著者
堅田 香緒里 佐々木 宏 山内 太郎 大岡 華子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、1940年代後半以降、長年、貧困/生活困窮当事者による社会保障運動として全国各地で活動を続けている「生活と健康を守る会」(以下、守る会)に光を当て、貧困当事者の<声>の政治の一端を明らかにしようとするものである。そのために、守る会による発行物の分析、そして「守る会」運動に深くコミットしてきた関係者への聞き取り・語りの分析を行う。これらの作業を通して、戦後日本において、とりわけ貧困/生活困窮当事者の手になる運動が、①どのように当事者の組織化を行い、②ボトムアップ型の社会保障政策形成を促し、③貧困当事者中心のソーシャルワーク実践に影響を与えたのかの三点を実証的に明らかにしたい。
著者
平井 啓 谷向 仁 中村 菜々子 山村 麻予 佐々木 淳 足立 浩祥
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.17239, (Released:2018-12-25)
参考文献数
27
被引用文献数
2

It is necessary to develop the effective psycho-educational concepts and materials to enhance the uptake behavior of appropriate specialized institutions of mental health care, such as psychiatric clinics or centers providing psychotherapy. In this research, we developed the core concepts and materials, which can be used for the Web sites, or pamphlets intended to enhance appropriate uptake behavior, by conducting internet-based research and a formative interview based on a social marketing approach. As a result of an analysis of 819 first-time users of mental health care services that met eligibility criteria, descriptive characteristics of the uptake behavior for mental health care were revealed and the differences in mental health care literacy between people with a shorter distribution of the untreated period (DUI) and a longer DUI were clarified. By formative research based on the social marketing frame-work, we developed core concepts and materials consisting of the characteristics of the people with a shorter DUI (WHO), the messages about preventing a longer DUI (WHAT), and effective methods for presentation and communication (HOW).
著者
塚越 秀行 佐々木 正志 北川 能 田中 崇裕
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.859-866, 2004-08-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1 5

This paper describes the numerical analysis and design for a higher jumping rescue robot using a pneumatic cylinder. First, the basic equations for jumping are derived and the simulation is performed. Then, the relationship between the jumping height and the pressure-receiving area of the cylinder is considered when the volume or the stroke of the cylinder is kept constant. This allows calculation of the optimal cross sectional area. In addition, the jumping height is also affected by the weight ratio between the rod and the cylinder tube. Based on these results, a robot equipped with a cylinder of the appropriate dimensions controlled by a well-selected valve is reengineered and demonstrated. Experimental results show that the improved robot can jump considerably higher than the former design with the same energy efficiency, as shown in the following video. http://www.cm.ctrl.titech.ac.jp/study/jump/home.html.
著者
佐々木 孝彦
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.5_113-5_118, 2021 (Released:2021-10-02)
参考文献数
5

In this report for Case Study, we introduce the educational activities for research ethics conducted as part of the promotion of responsible conduct of research at Tohoku University. In particular, we describe in detail the Career Stage-Based Learning Reference Standards and the Research Integrity Advisor System as distinctive systems and initiatives.
著者
田爪 正氣 糠信 憲明 築地 真実 佐々木 和歌子 芝川 敬美 塚本 祥子 尾添 聡美 潮田 恵子 田口 友美
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-72, 1999

院内感染の発生を防ぐためには感染経路の遮断が重要である。そこで感染経路の1つとして洋式トイレを取り上げ、病院外来待合い室にある洋式トイレの便座上における細菌学的汚染調査を行ってメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出を試みた。1)洋式トイレの便座上における付着総菌数の多少は、使用者の清潔意識や業者による掃除が関与していると推察できる。2)トイレを使用する前に便座上をトイレットペーパーで拭くことは付着総菌数を減少させ、清潔にする効果が認められた。3)外来待合い室の洋式トイレにおける便座上から分離された黄色ブドウ球菌136集落から、MRSAが14集落(10.3%)検出された。不特定多数の人が間接的に皮膚を接触させる外来トイレの便座は院内感染源の1要因としてあげることができる。易感染状態にある患者が院内にある洋式トイレの便座から感染する危険性もあり、清掃業者へ院内感染防止に関わる教育を施す必要性が認められた。
著者
佐々木 渓円 平澤 秋子 山崎 嘉久 石川 みどり
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.12-22, 2021-01-15 (Released:2021-01-30)
参考文献数
36

