著者
徐 春城 蔡 義民 藤田 泰仁 河本 英憲 佐藤 崇紀 増田 信義
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.343-348, 2003-08-25
被引用文献数
7 9

麦茶飲料残渣を有効利用するため,容易に流通できる100L容のポリドラム缶サイロを用い,無添加処理(対照区)および乳酸菌+アクレモニウムセルラーゼ添加処理(添加区)して麦茶飲料残渣サイレージを調製した.貯蔵後245日目にサイロを開封し,発酵品質を調査した.また,チモシー乾草と市販濃厚飼料(乾物比で4 : 1)を基礎飼料として,さらに基礎飼料の1/4(乾物比で)を麦茶飲料残渣サイレージに代替して,6頭のメンヨウに給与してサイレージの栄養価を推定した.添加区は対照区に比べてpHが有意(P<0.05)に低く,乳酸含量は有意(P<0.05)に高く,長期間貯蔵でも品質は安定に保持された.また,添加区では対照区より細胞壁の有機物成分(OCW)が有意(P<0.05)に低く,細胞内容物の有機物成分(OCC)は有意(P<0.05)に高かった.添加区と対照区の乾物中の可消化養分総量(TDN),可消化粗タンパク質(DCP),可消化エネルギー(DE)はそれぞれ67.3%と65.1%,5.0%と4.8%,13.3MJ/kgと13.0MJ/kgであった.添加区のTDN,DCPおよびDEは対照区より高い傾向を示したが,有意差は認められなかった.
著者
佐藤 萌
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

江戸時代の雛人形の頭髪(スガ糸)には、タンニン酸と鉄媒染により染められた黒染め生糸が用いられ、繊維は酸や鉄による触媒作用の影響を受けて経年とともに劣化し粉末化することが問題となっている。本研究では、これまで修復困難で処分され、調査・研究の対象とされてこなかったスガ糸の制作技法を明らかにし、スガ糸の劣化速度を把握し寿命予測を行う評価法を確立することを目的とした。江戸時代の人形77体の頭髪剥落片の繊維素材を光学顕微鏡による断面観察とSEMによる表面観察により同定し、劣化因子である鉄イオンの有無をエネルギー分散型X線分析により確認した。生糸は53体、精練糸は10体、靱皮繊維は11体、人毛は3体で、殆どの繊維から鉄元素の存在が確認出来たことから、江戸時代のスガ糸には生糸と鉄媒染剤が使用されたことを明らかにした。さらに従来染織文化財の物性評価に用いられてきた引張試験に代わる評価法として、KES(Kawabata Evaluation System)圧縮試験によりスガ糸の圧縮回復性を求めることで、微量文化財試料での劣化度診断法の開発を行った。モデル試料を作製し(1wt%タンニン酸水溶液で染色の後2wt%硫酸第一鉄水溶液で媒染)、加速劣化(70℃,RH75%,70日間)に伴う繊維の圧縮特性と引張特性の経時変化を追った結果、試料の破断伸度が低下するにつれて圧縮回復性も低下する傾向にあった。江戸時代のスガ糸も、モデル試料で得られた脆弱な試料と類似した物性値を示した。このことから、今後引張試験を行うことが出来ない微量で脆弱な文化財試料に対して、その圧縮特性を測定することにより、ある程度の劣化度合いを計測することが出来ると期待する。
著者
佐藤 純
出版者
八戸工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

1930年代におけるイングランド銀行の対外政策に関しては、その影響力が及んだ範囲の大きさゆえに研究者の関心を集めてきた。これに関して先行研究は、同行がスターリング圏(sterlingarea)の安定と拡大を目的として、帝国内外の諸国にアドバイザーを派遣し中央銀行の創設を実現していったことは明らかにしているが、中央銀行創設に至るプロセスや、果たして中央銀行の創設によって上述の目的は達成されたのか否か、以上の点については十分には明らかにしてこなかった。本研究では、これらの点を1934年におけるエル・サルバドル準備銀行の創設に関する事例に即して明らかにした。
著者
星野 次汪 伊藤 誠治 谷口 義則 佐藤 暁子
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.21-25, 1994-03-05
被引用文献数
5

