著者
黒田 英一
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では、集団就職世代の工場経営者・商店主を対象に聞き取り調査を行った。聞き取り調査結果をまとめると、次のようになる。1 集団就職により大都会に出てきた中卒者のうちわずかしか工場経営者・商店主になることができなかった。それ以外の者は、大都会で転職を重ねて雇われ職人や単純労働者になり、あるいは帰郷卸した者、消息不明などである。2 努力してそれなりに工場経営者・商店主になれたのは、勤務した先の経営者に恵まれたことである。良き「社長」「おやじ」に恵まれて、そこで技能を徹底的に修得させられただけでなく、仕事以外の面でも厳しく躾けられた。3 集団就職世代が厳しい就業環境のなかで習得した技能は、職種や産業によって違いがみられた。小売業のように2,3年で習得できる接客・サービスの技能もあれば、10年近くたってようやく身につく大工や旋盤の技能もあった。4 就職先は住み込みであり、経営者と同じ屋根の下で暮らしたことから、集団就職世代にとって、就職先はもうひとつの家庭となった。生まれ故郷に次ぐ「第2の家庭」であった。5 「一国一城の主」になることができなかったものの、集団就職は中学卒業者にとっては大都会に入ることができる最初の一歩であり、その後の人生の入り口ともなった。こうした研究成果をふまえると、集団就職はよきにつけ悪しきにつけその後の人生のひとつの契機となっており、たまたま艮き経営者に恵まれた者だけが、工場経営者・商店主となって「サクセス・ストーリー」を演じることができたといえる。厳しい競争であっても、大都会は技能を磨けば社会階層を移動できる機会を若年労働者に与えていた公正な社会であった。
著者
大谷 未起生 植田 憲 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.51, pp.182-183, 2004-05-30

This paper aims to investigate the Boushu Round Fan as the one of National Designated Traditional Craft that is produced on Southern Chiba. By analyzing the history and present condition, this study tried to find the essential matters for future Industrial Promotion. This Boushu Round Fan Industry recently rapidly decrease and be done only by the aged people. Problems to discover the present values and the lack of bamboo as the basic material also caused the decreasing of the production activity of Bousho Round Fan. Based on field survey, by various perspectives this study concretely observed the promotion plan.
著者
清水 裕子
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-46, 2006-03