目的 乳幼児健康診査(乳幼児健診)では,生活習慣に関する問診が行われている。乳幼児健診の受診率は極めて高いため,問診結果を活用した地域診断が可能である。本研究では,幼児期における菓子や甘味飲料(甘い間食)の習慣的な摂取と生活習慣との関連性について,問診結果を活用して分析した。方法 対象地域は,個々の児の健診結果を突合できる愛知県内35市町村である。解析対象者は,2013年度の1歳6か月児健診(18 m)と2014~2015年度の3歳児健診(36 m)を同一市町村で受診した18,251人(男児,9,393人(51.5%))とした。「甘い間食」の習慣化に基づいて,次の4つのカテゴリに対象者を分類した。18 mと36 mで「甘い間食」の習慣化がないN-N群,18 mのみで習慣化があるY-N群,36 mのみで習慣化があるN-Y群,18 mと36 mで「甘い間食」の習慣化があるY-Y群である。その他の生活習慣は,望ましい習慣と望ましくない習慣の2水準に区分した。「甘い間食」の摂取のカテゴリを従属変数とし,生活習慣を独立変数とした多項ロジスティック回帰分析を行った。従属変数の対照カテゴリはY-Y群とし,独立変数の対照は望ましくない生活習慣とした。結果 対象者の構成比は,N-N群:Y-N群:N-Y群:Y-Y群=27.7:8.6:24.1:39.6であった。18 mでは48.2%の児に「甘い間食」の習慣化があり,その割合は36 mで63.7%に増加した。18 mで「甘い間食」の習慣化がある児の82.2%が,36 mでも「甘い間食」を習慣的に摂取していた。18 mで就寝時の授乳がないことが,N-N群(オッズ比[99%信頼区間]=1.25[1.11-1.41])やY-N群(1.28[1.07-1.52])と正の関連を示したが,N-Y群(0.99[0.88-1.11])との関連は認められなかった。18 mで親が仕上げ磨きをすることは,N-N群のみに正の関連を示す傾向を呈した(1.10[0.99-1.23])。結論 半数近くの児が18 mまでに「甘い間食」の摂取を習慣化し,その多くが36 mまでに改善できないことが示された。18 mにおける口腔衛生行動が,36 mまでの幼児の「甘い間食」の習慣的な摂取と関連していた。乳幼児健診の結果を活用した地域診断は,健康課題と関連する因子の同定に有用である。
著者
佐々木 大樹
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.0263-0282, 2016 (Released:2019-02-22)
参考文献数
25

初期密教における重要な尊格として、変化観音・金剛手等とならび、仏頂尊の名を挙げることができる1)。仏頂尊は、釈尊が具えた三十二相のうち、頂上肉髻相を尊格化したものと考えられている。仏頂尊は、七世紀頃に初めて文献上に登場した初期密教を代表する仏尊であり、以後の経軌、例えば『大日経』『金剛頂経』等に継承されていった。仏頂系の経軌は、共通して組織的な儀礼(特に灌頂)をもち、また部族(kula)の概念を導入する等、両部大経に与えた影響も大きいと評されている2)。 仏頂尊は、数多くの密教経軌に登場し、その名称・種類は様々であるが3)、その中でも諸仏頂を総べるものとして頂点に君臨したのが一字金輪である。またその一字金輪の真言「ノウマクサマンダボダナン ボロン」(namahsamantabuddhānāṁ bhrūṁ)は、絶大な力を有する呪句とされ、真言宗では主に修法・法要の成就を促す目的で読誦されることが多い。本稿では便宜上、一字金輪の真言を「ボロン呪」と呼ぶこととしたい。
著者
佐々木 浩子 木下 教子 高橋 光彦 志渡 晃一
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-16, 2013

