著者
一般社団法人日本集中治療医学会/一般社団法人日本呼吸器学会/ 一般社団法人日本呼吸療法医学会ARDS診療ガイドライン作成委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.295-332, 2022-07-01 (Released:2022-07-22)
参考文献数
7

日本集中治療医学会/日本呼吸器学会/日本呼吸療法医学会ARDS診療ガイドライン作成委員会は,今回,合同で『ARDS診療ガイドライン2021』を作成した。2016年版の診療ガイドラインでは,成人のみを対象とした臨床課題(clinical question: CQ)を取り上げたが,今回は成人の46のCQに加えて小児を対象とした15のCQも作成した。前回と同様,GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムを用いた推奨度決定の手法を用いた。また,新たな手法として診断精度のメタ解析およびネットワークメタ解析を用いたシステマティックレビュー(systematic review: SR)も行った。これらにより,より充実した信頼性の高い実用的な診療ガイドラインを作成することができた。
著者
日本集中治療医学会重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.185-281, 2016-03-01 (Released:2016-03-18)
参考文献数
667
被引用文献数
28

本ガイドラインは,2012年10月に発足した日本集中治療医学会重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会が作成した。海外では重症患者を対象とした栄養管理ガイドラインが複数存在するが,本邦には存在しない。そこで,国際ガイドラインでは言及されないが本邦で行われている治療,海外では行われているが本邦には存在しない治療なども考慮し,本邦の臨床に適応した推奨を提示した。各推奨作成にあたって,既存のシステマティックレビューとメタ解析,国際ガイドラインの推奨を流用することが可能かを検討し,必要であればシステマティックレビューを行った。なお,栄養管理が生命予後を左右することから,本ガイドラインの名前に「栄養管理」ではなく「栄養療法」を用いた。本ガイドラインは本邦初の重症患者を対象とした栄養療法ガイドラインであり,臨床の現場で適切に活用されることを期待している。
著者
日本集中治療医学会重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.569-591, 2017-09-01 (Released:2017-09-21)
参考文献数
178
被引用文献数
2

日本集中治療医学会の重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会は,総論的なクリニカルクエスチョン(CQ)とその推奨で構成した「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」を2016年3月に発刊した。重症患者では臓器障害や病前合併症の状況に応じて,特殊な急性期栄養療法を要する場合も少なくない。その後,これらの個々の状況における栄養療法を行う際の臨床的補助となることを目的に,病態別のCQの立案とその推奨の作成を行い,「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン:病態別栄養療法」を作成した。本ガイドラインで対象とした特殊病態は以下のいずれかの条件に合致するものとした。1)国際ガイドラインでは言及されない治療が本邦で行われている病態(急性膵炎,中枢神経障害),2)国際ガイドラインで言及されている治療が本邦では一般的に行われていない病態(呼吸不全,急性腎障害,急性膵炎),3)国際ガイドラインで対象とされている患者群が本邦の一般的な患者群とは異なる病態(高度肥満),4)一般的な栄養療法を適応できない病態(肝不全),5)本邦の臨床現場で栄養療法の理解に混乱が見られる病態(呼吸不全,急性膵炎)。上記より,本委員会は,呼吸不全,急性腎障害,肝不全,急性膵炎,中枢神経障害,高度肥満の6病態を取り上げ,本邦の臨床に適応したCQを立案し,推奨を策定した。各推奨作成にあたっては,「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」と同様に,既存のシステマティックレビュー(SR)と国際ガイドラインの推奨を検証し,新規のSRおよびメタ解析の必要性を検討した。本ガイドライン作成においては,いずれのCQでも新規のSRを行う必要はなかった。本ガイドラインは,本邦初の重症患者を対象とした栄養療法ガイドラインとして先行刊行した「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」の補遺として捉えていただき,併せて臨床の現場で広く適切に活用されることを期待している。
著者
日本環境感染症学会ワクチンに関するガイドライン改訂委員会 岡部 信彦 荒川 創一 岩田 敏 庵原 俊昭 白石 正 多屋 馨子 藤本 卓司 三鴨 廣繁 安岡 彰
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Supplement_III, pp.S1-S14, 2014 (Released:2014-12-05)
参考文献数
50
被引用文献数
2 4

