著者
佐藤 悦志 中村 慎也 常盤 祐司
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルプラクティス(TDP) (ISSN:24356484)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.33-44, 2020-10-15

法政大学と富士ゼロックスは,2012年から授業支援システムと紙を連携させることで教育効果を高め教員業務の削減を図るシステムの共創開発を行い,2013年に授業支援ボックスとして商品化した.また商品化後の機能追加や保守においても共創を継続し,現在に至っている.国内における共創開発は現在,様々な業種の企業でも取り組まれるようになってきた.本稿では,これから共創開発を行う企業や大学等への参考になると考え,6年にわたって実施した共創開発の経緯やシステム展開で発生した様々なプラクティスを示すとともに,共創開発の方法や効果について報告する.
著者
長野 高志 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1101-I_1109, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
15

近年の東京都市圏全体の鉄道輸送人員は増加しているが,個別に乗降客数を確認すると,地域の主要駅においても乗降客数が減少している鉄道駅を確認することが出来る.本研究においては乗降客数の減少した鉄道駅に着目し,その経緯と実態を明らかにする.その上で,乗降客数の減少した鉄道駅における今後の課題を明らかにすることを目的とする.結果として,乗降客数の減少している鉄道駅は他の鉄道駅に乗降客が利用転換することで減少し,周辺の商業施設の減少による生活水準の低下が課題になることが明らかになった.また,鉄道駅周辺と地域全体での商業施設集積量を比べることにより鉄道駅周辺において望ましい商業施設の集積量を示すことが出来た.ここから,今後の東京都市圏郊外における鉄道網整備の際に考慮すべき点について提案を行った.
著者
市川 良之 井本 祥子 中島 築 海野 徳二 白戸 勝 川堀 真一 高橋 光明 中村 晃 熊井 恵美 野中 聡 長島 泰行 金井 直樹
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.15, pp.86-94, 1987
被引用文献数
1

A clinical evaluation was conducted on 107 patients with laryngeal cancer treated in our department between 1976 and 1985. Their mean age was 64.0 years, and the male to female ratio was 12: 1. Histopathologically, squamous cell carcinoma was the most common malignant tumor constituting 97.2% of all the cases, whereas there were only 3 cases of verrucous carcinoma. There were 52 cases of glottis,52of supraglottis and 3 of subglottis. The overall five-year survival rate was 62.7%. The five-year survival rates for Stages I to IV were 74.6%,84.9%,54.2% and 31.1%, respectively. As the five-year survival rate of T4 cases was 0%, more aggresive therapies such as combinations of extended operation, irradiation and chemotherapy appear to be required in such cases. In our clinic, the patients with metastases to the cervical lymph nodes at preoperation were treated with radical neck dissection combined with the total laryngectomy in most cases. Radical neck dissection for such patients decreases the number of death due to uncontrolled metastases to the cervical lymph nodes. In the cases of the advanced stage, careful postoperative examination is required.
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.51-87, 2019-03-29

本稿の主題は、1907年に公布された「癩豫防ニ關スル法律」(1907年法)と、それを1931年に改正した「癩豫防法」(1931年法)との比較を通して、両者の各條文間の異同を明らかにし、1907年法および1931年法との不連続性と連続性を明らかにする。更に1907年法および1931年法のそれぞれの「施行規則」の條文間の異同を追う。これらの法律・規則には、対応関係がみられるので、1907年法から1931年法に継承された点と、大きく改正された点を明らかにすることができる。更に1931年法「施行規則」の各條項に示された規定が、「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」という地方制度の各條項と、如何なる連関のもとに、盛り込まれていったのかを、それらの各條項から類推することを通して、当時の沖繩縣下のハンセン病問題の輪郭を、示したい。但し、本稿は、1931年法改正点の、大きな焦点となる<從業禁止>関連規定と<生活費補給>関連規定をめぐる地方制度の検討は、紙幅の都合上、別稿を用意する。本稿を端緒とする一連の考察の最終的な目的は、「癩豫防法」と沖縄社会との関連を、同法の関連地方制度である「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」の條文を踏まえて、捉え返すことにより、何が観えてくるのかを、示すことにある。その際の問題の所在は、ハンセン病療養所を前提とする「癩豫防法」は、その前提となる療養所なしに、如何に機能し、ハンセン病者たちに、どの様な現実を帰結せしめたのかを、明らかにすることである。
著者
福留 裕樹 畠山 琢次 原 賢二 中村 正治 中村 栄一
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1103, 2002

