿部 徹弥 谷沢 善明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.175, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 湯飲み茶碗やコーヒーカップを繰り返し使用すると、容器の内側に茶渋が形成される。この茶渋は通常洗剤とスポンジだけでは除去するのが難しく、研磨剤や漂白剤が必要となる。茶渋の実態については明らかとなっていないため、化学組成、カルシウムイオン添加や経時に伴う構造変化を調べた。方法 モデル茶渋は、市販のティーバッグと東京の水道水または蒸留水を用いて抽出した紅茶溶液に磁器タイルを浸すことにより生成させた。タイル上に生成した茶渋は、一部はそのまま電子顕微鏡観察を行い、もう一部は茶渋をスパチュラで掻き取り化学組成分析を行った。結果 茶渋は、水の蒸発による喫水線の低下に伴いタイル表面に生成した。元素分析、IR分析の結果、茶渋の化学組成は紅茶自体のものとは異なり、カルシウムがキレートされたポリフェノール類と少量の珪酸カルシウムから成ることがわかった。SEM-EDS分析より、有機物の上に珪酸カルシウムが島状に存在する様子が観察された。また、紅茶へのカルシウムイオン添加と経時により、ポリフェノールのキレートと重合が促進されることがわかった。次に、茶渋の化学的除去方法について検討した結果、キレート剤に効果があることを見いだした。茶渋除去能は、カルシウムイオンとの錯安定度定数の順序と一致した。
著者
檜作 進
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.316-325, 1973-12-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
51
著者
松田 和雄 秦 敬子
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.118-127, 1985-06-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

The size and the shape of shellfish glycogen varied with the extraction procedure. The particles of glycogen prepared by extraction with dimethyl sulfoxide (DMSO) were relatively large (20-180nm, diam.) and showed rosette-like structure. The particles of glycogen prepared by trichloroacetic acid (TCA) extraction and the commercial glycogen were much smaller in size (10-130nm and 10-40nm, respectively) and did not show rosette-like structure. The general properties of these glycogen preparations were not significantly different from each other, except that the latter two preparations were more susceptible to pullulanase.The size of the glycogen particles was decreased by treatment with TCA, phosphotungstic acid or 30% potassium hydroxide, but was not changed by treatment with 0.1M or 0.5M sodium hydroxide. Treatment with 2-mercaptoethanol did not disrupt large glycogen particles. Protease and β-amylase did not affect the size of glycogen particles. Large glycogen particles were partially split by treatment with α-amylase, suggesting that a large glycogen particle is composed of fundamental particles (20-30nm, diam.) linked through α-1, 4-glucan chains. On the basis of the foregoing results, a model of glycogen particle was proposed. The relation of the biosynthesis mechanism and the particle formation of glycogen was also discussed mainly from the viewpoint of the role of branching enzyme.
著者
西川 潮
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.269-277, 2015-11-30 (Released:2017-05-23)
参考文献数
22
被引用文献数
3

水田は農作物の栽培の場を提供するだけでなく、かつて氾濫原湿地を利用していたさまざまな生物に棲み場や餌場を提供する。近年、水田は、その代替湿地としての重要性が見直され、農業生産と生物多様性再生の両立を念頭に置いた生物共生農法への取り組みが全国各地で進められている。佐渡市では、2008年度より開始されたトキ(Nipponia nippon)の再導入事業に合わせて、水稲農業に水田の生物多様性再生を軸とした「朱鷺と暮らす郷づくり」認証制度が導入された。2013年現在、全島の約24%の水田で認証米栽培への取り組みが進められている。この消費者と一体となった農地の環境保全体制、トキが棲む里地・里山景観、そして金山の影響を受けた固有の文化が認められ、佐渡市は2011年に、国際連合食糧農業機関(FAO)により世界農業遺産(GIAHS)に認定された。本報告では、佐渡市における生物共生農法への取り組みが、トキ、両生類、魚類、および大型底生無脊椎動物(底生動物)といった水田の生物多様性に与える影響について紹介する。生物共生農法の取り組み効果は、分類群によっても、水田内外の環境要因や土地利用によっても、空間スケールによっても異なり、とくに、耕作期および非耕作期の安定した湛水環境創出の取り組みや、減農薬・減化学肥料の取り組み、水田と水路の連結性確保の取り組みが水田の生物多様性向上に効果的であると考えられる。佐渡市では多様な農法への取り組みが水田の生物多様性を向上させていることが示され、今後も農法の多様性を維持向上させ、その成果を認証米の販売に活かしていくことが、里地・里山の自然再生を持続的に推進していくうえで重要と考えられる。
著者
鈴木 孝夫
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.30, pp.30-45, 1956-09-30 (Released:2010-11-26)
参考文献数
34