第2版改訂にあたって   日本環境感染学会では、医療機関における院内感染対策の一環として行う医療関係者への予防接種について「院内感染対策としてのワクチンガイドライン(以下、ガイドライン第1版)」を作成し2009年5月に公表した。   その後医療機関内での感染症予防の手段としての予防接種の重要性に関する認識は高まり、医療関係者を対象としてワクチン接種を行う、あるいはワクチン接種を求める医療機関は増加しており、結果としてワクチンが実施されている疾患の医療機関におけるアウトブレイクは著しく減少している。それに伴いガイドライン第1版の利用度はかなり高まっており、大変ありがたいことだと考えている。一方、その内容については、必ずしも現場の実情にそぐわないというご意見、あるいは実施に当たって誤解が生じやすい部分があるなどのご意見も頂いている。そこで、ガイドライン発行から4年近くを経ていることもあり、また我が国では予防接種を取り巻く環境に大きな変化があり予防接種法も2013年4月に改正されるなどしているところから、日本環境感染学会ではガイドライン改訂委員会を再構成し、改訂作業に取り組んだ。   医療関係者は自分自身が感染症から身を守るとともに、自分自身が院内感染の運び屋になってしまってはいけないので、一般の人々よりもさらに感染症予防に積極的である必要があり、また感染症による欠勤等による医療機関の機能低下も防ぐ必要がある。しかし予防接種の実際にあたっては現場での戸惑いは多いところから、医療機関において院内感染対策の一環として行う医療関係者への予防接種についてのガイドラインを日本環境感染学会として策定したものである。この大きな目的は今回の改訂にあたっても変化はないが、医療機関における予防接種のガイドラインは、個人個人への厳格な予防(individual protection)を目的として定めたものではなく、医療機関という集団での免疫度を高める(mass protection)ことが基本的な概念であることを、改訂にあたって再確認をした。すなわち、ごく少数に起こり得る個々の課題までもの解決を求めたものではなく、その場合は個別の対応になるという考え方である。また、ガイドラインとは唯一絶対の方法を示したものではなく、あくまで標準的な方法を提示するものであり、出来るだけ本ガイドラインに沿って実施されることが望まれるものであるが、それぞれの考え方による別の方法を排除するものでは当然ないことも再確認した。   その他にも、基本的には以下のような考え方は重要であることが再確認された。 ・対象となる医療関係者とは、ガイドラインでは、事務職・医療職・学生・ボランティア・委託業者(清掃員その他)を含めて受診患者と接触する可能性のある常勤・非常勤・派遣・アルバイト・実習生・指導教官等のすべてを含む。 ・医療関係者への予防接種は、自らの感染予防と他者ことに受診者や入院者への感染源とならないためのものであり、積極的に行うべきものではあるが、強制力を伴うようなものであってはならない。あくまでそれぞれの医療関係者がその必要性と重要性を理解した上での任意の接種である。 ・有害事象に対して特に注意を払う必要がある。不測の事態を出来るだけ避けるためには、既往歴、現病歴、家族歴などを含む問診の充実および接種前の健康状態確認のための診察、そして接種後の健康状態への注意が必要である。また予防接種を行うところでは、最低限の救急医療物品をそなえておく必要がある。なお万が一の重症副反応が発生した際には、定期接種ではないため国による救済の対象にはならないが、予防接種後副反応報告の厚生労働省への提出と、一般の医薬品による副作用発生時と同様、独立行政法人医薬品医療機器総合機構における審査制度に基づいた健康被害救済が適応される。   * 定期接種、任意接種にかかわらず、副反応と思われる重大な事象(ワクチンとの因果関係が必ずしも明確でない場合、いわゆる有害事象を含む)に遭遇した場合の届け出方法等:http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/tp250330-1.html ・費用負担に関しては、このガイドラインに明記すべき性格のものではなく、個々の医療機関の判断に任されるものではある。 ・新規採用などにあたっては、すでに予防接種を済ませてから就業させるようにすべきである。学生・実習生等の受入に当たっては、予め免疫を獲得しておくよう勧奨すべきである。また業務委託の業者に対しては、ことにB型肝炎などについては業務に当たる従事者に対してワクチン接種をするよう契約書類の中で明記するなどして、接種の徹底をはかることが望まれる。(以下略)
著者
日本集中治療医学会J-PADガイドライン作成委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.539-579, 2014-09-01 (Released:2014-09-17)
参考文献数
333
被引用文献数
1 33