Development of the stereocontrolled carbon-carbon bond formation is one of the most important tasks in synthetic organic chemistry. We have reported that a zincated hydrazone, which is a synthetic equivalent and an isoelectronic compound of a metal enolate, reacts with various vinyl metal compounds such as vinyl silane, vinyl stannane, and vinylmagnesium halide to form a new functionalized organometallics bearing two metals at the same carbon. We recently found that a vinyl boronate can also serve as the carbometalation acceptor and shows high reactivity toward organozinc reagents. Here we report an alkenyl boronate, which possesses a variety of substituent at the &beta;-carbon to boron, undergoes the addition of a zincated hydrazone in high yields with high diastereoselectivity. The zincated hydrazone derived from 2-methyl-3-pentanone hydrazone, thus, reacted with <I>trans-</i>hexenyl boronate to give a product in 92% yield with high diastereoselectivity (d.r. > 99:1). On the other hand, the reaction to the corresponding <I>cis-</i>isomer gave another diastereomer with a diastereoselectivity of 16:84, showing high stereospecificity of the carbozincation process.
著者
中村 三春
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.33-42, 1992-02-10 (Released:2017-08-01)

<書くこと>について書くことを一貫して課題としてきた金井美恵子の言説は、文芸の根幹をなす虚構についての原則論的な追求を核心としている。発条を失った私小説的風土にあって、虚構についての究極の洞察を示す金井の文芸様式は、虚構を論ずる際に決して避けて通ることができない。本稿は、初期の短編「兎」(一九七二・六)の<額縁構造>を焦点とし、虚構を<読むこと>へとシフトしつつ、金井文芸を論じたものである。
著者
三田 俊夫 酒井 明夫 上田 均 藤村 剛男 中村 正彦 伊藤 欣司 坂本 文明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-989, 1993-09-15

【抄録】 憑依症状群(キツネ憑き)を中心とするfolie à troisの2例を報告した。発端者はいずれも精神分裂病であり,「家」のうちでは中心的役割を果たし,共同体の文化的脈絡にそって生活していくべき立場にあった。1例は山村,他例は漁村が舞台となっているが,いずれにおいても発端者と継発者とは,地域の民間信仰と俗信を絆として互いの緊密な結びつきを保ち,それを土台に互いの病像を支持し合い,強め合うという傾向が顕著に認められた。従来,本病態の発生には,外部とは隔絶された,長期にわたる同居の期間が必要とされてきたが,本例では,地域と家庭双方における民間信仰の共有が,いわば心性という次元で同居と同様の状況を作り出していると考えられる。これらのことより,本病態の発生因として,従来重要視されてきた遺伝的近接と環境的近接に加えて,地域の伝統風俗や習慣に土台を持つ,信仰,思想上の近接が重要な役割を果たしうることが示唆された。
著者
中村 貴弘 早川 正士
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.1012-1020, 2004 (Released:2004-11-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

Mesospheric optical phenomena(including sprites) are becoming an interesting subject from the standpoint of atmosphere-ionosphere coupling. This paper deals with our observation of sprites associated with winter thunderstorms in the Hokuriku area and we show the characteristics of those sprites and their parent lightning discharges. Although the scale of Japanese lightning in winter is very small as compared with the MCS (Mesoscale Convective System) for the summer continental lightning, the essential quantities (polarity, charge transfer etc.) are found to be nearly the same as those for those MCS. However, there might be required an additional factor, such as the self-organization of the lightning.
著者
尾﨑 研一郎 馬場 尊 中村 智之 稲葉 貴恵 川島 広明 中島 明日佳 福井 友美 間々田 浩明 黒後 祐美 中里 圭佑 堀越 悦代 寺中 智 加藤 敦子 亀山 登代子 川﨑 つま子 水口 俊介
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.225-236, 2018-12-31 (Released:2019-04-30)
参考文献数
37

