著者
福満 正博 古屋 昭弘
出版者
明治大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、研究分担者で中国語学の専門家古屋昭弘氏の助言を受けながら行われた。中国近世の戯曲小説はその原文に、独特の俗字・異体字がよく使われている。本研究はこの点に注目して、各作品ごとに俗字・異体字の字形を示す索引の作成を主な目的とした。本研究では7種類の作品の索引を作った。近世の戯曲小説には、文言小説・平話・詩話・説唱詞話・話本・諸宮調・元刊本雑劇・南戯等のジャンルに分けられる。本研究では、これらすべてのジャンルにわたり一つずつ作品を選び索引を作成した。また、異体字を正確に読むための作品研究が必要があったので、関連論文を9本書き、国際学会で2回発表をし、7地点で関連する地域を調査をした。
著者
西村 弥
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、民営化後の法人に対する政府関与とその運用の在り方に関する類型化を進めることにある。アンケート調査等を通じた実証的なデータをもとに、市民が抱く一般的な民営化のイメージやニーズを分析したほか、わが国の「民営化」(特殊会社化)された法人に関する法令や財務データ等から、民営化後の企業に対する政府関与とその運用の在り方を分析し、日本の民営化には主に四つの類型が存在することを明らかにした。
著者
片山 佳樹
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

これまでに開発してきた細胞内キナーゼ応答型の遺伝子転写制御剤を用いて転写制御がDNA鎖の運動性に依存することを証明するために、DNAを蛍光修飾して、その蛍光寿命変化から評価を試みたが、DNA鎖の運動と蛍光寿命のタイムスケールに違いがあり、種々の検討でも評価は困難であった。そこで次に、蛍光偏光解消を利用してDNA鎖の運動性の評価を検討した。DNA鎖を蛍光性インターカレーターで標識し、プロテインキナーゼCの基質をグラフとした高分子型遺伝子制御剤と複合体を形成後、遺伝子の転写が抑制されることを確認してから、蛍光偏光解消を評価した。その結果、遊離のDNA鎖に比較して、高効率に遺伝子転写が抑制される当該複合体においてはその運動性が大きく低下していることが明らかとなった。次いで、この複合体中の基質ペプチドをプロテインキナーゼCでリン酸化して転写が回復するが複合体は崩壊しない時点での蛍光変更解消を評価したところ、確かにDNA鎖の運動性が回復していた。本成果は、遺伝子の転写制御を支配する物理化学的因子を明らかにし、新しい遺伝子転写制御メカニズムを提唱するものである。また、この原理を利用し、複合体内のDNA鎖の運動をさらに効率よく抑制できるように主鎖をポリエチレンイミンとし、さらに疎水基を導入したタイプの制御剤を開発したところ、極めて高効率に遺伝子転写を抑制した。さらに、標的キナーゼであるプロテインキナーゼCαは、がん細胞で特異的に亢進しているため、これをがん細胞に適用したところ、本キナーゼが活性化していない場合に比べ、数百倍という大きな遺伝子発現がみられた。本制御剤は、がん細胞特異的な遺伝子制御剤として、正常細胞での副作用を大きく抑制できる新規な治療デバイスとなることが期待される。
著者
石塚 亙 木村 憲喜 中村 文子 横山 正樹
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、「実験工作キャラバン隊」の活動を通じて、児童生徒に科学に触れて科学に夢を感じる機会を提供し、体験型学習の効果を検証するとともに、大学院生・学部学生が実験工作教室の実践を通じて得る理科教育の能力の向上を評価し、実験工作教室のテーマに宇宙に関わる体験学習のコンテンツを加えてひとつの特色とし宇宙を通じて科学的な感動や夢を与えることを目標としながら、体験学習の科学的内容の高度化・教材化と科学コミュニケーション能力を持った学生の養成を行うことである。実験工作教室に参加した子どもの数は、以前からの取り組みを含めて10,000人に達し、平成25年度のアジア・太平洋物理学会議で発表した。
著者
西山 学 金山 喜則
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

イチゴのように,同一種内で短日性と長日性の系統が利用されている植物は,生産上および学術上,貴重である.本研究では,2倍体のワイルドストロベリーをイチゴ属のモデル植物として供試した.四季成り性の系統を供試し,自家受粉や交雑して得られた実生の中には長日条件で開花に至った個体があり,これらの個体は四季成り性である可能性が示唆された.
著者
小林 ふみ子
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

天明狂歌壇において重要度の高い狂歌師について、その伝をまとめた。すなわち、狂歌壇第2 世代のいわゆる「狂歌四天王」の一人であるつむり光、また狂歌壇史についての資料をまとめて今日の研究者に提供してくれた山陽堂山陽の研究が主要な成果といえる。また狂歌壇の最重要人物である大田南畝についても、寛政の改革期の資料を新たに見出し、新知見を加えた。
著者
本橋 一浩
出版者
東京都立青梅総合高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

