- 著者
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根ケ山 光一
篠原 一之
- 出版者
- 早稲田大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2002
思春期の親子関係と匂いの関係を直接的に調べるため,質問紙を用いて,小学生から大学生までの男女(1047名)と高校までの子の父母(162名)に対し,相互の体臭をどの程度快・不快に感じているか尋ねた。その結果,親の様々な身体部位の中で特に口・脇の下・足の裏・頭の臭いが嫌悪され,その傾向は男子に強く,かつ父親がより嫌悪された。しかしながら,子どもの年齢によって親の体臭への嫌悪が顕著に増減する傾向は認められなかった。一方,親から子の体臭に関しては,足の裏や口,頭,脇の下の匂いが嫌悪され,父親からの不快感情が母親よりも有意に強かったが,ここでもやはり予想に反して子の年齢と体臭への嫌悪の対応は明瞭ではなかった。このように子の年齢よりは親・子の性が体臭への嫌悪のより大きな要因であることがわかった。20代、30代、40〜50代の男性の匂いの思春期前・後の女性の情動に及ぼす影響を調べた。思春期前は時期を選ばず一回、思春期後は卵胞期と排卵期に,男性の匂い(腋下、乳首周囲、会陰部、背中)を嗅いでもらい、その匂いに対する印象をSexy、男性的、快、強い、Happyの項目について評価してもらった。その結果、排卵期思春期後女性は思春期前女性と卵胞期思春期後女性に比べ男性の匂いに対しよりSexyに感じることが分かった。そこで、年齢別にSexyさを調べたところ、思春期前女性と卵胞期思春期後女性ではどの年代の男性の匂いにもSexyさは感ぜず、排卵期思春期後女性は20代の男性の匂いにSexyさを感じることが分かった。以上のことから、女性は、生殖可能な年齢しかも生殖可能な時期でのみ、男性の匂いにSexyさを感じることが分かった。さらに、生殖可能な年齢・時期であっても、自分の父親に相当する年齢にはSexyさを感じないことから、匂いによる近親相姦回避の可能性も考えられた。