著者
永井 宏達 生友 尚志 大畑 光司 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0605, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】我々は第41回日本理学療法学術大会にて広背筋を5つの部位に分けて筋活動を調査し、運動学的に上部線維と下部線維に分けられることを報告した。さらに広背筋下部線維においては体幹側屈作用があることを示唆した。体幹側屈運動については、通常、腹斜筋、脊柱起立筋が主動作筋に挙げられるが、これらと広背筋下部線維との関係については明確ではない。本研究の目的は、さまざまな体幹側屈動作における腹斜筋、脊柱起立筋と広背筋下部線維の筋活動比を調べ、体幹側屈動作時における側屈筋群の動員の特徴を明らかにすることである。【対象と方法】対象は上肢、下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢25.9±4.0歳)とした。被験者には本研究の趣旨を説明し研究参加への同意を得た。筋電図の測定にはNORAXON社製MyoSystem 1400を使用し、表面電極による双極誘導を行った。測定筋は、右広背筋下部線維(以下LLD)、右外腹斜筋(以下EO)、および右腰部脊柱起立筋(以下LES)とした。LLDは第7頸椎棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で第12胸椎レベルの位置、EOは臍より右へ15cm外側、LESは第3腰椎棘突起の3cm外側に電極を貼付した。測定動作は各肢位における側屈運動(側臥位体幹右側屈、端座位体幹右側屈、仰臥位右骨盤引き上げ)、および体幹側屈モーメントを生じる上下肢の動作(側臥位同側股関節外転、端座位対側肩関節外転)の計5項目とした。測定は3秒間最大等尺性収縮した時の積分筋電図値(以下IEMG)を求め、各筋の徒手筋力検査の肢位での最大等尺性収縮時のIEMGを100%として、各筋ごとに%IEMGを求めた。その上でLLDとEO、LESの関係を明らかにするため、LLDの%IEMGをEO、LESそれぞれの%IEMGで除した値(LLD/EO、LLD/LES)を筋活動比として求めた。統計処理には、動作ごとの筋活動比を比較するためにFriedman検定を用いた。なお、有意水準は5%未満とした。【結果と考察】統計より、LLD/EO、LLD/LESのそれぞれにおいて、運動項目間で有意な差が見られた(p<0.01)。LLDとEOの筋活動比は、対側肩外転1.52±0.99、側臥位側屈1.33±0.48、座位側屈0.99±0.62、同側股関節外転0.50±0.29、骨盤引き上げ0.48±0.43であった。LLDとLESの筋活動比は、側臥位側屈1.48±0.54、対側肩外転1.16±0.42、座位側屈0.74±0.38、同側股関節外転0.40±0.21、骨盤引き上げ0.37±0.27となった。本研究では、側臥位側屈と端座位対側肩関節外転においてEO、LESに対してLLDの筋活動が他の動作よりも相対的に大きくなることが示唆された。一方、同側股関節外転や骨盤引き上げといった、骨盤の固定や動きが生じる動作ではLLDの関与が小さくなることが示唆された。
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
前田 康成 後藤文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1608-1616, 2012-06-15

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.従来研究ではRPGが部分的にモデル化されている.本研究では,MDPを用いてより一般的なRPGのモデル化を行う.最初にMDPの真のパラメータ既知の場合に相当するRPGについて,報酬の期待値を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,ベイズ基準のもとで報酬を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,学習データを用いて報酬を近似的に最大にするアルゴリズムを提案する.
著者
岡島 聡 東本 有司 本田 憲胤 前田 和成 白石 匡 杉谷 竜司 山縣 俊之 西山 理 東田 有智 福田 寛二
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.246-251, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【背景と目的】慢性呼吸器疾患患者の日常生活訓練を実施する際,指導を正しく理解できないことや,自身の動作に固執することをしばしば経験する.慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者で前頭葉機能が低下していると報告はあるが,間質性肺炎(以下IP)患者の報告はない.そこで,IP患者を対象に前頭葉機能を検討し,COPD患者やコントロール患者と比較した.【対象と方法】当院で入院や外来通院しているIP患者20名,COPD患者48名,コントロール患者12名を対象とした.前頭葉機能検査はFrontal Assessment Battery(以下FAB)を用いて検討した.【結果】FAB合計点数はコントロール群(16.8±1.3点)と比較して,IP群(14.2±1.7点),COPD群(14.5±1.7点)ともに低値であった.FAB項目のなかでは,類似性,語の流暢性課題がIP群,COPD群ともに低値で,GO/NO-GO課題はCOPD群で低値であった.【結語】COPD患者と同様に,IP患者の前頭葉機能は低下していた.項目別でも,IP患者とCOPD患者の低下パターンは類似していた.
著者
松木 圭介 菅谷 啓之 前田 和彦 森石 丈二 望月 智之 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.213-215, 2007
被引用文献数
7