わが国は国土の70%が森林に覆われ,その40%が人工林であるが,その多くは昭和35年ごろの拡大造林期によって造林された。しかし,昭和40年代後半からの林業の低迷により,国内村の供給低迷が恒常化し,広大な人工林で間伐時期を超過した放置林分の増加が問題となって現在に至る。一方,1970年代以降,森林の多目的利用に対する関心が高まっている。中でも森林の保健・休養利用であるキャンプやエコツーリズムのようなアウトドア・レクリエーション利用や,自然観察,林間学校のような環境教育など,現代の多様な価値観に伴った多様な需要が増加している。こうした需要に対応できる,魅力的で風致を感じる自然的要素の濃い森林を創出する事は急務であるといえる。 このような森林の風致向上を目的とした施業方法を「風致施業」という。現在,放置人工林を風致の感じられる森林へと改良向上する技術が必要とされている。「風致施業」は明治時代の林学導入と共にわが国に導入された「森林美学」から端を発し,昭和10年前後までには保健休養・風景維持のための施業方法としてその定義が確立し,研究がなされたが,第二次世界大戦によって中断された。戦後復興期の森林は経済復興の基礎資材生産の場として位置付けられたが,1970年代頃からようやく森林の風致的取扱いの研究が社会の要求にこたえる形で再開された。しかし,長い間の研究の中断や社会のニーズの変容で森林を取り扱う際に,「風致施業」は現在,さまざまな意味として捉えられており,その明確な目的の定義と方法論としての技術の体系的な展開は困難を極める。さらに森林は国土の被覆として,林業とレクリエーションなどの多目的利用に二分されるものではなく,両立しなくてはならないことが大きな課題である。 本研究では,この「風致施業」を戦前の風致研究に立ち返り,かつ現代の社会状況に合わせて定義づけをし直し,「風致施業」の継承と技術的な展開の可能性を考察することを目的とした。特に技術的な展開可能性について,林業との両立の課題から経済性の高いヒノキ林を取り上げることとした。 本論文の構成は5章からなる。 第1章では戦前を中心に現代に至るまでの「風致施業」の系譜を考察すると共に,現在問題であり,かつ地方再生の可能性を秘める山麓部の放置人工林,特に放置に関わる問題の深刻なヒノキ人工林に焦点を当て,その具体的な風致施業のあり方を考察した結果,森林風致改良の当面の目標として,強度の間伐による針広混交不斉多段林である択伐林型造成が適すると結論付けた。 第2章では,信州大学構内演習林で実際に行われた,2通りの間伐方法の違いによる,放置ヒノキ人工林から針広混交不斉多段林への変換を試みた結果,かつて田村や今田などが提唱したような,不均一な林木配置を作り出すポステル間伐に類似した間伐方法に効果があった事が明らかになった。 第3章では,ヒノキ人工林の構成単位としての単木樹形を把握するため,かつ実際の選本に必要な寺崎式樹型級区分を定量化するための基準を定量化するために,ヒノキの単木自然樹形の稚樹から成木に至るまでの経年変化とその樹形形成要因を調査・分析した。その結果,ヒノキの樹冠形の変化は1次回帰式に近似し,成長と共にうちわ型から円錐形へ,鈍頭型から尖頭型の樹冠を形成し,その変化には樹幹の外樹皮形成が関与することが明らかになった。 第4章では,前述した間伐方法の実際の現場での実行を視野に入れ,異なる林齢の放置ヒノキ人工林に対して,樹型級による選木基準を考察した。その結果,ヒノキ林は相当な過密状態でも隣接木との種内競争は樹形に反映しないことが明らかになり,その結果,単木的な選木ではなく,機械的に大きさの異なる樹冠ギャップを造ることで目標の林型を創出できることが明らかになった。 第5章では,以上の結果をまとめた。放置人工林に対する「風致施業」は,森林の経時間的変化を楽しむことの可能な自然的な森林と定義づけられ,技術的にもその効果的な創出は,可能であった。ところで,「風致施業」の最終目標林型である針広混交の不斉多段林は択伐林型として,林学では集約的技術と共に,林地の健全性やその森林機能向上にも寄与することは,戦前から言及されている。しかし,戦後は経済的林業の下で択伐方式は技術的に認知されていなかったが,70年代以降の一斉皆伐方式の造林に対する批判などから現在,再認識されつつある。このことからも,放置人工林に対する「風致施業」は,保健休養などの利用のみならず,将来的には山麓の広い範囲で林業と両立して適用される可能性のある技術であると結論付けた。
著者
名取 理嗣
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

これまでの研究により,極低炭素ラスマルテンサイト鋼は,焼戻し時に不均一回復が生じて,隣接する二つの結晶粒を挟む粒界が,両粒の転位密度の差に駆動されて張り出しを生じることで再結晶粒が生成される,いわゆる粒界バルジング型の再結晶が生じることを見出した.また,張り出す粒界が易動度の大きい旧オーステナイト粒界の一部に限られるため,得られる再結晶粒は粗大になることを明らかにした.そこで,本年度では,出発組織をフェライト組織とラスマルテンサイト組織に調整した極低炭素鋼に冷間圧延-焼鈍を施し,冷間圧延組織および焼鈍時の再結晶挙動に及ぼす出発組織の違いの影響を調査した.冷間圧延した極低炭素ラスマルテンサイト鋼の再結晶機構は,焼入れまま無加工材で生じた粒界バルジング型再結晶とは異なり,冷間圧延したフェライト鋼と同様に転位セル組織から再結晶組織が生成される機構が主体となることを明らかにした.また,圧下率が小さい場合はラスマルテンサイト鋼の方がフェライト鋼に比べて再結晶粒が微細となり,出発組織をラスマルテンサイトにすることの有効性を見出した.これは,ラスマルテンサイト組織がパケットやブロック組織からなる微細組織であることのほかに,焼入れ時に可動転位が多量に導入されているため,わずかな圧延でも容易に転位セル組織を形成するためであることを明らかにした.さらに炭素量を0.1%含んだ低炭素鋼を用いて,焼入れままのラスマルテンサイト鋼および加工性を向上させるために前焼戻しを施したラスマルテンサイト鋼を用いて冷間圧延およびその後の焼鈍に伴う再結晶挙動を調査し,冷間圧延前の焼戻しの影響について考察した.そして,焼戻しラスマルテンサイト鋼は焼入れラスマルテンサイト鋼に比べて再結晶が抑制され,再結晶粒は粗大になることを明らかにした.これは冷間圧延前の焼戻しにより基地中の固溶炭素が減少することで蓄積ひずみエネルギーが減少すること,冷間圧延時の変形帯の形成が抑制されたことが原因であることが示唆された.
著者
穂坂 衛 斉藤 剛 小林 弘忠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.263-264, 1992-09-28

