著者
古屋 秀樹
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,対象地域として土浦・つくば周辺地域を取り上げ,TDM施策の1つであるコードンプライシングが実施された場合の影響を交通流動ならびに環境影響の観点から明らかにすることを目的とする.土浦・つくば地域の人口は以前増加が続いており,平成7年現在約29万人となっている一方,公共交通機関への依存度が低く,自動車分担率の比較的高い地域といえる.特に,土浦中心部では茨城南部の中心都市としての機能を有することや南北と東西を結ぶ道路ネットワークの結節点であることから,通過・進入する車両の増加で交通渋滞が深刻化している.その対応策として,土浦・つくば地域に流入する車両に対して課金するプライシングを取り上げ、その影響を把握した.プライシング実施にともなう交通抵抗の増加によって,コードンで囲まれる地域の集中交通量やこれら地域を目的地とする分布交通量の減少が予測される.しかしながら,特に分布交通量のモデルを用いた推計精度が十分高くないことなどから,プライシングが交通機関選択行動,経路選択行動に影響を与えるものと仮定して,プライシング実施前後における交通流動の変化を明らかにした.その結果,プライシング前後で自動車による汚染物質の排出量が改善され,交通渋滞の解消に加え,環境改善に効果があることが分かった.今後の課題として,発生・集中,分布交通量の変化を考慮した分析,道路交通流・排出原単位に対する検証,ドライバー・プライシング実施主体を含めた包括的な費用便益の把握,徴収料金の合理的支出に関する考え方の整理があげられる.
著者
吉田 教明 古賀 義之 阿部 理砂子 小林 和英 佐々木 広光 荒牧 軍治
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.240-246, 1998
被引用文献数
1

非対称フェイスボウの作用および副作用を明らかにし, 本装置の臨床上有効なデザイン, あるいは副作用を削減する方法を究明するために, フェイスボウ形態を変化させた時に, 大臼歯に作用する力系がどのような影響を受けるかについて研究を行った.アウターボウの一側を他側に比べて長くした場合と側方拡大した場合の左右側大臼歯に働く遠心力, 側方力およびモーメントを骨組構造解析法を用いて算出し, 以下の結論を得た.1. フェイスボウの非対称性を増すことで, 片側の大臼歯をより遠心に移動させる効果は大きくなるが, 同時に側方力も増加し, 大臼歯の交叉咬合を生じる危険性が高くなることが明らかになった.2. フェイスボウの非対称の度合にかかわらず, 左右大臼歯にはほぼ同じ大きさの遠心回転モーメントが生じた.従来の研究より, 非対称フェイスボウのもう一つの副作用と考えられていた, 大臼歯の捻転度の左右差を増長するような効果は生じにくいと考えられた.3. 非対称フェイスボウの副作用を削減するために, フェイスボウを極端に非対称に作製することを避けることが推奨される.遠心移動を必要としない大臼歯側のアウターボウ後端をフェイスボウチューブの位置とし, 遠心移動が必要な大臼歯側のアウターボウ後端をその位置からアウターボウに沿って25mmから30mm延長するか, 15mm延長して側方に30mm拡大すると, 非対称フェイスボウの作用と副作用のバランスのとれた効果を発揮するデザインになると考えられた.
著者
本間 俊司 石井 淳一 古閑 二郎 松本 史朗 近沢 孝弘 菊池 俊明 半沢 正利 柴田 淳広 小山 智造
出版者
埼玉大学地域共同研究センター
雑誌
埼玉大学地域共同研究センター紀要 (ISSN:13474758)
巻号頁・発行日
no.4, pp.69-73, 2003

