著者
町 好雄 劉 超 藤平 光一 石崎 俊明 浜岡 勤 古田土 節夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.404-410, 2001-09-01

氣合氣道の氣を調べるために、折れない腕という実験を行った。これは氣が力ではないということを見せるために行われる方法であるが、この時の生理的測定を行った。その結果、氣の状態における場合でも力を利用場合に比べ交感神経系の活動を半分程度で行っていることが分かった。この報告では気で阻止する場合に息を吐いていることがわかった。これが氣の力に結びついていると考える。力の場合は息を止めて力を出しているのとは全く異なる。
著者
横井 公良 恩田 昌彦 山下 精彦 森山 雄吉 田中 宣威 古川 清憲 京野 昭二 高崎 秀明 瀬谷 知子 横山 滋彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1940-1948, 1994-08-01
被引用文献数
30

過去19年間に当教室で経験した成人(15歳以上)の腸重積症は11例あり,著者らは発生部位別に小腸型(4例),回盲部型(4例),大腸型(3例)の3つに分類し,さらに回盲部型を小腸由来の回腸結腸型(1例),大腸由来の盲腸結腸型(3例)に亜分類し,臨床病理学的検討を行った.小腸型,回盲部型,大腸型の平均年齢は31.0歳,46.6歳,69.3歳,平均病悩期間は59.3週,33.3週,1.1週,診断率は25%,50%,100%,原因疾患が悪性腫瘍であった頻度は0%,50%,100%であった.小腸由来か大腸曲来かの観点から悪性腫瘍の頻度をみると,小腸由来は0%(0/5),大腸由来は83%(5/6)であった.それぞれの部位に臨床病理学的特徴があり,この分類方法は有用と思われた.また術前,術中の愛護的な整復を試みて腸重積が環納されれば,発生部位の同定が可能となり,より的確な術式が選択できるものと考えられた.
著者
小田 福男 佐古田 彰 山本 充 李 濟民 小柳 貢 桑原 康行 瀬戸 篤
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度〜平成13年度にかけて、「極東ロシアにおける資源開発に伴う北東アジア経済の変化に関する地域学的研究」をテーマに、北東アジア経済と北海道経済の連携可能性について検討を行ってきた。そして、そうした研究の成果は、主に平成13年度の内容を中心に述べるとすれば、以下のように整理される。まず、マクロ経済的見地からは、「サハリンプロジェクトの動向」として、近年のプロジェクトの実態に関して検討を行っている。また、より大局的見地から、「ロシア連邦における極東サハリン州の経済的位置づけ」として、ロシア経済全体から見たサハリン経済の実態に関して検討を行っている。次に、ミクロ経済的見地からは、「ウラジオストックの住宅建築」として住宅産業にテーマを絞り、北海道企業のサハリン・ロシア極東進出の可能性について検討を行っている。また、こうした流れから、北海道企業の海外進出に関するテーマとして、「グローバル時代における日本企業の国際競争力-北海道企業のグローバル対応-」についても詳しく検討を行っている。さらには、「北海道企業の知的財産権戦略モデル」として、北海道企業の特許戦略による体力強化の可能性についても検討を行っている。そして、最後に法的見地からは、「海底石油資源開発の際の油流出事故により生じる損害についての国際賠償責任」として、国際法的見地からロシアとの国際ビジネスに関する実態について検討を行っている。また、「ロシア法における共同事業形態」として、ロシアにおける具体的な企業法の実態について検討を行っている。以上の複眼的見地から、「極東ロシアにおける資源開発に伴う北東アジア経済の変化に関する地域学的研究」を進め、様々な内容に関してその実態が明らかにされた。北東アジア経済と北海道経済との連携可能性を探る上で、こうした研究成果の有効活用が望まれる。
著者
辰巳 隆一 古瀬 充宏 水野谷 航 RONALD E Allen JUDY E Anderson
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

骨格筋の肥大・再生の際、運動神経ネットワーク(神経末端の筋細胞への接着および神経軸索の空間配置)の再構築が重要な基盤となる。これまでに、筋幹細胞が神経軸索成長ガイダンス因子 Sema3A を合成・分泌することを見出し、「筋細胞側から運動神経網を能動的に制御する」という斬新なアイデアを提起した。本研究では、細胞増殖因子による時系列的なSema3A発現制御機構の分子基盤を解明した。成果は筋肥大・再生を促進する食肉生産技術の開発に資する他、医療・スポーツ分野などにも貢献が期待される
著者
久保田 彰 古川 まどか 小松 正規 花村 英明 杉山 正人
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.149-156, 2006-03-20
被引用文献数
2 4

