- 著者
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三輪 高喜
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
- 巻号頁・発行日
- vol.118, no.7, pp.833-840, 2015-07-20 (Released:2015-08-01)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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頭痛, 顔面痛を訴える患者が, 第一に耳鼻咽喉科を受診することは少ないが, 他科において原因が分からない場合に, 原因診断のために紹介されることは少なくない. 耳鼻咽喉科疾患の中でも鼻副鼻腔の炎症をはじめとする疾患では, 頭痛, 顔面痛を生じることが少なくないため, 耳鼻咽喉科医としては鼻副鼻腔の疾患を見落としてはならない. 副鼻腔疾患による疼痛は, 三叉神経の分枝である眼神経 (V1) と上顎神経 (V2) に関連することが多く, 支配領域に応じた部位の疼痛が生じる. したがって, 三叉神経の分枝の走行と支配領域を理解することは重要であり, さらに分枝と各副鼻腔との位置関係を理解することも必要である. 特に蝶形骨洞は, 多くの分枝と関連しており, その支配領域も広範に及び, なおかつ洞の発育により症状の表れ方が異なっている. 診断には画像診断, 特に CT が副鼻腔と三叉神経との関連を把握するために有用である. 本論文では, 副鼻腔と三叉神経との関連を解剖学的ならびに画像診断的に解説するとともに, 頭痛, 顔面痛を来す代表的疾患を提示した.