The purpose of this study was to examine the anatomy of the infraspinatus including the orientation of muscle fibers and the insertion to the greater tuberosity. Ninety-three shoulders from 52 cadavers were minutely dissected. After resection of the acromion and removal of the coracohumeral ligament, the infraspinatus muscle was carefully investigated macroscopically. After the orientation of muscle fibers was confirmed, the muscle was peeled from the proximal part to the distal part and the insertion of the infraspinatus tendon was examined. In 4 shoulders, muscle fibers were completely removed in water and the direction and insertion of the tendon were examined. The infraspinatus muscle originated both from the inferior surface of the spine of the scapula and the infraspinatus fossa, and inserted to the greater tuberosity. The muscle fibers originated from the spine were running dorsally and horizontally to the greater tuberosity. On the other hand, the fibers from the fossa were running ventrally and diagonally to the greater tuberosity. These fibers were merged at the insertion. The infraspinatus tendon had vast insertion to the greater tuberosity, and the most anterior part of the tendon was inserted to the most anterior portion of the greater tuberosity, bordering on the most anterior part of the supraspinatus tendon. The supraspinatus tendon is regarded as the most affected tendon in rotator cuff tears. However, the results of this study suggested that the infraspinatus tendon could be involved in the majority of rotator cuff tears. The infraspinatus may act not only in external rotation but also in abduction, because the infraspinatus tendon was inserted to the most anterior part of the greater tuberosity.
著者
武田 芳嗣 湊 省 成瀬 章 前田 徹 藤井 幸治 椎野 滋
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.6-11, 2004-03-01

投球障害肩に対して関節鏡視下手術を行った32名を対象に,上方関節唇損傷に対する徒手テストの診断の有用性を検討した.全例男性で,年齢は16~44歳,平均24.2歳,競技レベルは高校野球13名,社会人野球13名,草野球6名であった.関節鏡視にて上方関節唇損傷は24肩に認めた.徒手テストのうち敏感度,特異度ともに80%を越えたものはなく,90°外転位外旋テストが敏感度,特異度ともに約70%で単独のテストとしては最も有用性が高かった.0'Brien test は特異度は高いが敏感度は低く,Crank test はその逆であった.Relocation test,Speed testの有用性は低かった.複数のテストを組み合わせた場合,90°外転位外旋テストと0'Brien test の組み合わせが,敏感度,特異度ともに80%を越えており,上方関節唇損傷の診断において最も有用であると考えられた.
著者
前田晁 訳
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1914
著者
高橋 浩晃 前田 宜浩 笠原 稔
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学)
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.399-410, 2009-03-15

We investigate the characteristics of great earthquakes occurring in the central Kuril Islands on 1915, 1918, 2006 and 2007. Comparisons of seismic intensity distributions, tsunami data and waveforms of above four events were made. Though magnitudes of these earthquakes were almost the same, only the 1915 event did not generate observable tsunami. This fact may be due to deep focal depth of this earthquake. Similarities of seismic intensity distributions between the 1915, 1971 and 2008 deep-focus earthquakes also imply that the 1915 event was the deep-focus event in the northeastern Okhotsk Sea. Waveform properties of the 1915 and 2008 events supports above hypothesis. We conclude, therefore, that the 1915 earthquake was not the event in the central Kuril Island but in the Okhotsk Sea with deep depth. Large tsunami and widespread felt area of the 1918 earthquake show that this event was a typical shallow-dipping thrust event on plate boundary as indicated by previous studies.
著者
美和 千尋 島崎 博也 出口 晃 前田 一範 水谷 真康 川村 陽一 森 康則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.106-111, 2016-05-31 (Released:2016-07-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1

