著者
多田 幸生 長嶋 達也 高田 昌紀
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.58, no.551, pp.1115-1121, 1992-07-25
被引用文献数
2

The brain consists of brain tissue, blood and extracellular fluid. We can thus consider that brain tissue has multi-phasic properties. There is a very important interrelation between the tissue and the fluid. Thus, we consider that the respective factors on brain neurosurgery, the distribution of brain tissue pressure and extracellular fluid flow are very important, and we cannot neglect those factors closely related to metabolism of the brain tissue. This study constructs a two-dimensional consolidation model of the brain using the finite element method (FEM) and simulates the flow and distribution of cerebrospinal fluid (CSF). The two dominant equations on the consolidation theory are approximated numerically in time by the finite difference method and in space by the FEM. The results obtained by computer simulation regarding brain edema using the FEM are compared with the pathological observation with regrad to the flux distribution and flow direction of CSF, and we conclude that they are much the same as those from the view point of the pathological and clinical surgery. We furthermore propose that we should take the boundary conditions of pressure of the subarchanoid space and ventricle into consideration in the simulation of brain edema.
著者
川島 伸之
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

歯髄細胞は象牙芽細胞へ分化し象牙質を形成する。骨芽細胞は骨形成細胞である。これらの細胞は硬組織形成細胞としての共通した特性を有する。臨床において、象牙質、骨といった硬組織の誘導を現実に行うために、まずvitroにおいて効率的に分化および石灰化誘導可能な条件について検討した。通常のディッシュを用いた2次元培養においては、硬組織誘導培地を用いない限り硬組織マーカーの発現増加および石灰化結節の形成は誘導できないが、3次元培養することにより、硬組織マーカーの発現増加が観察され、硬組織誘導培地により効率的な石灰化結節が形成された。3次元培養することで、より生体に近い環境で細胞を培養することが可能となったため、オリジナルの硬組織形成細胞としての特性が顕著に表れたものと推察される。なお、3次元培養によりインテグリンシグナルが活性化され、それが分化誘導に関与していることも明らかになった。これらの結果は、生体における象牙質および骨形成のメカニズムの一端を明らかにしてくれるとともに、臨床における硬組織誘導を実現するための布石となりうると思われる。
著者
礒村 宜和
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究計画では、ラットの運動皮質と線条体における運動情報と報酬情報の統合の過程を細胞型レベルで調べることを目指した。これまでに独自開発したレバー押しの運動課題の自動訓練装置(特許出願中)を活用し、脳定位固定状態の覚醒ラットに報酬交替性の前肢自発運動課題を約2週間で効率よく学習させた。そして、前肢の自発運動を発現中に、一次運動野が投射する線条体背外側部の単一神経細胞の発火活動を傍細胞記録法で観察するとともに、一次あるいは二次運動野に16チャンネルのシリコンプローブを挿入して多数の神経細胞の発火活動もマルチユニット記録法により計測した。傍細胞記録した線条体細胞は、ドーパミンD1受容体のmRNAの発現をin situハイブリダイゼーション法により検出するとともに、オピオイドμ受容体に対する免疫組織染色により線条体のパッチ・マトリックス構造への帰属を判定した。現在までに、60頭を超えるラットに運動訓練を施し、運動および報酬予測・獲得に関連する発火活動を示す多数の線条体細胞を記録し同定することに成功しており、そのなかには大脳基底核の直接路として黒質網様部などへ投射すると考えられるD1陽性の中型有棘細胞や、間接路として淡蒼球へ投射すると考えられるD1陰性の中型有棘細胞や、高頻度で発火するアセチルコリン作動性と考えられる介在細胞などが含まれていた。また、記録した細胞のほとんどがマトリックスに分布していた。さらに、マルチユニット活動データを含めた詳細な解析を加え、運動情報と報酬情報を統合する大脳皮質一基底核連関の仕組みを明らかにした。
著者
藤田 昌彦 雨海 明博 皆川 双葉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1897-1905, 1996-11-25
被引用文献数
12

サッカード(Saccade,跳躍性眼球運動)最中の視標の系統的なステップバックによって適応が生じて,数百回の試行でゲインが変化する.本論文では,これまで試みられてきた視覚依存性サッカード以外に,記憶依存性サッカードにおいても適応が生じること,適応によって1種類のサッカードのゲインを変化させても,適応を施さなかった他の種類のサッカードのゲイン変化はわずかであり,同時に逆向きのゲイン変化も可能であるという適応の独立性を報告する.適応過程での修正サッカードは両者共通に,ステップバックした視標に導かれた視覚依存性サッカードであった.このことは修正サッカード中の信号のみで適応が進むという可能性を否定する.サッカードの誤差知覚がさかのほって第1サッカードを生成した信号に干渉を与えて学習が進むという可能性,あるいは,誤動作が記憶され,次回以降の同種同サイズのサッカードに働きかけて,学習が生じる可能性の2通りが考えられる.そこで視標の修正ステップに数百ミリ秒の遅延を与えたときの適応の有無を調べた.これらをもとにして,サッカードならびにバリスティックな随意運動一般における学習様式を考察する.
著者
渋谷 努
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

