著者
西井 匠
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は自転車のサスペンションが中高齢者の走行安定性におよぼす影響を明らかにすることであった。実験ではサスペンションの有無を設定できるシティサイクルを用い、歩道走行を想定した段差(3cm, 5cm)を乗り越えさせた。その結果、サスペンションなし条件では最大で約12Gの衝撃があったが、サスペンション設定によって6〜63%の衝撃緩和効果があった。その衝撃吸収効果により、ハンドル操作に関係する筋を過度に緊張させない効果もあった。
著者
寺井 弘文 今堀 義洋
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では省エネ・低コスト貯蔵の手段として,エタノール蒸気を用いた収穫後ブロッコリーの老化(黄化)抑制効果について,食品成分として重要なアスコルビン酸が関与する抗酸化機構を明らかにした.またエタノールは青果物の異臭や褐変など,ガス障害の原因物質であるため,処理がアルコール発酵に及ぼす影響をブロッコリーの他,バナナ,ピーマンについて検討した.エタノール蒸気処理は"エタノールパッド"(シリカゲルにエタノールを吸着したもの)により,青果物を入れた有孔ポリエチレン袋にパッドを封入することにより行い,アスコルビン酸に関する研究では20℃のもとで,アルコール発酵に関する研究では20から15℃のもとで貯蔵した.アスコルビン酸については,エタノールの蒸気処理により,対照区(無処理)に比較して,その含量の減少が抑制された.過酸化水素含量は,貯蔵期間5日を通じて処理区では無処理区に比較して低かった.また,Superoxide dismutase(SOD),Catalase(CAT),Ascorbate peroxidase(APX)の活性は貯蔵期間を通じて処理区は無処理に比べ高かった.これらのことから,処理によりブロッコリー小花の細胞内では酸化型アスコルビン酸,酸化型グルタチオンを還元型にしてアスコルビン酸-グルタチオンサイクルの働きを保ち,過酸化水素を効果的に消去していることが示唆された.またアルコール発酵に関する研究では用いた3種の青果物のうち,いずれも処理により組織中のアセトアルデヒド(AA)およびエタノール(EtOH)量の一時上昇が認められた.そのうち,ブロッコリーがAAおよびEtOH量とも最も多かった.バナナ果実で緑熟果と追熟処理果を比較した結果,処理によって緑熟果は組織中のAAおよびEtOH量が影響されなかったのに対して,追熟処理果ではいずれも一時増加がみられ,追熟の進展がやや抑制された.さらに,ピーマン果実でアルコール発酵代謝の酵素活性は処理による影響はなかった.
著者
茅 暁陽 高橋 成雄 小俣 昌樹 吉田 典正 豊浦 正広
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ユーザの情動を感知する情動センシング、情動をコンピュータ内で認知・利用する情動アナリシス、情動に適応する画像や映像を合成する情動適応型イメージシンセシスの各フェーズからなる閉じた処理ループを構成することにより、人間中心の情報ネットワークシステムの重要な基盤技術としての新しい CG技術-affective rendering の確立を目的として、感情価と覚せい度で構成される 2 次元情動モデルを使用し、各種視覚要素が情動に与える影響の調査、生体情報より2次元情動空間における状態の推定および情動を特定な状態に誘導する視覚アニメーションの設計と提示技術を開発した。
著者
近藤 一晃 西谷 英之 中村 裕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.8, pp.1206-1215, 2011-08-01
被引用文献数
2

人間とシステムが協調することで画像認識の適用範囲や精度を高める「協調的認識」の考えが提案されている.本研究では協調的物体認識を効果的に形成して認識を改善するインタラクションの設計について提案する.具体的には,認識結果やシーンの状況といった項目をシステムが評価し,認識を行う上で悪状況であった場合には,その説明とともに協力してほしい内容を人間に提示する.これにより,どうすれば認識が良い方向に向かうのかを簡単に知ることができるため,小さな負担で認識が改善されるとともに,人間にとって分かりやすい道具となることが期待される.協調的認識を行うための状況評価,提示インタフェースの設計・構築,及び実験を行い,認識困難な状況の検出が行えること,また人間の協力により認識が改善されることを確かめた.
著者
桜井 裕 佐藤理史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.1470-1480, 2002-05-15
被引用文献数
18