部分浴は体に一部を入浴する方法で,足浴と手浴がよく用いられている.部分浴は温められた部分の大きさにより温熱効果が異なると思われるが,その詳細は明らかとなっていない.そこで,この論文では,足浴と手浴における体温応答がどのように異なるのかを検討する.若年健常者10名(平均年齢23.2±1.3歳)の被験者を対象とし,座位にて安静5分間,足浴として一側と両側の下腿部を,手浴として一側と両側の前腕部を42°Cの湯に15分間浸け,さらに終了後5分間安静を行った.測定項目は鼓膜温,皮膚血流量,発汗量と主観的変化として温熱感と快適感を申告させた.鼓膜温についてはサーミスターにより外耳道の皮膚温を,皮膚血流量として右側の上腕部(非浸水部)をレーザードップラー血流計で,発汗量として右側の上腕部(非浸水部)をカプセル換気法で測定した.両側の足浴と手浴時の鼓膜温は,有意に上昇し,最大上昇温度は入浴しないときに比べ,有意に上昇した.皮膚血流量と発汗量は,全ての負荷条件で有意な増加は認められなかった.温熱感と快適感は全ての入浴負荷で,入浴しないときに比べ,有意に,「暑い」,「快適である」と申告した.温熱感においては両側の足浴,手浴で一側と比べて,「暑い」と申告した.これらの体温応答の変化は,同一身体部位においては温める表面積の大きさに依存し,異なる身体部位では,様々な要因により異なることが示唆された.
著者
前田 晴良 上田 直人 西村 智弘 田中 源吾 野村 真一 松岡 廣繁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.11, pp.741-747, 2012-11-15 (Released:2013-04-04)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

高知県佐川地域に分布する七良谷層の模式層序周辺の泥質砂岩中から,最上部ジュラ系を示す2種類のアンモノイド化石を発見した.そのうちAspidoceras属は,テチス海地域の最上部ジュラ系から多産し,Hybonoticeras属は同地域のキンメリッジアン−チトニアン階境界付近を示準するタクサである.これらの化石の産出により,七良谷層は最上部ジュラ系(キンメリッジアン−チトニアン階)に対比される可能性が高い.この結論は放散虫化石層序とおおむね調和的である.これまで七良谷層は,上部ジュラ系−下部白亜系鳥巣層群の層序的下位にあたる地層と考えられてきた.しかし七良谷層から産出したアンモノイドの示す時代は,鳥巣層群産アンモノイドのレンジと明らかに重複し,アンモノイド化石からは両岩相層序ユニットの時代差は識別できない.したがって,今後,七良谷層と鳥巣層群の層序関係を再検討する必要がある.
著者
小野 芳朗 前田 健太郎 石田 潤一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.289-294, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
28
被引用文献数
2