化学放射線同時併用療法(CDDP/5-FU)後のadjuvant chemotherapyの有用性を検討した.対象は前治療のない根治切除可能な頭頸部扁平上皮癌の41例で,病期はIIIが9例,IVが32例で,下咽頭が14例,喉頭が12例,口腔が9例,中咽頭が6例であった.放射線終了1ヵ月後から外来でUFTE顆粒を400mg/日の連日内服とNedaplatinを80mg/m<sup>2</sup>の点滴を4週ごとに6コースを計画した27例をadjuvant群とし,adjuvant chemotherapyを希望しなかった14例を対照群として生存率,progression free survival (PFS)率をWilcoxon法で検定した.Adjuvant群の投与回数の中央値は6コース(1-6コース)でgrade3の毒性は白血球減少を15.4%,血小板減少を7.7%に認めた.1例が胃潰瘍で死亡した.生存期間の平均はadjuvant群が30.1月(5.5-50.1月),対照群は21.7月(6.6-48.3)で,PFSの平均はadjuvant群が22.8月(3.6-50.1月),対照群は16.3月(4.0-48.8月)であった.2年生存率はadjuvant群が73.7%,対照群が55.7%で,2年PFS率はadjuvant群が66.9%と対照群の27.8%より有意に良好であった(p=0.03290).特に同時併用の奏効度がPRではadjuvant群の2年PFS率は59.3%と対照群の15.6%より良好であった(p=0.01102).局所•頸部リンパ節再発はadjuvant群が29.6%と対照群の64.3%より低い傾向であった(p=0.0716).両群とも遠隔転移はなかった.臓器温存率はadjuvant群が66.7%と対照群の35.7%より高かった(p=0.1183).化学放射線同時併用療法後のadjuvant chemotherapyは局所再発率を減少することが示唆された.
著者
古澤 賢治 路 林書 中川 信義 李 暁西 植田 政孝 LU Lin shu LI Shao Xi 路 林暑
出版者
大阪市立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1.本研究は、中国の産業立地と広域経済圏の発展可能性を主たる課題とした.調査対象としては,北京,天津,山東,遼寧を含む環渤海領域と上海デルタを「竜の頭」とする長江経済圏を軸にし,それらの比較をしたいと考えた.広大な中国の研究は対象を絞り込まねばならないが,同時に中国の多様性を実際に体験し,様々な状況を比較検討する素地を固めることも不可欠である.2.具体的な研究課題としてはまず,90年代前半の大幅な外資導入によって引き起こされた中国各地の変化についての状況認識し,その意義を分析することであった.外資導入により,中国各地の変化は確かに急速であり,投資環境の整備で産業立地の改善は大きく進展した.とはいえ,各地の一部の指導者には中央政府の援助と外資導入に依存することを望むだけの者もいる.3.次の研究課題は,企業間,地域間の協力関係の進展についてであった.我々は各地における地域連携システム確立による広域経済圏の形成を調査した.しかし,企業の自律性は依然として行政的に阻害されており,地域間の協力関係は展開できないでいるのを改めて認識させられた.社会経済構造の根本的変革は容易ではなく,市場経済の発展に不可欠な地域経済の自由往来は思ったほど進んでいない.4.今回の調査研究ではまた,自動車と家電産業を中心に外資企業の進出状況と中国各地の産業拠点政策についても認識を深めた.国際的技術水準における格差は別にして,外資企業の中にも現地化に努力し,中国の技術者を養成する姿勢を示すものも多い.さらに各地の指導者の多くが,それぞれの特色を生かした発展の重要性を自覚し始めているように見えた.
著者
中瀬古 哲
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

就学前 5 歳児の体育課業並びに課業づくりに3年間継続的に参加した(述べ7施設、総計 160回)。そこで、身体運動文化(運動遊び)の特質解明と類型化を試みた。その結果、以下のことが示唆された。(1)就学前に培うべき基礎的技術能力は、(1)姿勢制御、(2)物や人の動きに対する予測・判断、(3)スピード・リズムのコントロール、の三つに分類できる。(2)身体運動文化(運動遊び)は、幼児の生活課題・発達課題を含みんこんだ総合的な活動であり、それらを踏まえ内容化した学習課題を構想する必要がある。
著者
古木 達郎
出版者
千葉県立中央博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