現地調査によって1970年代から80年代初頭にフランスのパリ郊外ノンテールに住み働いていた北アフリカ出身者が記憶にとどめている移民たちによる社会運動には、MTA(mouvement travailleur arabe)があった。彼らの活動は、パレスティナ住民の支援だけではなく、フランスの労働組合に積極的に参加していなかったアラブ諸国出身移住労働者を労働活動に参加させた。既存の労働団体とは一線を画して、労使交渉に臨んだ。また、移民たちに運動の組織化のノウハウを伝えた。彼らの活動は十年弱で終了し、団体も解散した。しかし、彼らの活動の中心的な役割を果たした者は、以降の移民による運動の中心的な役割を果たしており、移民の社会運動が成立する基礎を形作った。文献調査として北アフリカ出身移民第二世代を指す際に用いられることが多い「Beur」という言葉の1987年から2008年8月の間でのLe Monde紙上への掲載状況を調査した。掲載された総数は1924回だった。Beurは文芸や映画と結びつけて用いられる場合が最も多く、政治や選挙と次いで結びつけられていた。さらに1998年にサッカーのワールドカップがフランスで開催され、フランスチームが優勝した際にアルジェリア出身移民の子どもが活躍したことから、その後このチームのことをマスコミだけではなく政治家もblack-blanc-beurと呼ぶようになった。この表現は多様な出身者からなるフランス社会の統合を示すものとして象徴的に用いられるようになった。Beurにはイスラームと関連されて用いられることもあったがイスラム主義者と対比する形で世俗的または穏健なイメージが与えられた。以上のような肯定的なイメージとは異なり、Beurを侮蔑的な表現と関連づける大きな要因が郊外問題であり、都市暴動などの暴力であることが明らかとなった。
著者
川島 寛之
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

骨軟部肉腫に対するテロメラーゼ特異的制限増殖型アデノウイルスによるウイルス療法の効果と殺細胞メカニズムの解明を目指した。細胞株を用いた実験では、アデノウイルスレセプターやテロメラーゼ逆転写酵素の発現量に比例し、容量・時間依存性にウイルス増殖が起きると同時に、オートファジー、アポトーシスの両機序を介して殺細胞効果を発揮することがわかった。さらに、マウス骨肉腫モデルでは、本ウイルス療法により骨肉腫の増大が著明に抑制されることがわかった。
著者
川島 宏文 中里 光弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.1-8, 1993-01-25
被引用文献数
9

本論文の目的はTTカットと命名される,新カットねじり水晶振動子を提案し,その周波数特性,周波数温度特性および電気的諸特性を明らかにすることにある.まず,解析手順として,本論文では運動方程式をエネルギー法を用いて導出する.次に,両端自由,両端固定あるいは,一端固定,他端自由の境界条件で運動方程式を解き,厚みz_0,幅x_0,長さy_0の関数として与えられる周波数方程式を導出する.更に,この式より,辺比Rzx=z_0/x_0に対する周波数定数(f・y_0)との関係ならびに,1次温度係数αがα=0となる辺比Rzxとカット角(φ,θ)との関係が理論的に導出される.そして,α=0となる辺比Rzxとカット角(φ,θ)は無数に存在することが示される.その中で特に量産性に優れるカット角φ=28°,θ=10°で2次温度係数が-1.16X10^<-8>/℃^2とその絶対値は屈曲水晶振動子の場合の約1/3倍とかなり小さい値が得られる.更に,この結果は実験値-1.32X10^<-8>/℃^2と比較され,両結果とも十分によく一致することが示される.最後に,音さ形状での等価直列抵抗R_1とQ値が調査され,その結果,周波数fはf=385〜444kHzで,R_1=2.2〜14.4kΩ,Q=276,000〜378,000とR_1の小さい,高いQ値を有する音さ型ねじり水晶振動子であることが示される.
著者
川島 英之
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では高機能演算子を有する分散実時間ストリーム処理基盤の研究開発に取り組んだ.高機能演算子としてはベイジアンネットワーク,そしてメディアデータ管理を実現した.その他に高速永続化機構,高信頼化機構,暗号化ストリーム処理,そしてストリーム結合処理に関する研究を行った.
著者
川島 秀一 隠居 良行 中村 徹 小川 卓克 池畠 良 小林 孝行 幡谷 泰史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