農業高校では、林業科を中心に食品科、園芸科が教育課程の中で、きのこの栽培が取り上げられているが実際のところ、きのこ栽培は授業にはなかなか取り上げられていないのが現状である。以前おこなったアンケート調査によると、施設設備の問題と、教員がきのこ栽培の経験不足の場合が多くみられ、このことが大きな要因となっている。勤務校である東京都立青梅総合高等学校の場合、総合学科であるが教科「グリーンライフ」「生物活用」「発酵学入門」「自然と農業」などでも、きのこ栽培とその加工を取り上げていないのが現状である。よって教科書に掲載されているきのこ栽培の参考資料的な位置づけとなる、生物実験室レベル程度の環境でも行えることに配慮したテキストを作成することと、生徒の実習も可能なきのこの加工方法を開発することを目標とした。初めにきのこ培養・栽培に必要な環境をつくる方法の研究として、簡易栽培室を暖房機、送風機、扇風機を組み合わせ作った。一室の中にビニールで覆う空間を作り空調を行うが、園芸に使われている温室機器が適していた。常に排気を行わなければCO2濃度の上昇と共にきのこの生育が悪くなるため、換気が必要である。栽培実験では、きのこ菌培養のための培地の研究をおこなったが、かび用培地では栄養素の不足が問題点であったため、いろいろ添加してはみたものの、コンタミネーションが多く発生して思うような培地作成は道半ばである。現時点では、白アワビタケでは、おから、米ぬか。ヒラタケではコーンミール、おから。ハナビラタケではバナナが比較的よい結果となっている。また植物用無機液体肥料も有効である。シイタケは桜、ならの原木栽培をおこなってみたがコンタミネーションが多く発生し、結果を残せなかった。子実体から一次菌糸の培養方法の研究では、子実体の使用部位、使用培地、培養条件などを変えてみて、一次菌糸から二次菌糸への変換の観察方法の研究と菌糸の観察法、二次菌糸から子実体形成への発生条件、発生後の管理などの比較試験を行いデータを収集することができた。栽培したきのこの加工方法の研究では、加工したきのこを真空包装しても、十分な加熱を行わないと異常発酵が発生しやすく、殺菌の温度、時間の管理が重要であり、製造業者は加圧殺菌で安全性を確保している。この点に留意すれば製品化は可能とわかった。産地への訪問と調査では、きのこの各種製品と製造方法、栽培現場、培地材料等参考になった。
著者
馮 忠剛 中村 孝夫 梅津 光生 小沢田 正 北嶋 龍雄
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ES/iPS 細胞の心筋症治療の早期実現における二つの重要な課題:心筋細胞への効率的分化誘導と体外での再生組織の構築、を取り組んで、幹細胞工学、タンパク質工学及び細胞組織工学の融合により、新たな細胞分化培養基質支持層を開発し、この支持層上にマウスES 細胞の分化促進と心筋組織単層の作成を行い、多数単層の積層によって心筋再生組織を構築した。上記の実験研究により、ES 細胞の心筋細胞への分化誘導、培養基質の力学特性およびそのES 細胞の分化に及ぼす影響、並びに体外心筋再生組織構築における新知見を得、課題の更なる進展に関する重要な方法を示した。
著者
中村 陽人
出版者
福島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

マーケティングでは心理変数を扱うため、それを測定する心理尺度が多く作られている。しかし、尺度開発法(尺度の作成)や妥当性の検証方法(尺度の評価)、数値基準は研究によってまちまちである。そこで、本研究では複数の分野にまたがって、これらの方法や数値基準について比較・評価し、方法や数値基準の標準化を目指してデータベースを作成した。データベースはまだ完成していないが、最も手のかかるデータベースのフォーマットを作成でき、さらに心理学や経営学、疫学など他分野との比較によって多くの発見があった。今後はデータベースを完成させ、望ましい手法とその使用手順について具体的に示していく予定である。
著者
金田 重郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年,高齢者・子どもの「孤食」が注目されている.孤食を解決するためには,「何時,どのくらいの食事を摂っているか」を知る必要がある.そこで,本研究では,食事には毎回,特定の「箸」を使う日本の慣習に着目し,導電性箸を用いた,食事センシング手法を検討した.具体的には,箸と食物,あるいは,箸と腕,体がなす閉回路を利用して,食物を掴んだ,あるいは,口に運んだ,タイミングを検出した.箸プロトタイプを用いて実験を行った結果,食物を掴んでいる事,及び,口に食物を運んだ瞬間を,99%の確率で検出できた.更に,集団食事に導電性箸を適用すると,「話の輪」に入ってゆけない参加者を検出できることも確認できた.
著者
塚本 昌彦 寺田 努 義久 智樹
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ユビキタスコンピューティング環境において多数のユビキタスデバイスによる群コンピューティングを実現することを目標として、環境内に数百から数千個規模のユビキタスデバイスが存在するときに、デバイス全体を対象としたマクロなプログラミングを行えるような方式を確立した。複数のLEDマトリックス上で光パターンをエディットする方法、グローバル通信とローカル通信を組み合わせてトポロジを構築していく方法などを開発した。さらにプログラム方式としては、ルールベースやプログラム変換、モバイルエージェントなどの枠組みを考えた。
著者
竹川 郁雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