IATEXによる印刷原稿をその出力とする知的デスクワーク支援システムの機能と支援方式について述べる.本システムの原型は,IATEX利用援助システムであるが,その後の進展はその枠を越えたものになった.本システムは,原稿清書印刷のためにだけにIATEXを利用するのではなく,思考援助と整理,論理的な文書作成,さらに高品質な図や表の作成,ファイリング,手紙書式整え等,われわれが日常行なっているデスクワーク全般に利用できるように作られている.始めのシステムでは原稿をIATEX出力にすることに主眼を置き,図の取扱いは基本的な機能のみであった.高品質な説明図は高品質な文書に必然的に伴うべきものであるが,IATEXのこの部分の取扱いは極めて初等的で実用になり得なかった.IATEXの優れたところはテキストにおける文字の多様性と美しさ,バランスのとれた配置であるから,図の中においてもこれを利用することを考えた.著者らはそのため,既に軽験上得られた種々のアイディアを試みると共に,その後入手して使用可能になった公開ソフトウエアうち,われわれの目的に有効に利用できるものを積極的に取込んだ.本稿では始めに本システムの機能を簡略に示し,後半では説明図作成のための機能を取扱う.
著者
嶋田 貴子
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

子宮頸がんの腫瘍マーカーとしてSCCがあるが、慢性腎不全患者などの患者では偽陽性を示すことがある。そこで血漿中のHPVDNAを定量し、それが子宮頸がん発症の診断や再発のマーカーとなるか否かについて検討した。2007年4月から2008年9月までに当院を受診し、HPV16陽性の子宮頸部異形成または子宮頸癌(扁平上皮癌)と診断された43名を対象とした。DNA定量はSYBR Greenを用いたリアルタイムPCRで行った。子宮頸管内HPVDNAの有無はインフォームドコンセントを得た女性に対しHybrid Capture法を用いて検査した。本研究は当院倫理員会の承認を得て行った。HPV16陽性子宮頸癌患者20例中6例(30.0%)の治療前血漿中からHPV16DNAを検出することが出来た。臨床進行期分類(FIGO分類)のI期よりII期やIV期の症例の方が血漿1mlあたりのHPV16 E6E7 DNAコピー数が多い傾向が認められた。また腫瘍マーカーであるSCCAが正常範囲であっても血漿中にHPV16 DNAが検出された例があった。子宮頸癌が浸潤または壊死をおこすときにDNAが切断されて断片化し、血漿中のHPV DNAの断片として認められるのではないかと考える。術前のSCC値が陰性の子宮頸癌患者に対して、血漿中のHPVDNA定量が低侵襲なマーカーとして利用できることが期待できる。

1 0 0 0 OA 明治財政史

著者
明治財政史編纂会 編
出版者
丸善
巻号頁・発行日
vol.第13 銀行, 1905
著者
加瀬 卓 小平 進 寺本 龍生 久 晃生 古川 和男 山口 博 捨田利 外茂夫 長谷川 博俊 郭 宗宏 西堀 英樹 北島 政樹 向井 万起男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.2055-2059, 1992-07-01
被引用文献数
11