大阪市の御堂筋は北は阪急前(大阪駅前)から南の難波駅まで1920年代の都市計画の中で設計された。その並木は汚染された大阪の大気を浄化する目的があった。近年、御堂筋のイチョウは大阪のシンボリックな景観として認識されている。しかし当初の御堂筋並木は、北方はプラタナスであり、南方がイチョウであった。本論文では、この御堂筋並木の設計案、工事の実態、その建設と設計に関わった関係者について大阪市の都市計画公文書により実証した。
著者
前田 重義
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.615-625, 1983-09-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
87
著者
堤 省吾 浦辺 幸夫 前田 慶明 藤井 絵里 森山 信彰 岩田 昌
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1329, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腸脛靭帯(ITB)は大腿筋膜張筋(TFL)と大殿筋の一部を起始とし,ガーディー結節に付着する筋膜様組織である。腸脛靭帯炎はランニングやサイクリングなどの同じ動作を反復するようなスポーツに多く,ITBと大腿骨外側上顆間に生じる摩擦の繰り返しが原因である。またITBの緊張の高さは,腸脛靭帯炎発症のリスクファクターであることが報告されている。ITBは主にTFLの収縮に伴い張力が変化するため,予防や治療にはTFLのストレッチングが行われる。しかしTFLのストレッチングによってITBの柔軟性がどの程度向上するかは不明である。本研究の目的は,柔軟性の評価のひとつである硬度を指標とし,TFLのストレッチングがITBに与える影響を定量化することとした。仮説は,ITBの硬度はストレッチング後に低下するとした。【方法】対象は下肢に整形外科的疾患の既往がない健常成人男性7名(年齢23.1±1.3歳,身長171.2±7.1 cm,体重62.6±9.5 kg)の利き脚とした。ストレッチング肢位は,検査側下肢が上方の側臥位で膝関節90°屈曲位とした。骨盤の代償運動を抑制するため,非検査側の股関節は屈曲位とした。検者が徒手的に検査側下肢を股関節伸展し,大腿遠位外側部に押し当てた徒手筋力計μTas F-1(ANIMA社)の値が50-70Nの間となるように内転方向へ伸張した。ストレッチング前後のITBの硬度測定には,筋(軟部組織)硬度計TDM-Z1(TRY-ALL社)を使用した。再現性の高さについては既に報告されている(ICC=0.89以上)。測定は硬度計の取り扱いに習熟した検者1名が行った。測定肢位は,検査側下肢が上方の側臥位で,股関節屈伸・内外転・回旋0°,膝関節屈曲90°とした。測定部位は,大腿骨外側上顆から大腿長の5%,25%,50%近位の3箇所とし,下肢を脱力させた状態で5回測定し,平均値を算出した。統計学的分析にはSPSS 20.0 for windowsを使用した。対応のあるt検定を用い,ストレッチング前後の各部位の硬度を比較した。危険率5%未満を有意とした。【結果】ITBの硬度(N)は,ストレッチング前,後それぞれ5%で1.39±0.1,1.25±0.14,25%で1.24±0.08,1.15±0.13,50%で1.08±0.13,1.01±0.13となり,ストレッチング後に各部位で有意な低下がみられた(p<0.05)。【結論】本研究では硬度計を使用し,ストレッチング前後におけるITBの硬度の定量化を試みた。結果,ITBの硬度は遠位になるほど高い傾向があったが,全ての部位でTFLのストレッチングにより有意に低下した。客観性に乏しく表現されることが多い硬度を定量化し,比較指標とすることは臨床的に意義がある。今後は,腸脛靭帯炎の発症部位である大腿骨外側上顆付近のITBにより効果のあるストレッチング法を模索し,硬度変化を検討していく。また硬度計の他に超音波測定装置を併用することで,組織の評価をより客観的に行い,腸脛靭帯炎の予防や治療に最適なストレッチング法構築の一助としたい。
著者
小平 純子 前田 晃秀
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.100, 2012

東京都盲ろう者支援センターでは、盲ろう者を対象に(1)コミュニケーション訓練、(2)生活訓練、(3)パソコン等電子機器活用訓練等を提供している。本論では東京都盲ろう者支援センターで実施した訓練のうち、歩行訓練について、その実施状況や事例を分析し、盲ろう者に歩行訓練を提供する際の課題を検討した。<BR> 東京都盲ろう者支援センターが設立した2009年5月から2011年2月にかけて延べ97人に537回の訓練を実施した。そのうち、歩行訓練は7人に23回実施した。利用者を障害の状態・程度別に分けると、「全盲ろう」が2人、「弱視ろう」が3人、「弱視難聴」が2人であった。歩行訓練における目的は、「手引き時の白杖操作」が2人、「単独歩行時の白杖操作」が5人、「ルート歩行」が1人であった。<BR> 視覚活用が可能な盲ろう者4人(弱視難聴1人、弱視ろう3人)については、路面の外側線、道路標示等を視認することによって、単独歩行の技術を身につけることができた。視覚活用が困難な全盲ろうの盲ろう者からも単独歩行の訓練の希望があり、道路横断の場面では、コミュニケーションカードを提示して、援助依頼によって横断する方法を提示した。しかしながら、本人は援助依頼をすることを好まなかったため、安全性を考慮し、単独歩行の訓練を断念することになった。<BR> 盲ろう者は視覚に加え、聴覚にも障害があるため、環境音の把握が困難になり、単独歩行時に安全性が確保できなくなる。その一方で、限られた社会資源の中で、ある一定の場面や条件において、単独での歩行が実現できるよう支援していく必要がある。今後、障害の状態・程度や盲ろうになるまでの経緯、場面などの要因により、どのように単独歩行時の安全性が変化するかを検討していく必要があると考えられる。
著者
内田 萌菜 金 学正 前田 真吾 佐野 孝志 米澤 智洋
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.101-106, 2019-10-10 (Released:2019-10-31)
参考文献数
19