大人のいじめに対する意識がどのようなものか、地方都市の一般市民に郵送調査を実施した。有効な回答者は741人で回収率は35.3パーセントであった。また、養護教諭に自由回答形式の調査を実施した。その結果は次の通り。 1.いじめ被害者に対する責任意識を10年ごとの年代別に見た時、世代が若くなるにつれて、責任意識が強いという傾向が出ている。2.居住地密集している市街地に住んでいる人は、いじめの傍観者意識を強く持つ傾向がある。3.中学生に喫煙を注意できるかどうかの質問で、大洲市民の方が松山市民より注意できると回答している人が多かった。これは大洲市民の方が地域で子どもを見守る意識が強いためだと考察した。
著者
石塚 真由美 DARWISH Abdallah DARWISH Abdallah DARWISH ABDALLAH
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

シトクロムP450の分子種のひとつCYPIA1は様々な発がん物質や変異原物質を代謝的に活性化し、化学物質の毒性を決定する重要な異物代謝酵素である。CYPIA1はAhR(アリルハイドロカーボン受容体)によって転写調節を受けており、CYPIA1の上流域のXRE (Xenobiotic Response Element)に結合してその転写を活性化することが知られている。最近、我々はカロテノイド類がAhRの機能に影響を及ぼすことを見出しており、カロテノイドがCYPIA1の生理的な動態の決定因子の一つである可能性を見出している。そこで、本研究では、カロテノイド類がAhRに及ぼす影響、およびその他のシトクロムP450分子種を制御する転写調節因子とのクロストークを明らかにし、カロテノイド類の新たな機能を明らかにすることを目的とする。本年度は、実際に産業動物などがどの程度の重金属類を蓄積しているのかを明らかにし、実施に環境中で人や動物が暴露されている範囲での金属暴露を細胞を用いて行った。H4IIE細胞、およびHepG2細胞を用いて実際に動物が暴露される可能性のある濃度で金属類及びカロテノイドの暴露が異物代謝酵素群にどのような影響を及ぼすのかについて調べた。金属類の曝露によりシトクロムP450、グルクロン酸抱合酵素等の発現量が減少した。メカニズムとして酸化ストレスの介在が考えられたが、同時に転写調節因子の発現量も減少していた。
著者
市瀬 浩志
出版者
武蔵野大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

本研究は、多様な生理活性物質の生産者として放線菌に注目し、代表的ポリケタイド二次代謝産物アクノロジン(ACT)を取り上げ、その生合成に必要な20段階の酵素反応を試験管内で完全再構成することを基盤とする。諸反応中には、単機能型縮合酵素による反復的炭素鎖構築反応、酵素反応中間体の支持タンパク質からの遊離機構および基本骨格修飾反応における酵素基質認識、単機能型酵素による多段階反応の制等が含まれる。本研究では、ACT生合成再構成系を材料として、酵素学的解析、各種機器分析を用いた酵素反応の精密解析、タンパクモデリング法を含む情報科学的解析を駆使した上記問題の網羅的解明を目的とする。本年度の研究計画として、ACT基本骨格形成反応(反復的炭素鎖構築反応)の再構成系の構築を設定し、以下の成果を得た。ACTの基本骨格形成に必須のタンパク群、すなわちActtI-ORF1(ケト縮合酵素α)、ActII-ORF2(ケト縮合酵素β)、ActI-ORF3(アシルキャリアタンパク)、ActIII(ケト還元酵素)、sfp(フォスホパンテニルトランスフェラーゼ)、fabD(アシルトランスフェラーゼ)の発現を放線菌および大腸菌の宿主を用いて実施し、組換精製タンパクとして調製した。これらのタンパクを用い、マロニルCoAを基質としたin Vitroでの生合成反応の再構築を試みたところ、7段階のケト縮合反応を経て生成するオクタケタイド鎖の閉環生成物であるSEK4/SEK4bとともにオクタケタイド鎖の炭素9位還元後の閉鎖生成物であるmutactinの生成がHPLCおよびLC/MSで確認された。この結果は、ACT生合成に関わる炭素骨格形成反応に関わる単機能縮合酵素による反復的炭素鎖構築反応を再現したものであり、本年度の研究計画の一部を達成することができた。
著者
加藤 隆宏
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は10世紀頃のインドで活躍したバースカラの主著『ブラフマスートラ・バースカラ註解』の第一篇の訳註研究である。本研究では、報告者自身の手による新しい校訂批判版に基づき、これまでいかなる言語にも翻訳されてこなかった本書の英語による訳註を作成した。また、詳細な訳註研究に基づいて、バースカラの学説を同世代の有名な思想家シャンカラの学説と比較し、正統派ヴェーダーンタ学説の解明を行った。また、期間中に行った2回のインド現地調査では、これまで存在が知られていなかった全く新しい写本を2本発見入手するなど、大きな成果をあげることができた。
著者
淡野 将太
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