【目的】今回,病棟専属の常勤歯科医師,歯科衛生士が急性期病棟の看護師とリハビリテーション科が参加する肺炎予防システムを構築した.本研究では,急性期脳卒中患者に対する本システムの効果について,入院中の肺炎発症と退院時の経口摂取不能の観点から調査した.【方法】肺炎予防システムは病棟の全患者に対する看護師による口腔アセスメントと口腔衛生管理の標準化,歯科依頼手順,リハビリテーション科による摂食嚥下評価の情報共有からなる.対象は,当院に入院した脳卒中患者のうち,肺炎予防システム導入前の2012年4月から2013年3月に関わった234人(男性127人,女性107人,平均年齢72±13歳)と肺炎予防システム定着後の2014年4月から2015年3月に関わった203人(男性107人,女性96人,平均年齢74±11歳)とした . 診療録とThe Japanese Diagnosis Procedure Combinationデータベース,リハビリテーション科と歯科内で運用している患者臨床データベースより入院時の属性と帰結について調査し,導入前と定着後について解析を行った.【結果】定着後群は,導入前群よりも重度な症例が多かった.肺炎発症は,導入前群15%,定着後群8%であった.ロジスティック回帰分析において,導入前群の肺炎発症は定着後群の肺炎発症と比較してオッズ比2.70(95% CI 1.17―6.21, p=0.020)であった.肺炎予防システムのほかに肺炎発症と有意に関連したのは,入院時の意識レベルと,初回評価時の摂食嚥下障害の重症度であった.退院時の経口摂取可能例の割合については導入前群と定着後群の間で変化を認めなかったが,導入前群より重度であった定着後群に対し経口摂取の割合を減らさなかった.【結論】肺炎予防システムは,肺炎予防と経口摂取維持に効果が認められた.これは,急性期病棟の看護師,歯科,リハビリテーション科が,患者の状態を共有したうえで専門的介入ができたことによる結果と考えられる.
著者
植田 拓也 柴 喜崇 畠山 浩太郎 中村 諒太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.EaOI1038, 2011