粒大と品質との関係を明らかにするため, 1989/1990年, 1990/1991年に栽培したコユキコムギを用いて, 原粒を縦目篩を用いて大きさ別に分け, 原粒及び粒大別に製粉された60%粉の粗タンパク含有率, 灰分含有率及びコムギ粉生地の物性などについて試験を行った. 粒大が大きいほど千粒重は大きく, 3.0mmの粒は1.8mmの粒の約3倍の重さであった. 粗タンパク含有率は1989/1990では粒大が大きいほで高くなったが, 1990/1991ではいずれの粒大でもほぼ一定の値であった. 灰分含有率は1989/1990では2.4mm, 1990/1991では2.6mmの粒が最も低く, それより粒大が大きくなるかあるいは小さくなるにしたがって高くなった. 製粉歩留は, 粒大が大きいほど高くなり, 粒大間に1%水準の有意差が認められた. 粉の比表面積(cm^2/g)は粒大が大きいほど小さかった. 粉の白さ(R455), 明るさ(R554)は粒大が大きいほどその値は大きかったが, 胚乳の色づき(logR 554/R 455)は逆に小さかった. ファリノグラムの特性値(Ab, DT, Stab., V. V, Wk)及びアミログラム最高粘度は粒大間で有意差が認められなかったが, エキステンソグラムの各特性値のうち, 面積は1.8mmの粒を除けば粒大が小さいほど大きく, 伸長抵抗は粒大の大きいもの及び小さいものが小さかった. これらのことから, 大粒は, 灰分含有率が低く, 製粉歩留が高く, 粉色相が優れているが, ブラベンダー特性はやや小粒の方が優れていた.
著者
井坂 史人 藤掛 英夫 村重 毅 佐藤 弘人 菊池 宏 栗田 泰市郎 池畑 誠一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.962-965, 2003-08-01
被引用文献数
4

大きなチルト角をもつ強誘電性液晶に,異方性化した微細なポリマを分散することにより,液晶分子を配向膜のラビング方向に単安定化させることができた.光重合相分離法により10wt%のポリマを液晶中に分散し,ポリマのアンカリング効果を発現させることにより,高コントラストな階調表示を可能とする単安定性の分子配向挙動が認められた.
著者
佐藤 博樹
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.11, pp.103-112, 2012-05-26

データアーカイブの基本的な機能はマイクロデータを収集、整理、保存、提供することにある。それ以上に重要な機能は、社会科学におけるマイクロデータに基づく実証研究の「再現性」を担保する研究環境を提供することにある。日本では、毎年数多くの社会調査が研究者だけでなく、新聞社や政府など様々な機関で実施されており、調査大国とも言われる。しかし、調査データに基づく研究論文や報告書が刊行された後に、収集された調査データは保存されることなく散逸する場合が少なくなかった。その背景には、マイクロデータを収集、整理、保存し、それを再分析を希望する利用者に提供する組織が存在しなかったことがある。本稿では、マイクロデータを保存し、かつ再分析を希望する利用者にマイクロデータを提供することの社会的な意義とマイクロデータの収集、整理、保存、提供の作業を行うデータアーカイブの役割について説明するとともに、東京大学社会科学研究所の社会調査・データアーカイブ研究センターが運営するSSJデータアーカイブの現状と課題について紹介する。
著者
清水 龍瑩 岡本 大輔 海保 英孝 古川 靖洋 佐藤 和 出村 豊 伊藤 善夫 馬塲 杉夫 清水 馨 山崎 秀雄 山田 敏之 兼坂 晃始
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.69-89, 1994-10-25
被引用文献数
1