1970年1月から1991年9月までに当教室において経験した,痔瘻に随伴した肛門管癌7例について検討した.7例のうちわけは男性6例,女性1例で,年齢は43〜77歳(平均59.1歳)であった.痔瘻または膿瘍発症から癌確診までの期間は4年〜47年(平均22.9年)であった.主訴として粘液分泌,肛門部痛,腫瘤・硬結触知,出血,肛門狭窄,などが認められた.7例全例に腹会陰式直腸切断術が施行され治癒切除4例,非治癒切除3例であった.組織型は粘液癌3例,高・中分化腺癌3例,扁平上皮癌1例であった.7例中4例は,初回生検で確定診断可能であったが,残りの3例は癌確診までに頻回の診断手技を要した.長期にわたり痔瘻を有し,粘液分泌,腫瘤・硬結触知などの症状を呈する症例については癌の合併を考慮し瘻管切除を含む頻回の生検を施行して確定診断を下すべきであると考えられた.
著者
原田 一孝
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

昇圧形スイッチトキャパシタ(SC)電源の場合,半導体スイッチをON/OFFするのに,各スイッチのソース電位は電源電圧より高いことが要求されます.一般には,この種のスイッチにはPチャネル形MOSFET似下,P-MOSFETと略記)を用い,駆動回路の簡略化を図りますが,P-MOSFETの特性として,ON抵抗が大きく,特に最終段では,パワーロスの増加が無視できなくなります.そこで,ON抵抗が小さく,飽和電圧も小さなN-MOSFETを用い,リング形SC電源の特性を活かした駆動回路(最終出力電圧より大きな電圧を得る)を提案することによって,高効率の電源が得られました.3段のSC電源の実験結果では,92%の高効率と30%以上の出力電圧の改善が得られました.また,電源負荷が無くなった時,直ちに動作を止め,節電状態に入ることで,特にモバイル機器では電池の消耗を最小限にすることが出来ます.リング形電源についての節電回路も提案し,それらの実験結果やシミュレーション結果を次の国際会議で発表しました(ITC-CSCC 2002,The 2002 International Technical Conference on Circuits/Systems, Computers and Communications,タイ国).モバイル機器の表示器のバックライトとして,エレクトロルミネセンス(EL)は有望視されています.そのような目的に使用するためのSC電源チップを構成しベアチップを試作しました.出力を補強するための0.1・Fキャパシタ4個を外付けした状態でも,6.8mm角,厚さ3mmと非常に薄く小さな電源回路が得られることが分かりました.MOSFETのチャンネル構造から応用範囲はかなり限定されますが,低ノイズ極小容積を持つ電源が得られることが分かったことは,大きな成果と考えます.
著者
井村 哲郎 芳井 研一 原 暉之 SAVELIEV IGOR 古厩 忠夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,これまで未公開であったロシア国立歴史文書館(RGIA,在サンクトペテルブルグ)が所蔵する中東鉄道文書中の近現代中国東北をめぐるロシア、中国,日本の関わりを記す文書をいかに利用するかを明らかにするために行なったものである。中東鉄道は,帝政ロシアのアジア進出のために19世紀末に中国東北を横断して建設された。日露戦争後、大連-長春間は日本に割譲されたが,1935年に満州国が買収するまで存続した。中東鉄道は,ロシアおよび革命後のソ連の対中国・対中国東北政策に重要な役割を果たした。中東鉄道文書には,鉄道経営に関わる文書だけではなく,19世紀末から1930年代までの中国および中国東北の政治・経済情勢,日本情報などが豊富に含まれている。中国東北近現代史研究および中国東北をめぐる日中関係史研究ではこれまで,ロシア語資料はほとんど利用されていない。これは,主に史資料がこれまで未公開であり,どこに所蔵されているかも明らかではなかったためであるが,こうした史資料状況の欠落を埋めるために,ロシア国立歴史文書館が所蔵する中東鉄道文書について書誌調査を行ない,とくに中国東北をめぐる日本,中国,ロシア3国に関わる文書群から,重要なジェーラを選択しロシア語の抄録とその日本語訳を行ない最終報告書として資料目録を編纂した。また,本プロジェクトの一環として、2004年度には中間報告書「ロシア国立歴史文書館所蔵『中東鉄道文書』にみる19世紀末-20世紀初頭中国東北の国際関係」を刊行した。また同年度には、サンクトペテル大学東洋学部において東洋学部と共催して国際ワークショップ「サンクトペテルブルグ所在史料に見るアジア」を開催し,その報告書を刊行した。本ワークショップによって研究代表者井村はプーチン・ロシア大統領から記念メダルを授与された。今回作成した報告書に含まれる中東鉄道文書のジェーラ数は、総ジェーラ数20,784のうちわずか236にすぎないが,それでも義和団事件に際しての中東鉄道警備,満鉄など日本側との関係など、貴重な内容を記す文書が発見される。今後の中東鉄道研究および中国東北研究に有用なツールとなろう。
著者
沢田 篤史 小林 隆志 金子 伸幸 中道 上 大久保弘崇 山本 晋一郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.2677-2689, 2009-11-15
被引用文献数
7