Though numerous references have so far been made to the song of bird, no systematic treatment ever appeared with a view to incorporating it intothe theory of ‘phylogenesis’ of human language.The author stresses, in this article, the significance of this kind of approachin elucidating the structural relationship between human languageand vocal communication in bird. In this connexion, he pays special attentionto the habit of sound learning commonly possessed by man and bird.After presenting a sketchy review of vocal behaviour in Ayes, of whichthree types are to be distinguished, namely, 1) call-note, 2) song par excellenceincluding love and territory song and 3) joy song, he tries to showthe configurational nature of stimuli birds react to in the visual as well asin the auditory field.For example, gallinaceous birds usually react to flying birds of prey bygiving alarm call. Tests using models of flying birds showed that ‘as longas a model had a short-neck, the experimental birds would show alarm.’Further experiments revealed that ‘it is not the shape as such that actedas a sign stimulus, but shape in relation to direction of movement.’ Suchstrict dependence of an innate reaction on a certain set of sign stimulimakes us postulate, in the mind of animals, the Innate Releasing Mechanismwhich is, to use the metaphor of Konrad Lorenz, the appropriate key-hole matched to the shape of a key.When this concept of ‘key’ is applied to the interspecific reactions, theset of essential stimuli above explained is just what we now call a (social) releaser.The author then introduces the idea of ‘reaction chain’ which consistsof ‘a chain of separate reactions each of which is dependent on a specialset of sign stimuli.’ And each of these stands in a special causal relationto the preceding one. Thus the reaction chain can be looked upon as ahighly specialized combination of releasers. Here he points out that sincereleasers used in reaction chain do elicit appropriate responses only whenused in a definite order peculiar to each species of animals, we mightrecognize here a sort of ‘syntax’ existing between these signs (i.e.releasers). In other words, these signs do not behave as signs unless theyare put in a structural order.Descriptions of mating behaviour in bird abound in the so-called ‘rituals’performed by male and female. These precoital rituals, in whichsong also plays an important role, are nothing but the sort of syntacticcombination of signs just referred to.As compared with song proper just analysed, call-note, which seemsabout the only vocal activity most students in this field take into consideration, presents quite a different picture. In the author's opinion, a callnote is a vocal sign used empractically, to use the terminology of KarlBuhler. It is employed, as it were, in the capacity of diakritikon andrequires no specific structural context of its own. On the other hand, closer examination of joy song reveals that vocal behaviour in general is, by its very nature, apt to free itself from strict dependence on the situationalconditions. This tendency observed in bird, together with the capacityto learn diverse sounds, is, the author maintains, perhaps countedupon as one of the prerequisites needed for the emancipation of sign from‘concrete things’.From these considerations, the author concludes that semiotic analysisof bird song discloses striking similarity obtaining between vocal communicationin bird and human language, and thus helps us to open a new perspective in the theory of signs.
著者
升田 好樹 七戸 康夫 表 哲夫 高橋 広巳 小瀧 正年 並木 昭義
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.777-780, 1992 (Released:2008-12-11)
参考文献数
9