苔類ツキヌキゴケ科について多様性と種分化を研究し、Mizutaniaについて雄枝を初めて発見し、かつ植物 体は他に類縁を見いだせないほどネオテニーが進んでおり、非常に特異であることを論じた。また、日本産 の分類学的再検討によって3属18種を認めた。トサホラゴケモドキとツキヌキゴケのタイプ標本の解釈の誤り、 フジホラゴケモドキが台湾産Calypogeia formosaと同種であること、タカネツキヌキゴケが基本種と同種であ ることなどを確認した。更に、ハワイ諸島産について3属6種、マレーシアに2属種5を認めた。
著者
古川 宇一 長 和彦 寺尾 孝士 木村 健一郎 大場 公孝
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、自閉症児・知的障害児の生涯ケア体制の整った地域社会の創出をめざして、北海道にTEACCHプログラムを導入する10ヶ年計画の第2次3ヵ年計画のまとめをなすもので、函館・旭川両地区をモデル地区として、幼児期から成人期にいたる各ライフステージにおいてTEACCHプログラムのアイデアの有効性を検証し、関係者・機関への展開を図った。画期的であったことは、函館地区おしまコロニーが独自に、2001年4月、全国に先駆けて自閉症センター「あおいそら」を立ち上げ、活発な相談指導、コーディネート活動を展開し、地域センターとしての活動を展開した。幼児施設、養護学校、特殊学級、施設においてTEACCHプログラムのアイデアを導入するところが増え、幼児期から成人期にいたるTEACCHプログラムを基本においた一貫性のある療育システムが構築されつつあり、全道のセンター的役割を果たそうとしている。旭川地区では、幼児施設でTEACCHのアイデアを引き継ぎ、小学校特殊学級で導入する教室が増え、1成人施設が導入4年目で成果を上げている。両地域とも研究活動は親を含み継続している。本年度の研究16論文は、情緒障害教育研究紀要第21号に、1年次13論文は19号に、2年次12論文は20号に掲載されている。札幌・道央地区、帯広・道東地区では、おのおの1療育施設でTEACCHの手法を用いており、福祉施設においても積極的に導入し研修がすすめられている。札幌、旭川では、家庭教育にTEACCHのアイデアを用いた積極的な取り組みがなされている。おしまの自閉症センターと連携しながら、全道的な展開への準備が整いつつあり、次の第3次3ヵ年計画において道内4圏域でのTEACCHセンター機能の展開が課題である。
著者
古田 充宏
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.96-112, 1987-05
被引用文献数
5

The purpose of this paper is to clarify the changes of the land use of mountain inhabitants from the Meiji era (1868 - 1912), and to describe their environmental recognition to the dynamic changes of land use, considering an interactive processes on how the drastic changes in the land uses are related with environmental recognition on a rural scene. An investigation was conducted at Nasu in Togouchi-cho. Hiroshima Prefecture in 1985. Firstly the author has begun on a collection of the place names from the old people by interview and tried to understand the environmental recognition of the villagers. Changes in land use were ecologically analized from the viewpoint of reciprocal relationships between villagers and natural environment. Drastic changes in their traditional works, and in the distribution of large wild mammals and changes of transportation system around Nasu were discussed. The findings are as follows : Before World War II, the people had various works, which have been largely dependent on broadleaf deciduous trees. Since around 1950, the virgin broadleaf deciduous trees have been chiefly replaced by Japanese cedar trees (Cryptomeria japonica) through afforeststion. As a result, traditional works have generally disappered except cultivation in lenaru (fields around the houses) and afforestation. Wasabi (Wasabia japonica) fields, for example, which are necessary to be surrounded by broadleaf deciduous trees have disappered. Viewing from environmental recognition, villagers' spatial classification of the mountain area, such as Miyama (remote and dense forest) and Naruyama (forests near around the village), has not been available in present daily life. Especialy, the space called Miyama has disappeared. Villagers have long cherished an awful feeling to the nature. However, with the progress of modernization of rural areas, traditional recognition such as above mentioned have been weakened. As a result, reckless overcutting of woods on a steep slopes has caused successive debris flows and the natural hazard has been accelerated to some extent. Drastic changes in fuel use, that are closely related to remarkable economic development in Japan, have changed forest and land use. Such changes have influenced the vegetation and stimulated breeding system of wild boars(Sus scrofa leumystax). Under these situations, a striking outflow of the population has remark-ably increased. The increase of the damage by wild boars into mountain fields has also become one of the causes that bring about afforestation of them. In short, their various works have disappeared as a result of changes of their land use, which is largely influenced by the great consumption for the forest resources in cities or depopulation caused by the change of the regional structure in the Ota Basin.
著者
古野 毅 鈴木 徳行 渡辺 暉夫
出版者
島根大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