【目的】<BR> 脊柱後彎変形(以下,円背)は加齢に伴い進行する高齢者特有の姿勢であり(Milne,1974),高齢者の約60%に認められると報告されている(川田,2006).高齢者の円背の増加はバランス能力低下(坂光,2007),呼吸機能の低下(草刈,2003)などと関係があり,円背の定量的測定の開発が求められている.また,円背進行予防運動の効果を検討するためにも,時間的な制約のある臨床現場ではより効率的で簡便な円背の測定が必要であると考えられる.<BR> 現在,円背の定量的測定のGold standardとして脊柱矢状面レントゲン画像から算出するcobb角がある(Kado,2009).また,自在曲線定規による円背指数(Kyphosis Index(%):以下,KI)が最も安価で簡便な測定方法であるとされている(Lumdon,1898).<BR> そこで本研究の目的は臨床で使用可能であり,簡便な円背の定量的測定方法の開発を目的とし,小型ジャイロセンサーを用いた円背の定量的測定の妥当性及び再現性を検討することとした.<BR>【方法】<BR> 参加者は神奈川県S市のラジオ体操会会員から募集した56歳~86歳の地域在住中高齢者96名(男性50名:平均年齢70.1±5.0歳,女性46名:平均年齢72.7±6.2歳)であった.<BR> 姿勢測定は((株)ユーキ・トレーディング社製,ホライゾンKS08010:以下,姿勢測定装置)を使用し,脊柱後彎角度(Kyphosis Angle;以下,KA)を算出した.本装置は小型ジャイロセンサーが内蔵された測定器(±0.7°の精度)であり,三次元的な角度の測定が短時間かつ正確に可能である.KAは,第7頸椎棘突起(以下,C7)と脊柱の最大後彎部を結ぶ線,脊柱の最大後彎部と両側上後腸骨棘の中点(以下,PSIS中点)を結ぶ線のなす角度である.また,外的基準として円背の程度の測定をKIにて算出した.KIは身体に非侵襲的であり,高値になるほど円背が重度と判断される指標である.また,Cobb角との高い相関が確認され(Milne,1974),検者内,検者間の再現性のある測定方法である(Lundon,1998).KIの算出は,測定を立位にて実施した.C7と両側上後腸骨棘を触診し,C7からPSIS中点までの脊柱アライメントを自在曲線定規で型どりそのアライメントを紙にトレースした後,C7からPSIS中点を結ぶ線との交点までの長さL(cm)と直線Lから彎曲頂点までの高さH(cm)を記録し,H/L×100で算出した.<BR> 統計解析は姿勢測定装置による円背測定の妥当性について,KIとKAの関連をPearsonの積率相関係数を用いて検討した.また,2回及び3回連続測定の再現性について,級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient:以下 ICC(1,1),ICC(1,2),ICC(1,3))を算出し,適切な測定回数を検討した.なお,有意水準は1%未満とした.<BR>【説明と同意】<BR> 参加者には事前に書面及び口頭で本研究について十分な説明を行い,書面にて自署において同意を得た.<BR>【結果】<BR> 参加者全体のKA及びKIの平均値はKA:163.8±6.8°,KI:8.4±2.6%であった.KAとKIの間には,全参加者(r=-.63,<I>P=.00</I>,n=96),男性(r=-.64,<I>P=.00</I>,n=50),女性(r=-.62,<I>P=.00</I>,n=46)において統計学的有意な中等度の相関が確認された.<BR> KAの連続測定の再現性の検討では,2回連続ではICC(1,1):0.967(99%Confidence interval(99%CI);0.935-0.983),ICC(1,2):0.983(99%CI;0.966-0.991),3回連続ではICC(1,1):0.958(99%CI;0.9267-0.9766),ICC(1,3):0.985(99%CI;0.974-0.992)であった.<BR>【考察】<BR> 本研究では姿勢測定装置による円背の定量的測定の妥当性と再現性を検討した.結果,姿勢測定装置による円背測定の妥当性が確認された.また,ICCは0.9以上で"優秀"と定義されていること(Shrout,1979)から,2回及び3回連続測定の高い再現性が確認された.これは3回の連続測定の再現性に関しては,本装置による体幹前傾角度の計測法を検討した先行研究(Suzuki,submission)とも一致する結果となった.姿勢測定装置による円背測定の回数はKAのICC(1,1)が0.95以上であったことから1回の測定でも十分再現性は高いといえる.つまり,姿勢測定装置による円背の測定は1人の検者が1回測定すれば十分であるということができる.以上のことから,姿勢測定装置による円背測定は,妥当性,連続測定の再現性が高く,臨床現場において簡便に実施可能な円背の定量的測定方法であることが示唆された.<BR> しかし,本研究では姿勢測定装置での日の違いによる検者内再現性及び検者間再現性は検討しておらず,今後はこれらについても検討する必要がある.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 現在,求められている科学根拠に基づく理学療法の確立には治療効果を定量的,客観的に測定することが必要である.また,その測定方法は簡便であり,時間に制約のある臨床場面で容易に使用できることが前提となるべきである.本研究において,効率的かつ正確に円背の定量的測定が可能になることで,円背の進行予防に対する効果的な訓練方法の確立につながると考えられる.
著者
高野 信治 山本 聡美 東 昇 中村 治 平田 勝政 鈴木 則子 山田 嚴子 細井 浩志 有坂 道子 福田 安典 大島 明秀 小林 丈広 丸本 由美子 藤本 誠 瀧澤 利行 小山 聡子 山下 麻衣 吉田 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、欧米では前近代をも射程に身心機能の損傷と社会文化的に構築されたものという二つの局面を複合させて障害を捉え、人種、性(身体上)、民族の差異よりも、障害の有無が人間の区別・差別には重要とされる。日本では、かかる視角の研究はなく、障害は近代の画期性が重視される。しかし福祉問題の将来が懸念されるなか、比較史的観点も踏まえた障害の人類史的発想に立つ総合的理解は喫緊の課題だ。以上の問題意識より、疾病や傷害などから障害という、人を根源的に二分(正常・健常と異常・障害)する特異な見方が生じる経緯について、日本をめぐり、前近代から近代へと通時的に、また多様な観点から総合的に解析する。
著者
船引 恭平 中村 昌之 釣谷 雅明
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.220-235, 1981-12-10 (Released:2012-08-20)
参考文献数
24
被引用文献数
5