大学生の睡眠の質と生活習慣及び精神的健康との関連を明らかにすることを目的として,北海道及び東北の大学生に「生活習慣と精神的健康状態に関する調査」を実施し,男女差及び睡眠障害の有無による比較及び検討を行った。 その結果,男子に比較して,女子では起床時刻が早く,食事の規則性などが良好で,喫煙や飲酒の習慣のある者や運動習慣のある者の割合が低いものの,ストレスの自覚の割合が高く,睡眠時間が短いなど男女の生活習慣に有意な差があることが明らかとなった。しかし,睡眠の質の評価としたPSQI-J の総得点および総得点により群分けした睡眠障害の有無の割合では男女差は認められなかった。 睡眠障害の有無による比較結果から,睡眠に関して問題をもつ者は,定期的運動習慣のある者の割合が低く,喫煙習慣のある者の割合が高く,遅い就床時刻,短い睡眠時間,長い入眠時間で,食生活に対する意識も低いなど,生活習慣においても良好な状態になく,同時に精神的な問題も抱えていることが示唆された。また,睡眠に関する問題は男女差なく,大学生の多くが共通して抱えている問題であることが明らかとなり,睡眠と生活のリズムに関する教育の必要性があるとの結論を得た。
著者
池田 泰久 三村 均 佐藤 修彰 新堀 雄一 小崎 完 佐藤 努 佐々木 隆之 桐島 陽 出光 一哉 稲垣 八穂広 鈴木 達也 竹下 健二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