化石木の珪化過程と形成について組織構造的に研究を行い, 以下の研究成果を得た.1.珪化過程 有機物分析, SEM観察, EPMA分析, X線回析, 光学・偏光顕微鏡観察から化石木の珪化過程と形成を次のように考察できた.(1)細胞内膣中のシリカ鉱物の種類 まずオパールAが材木中に浸透して, オパールCTが沈澱する. その後地質条件により石英に移転する.(2)細胞壁へのシリカ鉱物の侵入と置換 シリカ鉱物の沈積は初めは細胞内膣のみであり, ある時期に壁にも侵入し, 壁物質として置換する. 最終的には壁物質のほとんど大部分がシリカと置換される.(3)細胞壁に残存する有機炭素 細胞壁の有機炭素の残存には有機物の保存性がよい場合と, 早い段階で壁のシリカ置換が進行し, 有機物が見られない場合がある. 前者でも時間の経過などにより次第に有機炭素は消失する.(4)細胞形態 壁のシリカ置換の進行, 有機炭素の減少とともに細胞の形態は徐々に失われていくが, 細胞の形状は痕跡として残る.(5)樹脂様物質の炭素残存 樹脂細胞・放射柔細胞に存在している樹脂様物質の炭素残存が非常によく, 炭素含有の高い物質として化石化している.2.珪化作用における樹脂様物質の役割 樹脂様物質かコハクと同様にC-C鎖式構造を基幹とした物質であり, 付随しているカルボキシル基とフェノール性OH基が周囲のpHを低下させ, 木材中に侵入したシリカ鉱物はその周辺で沈澱しやすくなり, 周囲の壁のシリカ置換を促進させる効果があることや, 豊富なアルキル構造の疎水性により保存性がよいことがわかった.3.珪化木の人工合成 ヒノキー珪酸溶液の反応系に数ヶ月浸漬すると, 仮道管や放射柔細胞の木材細胞中に長い角柱状あるいは円柱状のシリカ鉱物が形成された.
著者
徳永 文稔 小出 武比古
出版者
姫路工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

我々は、抗血栓薬ワルファリン投与時に生合成されたビタミンK依存性凝固因子は、分泌されず細胞内で分解されることを示したが、これは薬物誘導による小胞体分解の唯一の例である。本研究ではこのモデル系を用い、平成8年度には、ワルファリン下の細胞内プロテインCは、GRP94、GRP78(BiP)、カルレティキュリンなどの小胞体内シャペロンと会合していることをDSP架橋を用いて明らかにした。また、ワルファリン下プロテインCの細胞内分解は、ラクタシスチンやZ-Leu-Leu-Leu-Hなどのプロテアソーム阻害剤により阻止されつことから、最終的に小胞体内から細胞質へ逆行輸送され、プロテアソームにより分解される可能性が示された。平成9年度においては、ビタミンK依存性因子においてワルファリン投与時に速やかに分解されるプロテインCと比較的緩やかに減少するプロトロンビンをモデルに、γ-カルボキシル化と小胞体分解の感受性を調べた。内在的にこれら因子を産生するHepG2細胞では、ワルファリン下のプロテインCはほとんど分泌されず顕著な細胞内分解を受けたが、プロトロンビンはワルファリン下でも約50%が分泌した。そこで、プロトロンビンのGlaドメインをプロテインCのものと置換したキメラ(GDll/PC)とプロトロンビンのプレプロ配列からGlaドメインまでをプロテインCのそれと置換したキメラ(PPGDll/PC)を作製し、BHK細胞を用いてワルファリン感受性を調べた。その結果、意外なことに両キメラはビタミンK下でγ-カルボキシル化は正常であるにも拘わらず分泌せず細胞内分解を受けた。以上の結果は、Glaドメインとその周辺領域との相互作用も小胞体分解の要因であることを示している。
著者
北村 雅哉 西村 憲二 三浦 秀信 松宮 清美 奥山 明彦 小森 和彦 藤岡 秀樹 古賀 実 竹山 政美
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.587-590, 2000-08

