著者
小野塚 知二 藤原 辰史 新原 道信 山井 敏章 北村 陽子 高橋 一彦 芳賀 猛 宮崎 理枝 渡邉 健太 鈴木 鉄忠 梅垣 千尋 長谷川 貴彦 石井 香江 西村 亮平 井上 直子 永原 陽子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

野良猫の有無とその消滅過程に注目して、人間・社会の諸特質(家族形態、高齢化態様と介護形態、高齢者の孤独、猫餌の相対価格、帝国主義・植民地主義の経験とその変容、動物愛護思想、住環境、衛生意識、動物観など、従来はそれぞれ個別に認識されてきたことがら)を総合的に理解する。猫という農耕定着以降に家畜化した動物(犬と比べるなら家畜化の程度が低く、他の家畜よりも相対的に人間による介入・改変が及んでいない動物)と人との関係を、「自由猫」という概念を用いて、総合的に認識し直すことによって、新たに見えてくるであろう人間・社会の秘密を解明し、家畜人文・社会科学という新しい研究方法・領域の可能性を開拓する。
著者
田川 彰男 村松 良樹 北村 豊 村田 敏
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.21-27, 1997-03-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

大豆の吸水特性を5段階の浸漬温度 (10, 20, 30, 40, 50℃) に関して測定した。その結果, 大豆の吸水では, 恒率吸水期間と減率吸水期間が存在し, 限界含水率は85% (d. b.) 近傍にあることが分かった。片対数グラフに減率期間における相対含水率と時間の関係をプロットしたところ, 各温度で直線関係を示した。減率吸水期間の測定データを拡散方程式の近似解に非線形最小二乗法を適用し当てはめたところ, 測定値と計算値は良く一致し, パラメータB1の値はほぼ1となった。吸水速度定数Kと浸漬温度との関係は, Arrhenius 型の式に良く従った。さらに, 吸水時の大豆の体積変化は, 所定の含水率における密度の測定結果を利用することにより把握することができた。
著者
北村 正樹
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.308-311, 2003-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
7
著者
岡内 辰夫 北村 充
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.130-133, 2019-03-20 (Released:2020-03-01)
参考文献数
4

2010年,「有機合成におけるパラジウム触媒を用いたクロスカップリングの開発」に貢献した3人(Heck,根岸,鈴木)に,ノーベル化学賞が与えられた。そのうち2人が日本人であったため,マスコミで大きく取り上げられ,クロスカップリングという言葉が広く知られるようになった。受賞者の1人である北海道大学名誉教授の鈴木 章先生らのグループが開発した反応が,鈴木-宮浦クロスカップリングである。この反応は,有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物に対して,パラジウム触媒を作用させることで炭素-炭素結合が形成するというものである。この反応は,我々の身の回りの医薬品,農薬,液晶材料,EL材料などの開発・量産化に大いに貢献している。
著者
高取 千佳 村瀬 由伎 宮脇 勝 北村 淳一 清水 裕之
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.645-650, 2020-03-31 (Released:2020-06-09)
参考文献数
15

During the 20th Century, most part of Japanese paddy fields were transformed to productive efficient allotments by the “Agricultural Land Improvement Projects”. However, the rich biodiversity, which was maintained in traditional paddy field forms with nature-near water supply systems, has led to a loss. In this research, the methodology of sustainable paddy field management which is aimed at balancing “efficient paddy field management” and “ecosystem conservation” was proposed by conducting the following three points. The focused site was Asami district in Matsuzaka city. First, the paddy fields were classified into 3 types according to the introduction of the agricultural land improvement project. Secondly, the differences of biodiversity and labor productivity by farmers among the three types were clarified. Thirdly, the future paddy field management scenarios were proposed and examined by considering a compromise point in this trade-off relationship between biodiversity and labor productivity.
著者
山崎 英文 北村 慎一 長尾 正一 平田 哲也 本田 幸治 片山 知之
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.699-704, 1987-06-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
22

血清亜鉛(Zn)の急性心筋梗塞(AMI)における意義を知る目的で,特に重症度・合併症・予後などとの関係を検討した.方法: 発症24時間以内のAMI 31例で,Zn・酵素の採血を経時的に行った.Znは原子吸光分析法で測定した(正常値61~121μg/dl).結果:Znは肺炎・腎不全を合併した2例を除く29例中25例で発症後低下し,第2病日(45.4±14.7)~第3病日(43.8±12.8)に最低となり,6病日に正常化した.24時間以内死亡の4例を除いた25例で以下の検討を行った.梗塞部位,年齢でZn最低値(Zn値)に有意差はなかった.Zn値はCPK最高値(r=-0.481, P<0.05),LDH最高値(r=-0.521,p<0.01)と負の相関を認めた.重症度との関係では,Killip I・II群(45.6±12.0)に比し,III・IV群(32.9±4.1)でZn値は有意に(p<0.01)低かった.Lown不整脈分類 0~3群(44.7±12.7)に比し4・5群(37.2±9.1)でZn値は低い傾向を示した.心エコー法による左室壁運動の初回発作例19例の検討では,Zn値はakinesia・dyskinesia君羊(34.3±7.3)がhypokinesia・正常群(46.8±11.8)より有意に(p<0.05)低かった.AMI以外でも肺癌,肝硬変などでZnが低下する例があった.開腹手術では術後1・2日に低値を示し,3日目に正常化しAMIとはやや異なった推移を示した.結論:AMI経過中のZnの推移は,その診断上有用であるのみならず,重症度・合併症・予後などの判定に参考になると考えられた.
著者
北村 伊都子
出版者
梅花女子大学文化表現学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies Bulletin (ISSN:24320420)
巻号頁・発行日
no.19, pp.36-43, 2023-03-20