A simulation system for uranium crystallization process is developed for designing the reprocessing by plutonium-uranium co-erystallization. Experiments of batch crystallization are conducted in order to validate the system. Calculated recoveries of uranium are in good agreement with experimental ones, and the error is within 5% when the recovery of uranium is greater than 70%.
著者
岡本 峰雄 野島 哲 古澤 昌彦
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.有性生殖を利用したサンゴ再生技術の研究開発セラミック製の着床具を開発して海域着生実験を行った。海域の水温と月齢の関係を調べつつ、石西礁湖各所でサンゴの成熟度調査を行って一斉産卵の予測を試みた。着床具は4月と5月の2回の満月前に海域に設置したが、前者で適切な着生結果が得られ、後者は少し遅すぎた。また、架台に密に配置した着床具の配置についても重要な知見が得られた。各着床具に光と流れが十分にあたるよう配置することの重要性が明らかになった。2.白化が頻発するなかでのサンゴ群集構造の変化についての研究石西礁湖のサンゴの健康度評価のため、92種のサンゴを対象に、クロロフィル蛍光を利用した光合成収率と光-ETR曲線を得た。この結果、健康なサンゴは暗順応状態で収率が0.66と、また100PAR時は27.8と共通であることを見出した。これを基準に白化状態のサンゴの健康度評価を行ったところ、熟練者が目視で判断した白化段階とほぼ一致する値を簡便に計測できるようになった。3.サンゴの受精卵・幼生の定量化のための基礎研究プランクトンなどの微細な海洋生物の定量的把握は海洋生物資源管理のうえで重要な課題である。現在実用化されている計量式魚群探知機の周波数の上限は400kHz程度であり、やや大型の動物プランクトン計測に用いられている。より微細な1mm程度以下の生物の計測を目的として、1.1MHzのスプリットビーム方式のTS測定システムを試作し、水槽実験で直径2mmの較正球を用いて探知範囲と計測精度の検討を行った。その結果小型動物プランクトンの計測が可能であるとの見通しが得られた。
著者
加藤 誠巳 古屋 素衛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.399-400, 1997-03-12

種々の分野でパレットを用いて物資を輸送することが行われている。この場合特定の場所にパレットか集積し逆に特定の場所でパレットか不足することか生じる。このような事態か生じたとき、輸送コストや輸送所要時間、輸送車両と運転手のコスト等を考えないで単に過不足を補正するような回送を行うと総合コストの面で不利益か生じる。ここでは効率良くパレットを回送するために、定期便として運ぱれるものや輸送所要時間を考慮した上でトラックの積載容量別に最適なパレット積載を行うことを考慮に入れた回送計画問題について検討を行った。
著者
加藤 誠巳 古屋 素衛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.387-388, 1996-03-06

種々の分野でパレットを用いて物資を輸送することが行われている。この場合特定の場所にパレットが集積し逆に特定の場所でパレットが不足することが生じる。このような事態が生じたとき、輸送コストや輸送所要時間等を考えないで単に過不足を補正するような回送を行うと輸送コストの面で不利益が生じる。ここでは効率よくパレットを回送するために、定期便として運ばれるものや輸送所要時間を考慮した輸送計画問題について検討を行った。即ち定期輸送便の運行状況から予測して、時間の流れと共に変化するパレットの在庫状況の時間変化を把握し、輸送所要時間を考慮して時間的に無駄のない回送計画を立てることを目的とした。
著者
加藤 誠巳 増田 卓也 古屋 素衛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.383-384, 1995-03-15

種々の分野でパレットを用いて物資を輸送することが行なわれているが、特定の場所にパレットが集積し逆に特定の場所でパレットが不足することが生じる。このような事態が生じたとき、輸送コストを考えないで単に過不足を補正するような回送を行なうと総輸送コストの面で不利益が生じる。ここでは効率良くパレットを回送する輸送計画問題について検討した結果について述べる。
著者
平井 邦彦 中林 一樹 池田 浩敬 市古 太郎 澤田 雅浩
出版者
長岡造形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では新潟県中越地震によって被害を受けた中山間地域の変容過程を継続的に記録、分析するとともに被害からの復興のあり方の検討を行った。具体的には、代表的な孤立集落に関する集落への帰村状況や生業としての農業の再開状況、住宅の修理再建状況に関して、小国町法末地区や山古志村虫亀地区における全戸調査を継続的に実施している。また、孤立状況が継続する中、地域外への避難が可能となるまでの期間の避難状況に関して、山古志村全域を対象としたヒアリング調査並びに実態把握を詳細に行っている。地域外に建設された仮設住宅での生活を余儀なくされた孤立集落の中でも、避難指示が発令され集落に立ち入ることが許されなかった山古志村の各集落では、すべての復旧・復興過程が他の集落に比べて遅れていることが明らかとなり、これは今後の震災において同様の孤立集落が発生した際に留意すべき知見として見出された。その一方、避難勧告下でも道路の仮復旧等によって地域へのアクセスが確保されている集落では、住民それぞれのペースでの再建が細々とではあるが継続的に行われ、それが本格的な復興時に重要な役割を担うことも明らかとなった。また、各地で大規模な地滑りが起きたにもかかわらず、死者数を最小限に食い止めることができた要因として、集落の形成過程や、自然地形を熟知した上で計画されている宅地や峰道の存在が大きいことも明らかとなった。これらは今後発生が想定される国内の巨大地震災害時にも中山間地域の防災対策を考える上で重要な知見となる。
著者
古屋 信幸 牧野 洋
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1525-1531, 1980-12-05
被引用文献数
1