本論文では,与えられた用語に対して,その用語を説明する文章(用語説明)をワールドワイドウェブから収集し,それらを編集してユーザに提示するシステムを提案する.本システムは,(1)用語説明の収集,(2)編集,の2つのモジュールから構成される.{}「用語説明の収集」では,まず,サーチエンジンなどを用いて,入力された用語の説明が記述されている可能性が高いウェブページを収集する.次に,収集したウェブページから,用語の説明が記述されている段落を抽出する.最後に,抽出した段落内を解析し,その用語を定義する文(用語定義文)が存在するかどうかを判定し,存在した段落のみを用語説明として出力する.この判定においては,13種類の用語定義文それぞれに対して設定した文型パターンを用いる.{}「編集」では,収集した用語説明を語義ごとにグループ化し,それぞれのグループに対して,最適な用語説明と上位語を決定する.最後に,これらをまとめて,結果を語義ごとに出力する.本システムにおいて,用語定義文の判定精度は87%,グループ化の精度は81%であり,ほぼ実用レベルに達していると考えることができる.This paper proposes a term explainer that offers us a virtual dictionary, which uses the World Wide Web as information source. Thesystem consists of two modules: explanation collector and explanation editor. For a given term, the first module collects related webpages by using search engines, and extracts paragraphs thatcontain the term explanations. Sentence patterns of thirteen kinds ofdefinition sentences enable automatic detection of definitionsentences and automatic extraction of term explanations. The secondmodule classifies the extracted explanations into groups according tothe meaning, and determines the best explanation and the best broaderterm for every group. Finally, the system generates the result inHTML. In an experiment, the system achieved 87% accuracy indetection of definition sentences and 81% accuracy in classificationof explanations into groups.
著者
岡本 玲子 鳩野 洋子 岩本 里織 小出 恵子 草野 恵美子 津田 敏秀 浜田 淳 北脇 知己 芳我 ちより 合田 加代子 山川 路代 岡本 里香 福川 京子 長野 扶佐美
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の目的は、住民と意思決定者に活動の必要性と成果を見せる公衆衛生看護技術を構築し、それを習得する学習プログラムを開発することである。2011年度は、「見せる公衆衛生看護技術」を定義し、①活動の必要性を見せる技術、②活動の成果を見せる技術、③保健師の存在価値を見せる技術について内容を体系化、2012年度はそれをもとにテキスト「見せる公衆衛生看護技術」を作成、2013年5月に出版(岡山大学出版会)。2013年度はテキストを用いた教育プログラムを検討・試行した。2014年度には成果普及に向けたWEB教材を作成・公開した(http://wwwmiseru.fhs.okayama-u.ac.jp)。
著者
岡本 玲子 塩見 美抄 鳩野 洋子 岩本 里織 中山 貴美子 尾島 俊之 別所 遊子 千葉 由美 井上 清美
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.60-67, 2007-03-30
被引用文献数
9

本研究の目的は,今特に強化が必要な行政保健師の専門能力を明らかにすることである.データは,(1)学識経験者を対象としたフォーカスグループディスカッション(n=7)と,(2)保健師と関係他職種を対象とした個別面接(n=9)により収集した.専門能力は,研究者によるデータの解釈・分析によって抽出・精選した.専門能力の妥当性と優先度の検討は,(3)全国の現任保健師研修担当者への郵送質問紙調査により行った.(1)(2)を分析した結果,専門能力は次の5つにまとめられた.すなわち,a)住民の健康・幸福の公平を護る能力,b)住民の力量を高める能力,c)政策や社会資源を創出する能力,d)活動の必要性と成果を見せる能力,e)専門性を確立・開発する能力である.(3)の調査(n=225)では,a)〜 e)の専門能力は,被調査者の9割以上の賛同を得た.また,7割の者が優先度が高いとした専門能力は,c)d)であった.結果より,今回抽出した専門能力は,今特に強化が必要なものとしてコンセンサスを得られた.今後保健師がこれらの能力を獲得できるよう,とりわけ優先度の高い専門能力について,我々は早急に教育プログラムの開発や教育体制の整備を行っていく必要がある.
著者
玉田 一晃
出版者
和歌山県立田辺中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