本ガイドラインは,それまで日本集中治療医学会規格・安全対策委員会(当時)で進行中であった作業を引き継ぐ形で,2013年3月に発足したJ-PADガイドライン作成委員会が作成した,集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドラインである。その作成方法は米国で作成された「2013 PAD guidelines」に準じているが,内容は「2013 PAD guidelines」以降の文献の検討をも加えたばかりでなく,人工呼吸管理中以外の患者に対する対応や身体抑制の問題なども含み,さらに,重症患者に対するリハビリテーションに関する内容を独立させて詳述するなど,わが国独自のものも多い。わが国の集中治療領域の臨床現場で,本ガイドラインが適切に活用され,患者アウトカムの改善に寄与することが期待される。
著者
日本皮膚科学会疥癬診療ガイドライン策定委員会 石井 則久 浅井 俊弥 朝比奈 昭彦 石河 晃 今村 英一 加藤 豊範 金澤 伸雄 久保田 由美子 黒須 一見 幸野 健 小茂田 昌代 関根 万里 田中 勝 谷口 裕子 常深 祐一郎 夏秋 優 廣田 孝司 牧上 久仁子 松田 知子 吉住 順子 四津 里英 和田 康夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.125, no.11, pp.2023-2048, 2015-10-20 (Released:2015-10-22)
参考文献数
185

Here, we present our new guideline for the diagnosis and treatment of scabies which we, the executive committee convened by the Japanese Dermatological Association, developed to ensure proper diagnosis and treatment of scabies in Japan. Approval of phenothrin topical use under the National Health Insurance in August 2014 has contributed to this action. Permethrin, a topical anti-scabietic medication belonging to the same pyrethroid group as phenothrin, is already in use worldwide. For making proper diagnosis of scabies, following three points should be taken into consideration: clinical findings, detection of the mite(s) (Sarcoptes scabiei var. hominis), and epidemiological findings. The diagnosis is confirmed when the mites or their eggs are identified by microscopy or by dermoscopy. As we now have a choice of phenothrin, the first line therapy for classical scabies is either topical phenothrin lotion or oral ivermectin. Second line for topical treatment is sulfur-containing ointments, crotamiton cream, or benzyl benzoate lotion. Gamma-BHC ointment is no more provided for clinical use. If the patient is immunosuppressed, the treatment option is still the same, but he or she should be followed up closely. If the symptoms persist, diagnosis and treatment must be reassessed. For hyperkeratotic (crusted) scabies and nail scabies, removal of thick scabs, cutting of nails, and occlusive dressing are required along with topical and/or oral treatments. It is important to apply topical anti-scabietic lotion/cream/ointment below the neck for classical scabies or to the whole body for hyperkeratotic scabies, including the hands, fingers and genitals. For children and elderlies, it is recommended to apply treatment to the whole body even in classical scabies. The dosage for ivermectin is a single oral administration of approximately 200 μg/kg body weight. It should be taken on an empty stomach with water. Administration of a second dose should be considered at one-week with new lesions and/or with detection of mites. Safety and effectiveness of combined treatment with topical and oral medications are not yet confirmed. Further assessment is needed. Taking preventative measures is as important as treating those infected. It is essential to educate patients and healthcare workers and conduct epidemiological studies to prevent further spread of the disease through effectively utilizing available resources including manpower, finance, logistics, and time. (Jpn J Dermatol 125: 2023-, 2015)
著者
フリイドリヒ 著
出版者
中央公論社
巻号頁・発行日
1942