新しいタイプの組立用ロボット"SCARA"(selective compliance assembly robot arm)の開発研究を行った, このロボットは二つのアームをもつ多関節型をしており, 選択的コンプライアンス構造を特徴としている。選択的コンプライアンス構造とはz軸方向の力およびx軸, y軸まわりのモーメントに対するコンプライアンスは小さく, x軸方向, y軸方向の力およびz軸まわりのモーメントに対するコンプライアンスは大きくなっている構造のことである。この構造により装入作業を行う場合, 軸は傾くことなく平行に移動し, 受動的に位置決め誤差を修正して速やかに装入を行うことができる。今回の報告は, 選択的コンプライアンス構造をもつ組立機械の特性について述べ, さらに試作された"SCARA"一号機のコンプライアンスの実測結果をもとに, その解析を試みたものである。
著者
山根 聡 長縄 宣博 王 柯 岡 奈津子 古谷 大輔 山口 昭彦 大石 高志 シンジルト 吉村 貴之 小松 久恵
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では、地域大国の比較研究を中心軸に捉えつつ、異なるディシプリンながらも、地域大国の周縁的存在を研究する点で一致する研究者によって、地域大国のマイノリティとしてのムスリム、移住者、特定の一族など、周縁に置かれるがゆえに中心(大国)を意識する事例を取り上げた。この中で国際シンポジウム主催を1回、共催を2回行った。また国際会議を3回、研究会を25回以上開催し、この期間内に発表した論文も60点を超えた。2013年度には成果を公刊する予定であり、異なる地域を研究対象とする研究者の交流が、研究分野での未開拓分野を明らかにし、今後の研究の深化に大きく貢献することができた。
著者
古川 照美 西沢 義子 中路 重之 木田 和幸 梅田 孝 高橋 一平 高橋 一平
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

子どもの生活環境を考えた場合、家庭での生活習慣は重要である。本研究では、中学生時期の親子に対しての生活習慣改善を促す介入プログラムの検討を目的に、親子関係と子どもの生活習慣の関連、及び親子の身体特性の関連について検討した。その結果、親子で身体特性及び生活習慣の関連が認められ、さらに親子関係が子どもの生活習慣に影響を与えていることが示唆された。子どもの生活習慣改善のためには、親子関係を見据えながら、親をも含めた支援が必要である。
著者
古澤 泰治
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

海外共同研究者である小西秀男氏(Boston College)とともに、2国間で締結される自由貿易協定(FTA)をネットワークゲームを用いて分析してきた。産業化度や人口規模において似通っている国同士がFTAを締結しやすく、そのため全ての国々がそれらに関して対称的ならばグローバルな完備FTAネットワークが安定的になることを示した。また、FTA締結国間でトランスファーが可能ならば、国々が極めて非対称的な場合でも完備FTAネットワークが安定的になるという結果も導いた。各国が生産し輸出する差別化された財の間での代替性も重要な役割を果たす。それらの代替性が十分低いならば、完備FTAネットワークは唯一の安定的なネットワークとなる。逆に、もしも差別化財間の代替性が高いならば、完備ネットワーク以外の安定的なFTAネットワークが存在することになる。このようなときは、最終的に世界でどのようなFTAネットワークが張りめぐらされるかはFTA形成のパスに依存してくる。これらの研究成果は"Free Trade Networks,"COE/RES Discussion Paper No.27,Hitotsubashi University(現在専門誌掲載審査中)、"Free Trade Networks with Transfers,"Japanese Economic Review,56(2),144-164,2005にまとめられている。また、人々の効用関数が準線形型のとき、社会厚生は消費者の粗効用と貿易収支の和として表されるという、簡潔で有用な分析結果を"A welfare Decompositionin Quasi-Linear Economies,"Economics Letters,85(1),29-34,2004で発表した。
著者
古丸 明 堀 寿子 柳瀬 泰宏 尾之内 健次 加藤 武 石橋 亮 河村 功一 小林 正裕 西田 睦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.621-629, 2010 (Released:2010-10-11)
参考文献数
16
被引用文献数
4 6