本論文では,我々が先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムの一環として実施中のプロジェクト型ソフトウェア開発実習の教育プログラムと教材開発について説明する.本実習では,軟式飛行船制御の組み込みソフトウェア開発を題材に,大学院修士課程1年生がチーム開発を行う.本実習の主目標は,管理されたプロジェクト開発を経験することとソフトウェア品質向上における検証技術の重要性を理解することである.本論文では,この狙いを持って設計した実習プログラムと,開発した教材について紹介し,半年間の実習を実施した結果得られた学習成果と課題について説明する.This article presents how we have designed a project based learning (PBL) class for graduated students in the Leading IT Specialist Education Program of MEXT. Master course students form several development teams to struggle with the development of embedded software for airship control in our class. The students of this class are expected to touch with the real experience of team development in a disciplined project and to have deep understanding on the importance of verification and validation technology throughout the development of quality software. This article overviews the design of and teaching materials for our PBL class. Discussions on the results and lessons learned from the half-year operation of this class are also presented.
著者
谷崎 勝朗 光延 文裕 保崎 泰弘 芦田 耕三 岩垣 尚史 永田 拓也 藤井 誠 高田 真吾 横井 正 浜田 全紀
出版者
岡山大学医学部附属病院三朝医療センター
雑誌
岡大三朝医療センター研究報告 (ISSN:13481258)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.1-10, 2004-02-01

1982年から2003年までの22年間に当医療センターで入院加療した2295例を対象に5年間毎にその年次推移を検討した。2295例のうちわけは,気管支喘息1400例(61.0%),COPD510例(22.2%),その他385例であった。1.気管支喘息は,第1期(1982-1986年)の5年間では,平均11.4例/年であったが第4期(1997-2001年)では平均93例と初期と比べ8.2倍の増加が見られた。また,第5期(最近の2年間)では87.0例/年であった。そのなかのSDIA(steroid-dependentintractableasthma)の頻度は初期の68.4%から第4期では29.0%,第5期23.6%にまで低下する傾向を示した。 2.COPD症例は,初期の5年間(1982-1986年)では平均5.2例/年から第4期には44.6例/年へと8.7倍の,また第5期では47.5例/年へと9.1倍の増加が見られた。また,そのなかの肺気腫が占める割合は初期の19.2%から第4期では76.7%,第5期では87.4%と明らかな増加傾向を示した. 3.気管支喘息およびCOPD症例の年齢別検討では,60歳以上の症例の頻度は第1期では30.1%であったが,第4期では68.0%,そして第5期では87.4%と,年々その頻度は高くなっていく傾向が見られた。すなわち,最近22年間の年次推移からは,温泉療法を必要とする呼吸器疾患患者が増加しつつあること,そしてその年令は年々高くなる傾向にあることが示されている。Analysis of 2295 patients with respiratory disease admitted at Misasa Medical Center for last 22 years from 1982 to 2003 was performed every five years. Of all patients with respiratory disease, 1910 (83.2%) patients had asthma and chronic obstructive pulmonary disease (COPD). 1. Of 1910 patients showing obstructive ventilatory dysfunction, 1400 (73.3%) patients had asthma. The frequency of asthma in all patients with respiratory disease was 53. 8% for the first 5 years from 1982, 71. 7% for the second 5 years, 73.6% for the third 5 years, 53.9% for the fourth 5 years and 48.2% in the last two years. 2. The frequency of steroid-dependent intractable asthma (SDIA) was from 23.6% to 41. 3% except the frequency (68.4%) for the first 5 years. The frequency of patients with SDIAshowed a tendency to decrease in recent years. The frequency of patients with pulmonary emphysema in those with COPD was very low 09.2% for the first 5 years) tended to increaseand 76.7% for the fourth 5 years and 87.4% in the last two years. The frequency of patients over age 60 was 30. 1% for the first 5 years, and showed a tendency to increase, and 67. 9% for the fourth 5 years and 82.7% in the last two years. 3. The frequency of patients from distant areas outside Tottori prefecture was larger compared to the frequency inside Tottori prefecture. The number of patients from Okayama, Osaka, Hyogo, Tokyo, Ehime, Yamaguchi, and Kyoto was larger than the number from other distant areas.
著者
高久 洋暁
出版者
新潟薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