ハゼ科ヨシノボリ属魚類の繁殖様式は基質産卵性で雄が卵の見張り保護を行う。ヨシノボリ属魚類にとって川床の礫石は産卵基質となる重要な繁殖資源である。さらに,礫石サイズは保育できる卵数を決定するので,雄の繁殖成功上重要な形質である。ヨシノボリ属魚類では,大型の巣石獲得をめぐる雄間競争が種内・種間レベルでみられ,大型の個体が優位に立つ。河川性カワヨシノボリは同所的に生息する両側回遊性ヨシノボリ類に比べて小型で,巣石獲得競争上不利であると考えられる。一方,カワヨシノボリは両側回遊性ヨシノボリ類に比べ極めて大卵少産なので,前者の巣石サイズが後者より小さくても問題は少ない可能性がある。仮に,カワヨシノボリが必要な巣石サイズが両側回遊性ヨシノボリ類より小さいなら,かれらが共存する場合,巣石獲得をめぐる種間競争は緩和されることが予測される。本研究ではこの予測を検証するため,まず,カワヨシノボリと両側回遊性ヨシノボリ類の共存地点において,各種がどのようなサイズの巣石を利用しているのか調査した。次に,カワヨシノボリについて巣石サイズ選択実験をおこない、同一河川に生息する,既に巣石サイズの選好性が明らかになっている両側回遊性ヨシノボリ類とその選択性を比較した。野外調査の結果、カワヨシノボリは両側回遊性ヨシノボリ類より小さな礫石を巣として利用し、その産着卵面積も小さかった。巣石サイズ選択実験の結果、雄体サイズが巣石サイズ選択性を決定する要因であり,種の違いは無関係であることが明らかになった。カワヨシノボリは共存する両側回遊性ヨシノボリ類より体サイズが小さいので、結果として小さな礫石を巣として利用していることになる。以上の結果より,河川性カワヨシノボリと両側回遊性ヨシノボリ類とは巣石獲得をめぐっては激しい競争関係にないことが示唆された。
著者
西川 俊作
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-16, 1981-04-28
出版者
京都大学図書館機構
雑誌
静脩 (ISSN:05824478)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, 2011-07-31

京都大学図書館機構報
著者
松野 年宏 市川 眞一 井田 哲雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.966-967, 1990-03-14

本稿では,われわれの開発したLisp-Prolog融合処理系MC(Meta Computing environment)の概要を述べるとともに,MCによるアプリケーションプログラム開発を通じて得た,融合の効果についての評価を行う.計算機によって処理される問題が拡大し,またそれらの複合問題の解決が要求されるにつれ,それを記述するためのプログラミング言語に要求される機能は多様化してきている.この要請に対する解決には,強力な新言語を開発する,あるいは,既存のプログラミング言語に適切なインターフェイスを設ける,という2つのアプローチが考えられる.MCでは,既存ソフトウェア資産,およびプログラミングノウハウの継承という現実的な配慮から後者のアプローチをとり,記号処理分野で広く利用されているLispとPrologの融合を図った.Lisp-Prolog融合処理系自体は決して新しいものではないが,その効果についての評価は未だに定まっていない.われわれは,MCによる実際的アプリケーションの開発により,Lisp-Prolog融合処理系が単なる研究的興味の対象ではなく,プログラム開発の効率化に有効であるとの評価を得た.
著者
溝口 文雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.158-164, 1995-04-01
被引用文献数
2

本稿は最近注目されているグループウェアの考え方を紹介して,その分類と機能に触れている。そして,"同じ時間型"及び"違う時間型"のグループウェアを取り上げて,その各々の事例を紹介している。前者は主として,発想支援であり,パソコンのハイパーカードを利用したシステムである。後者はインターネットを用いた論文作成システムであり,どのようにして論文の分担を集めて共同論文にしていくかが強調されている。こうしたグループウェア的なパソコンやインターネットの利用は高速なネットワークの進展と共に,さらに進展していくと思われる。
著者
松井 幸一 高橋 誠一
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
no.44, pp.243-272, 2011-04

Amami Oshima has created own unique culture, which is based on Ryukyu culture and also mixed with Yamato culture. Tatsugou-chou,a targeted research area for this paper,has mountain district and forest in the central part and villages are located on coast area and look like sticking on the island. Each village inside the island Amami Oshima is called "Shima," which means island in Japanese,since they do not have good access to transportation to other villages as if they are island. Therefore,folk culture also has defferent characters. Under this nature environment,people clearly differentiate between the own village, which they belong to, and the others,which are outside different/unfamiliar world. A targeted research area of this paper is Tatsugou-chou in Amami-oshima. This paper is aim to geographically reserch regarding villagers' consciousness toward self-world and outside world by restoring scattering spiritual places and traditional places of infesting specters on the map As aresult of reserch,there is a tendency that spiritual places are mainly located on old area of the villages and each village has the spiritual place, which is called "Kamiyama." This village constriction is with the philosophy based on "Kusate" idea, which is a traditional village constriction philosophy of Ryukyu. In addition, some cases are recognized that traditinal spiritual places are incorporated in "Heike" legend and lost an original meanings. On the other hand, many of specter-infecting places are located around the outer edges of each village. One of the reasons for this tendency is due to villagers' unconscious social group consciousness. In order to differentiate
著者
鏡影 編
出版者
弥高舎
巻号頁・発行日
1912