気体力学、弾性体力学、プラズマ物理学等に現れるいくつかの非線形偏微分方程式系に対し、その消散構造・減衰特性を解明し、様々な非線形振動・波動現象に対する漸近安定性を示した。また、緩和的双曲型保存系に対する非線形安定性解析の一般論を構築し、時間重み付きエネルギー法、半群に基づく手法、調和解析的手法等の有効性を確認した。
著者
黒木 忍
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究は,触覚ディスプレイを用いて自然な手触り感の伝達・共有を行うための基盤を確立することを目的としている.リアリティのある自然な触刺激を複数種類提示できるような触覚ディスプレイの設計は,提示情報の量が爆発的に増えてしまうという問題を抱えており,未だ実現されていない.触覚ディスプレイの設計においては,まず「ヒトが触覚的に外界をどのように認識しているのか」を部分的に解明し,情報量を絞って効率的な提示を行う必要性がある.我々の皮下に存在する複数種の受容器は,各々が異なる時空間精度で皮膚変形の符号化を行っているため,末梢における符号化の違いが中枢における情報処理の違いにも結びつくと考えられる.そこで本研究では,ヒト指先において高い空間分解能を持つMeissner小体(RA系)と高い時間分解能を持つPacini小体(PC系)の2つの系に着目し,低周波振動するピンでRA系を,高周波振動する円柱でPC系を選択的に活動させることで情報処理過程の分離を行い,入力信号の時空間的な解釈について心理物理実験を用いて調べた.片手の人差し指と中指に対し2つ振動を加えて実験を行った結果,低周波振動を用いた場合と高周波振動を用いた場合ではその他の条件を揃えても2振動の関連付けられ方が異なること,特に高周波振動では振動の加えられた時間や位置の知覚が不明瞭になることが明らかになった.この結果は,末梢における受容器密度の違いだけからは説明することができない.高周波振動は,小型の振動子で提示が可能であること,また小さな振幅で知覚を引き起こすことが可能であることから,携帯電話やゲーム機など,従来の触情報提示デバイスでは広く用いられてきている.しかし今回の結果は,高周波振動では空間的な2点が1点に縮退するのみならず,時間的な2点も1点に縮退することを示唆しており,歩行支援や方向指示などへの高周波振動の利用には一定の注意が必要となることを示している.
著者
浮田 正夫
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本年度は大型貨物自動車の燃料消費について調査し、長距離輸送にかかるエネルギー消費について主として検討を行った。運送業者に往復の燃料消費の違いについて聞き取りを行ったが、往路、復路別々の燃料消費の情報を得ることは容易ではなかった。わずかに収集できた16台のデータより、エネルギー消費の式を求めたところ、y:燃費係数kcal/km、x:車重量(=自動車自体の重量+積荷等の重量)kgとして、y=36.2x^<0.419>、R^2=0.80なる式が得られた。また燃費基準から整理すると、ジーゼル貨物車のエネルギー消費についても同様に、オートギアの場合y=49.0x^<0.383>、R^2=0.94、手動ギアの場合はy=51.2x^<0.354>、R^2=0.99なる式が得られた。手動ギアのガソリン貨物の場合、y=4.8x^<0.697>、R^2=0.96、ガソリン乗用車の場合、y=1.44x^<0.856>、R^2=0.97であった。確認の意味で、燃費計を装着した6台のバンタイプを含む乗用車を用いて、乗客数を変化させて、燃費実験を行ったところ、低燃費車でy=113x^<0.197>、R^2=0.96、あるいはy=100x^<0.214>、R^2=0.95、バンタイプ車でy=158x^<0.234>、R^2=0.79なる式が得られた。停車時においてもエネルギーを消費することから、見かけ上指数部が1より小さくなる傾向がある。いずれにしても、実際上は指数部を1にとることには問題があるようであった。ケーススタディとして山口県における木質バイオマスを全て宇部市に集める場合の集積費用及びエネルギー消費の試算に当たっては、上記の16台のデータを用いて、エネルギー消費は車重量の0.5乗に比例するとした式、y=16.2x^<0.5> R^2=0.74を用いて解析を行った。その結果、中間処理施設を19ケ所、13ケ所、6ケ所と集約すると、費用的にもエネルギー消費的にもかえって不利になることが分かった。また集積に要するエネルギー消費はバイオマスの持っているエネルギーの0.51%〜0.67%であった。
著者
亀井 裕子 出海 陽子 高野 真綾 宮永 嘉隆
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1073-1074, 1990-12-25

第10回学内免疫談話会 平成2年7月7日 東京女子医科大学中央校舎1階会議室