シジミ属(Corbicula)の種判別を目的とし,日本,中国,朝鮮半島産 4 種(C. japonica, C. fluminea, C. largillierti, C. leana)と不明種 (C. sp.) mtDNA16S rDNA の配列(437 bp)を比較した。ヤマトシジミ C. japonica と淡水産シジミ類間の塩基置換率は平均 5.98%(5.26-6.41%)で判別は容易であった。日本産と朝鮮半島産ヤマトシジミ間の置換率は低かった(0-1.14%)が,ハプロタイプ頻度の相違から産地判別は可能であった。
著者
斉藤 和雄 田宮 久一郎 青梨 和正 瀬古 弘 小司 禎教 川畑 拓矢 大関 誠 原 昌弘 柳野 健 中澤 哲夫 國井 勝 田中 博 古本 淳一 永戸 久喜 村上 正隆 田中 博 津田 敏隆 古本 淳一 若月 泰孝 林 修吾 露木 義 小泉 耕 西嶋 信 石川 宜広 本田 有機 三好 建正 経田 正幸 山口 宗彦 澤田 謙 酒井 亮太 米原 仁 小野 耕介 津口 裕茂 藤田 匡 三上 彩 近藤 圭一 劉 國勝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

集中豪雨を数値モデルで予測するため、大気の3次元的な状態を観測データを用いて精度良く解析する研究、および予測の信頼性を定量的に見積もる手法の研究を行った。非定時の観測データを同化する高解像度4次元変分法の開発、GPSデータ、マイクロ波放射計データ等の同化実験を行い、豪雨の予測が改善できることを示した。アンサンブル予報の手法をメソ現象の短時間予測に適用し、予報誤差を定量的に見積もる手法を示した。
著者
古米 弘明 栗栖 太 片山 浩之 鯉渕 幸生 藤田 昌史 春日 郁朗 片山 浩之 鯉渕 幸生 藤田 昌史 春日 郁朗 益永 茂樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

合流式下水道雨天時越流水(CSO : Combined Sewer Overflow)に含まれる未規制リスク因子(健康関連微生物、微量化学物質)に着目し、これらが受水域に流出した場合に、どのような挙動を示すのかを評価した。雨天後の東京湾において、未規制リスク因子を含めた汚濁物質の動態をモニタリングすると共に、CSO の東京湾への負荷経路として重要な隅田川に着目して、晴天時および雨天時に24 時間の採水を行った。また、お台場周辺に特化した3 次元流動モデルの精緻化を行い、大腸菌群の挙動を解析した。
著者
戸波 江二 古野 豊秋 畑尻 剛 小山 剛 栗城 壽夫 近藤 敦 實原 隆志 光田 督良 鈴木 秀美 小山 剛 藤井 康博 上村 都 丸山 敦裕 浮田 徹 古野 豊秋 押久保 倫夫 門田 孝 大森 貴弘 有澤 知子 赤坂 正浩 嶋崎 健太郎 渡辺 康行 根森 健 畑尻 剛 石村 修 中西 優美子 工藤 達朗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

憲法および憲法学が現実の政治や社会に対して、また、他の法学・社会科学の分野に対してどのような規範的な力を発揮しているか、発揮すべきかについて、他分野の研究との交流、憲法の歴史的発展、外国との比較研究を通じて解明した。日本国憲法は、戦後の政治・社会において基本法としての規範力を発揮し、戦後日本の展開を支えてきたこと、民事法、刑事法の分野でも憲法が浸透し、憲法ないし憲法学との相互交流の動きがでてきている。