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、日本だけでなく世界中で感染対策のため、マスクの着用が普及した。これにより、鼻と口、つまり顔の下半分を互いに隠した形で他者とコミュニケーションをとることが余儀なくされ、表情の印象評定が困難になった(e.g.,Carbon, 2020)。この印象評定の困難さの度合いが文化によって異なるのかを、齊藤・元木・高野(2021)はオンライン実験によって日米比較を行った。結果、表情の印象評定はマスク着用によって影響があり、その度合いに日米差が見られた。特に、マスク着用の笑顔表情においては、アメリカ人は印象評定が阻害されるが、日本人では阻害がされなかった。この違いは、印象評定の際、人の顔のどの部分に注目するのかという文化の違いが影響を及ぼしていると考えられている(Yuki, Maddux, & Masuda, 2007)。加えて、なぜ注目する部分が違うのかについて、Tsai(2017)はその文化における理想的な感情表現・表情表出のルールにのっとっているからではないかとしている。本論文では、このようなマスク着用時における笑顔の印象評定の文化差について、日本を含む東アジア・北米に焦点をあて、文化的な背景を比較しながら検討を深めた。
著者
北村 晃寿 矢永 誠人 岡嵜 颯太 片桐 悟 中西 利典 森 英樹
出版者
国立大学法人 静岡大学理学部地球科学教室
雑誌
静岡大学地球科学研究報告 (ISSN:03886298)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.87-95, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)

On July 3, 2021, a debris flow caused by a landslide from an embankment occurred along the Aizome River in the Izusan area of Atami City, Shizuoka Prefecture, central Japan, and buried sabo dam which was located approximately 450 m downstream of the embankment. Shizuoka Prefectural Government sampled one 13.1-m long core of deposits buried in the sabo dam in late August 2021. In this paper, radiocesium concentration was measured and grain compositions was investigated for this core sample. As a result, 134Cs and 137Cs released from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in mid-March 2011 were detected, and these markers specified the depositional surface at mid-March 2011 at 3.95-3.85 m core depth. In addition, the occurrence of fragments of both mudstone and chert in the overlying sediments indicates that the 3.74 m-thick portion was definitely the debris flow deposit.
著者
星野 達二 北村 幸子 大竹 紀子 須賀 真美 岡田 悠子 宮本 和尚 西村 淳一 高岡 亜妃 今村 裕子 山田 曜子 北 正人 今井 幸弘
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.241-247, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
18

最近,病理解剖で診断された先天性トキソプラズマ症胎児死亡の1例を経験したので,その臨床経過を報告する.患者は28歳の初妊婦である.妊娠15週で胎内死亡と診断された.超音波での胎児計測の結果から在胎期間は14週と推定した.胎内死亡の原因究明のため,剖検,胎盤染色体検査,抗リン脂質抗体検査などを行った.剖検の肉眼所見では,体重50g,体長12cmの女児で胎児,胎盤,臍帯に著変を認めなかった.胎盤染色体検査は46,XXで染色体異常は認められなかった.抗リン脂質抗体検査には著変が認められなかった.病理組織学的検査では,胎盤,心臓,副腎,脳にトキソプラズマ嚢子を認め,先天性トキソプラズマ症による胎内死亡と診断された.妊娠12週のトキソプラズマ抗体 IHA(基準値:160未満)は2560.死産後のトキソプラズマ抗体は10240以上.トキソプラズマIgG EIA(基準値:6未満)は5900.トキソプラズマIgM EIA(基準値:0.8未満)は2.3であった.妊娠時の初感染による胎内死亡と考えられた.感染原因としては,妊娠中に3回苺狩りに行ったことと,焼肉店に1回行ったことが可能性として考えられた.厚生労働省の人口動態統計と日本病理学会の剖検輯報から胎内死亡した先天性トキソプラズマ症児の頻度を計算した.1974年から2007年までの34年間の報告された先天性トキソプラズマ症児は5人である.この期間の死産数は1,982,839であり,剖検数は22,827であるので,年間のトキソプラズマ症の死産児数は,5×(この期間の死産数:1,982,839)÷(この期間の剖検数:22,827)÷34≒13人となる.死産児の剖検率は,22,827÷1,982,839≒0.0115(1.15%)となる.産科医としては,先天性トキソプラズマ症に十分な注意を払うことが必要である.〔産婦の進歩62(3):241-247,2010(平成22年8月)〕
著者
北村 由美
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
no.11, pp.21-31, 2021-03