関係性の観点を取り入れたやつ当たり的攻撃モデルを提案した。やつ当たり的攻撃の生起に攻撃者および攻撃対象者の関係性がどのように影響するのかを分析した結果,攻撃対象者によってやつ当たり的攻撃の表出の程度が異なること,また,攻撃対象者が攻撃者の行動傾向に理解を示し攻撃行動を受容することを考慮してやつ当たり的攻撃を行うことが明らかになった。やつ当たり的攻撃に及ぼす認知的要因の影響を検討するに留まり,関係性という社会的要因の影響については検討していなかった先行研究の知見に対し,攻撃者と攻撃対象者の関係性が影響を及ぼすことを示した。
著者
松浦 さと子 北郷 裕美 金山 智子 小川 明子 林 怡蓉 寺田 征也 志柿 浩一郎 川島 隆 松浦 哲郎 畑仲 哲雄 畑仲 哲雄 日比野 純一 橋爪 明日香 稲垣 暁
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1992年に制度化されたコミュニティ放送局は、2016年代に入り300局を超えた。それらは、地域の地理的環境や文化的・社会的・政治的・経済的背景に適応すべく多様な運営スタイルで放送が担われている。しかし共通しているのは災害対応への期待が高いことである。特に2011年以後は「基幹放送」としてその責任が重くのしかかる。国際的なコミュニティラジオが「コミュニティの所有、運営、非営利非商業」と定義されていることに対し、日本のコミュニティ放送は、資源動員、法人形態、ジャーナリズムや番組審議会等、独自の成立条件を形成してきた。本研究では長期のフィールドワークと日本初の悉皆調査によってそれらを明らかにした。
著者
佐々木 朋裕
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

金属材料の固相接合法の一種である超音波接合を対象として,接合界面組織の金属学的評価に加えて,デジタル画像相関法による接合中の材料および接合工具の相対運動解析を行った.さらに,接合界面近傍の塑性変形領域におけるひずみ場の可視化を試みることにより,超音波接合プロセスにおける接合材の動的挙動を定量的に評価した.相対運動挙動の観点から超音波接合過程を考察し,振動を付加する工具と接合する材料の相対運動が接合組織に及ぼす影響を明らかにした.
著者
大曲 由起子 鍛治 致 稲葉 奈々子 樋口 直人 髙谷 幸
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、国勢調査オーダーメイド集計を用いて、1980~2010年までの在日外国人の社会経済的地位の動態を分析した。その結果、在日コリアンに関して1950~60年代生まれコーホートに置いて職業ニッチの変化が生じていること、民族経済が脱産業化したという説は過大評価である可能性が高いことを明らかにした。同時に、ニューカマーについては進学格差が縮まりつつあるが、これはリーマンショックによる帰国の影響が強いことも示唆された。また、中国籍に関しては学歴の高い新中間層と技能実習生に分化しており、出生コーホートごとに日本への包摂様式がかなり異なる。
著者
吉田 修 北川 将之 上田 知亮 石坂 晋哉 油井 美春 長崎 暢子 志賀 美和子 木村 真希子 舟橋 健太 中溝 和弥 田辺 明生 三輪 博樹 伊藤 融 小川 道大 小西 公大 近藤 則夫 森 悠子 和田 一哉 佐藤 仁美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

20人弱の日本のインド政治・社会研究者がインドにおける州への分権化・自治の進展について共同・分担して分析を行った。その研究結果は2014年度アジア政経学会西日本大会で発表するとともに同学会誌『アジア研究』第62巻第4号に特集として掲載され、インド政治が一国家の枠内にありながら州を単位とした比較政治の対象でもありうること、また政治的に進展した分権化が全国レベルでの緩やかな統合を可能にしていることが、インド研究の政治学全体への貢献として提示できることが示された。この成果はインドの「社会経済変化研究所」で国際セミナーを開催することでインド国内にもインパクトを与え、今後の国際共同研究に道を開いた。