企業の活性化,個性化は優れた企業の条件である。企業の活性化とは,企業の全経営過程に好循環が起き,企業内のすべての構成員が新しいことへの挑戦意欲をもやし,創造性を発揮している状態をいう。企業の個性化とは,他社にまねられない強みをたえず強化,拡大していくことである。このうち,企業の活性化については,過去30年間,日本企業について行った実証研究による仮説の構築と検証の繰り返しから,ある程度理論が出来上がってきた。しかしながら,個性化については未だ十分な実証研究が行われていない。そこで今回,「企業の個性化」に焦点を絞って,アンケート調査を行ってみた。我々はまず,個性化指標を作成した。議論の中で,考えうる様々な個性化現象のうち,プラスの太い効果に注目しなければ,意味が消失してしまうことが明らかになった。このような観点で,他社にまねられない幾つかの強みを合成し,指標を作成した。更に,他社にまねられない強みの強化・拡大と業績との関連を考えた。そして"個性化している企業は業績をあげている"という体系仮説を基盤として,個性化を推進する変数(トップマネジメント,人事管理方針,製品開発,主力製品,経営管理方針,財務管理方針)と個性化,業績についての多くの単称仮説を構築し,QAQF(Quantitative Analysis for Qualitative Factors)を用いて分析を試みた。調査の結果,様々な体系仮説の構築が可能になった。たとえば,"大企業では経営者の個性化が企業業績の向上に貢献し,中堅企業では製品の個性化が企業業績の向上に貢献する","現在の日本企業では,技術,市場について個性的な戦略をたて,経営管理を行っている企業は高い業績をあげている"などである。もちろんこれら体系仮説が理論にまでなるには,今後相当期間調査が繰り返され,仮説の構築,検証が必要となるであろう。
著者
鈴木 省三 佐藤 佑
出版者
仙台大学
雑誌
仙台大学紀要 (ISSN:03893073)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.39-48, 1986-10

The heart rate of 5 bobsleigh players were measured during 7 races of Teine bob course. Heart rate, plasma catecholamines and white blood cell of 7 bobsleigh players were determined morning, pre-, post-exercise and evening. The results were summarised as follows: 1) The fine technique and high degree of muscle coordination of pilots were influenced by the anticipatory heart rate. The best anticipatory heart rate of pilots would like to be from 125 beats/min to 140 beats/min. 2) Plasma adrenaline increase of 5 times as much as the normal value was found in the pilot group after bobsleigh race. Seven bobsleigh players increased plasma noradrenaline just before the competition. 3) In Teine course, the mental stress of pilots was higher than the brakers and the physiological stress of brakers was lower than the foreign bob courses and Sapporo Olympic Winter Games.
著者
犬飼 幸男 多屋 秀人 佐藤 洋 蘆原 郁 倉片 憲治
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, no.16, pp.101-106, 2006-07-11

National criteria for the assessment of low frequency noise annoyance in Sweden, Denmark, Netherlands, Poland and U.K. were reviewed, and the basic concepts were compared. The Experience from these countries in applying the criteria was also reviewed, and a common difficulty of these criteria in practice was showed. Japanese criterion, "Reference values of mental and physical discomfort" was compared with these criteria, and the advantages and the problems were discussed for future improvements in the criteria.
著者
木村 真三 三浦 善憲 高辻 俊宏 三宅 晋司 佐藤 斉 遠藤 暁 中野 正博
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

チェルノブイリ原発事故発生から30年後の被災地域において、一年間にわたってホールボディカウンタによる住民の内部被ばく調査、陰膳法による食事調査を行い、関連を分析。内部被ばく調査では、予備調査で最大23,788Bq/body, 本調査で最大7,437Bq/bodyの放射能が確認され、冬季は高く、夏季は低い傾向がみられた。食事調査では、年間合計で1,446サンプルを分析。森林由来のキノコ、ベリー類や牛乳で高い放射能が確認され、最大は乾燥キノコで24,257Bq/kgであった。30年経過時点でも食事から放射性物質を取り込んでいる実態が明らかになり、食生活の観点から被ばく予防を行う必要性が確認された。
著者
佐藤 豊実
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2008-2012
著者
湊 太郎 横山 由香 大石 友彦 佐藤 義夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.54-59, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1

豊かな水産資源を効率的かつ持続的に利用するためには,より健全な沿岸海域環境を取り戻し,それを長期にわたって維持する必要がある.本研究では,海域環境改善の手法として,底質に光を照射し付着藻類の光合成を促すことにより,底層水の貧酸素化を抑制する方法に着目した.ここではまず,無酸素状態からの溶存酸素量の増加の可能性を調べるため,自然堆積物を用いて室内実験を行った.人工光源として,本研究ではLEDを採用した.その結果,光を照射することによって,溶存酸素量が増加し無酸素状態を脱することが確認された.このことから,底質にLEDを用いて光を照射する方法は,無酸素状態の環境を改善するために非常に有効な手段であることが明らかとなった.
著者
佐藤 雄飛
巻号頁・発行日
2013

Thesis (Doctor of Environmental Studies)--University of Tsukuba, (A), no. 6534, 2013.3.25