精巣内精子抽出術(TESE)のうち先天性精管欠損,ヘルニア術後,パイプカット術後など明らかな閉塞性無精子症を除いた44例を対象に非閉塞性無精子症で精子の回収を予測するパラメータを検討した.JSC,精巣容量,FSHで相関がある結果であったがJSC8以上の症例を除外すると相関はなくなり,絶対的パラメータとはなり得なかった.受精に関しては妻の年齢,精子運動性の有無,精巣容量が有意なパラメータとなった.マイクロドロップレット法を用いたCryo TESE-ICSIは新鮮精子を用いたTESE-ICSIと同等の受精率が得られ,無用なパートナーへの侵襲を避けるのに有用と思われたWe reviewed 44 cases of non-obstructive azoospermia treated by testicular sperm extraction and intracytoplasmic sperm injection (ICSI) from July, 1997 to September 1999 at our institutes. Testicular sperm were retrieved from 32 patients (72.7%). ICSI was performed on 29 patients and the partners of 15 patients (46.9%) became pregnant. Out of 10 patients with histology of Sertoli-cell-only, we could retrieve sperm from 3 patients (30%). Testicular volume, Johnsen's score count (JSC), and FSH were significant parameters to predict the recovery of testicular sperm from the patients, but if only the patients with JSC less than 8, are analyzed, none of them was significant parameter. Chromosomal abnormality was not a significant parameter. The partner's age, motility of recovered sperm and testicular volume correlated with the fertilization rate. Chromosomal abnormality or the usage of cryopreserved sperm was not a significant parameter to predict fertilization.
著者
千田 稔 笠谷 和比古 頼富 本宏 池田 温 大庭 脩 上垣外 憲一 葛 剣勇 石井 紫郎 河合 隼雄
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本調査研究によって解明された主要な点を上げるならば、次のとおりである。1.明治維新後の日本において、中国人蒐書家によって系統的な典籍の蒐集がなされ、中国本土に移送されていた。ことに清国総領事黎庶昌や清国領事館駐在員であった楊守敬らによって系統的に蒐集されて、中国大陸に移送され、その後、各地を転々とするとともに、日中戦争から国共内線の時期における散逸、焼亡の危機をくぐりぬけて今日に伝来するにいたった各種図書・文献について、その所在を跡づけることができた。2.京都高山寺の寺院文書が、中国武漢の湖北省博物館において所蔵されていることをつきとめた。今回の発見成果の重要なものの一つが、この湖北省博物館所蔵の高山寺文書であった。これも楊守敬蒐集図書の一部をなしている。明治初年の日本社会では廃仏毀釈の嵐が吹き荒れており、寺院の什器や経巻の類が流出して古物市場にあふれていた。高山寺文書の流出も多岐にわたっているが、その一部が楊守敬の購入するところとなり、中国に伝存することとなったのである。3.今回の調査で、日本の仏典が中国各地の所蔵機関に少なからず伝存することを確認し得た。そして同時に次の点が問題であることが判明した。すなわちこれら日本から請来された仏書、写経の類は、中国人の目からは敦煌伝来の仏典と見なされる傾向があるという点である。明白に日本で書写された経巻であるにもかかわらず、それらがしばしば敦煌伝来の写経と混同して所蔵され、また目録上にもそのような配列記載がなされているという問題である。これは日本人研究者の考えの及ばなかった問題でもあり、日中双方の研究者・関係者の協議に基づいて、問題が早急に改善されることが望まれる。
著者
藤井 光男 藤井 治枝 大西 勝明 丸山 惠也 趙 玉志 古賀 義弘 ZHAO Yu-Zhi 李 占祥 趙 亨済 李 占国 とう 必きん 加茂 紀子子 高久保 豊 劉 永鴿 柴崎 孝夫 菊地 進 大橋 英五 小林 英夫
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

我々の国際学術共同研究は、日本企業のアジア進出に伴う国際分業の進展と、技術移転・労務問題との関連を調査・解明することを目指している。このため第1年度(平成8年度)ではまず韓国・中国の研究者(複数)を招請して、日本の自動車と同部品企業や浜松テクノポリスを訪ねて研究交流を図り、また他方では中国東北部長春の有力国有自動車企業、第一汽車のほか、大連経済開発区の日系三資企業を調査して、実態解明に努めた。次に第2年度(平成9年度)では、引き続いて前述第一汽車の補足調査を進める一方で、北京地域の首鋼日電など電機・電子企業や、さらに上海・蘇南地域の電機や繊維・アパレル関連日系三資企業や郷鎮企業の調査を実施した。そして第3年度(平成10年度)では、韓国蔚山地域の現代自動車や同重工業、ついでソウルの現代電子など財閥系企業の資料採訪を行い、最後に上海蘇南地域の郷鎮ビッグビジネス数社を調査して実態分析の締めくくりとした。こうして我々は冒頭に掲げた研究課題に沿い、東アジアの代表的諸産業の企業研究に関してかなり詳細な資料を収集し、実態を解明し得たと考えるので、今後は理論的・実証的検討によってこれを体系化し、研究書として刊行することを企画している。