福島原発事故で発生した汚染物の合理的な処理・処分システム構築に向け、従来とは異なる固体・液体汚染物の性状研究、固体・液体汚染物の処理研究、発生廃棄物の処分研究の3分野に分け、基盤データの取得を行ってきた。その結果、燃料デブリの性状、核種の溶出挙動、汚染物の除染法、汚染水の処理法、高塩濃度環境下での核種の移行挙動等、燃料デブリをはじめとした従来知見の少ない海水を含む水溶液に接する条件下で発生した放射性廃棄物の処理・処分技術の開発に資する多くのデータを取得し、福島原発事故廃棄物の処理・処分方策に貢献しうるとともに、放射性廃棄物の処理・処分分野の進展に寄与しうる成果を出している。
著者
佐々木 清文
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1149-1153, 1995-10-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10
著者
渡邉 博史 松岡 潤 梨本 智史 古賀 良生 大森 豪 遠藤 和男 田中 正栄 縄田 厚 佐々木 理恵子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab1344, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 静的ストレッチング(以下ストレッチ)の効果的な持続時間については、10~30秒や最低20秒以上必要、または長時間の方が有効で60秒程度の効果が大きい等、諸家により異なっている。今回、ストレッチの持続時間とその効果について検討したので報告する。【対象】 膝疾患の既往がない健常成人20名、女性10名(21-54歳、平均30.3±8.7歳)、男性10名(22-35歳、平均28.8±3.8歳)を対象とした。【方法】 右下肢を対象側とし、膝屈曲90°の等尺性最大膝伸展筋力(MVC)を下肢筋力測定・訓練器(アルケア社製、以下QTM)で測定した。ストレッチ前の運動負荷として60%MVCの等尺性膝伸展運動(膝屈曲90°、収縮時間6秒、10回)をQTMで行った。運動後、大腿四頭筋の他動的ストレッチを行い、ストレッチ前後の大腿四頭筋緊張度(以下Q-tension)を測定した。Q-tensionは対象を左側臥位にて体幹・骨盤を壁面に押し付け固定し、右下肢を股関節伸展0°、膝関節屈曲135°で保持し、他動的膝関節屈曲時の下腿に生じる膝伸展反発力を足関節近位部でQTMにて測定した。ストレッチ持続時間は10秒、20秒、60秒(以下10S、20S、60S)の3種類で、日を変えて行い順番はランダムに選択した。そして3種類のストレッチについて、運動負荷後におけるストレッチ前後のQ-tensionの変化を性別に比較した。統計的解析は対応のあるt検定を用い、有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は対象者に研究の趣旨を十分に説明し同意を得て行った。【結果】 女性のストレッチ前後のQ-tensionの変化は、10Sではストレッチ前2.3±1.3kg、後2.1±0.7kgで、ストレッチ後統計的に有意な低下を認めなかった。20Sと60Sでは、20Sのストレッチ前2.4±0.8kg、後2.0±0.7kg、60Sのストレッチ前2.3±1.0kg、後2.0±0.8kgで、20Sおよび60Sともストレッチ後統計的に有意な低下を認めた。男性のストレッチ前後のQ-tensionの変化も、10Sではストレッチ前3.7±1.9kg、後3.3±1.7kgで、ストレッチ後統計的に有意な低下を認めなかった。20Sと60Sでは、20Sのストレッチ前3.7±2.0kg、後3.2±1.7kg、60Sのストレッチ前3.9±2.3kg、後3.2±1.8kgで、20Sおよび60Sともストレッチ後統計的に有意な低下を認め、女性と同様の結果であった。【考察】 我々は先行研究において、床反力計を用いたQ-tensionの定量的評価で、ストレッチによってQ-tensionが低下することを報告している。本研究においても、男女ともストレッチ後Q-tensionが低下しており、一致した結果であった。しかし、10Sでは、男女とも統計的に有意な低下を認めなかった。このことから、ストレッチの持続時間として10秒では、不十分であることが示唆された。20S、60Sでは、男女とも統計的に有意な低下を認め、ストレッチの持続時間として、20秒~60秒は有効であることが考えられた。今回、20Sと60Sとの効果の差については、男女とも明確にすることはできなかった。これについては、対象者の変更等をして、今後検討が必要と考える。スポーツ現場等でのコンディショニングにおけるストレッチでは、多数の筋肉をストレッチする必要があるため、効果的でかつ短時間であることが望まれる。そのため60秒では長すぎると思われ、一般的に20秒程度を適当としていることは妥当と考える。【理学療法学研究としての意義】 理学療法においてストレッチは、臨床的によく行われている治療法であり、その効果的な持続時間を検討することは、ホームエクササイズとしてストレッチを指導していく上で、とても重要である。そして今後は、ストレッチの反復回数等の影響や、ストレッチ効果の持続性について検討していく必要がある。
著者
松坂 俊 大屋 清文 片山 勝之 松本 美奈 佐々木 理絵 Ivor Cammack 柏木 秀行
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.67-72, 2021 (Released:2021-03-02)
参考文献数
9

【緒言】緩和的放射線療法を含む集学的な加療により長期間放置され巨大化し自壊した頭部脂腺がんの局所コントロールができ,ADLが大幅に改善した1例を経験したので報告する.【症例】退職し独居,家族とも疎遠であり,社会的孤立がある48歳男性.3年前に頭部腫瘍を自覚した.近医に受診したが診断が得られず,その後放置していた.その後巨大化し,疼痛,滲出液が増悪し体動困難となり救急搬送された.頭頂部に最大径30 cmの腫瘤を認め,手術不能な脂腺がんと判断された.全身管理とともに計27 Gy/9 Frの緩和的放射線療法をしたところ腫瘍は2/3程度に縮小し,疼痛も改善,滲出液の減少も認め,外出することも可能となった.【考察】手術不能な巨大頭部脂腺がんであっても緩和的放射線療法を含む集学的加療で局所コントロール,症状緩和をし得る.
著者
佐々木 ゆり
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.42, pp.137-144, 2007

本稿では、日本の英語教育において比較的新しい概念である「コミュニケーション能力」について、文献からの解釈を基盤としてその定義を確認する。さらにコミュニケーション能力の獲得のための具体的な方策として、CLT(Communicative Language Teaching)に言及し、新しい概念を実現するために指導者に求められる新しい役割についても提言したいと考える。