酵母Candida maltosaは蛋白質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CYH)に対し、生育の一時停止後に再び生育が回復する誘導的耐性を示す。これは、CYH添加後、転写活性化因子C-Gcn4pが、CYH耐性L41リボソーム蛋白質遺伝子(L41-Q)の転写を誘導し、CYH耐性型リボソームが合成されることに起因する。CYH添加後及びヒスチジン飢餓を誘導する3-AT添加後の転写活性化因子C-Gcn4pの制御をmRNA、蛋白質レベルにおいて解析するため、GFP又はHAタグと融合したC-Gcn4pの検出を試みたが、十分に解析できるレベルのものは構築できなかった。そこでFLAGタグ融合型C-Gcn4pを用いたところ、機能も相補、検出感度も解析に十分であった。FLAGタグ融合型C-GCN4をC-GCN4破壊株に導入し、3-AT或いはCYH添加後のC-GCN4mRNA、蛋白質レベルの解析を行った。3-AT添加後、C-GCN4mRNA量の上昇率以上にC-Gcn4p量の上昇率が大きかったので、転写、翻訳段階における制御、特に翻訳制御が大きく寄与していることが示唆された。CYH添加1時間後、C-GCN4 mRNA量は一時的に大きく上昇するが、逆にC-Gcn4p量は減少した。その後、C-GCN4mRNA量は減少するが、逆にC-Gcn4p量は増加し、CYH添加前の約1.5倍まで上昇し、一定となった。すなわち、CYHによるmRNAの安定化で一時的にRNA量は上昇するが、CYH添加直後の蛋白質合成は厳しく抑制されるためにC-Gcn4p量は減少したと考えられた。その後、C-Gcn4pの上昇ともにL41-Q転写誘導が促進されたが、C-Gcn4p量が一定量になったにもかかわらず、転写誘導効率がその後数時間上昇し続けたことから、C-Cpc2pなどのC-Gcn4p活性調節因子の関与の可能性が考えられた。
著者
岩瀬 正則 長谷川 将克
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

木質系バイオマスあるいは廃プラスチックと酸化鉄を混合・圧縮し、これを流量1000cc/minのアルゴン気流下、高周波誘導加熱炉内にてモリプデンサセプターを用いて1400〜1800℃の高温に加熱したマグネシアるつぼ内へ投入して、急熱した。なお[Pt-20Rh]-[Pt-40Rh]熱電対により温度を測定した。発生するガスは、これを捕集してガスクロマトグラフィーによりCO,CO2,CH4,H2を定量し、水蒸気発生量は重量測定によって求めた。いっぽう凝縮相は炭素、酸素、鉄をLECO炭素、酸素分析装置あるいは化学分析により定量した。以上より反応生成物の化学種、存在比、分圧比等を求めた。その結果、上記の条件下では、気相中の主成分は水素と一酸化炭素であり、炭酸ガスならびにメタンはほとんど生成しないこと、および凝縮相には金属鉄が生成することを明らかにした。以上の実験結果を不均一系熱力学を用いて解析し、気相と金属鉄については、ほぼ熱力学平衡が成立すること、および金属鉄中の炭素に関しては、生成する固体炭素の結晶性に依存し平衡には到達する場合と相でない場合があることを見出した。すなわち、木質系バイオマスでは、鉄中への浸炭が非常に迅速に進行するが、プラスチックでは、浸炭が遅れることを見出した。これらの結果を総合し、炭酸ガスおよびメタンを生成させず、一酸化炭素と水素を副産物として得ることのできる製鉄法の基礎学理を確立することができた。上記の目的を達成するための具体的条件をまとめれば以下のようである。1.混合圧縮体を急熱することが必要。2.温度は高温ほど望ましい。3.圧縮体中のC/Oモル比を1.1以上にする。