キシロカインゼリー®によるアナフィラキシーショックを経験した.症例は51歳男性,中咽頭腫瘍術後,下顎骨骨折のため観血的整復術を予定した.既往に麻酔薬によるアナフィラキシーショックがあった.挿管困難が予測され,経鼻挿管のため鼻腔内にキシロカインゼリー®を注入し,経鼻用エアウェイを挿入したところショック状態となった.気管内挿管を試みたが心室細動となり,ただちに輸状甲状間膜切開を行ない,直流除細動により心拍再開し,なんら後遺症なく回復した.皮内テストではメチルパラベンが疑陽性,カルボキシメチルセルロースナトリウムが陽性であり,アレルギー反応の原因として添加物を考慮する必要性を痛感した.
著者
内田 杉彦
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-18, 1983-09-30 (Released:2010-03-12)

imy-r ic3ww (overseer of ic3ww) is the title of the officials who played very great roles in the Sixth Dynasty's Policy towards Nubia. But, there are different opinions about the characters of ic3w (plural ic3ww) and of imy-r ic3ww.The aims of this paper are to consider their characters and roles in Egypt-Nubia relations in the Sixth Dynasty Period, and by doing so, to suppose the nature of the Sixth Dyasty's policy towards Nubia.The results are as follows:(1) ic3ww means ‘Egyptianized Nubians’, who originally were the descendants of the captives taken to Egypt from Nubia by some military expeditions before the Sixth Dynasty Period.They worked as the intermediaries between Egyptians and the natives of Nubia.(2) The main duty of imy-r ic3ww is to gain from the natives of Nubia the southern products, and cooperation including the offer of soldiers, by way of the dealings including barter.His activity was assisted by his followers, namely ic3ww.(3) The main objects of the Sixth Dynasty's policy towards Nubia are to gain the southern products easily from the natives of Nubia, and to make use of them as human resources, by way of the comparatively peaceful rule.
著者
眞壁 優美 中山 由佳 谷井 潤郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.110-116, 2009 (Released:2015-03-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2

うどんの物性に及ぼす塩類の影響について検討するため,種々の塩類と市販塩を用いて調製したうどんの物性評価を行った。また,市販塩については,官能評価を行い,うどんの食感に及ぼす影響について検討した。 生うどんの物性については,各塩類の影響が見られ,生うどんの生地における伸びやすさについては,塩化カリウムを用いた生地が最も伸びやすく,硫酸カルシウムを用いた生地が最も伸びにくく硬いことが分かった。市販塩を用いた場合,塩種による差が見られたが,その差は小さかった。 ゆでうどんについては,塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムを用いたうどんについては軟らかい傾向が見られたが,生うどんの場合と比較し,各塩類の影響は小さくなることが分かった。市販塩を用いた場合,物性評価,官能評価の結果に差はなく,いずれの塩を使っても食べたときの食味には大きな違いはないことが分かった。
著者
菅沼 慎一郎
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-34, 2015 (Released:2017-03-20)
参考文献数
26

「諦める」ことの精神的健康に対する機能に関しては相反する知見が存在する。これまで「諦める」ことの行動的側面が注目されてきたが,「諦める」ことをプロセスとして捉えることでその精神的健康に対する機能がより明確になる可能性がある。本研究では,青年期において「諦める」ことが体験されるプロセスとその精神的健康に対する機能を質的に検討することとした。後青年期(22~30歳)の男女15名を対象に,過去の諦め体験に関して半構造化面接を行い,29エピソードを得た。M-GTAを用いた分析の結果,24概念が生成された。予備的な分析を行った結果,【実現欲求低下】という概念を得,これが「諦める」ことの精神的健康に対する機能と関連する可能性が示唆された。この【実現欲求低下】を軸に「諦める」プロセスを分析した上で,未練型,割り切り型,再選択型の3つに分類し,各々の型の詳細なプロセスに関するモデルを生成した。諦めることの機能に関しては,【実現欲求低下】と【達成エネルギーの転換】が重要な役割を果たしており,割り切り型と再選択型という2つのプロセスにおいては諦めることが建設的に働き,未練型においては非建設的に働くことが示唆された。最後に本研究の限界と課題について論じた。