日本においては子ども虐待が深刻になっており、2000(H12)年に制定された「児童虐待の防止等に関する法律」(以下、児童虐待防止法)は2020(R2)年までに、児童福祉法等の関連法と合わせると8回改正されている。しかし、法律の改正がなされても児童虐待件数は減少することはなく、増加し続けている。子ども虐待が報道されるたびに児童相談所の対応のあり方が問われることが多くなっている。厚生労働省は子ども虐待については発生予防・早期発見・早期の適切な対応・被虐待児の保護・自立に向けた支援が必要と考えている。大きな事件が生じるたびに、児童相談所も国も虐待が生じてからの対応に追われているように見えるが、実は、虐待予防の仕組みを作ることが重要である。そこで、本稿では、虐待予防の仕組みを検討するにあたって必要と思われる、子ども虐待の現状について明らかにし、虐待が子どもに及ぼす影響、および、虐待に対する日本の取り組みについて述べ、子ども虐待防止に向けての課題を検討した。
著者
山﨑 永理 砂川 正隆 沼口 佳世 時田 江里香 池谷 洋一 北村 敦子 世良田 紀幸 石川 慎太郎 中西 孝子 久光 正
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.107-113, 2012 (Released:2012-10-24)
参考文献数
30

目的:ポリフェノールの一種であるロズマリン酸は,抗アレルギー作用,抗酸化作用,抗炎症作用などを有することが報告されている.本研究では,アレルギー性鼻炎 (AR) に対するロズマリン酸の有効性について検討した. 方法:TDI 誘発による AR モデルラットを作製し,ロズマリン酸を投与した.鼻過敏症状の観察ならびに,アレルギー症状の誘発に関与する鼻汁中の Substance P (SP), calcitonin gene-related peptide (CGRP), nerve growth factor (NGF) の濃度を測定した. 結果:ロズマリン酸の投与により鼻過敏症状は有意に抑制された.また鼻汁中 NGF の分泌には影響はなかったが,神経ペプチドである SP, CGRP の分泌は有意に抑制された. 結論:ロズマリン酸が AR に対して有効であり,そこには SP, CGRP の分泌抑制が関与していることが示唆された.
著者
北村 英哉
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.84-97, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
39
被引用文献数
3 3

ポジティブ・ムードが自動的処理を促進し, ネガティブ・ムードが分析的処理を促進するであろうとの仮説を検証するために2つの実験を行なった。実験1では, ポジティブもしくはネガティブ感情を導出した後, 被験者はポジティブ, ネガティブあるいはニュートラル・ムードを誘導する効果があると教示された音楽テープ (実際の効果はない) を聞くという状況で, 商品の魅力を評定した。結果は予測通りに, 割増効果はネガティブ・ムード群においてより顕著であった。実験2では, 被験者はまず, 無名な企業名のリストを1回ないし4回呈示された。1-2日後, 被験者は以前呈示された企業名と新たな企業名をランダムに呈示されて, 有名か無名かの判断をさせられた。一度目にしたものは親近感が高まり, 有名と誤判断してしまうことが増える。結果は予測通りに, ポジティブ・ムード群の方が有名とする誤判断が多く, 親近感を正確に統制しなかった。これらの結果から, ポジティブ・ムード時において人は自動的処理方略に従事しやすいことが示された。
著者
北村 恵理奈 柴田 祥江 松原 斎樹
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.13-29, 2016-04-01 (Released:2016-04-18)
参考文献数
28
被引用文献数
4

冬期のヒートショックは高齢者に健康被害をもたらす恐れがあるのでその対策は急務である.本研究は居住者視点からヒートショック対策を検討するために,(1)トイレ・脱衣室の温度認知調査,(2)住宅内の温湿度測定,(3)簡易断熱の効果測定を実施した.結果,(1)高齢者の温度認知はあまり正しくなかった.その理由は,高齢者の温熱感覚が低下していることと,滞在時間が短いためと推測される.(2)各住戸の温度の実測値は 17℃以下,高齢者に限ると 10℃以下が多かった.(3)簡易断熱調査では,全住宅でわずかな熱的性能と居住者の熱的快適感の向上をもたらした.居住者に室内温熱環境の改善への意欲を引き出せた事例が観察された.温度計による室温の正しい認知と,簡易な断熱による効果の認知は,居住者視点の有効なヒートショック対策と考えられる.今後は対策実施の有効性,経済的費用など具体的な情報発信が重要である.