有機化合物を熱処理することにより生成する炭素化物の構造は, 主としてX線回折の手法によりいろいろと研究されて来た。また, 電子顕微鏡技術の発展により, これら炭素化物の微細構造を直接かつ正確に観察することができるようになって炭素化の研究に大いに役立っている。最近フェノール樹脂が炭素化材料として種々の用途で用いられるようになってきたため, 炭素化挙動についての関心が高まりつつある。そこで, こゝではまず有機化合物の炭素化・黒鉛化について総括的に触れた後, ついでフェノール樹脂の熱処理に伴って観察される炭素化・黒鉛化の挙動についてまとめてみた。また, 炭素化物の収縮率や強度などの物理特性や, フェノール樹脂の平均分子量やヘキサミン量などが残炭率に及ぼす影響についても論じてみた。さらには, いろいろの測定条件下での発生するガスの種類や量などにも触れ, それぞれについて実験結果や文献を紹介して説明する。
著者
菅原 久美子 和泉 眞喜子 宮下 ひろみ 中村 恵子 會田 久仁子 村上 知子 菊地 和美 北山 育子 真野 由紀子 松本 祥子 大野 智子 高橋 秀子 齋藤 寛子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.129, 2010

【目的】米利用の地域性および米消費減少の要因を探るために、東北・北海道地方における米の摂取・調理状況に関する調査を実施し、前報<SUP>1)</SUP>では米の嗜好、摂取頻度、米に対する意識等について報告した。本研究では、米飯と代表的な米料理の摂取・調理状況について、東北・北海道地方における特徴と地域性について比較検討した。【方法】前報<SUP>1)</SUP>、同様である。<BR>【結果】三食とも米飯を摂取する割合は、全体で46.6%であるが、各県・道別にみると山形県71.4%、北海道29.9%となり、一日の米飯回数には地域差がみられた。山形県では黒米、宮城県では五穀米の使用が多い特徴がある。また無洗米の使用経験は各県道ともに多く、認知度や利便性等が広く浸透していることが窺われた。残りご飯は炒飯、雑炊としての利用が最多であるが、焼きおにぎりへの利用には地域差がみられた。おにぎりの具材はいずれも鮭、梅干しが上位であるが、たらこは秋田・青森県、こんぶは青森・岩手・宮城県、かつおぶしは北海道で多かった。炊き込みご飯、混ぜご飯、ちらし寿司を作る割合は各々88.4%、75.7%、62.6%であり、炊き込みご飯は秋田県、混ぜご飯は福島県、ちらし寿司は岩手県で作る割合が多く、いずれの米料理も、具の調理状況と盛りつけ時の具の飾り方には地域的特徴がみられた。具材を種類別にみると、炊き込みご飯では山形県のいも類(しらたき、こんにゃく)ときのこ類、北海道の藻類(ひじき、海苔)と魚介類(ほたて貝、ほっき貝)、混ぜご飯では宮城県の鮭の出現率が高く、地域の特産物が多く利用されている状況が窺われた。<SUP>1)</SUP>日本調理科学会平成21年度大会研究発表要旨集、p.47(2009)
著者
谷口 巳佐子 山内 亮子 中村 元臣
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.681-685, 1972

白ネズミの肝臓ミトコンドリヤによるパルミチン酸誘導体の酸化に及ぼすリボフラビンの影響をしらべ, リボフラビン欠乏によって, パルミチル-CoAとL-カルニチンとの酸化のほうが, パルミチル-L-カルニチンのものより減少が大きいことが見いだされた。<BR>離乳ネズミをリボフラビン添加対照食で18日間飼育し, ついで31日間欠乏食で飼育したとき, ミトコンドリヤのパルミチル-CoAとL-カルニチンの酸化活性は, 欠乏食で飼育をはじめたものと同様の減少を示したが, パルミチル-L-カルニチンのものは欠乏食飼育前に対照食を与えたもののほうが酸化活性の減少が少なかった。<BR>ミトコンドリヤの呼吸調節率は, 欠乏食で4週間飼育することにより, パルミチン酸の両誘導体ともに減少した。しかし, 酸化的リン酸化の比はパルミチル-L-カルニチンを基質とし, 欠乏による影響はなかった。
著者
中村 三春
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.1-16, 1997-04-10 (Released:2017-08-01)

『定義』は冒頭に百科事典からの引用文を置きながらも、指示の不可測性、表意体(シニフィアン)の戯れ、反復表現による意味内容の無化などの領域に読者を引き込み、<定義>を不可能にしてしまうパロディである。しかし、それは単なるニヒリズムではない。『魂のいちばんおいしいところ』などを補助線とすれば、そこには言葉がメッセージ伝達の機能ではなく、コンタクト(接触)の回路を敷設することによって、人と人との間の繋がりを築くことの信念が読みとられる。