伐採した竹林の有効活用法として、孟宗竹に存在する乳酸菌と竹表面の多孔性による消臭効果が注目されている。本研究では竹粉末を添加した飼料がイヌの糞の臭気に影響を及ぼすか、さらにそれに乳酸菌が関与しているかを検討した。臨床上健康なビーグル犬6頭を実験に供した。洗浄した竹材を平均粒度300 µmで粉砕して密封し、嫌気発酵により乳酸菌を豊富に宿した竹粉末(湿竹粉)、もしくは竹粉末を加熱し、真空吸引法にて乾燥させ、生きた乳酸菌のいない竹粉末(乾竹粉)を餌重量に対し重量比で3%混和した餌を実験犬に投与した。糞便の臭気強度は北川式ガス検知器によるアンモニア、硫化水素そしてメルカプタン濃度の測定および10人のパネラーによる官能試験にて評価した。その結果、湿竹粉、乾竹粉投与群のいずれにおいても、投与7日後には糞臭気中メルカプタン濃度の低下とともに、官能試験による臭気強度、快不快度の有意な改善が認められた。湿竹粉と乾竹粉の投与群間に有意な差は認められなかった。以上の結果より、竹粉にはイヌの糞便の臭気を改善する作用があること、その作用は竹粉中の生きた乳酸菌が主要因とは考えにくいことが示された。
著者
岩崎 匠史 金井 理 伊達 宏昭 金子 俊一 谷口 敦史 前田 俊二 宮本 敦 田中 麻紀
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2013年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.881-882, 2013-02-27 (Released:2013-08-27)

本報告では,産業部品をレーザスキャナ等で計測した多数の計測点群に対する効率的な同時レジストレーション手法を提案する.本手法では,計測機構造を参照したラフレジストレーションを行った後,スクリュー座標による3次元剛体変換の線形近似を活用し,複数計測点群の同時位置合わせを連立1次方程式に帰着させて解く.また信頼性の低い計測点の排除を行い,レジストレーション精度の向上を図った.
著者
山本(前田) 万里 廣澤 孝保 三原 洋一 倉貫 早智 中村 丁次 川本 伸一 大谷 敏郎 田中 俊一 大橋 靖雄
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.23-33, 2017-01-15 (Released:2017-01-24)
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

内臓脂肪を減少させメタボリックシンドローム(MetS)を予防する食品は有用であり,MetS改善作用の評価は,農産物単品にとどまってきたため,日常消費される組み合わせ食品としての有用性の検証が必要である.肥満傾向を有する健常な成人の昼食に,機能性農産物を組み合わせた機能性弁当を継続摂取させ,機能性農産物を使用していないプラセボ弁当を摂取した場合と比較して,腹部内臓脂肪の減少効果について検証した.BMIが25以上30未満および内臓脂肪面積が100cm2以上の肥満傾向を有する健常な成人を対象に,ランダム化プラセボ対照試験を行った.被験食品は,機能性農産物を使用した「おかず」,「べにふうき緑茶」および「米飯」(50%大麦ご飯および玄米),プラセボ対照食品は,機能性農産物を使用しない「おかず」,「茶」(麦茶)および「米飯」(白飯)であり,3因子の多因子要因1/2実施デザインを採用して,試験群は機能性の「おかず」「茶」「米飯」それぞれ1要素のみ被験食品とする3群とすべての機能性要素で構成される被験食品1群の計4群とした.平日の昼食時に12週間摂取した.主要評価項目は,内臓脂肪面積,副次評価項目は,ヘモグロビンA1c (HbA1c),グリコアルブミン,1,5-AG(アンヒドログルシトール)などとした.159名が登録され中途脱落はなかった.全期間の80%以上の日で弁当の配布を受けたPPS (Pre Protocol Set)解析対象者は137名であった.試験に入ることによる効果はPPSで-8.98cm2と臨床的にも統計的にも有意であった(p=0.017)).主要評価項目のサブグループ解析の結果,試験開始時の内臓脂肪面積が中央値100∼127cm2の被験者で,被験米飯の効果はPPS で平均-7.9cm2であり,p値は0.053とほぼ有意であった.被験米飯については女性でも有意な(平均値-14.9cm2,p=0.012)減少効果が観察された.副次評価項目では,1,5-AG に関してべにふうき緑茶の飲用で有意差が認められた.また,安全性に関して特筆すべき問題は生じなかった.食生活全体の変化と機能性農産物を使用した機能性弁当の連続摂取により,内臓脂肪面積の低減効果等の可能性が示唆された.