著者
古川 まき 鈴木 泰博
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

遺伝的アルゴリズムやマルチエージェント系(Ant Colony Optimization)では解探索の高速化のためエリート選別と解候補の多様性の維持が必要であるが、それらを自動調整することは困難であった。本論文はミツバチの採餌行動に着想を得たアルゴリズムによってエリート選別を行う際の閾値を自動調整するモデルを巡回セールスマン問題を対象に作成し、その評価と考察を行う。
著者
山岸 敬幸 内田 敬子 山岸 千尋 土橋 隆俊 古道 一樹 牧野 伸司 湯浅 慎介
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

心臓流出路の発生には、おもに二次心臓領域と心臓神経堤由来の2種類の心臓前駆細胞の働きが必須であるが、これらの細胞の相互作用によって正常な流出路が形成される機序はいまだ明確でない。私たちは、二次心臓領域に発現し、心臓神経堤細胞の遊走に関与する神経血管誘導因子・Sema3Cの発現制御機構を明らかにすることにより、流出路発生における両細胞間相互作用に関与する分子機構を解明した。Sema3CのenhancerにlacZ遺伝子を連結・導入したtransgenicマウスの解析とChIP およびluciferase assayを組み合わせ、Sema3Cの上流直接活性化因子としてFoxc1/c2を、上流抑制因子としてTbx1を特定した。遺伝子改変マウスの解析によって、Tbx1の発現低下によりSema3Cが神経堤細胞に異所性に発現し、その遊走を障害することが示唆された。さらに両細胞間相互作用を担う候補タンパクの検討により、Tbx1のSema3C抑制機構は、心臓神経堤細胞において分泌因子Fgf8を介することが推定された。
著者
前田 知己 後藤 一也 古城 昌展 前田 知己
出版者
大分医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

正期産児35人を対象としたポリグラフ記録において、第一静睡眠期と第2静睡眠期の持続時間に有意差は認めなかった。RR間隔は第2静睡眠で497.2±59.5msecで、第1静睡眠478.2±49.0secに比し有意に長かった。RR間隔時系列について自己回帰モデルを用いスペクトル解析を行い、低周波成分(LF)、高周波成分(HF),パワー,LF/HF比を求め検討した。LHパワーLH/HFは有意差を認めなかったが、HFは第1静睡眠4-1±0.8msec2,第2静睡眠4.5±1.0msec2で第2静睡眠が有意に大きく、第2静睡眠における副交感神経緊張が不された。29人の正期産児を対象として驚愕反射の出現頻度の検討を行った。静睡眠期におけるミオクローヌスの分布、啼泣の有無によって驚愕反応の強度を3区分した。驚愕反応出現前後1分のRR間隔時系列についてスペクトル解析を行い、驚愕反応出現前後の交感・副交感神経緊張の変動を検討した。平均驚樗反応出現頻度は0.18/分であった。驚愕反応出現に伴いLFパワー、HFパワー、LF/HF比はいずれも増加したが、驚愕反応強度によってパラメーター前後値はいずれも差異を認めず、個人差が大きかった。自律神経機能から乳幼児突然死症候群に関連する事象をとらえられるか検討したが、個人差が大きく、また、乳幼児突然死症候群の症例は無く、正常対象の症例数も多くないので、明らかな結論は得られなかった。今回の検討を基礎データーにして、乳幼児突然死症候群危険因子の有無による違い、体位による違いなどを検討を続ける予定である。
著者
吉成 啓子 齋藤 兆古 岩崎 晴美 友末 亮三 松前 祐司 堀井 清之
出版者
白百合女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

スポーツ動作の解析は,高速度カメラ,筋電図,加速度計などを用いて行われてきた.しかし,その手法は比較研究が中心であり,「熟練者の動作」=「巧みな動作」という主観的・経験的議論にとどまることが多い.そこで本研究では,スポーツ動作としてテニスのサーブを選択し,画像の固有パターン認識手法を用いて,「巧みな動作」を科学的・客観的に判断することを試みた.その結果,テニスのサーブ・フォームにおける上級者と初級者の本質的相違が,画像の固有パターン認識手法によって抽出可能である,ということが明らかになった.方法,結果,考察の要点をまとめると次のようになる.「方法」スポーツ動作の中の不変量を,画像の固有パターン認識手法を用いて定量化することを検討した.被検者は,上級者として男子テニス選手1名,初級者としてテニス歴半年未満の男子1名の合計2名とした.各被検者は,縦状に緑,赤,青の3色に色分けされたウェアを着装し,最大努力のフラット・サーブを行った.サーブ動作を測方に設置したデジタルビデオカメラを用いて毎秒30コマで撮影した.「結果と考察」テニスのサーブにおいては,フォワード・スウィングの際の脊柱を中心とした身体の回旋速度を大きくするために,テイクバック時に上体をいったん後方に捻り,"タメ"を作ることが重要であるとされている.上級者初級者とも,赤・青・緑の色の部分のみを取り出した画像を解析した結果,3次元空間画素分布表示の場合は色の少ない部分はグラフ上に表示されず,こうした動きの本質的な相違のみを表示できるということが分かった.このことは,画像の固有パターン認識手法が,従来主観により論じられてきた「巧みな動作」を客観的に検討する手法として有効である,ということを示している.
著者
古角 好美 水野 治久
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.157-169, 2009-02

本研究の目的は,小学校5年生を対象にストレスマネジメントプログラムを実施しその効果を検討することであった。プログラムは主に「心理的ストレスのメカニズムに関する理解」と「コーピングとストレス反応の関連を調査し得た結果を参考にした。介入効果の比較検討のために実験群22名と統制群(待機群)22名に分け,20時間のストレスマネジメントプログラムを実施し,6回の調査(介入前・介入中1・介入中2・介入後・追跡1・追跡2)を行った。その結果,コーピングにおいては肯定的認知対処得点の一部で上昇はみられたが,ストレス反応軽減効果は認められなかった。This study investigated the effects of a stress management program on elemental school children. First, questionnaire research was conducted with 99 elementary school children to clarify the relationship between various coping strategies and stress responses. The results indicated that emotional avoidance coping and support seeking coping were positively related to stress responses. Second,20-hour stress management programs were conducted with two groups of students: intervention group (22 students) and waiting list control group (22 students). Participants responded to a coping style scale and a stress response scale for six waves: pre, midpoint 1, mid-point 2, post, follow-up 1, and follow-up 2. The results showed significant favorable intervention effects for the positive cognition coping style, but there were no other significant effects.
著者
高橋 肇 千田 圭一 中世古 公男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.327-333, 1990-06-05

春播コムギ3品種 (長稈ハルヒカリ, 半矮性ハルユタカおよび長稈・晩生Selpek) の主稈3部位 (穂首節間, 第2節間および下位節間) における構成物質 (細胞壁構成物質, 純細胞内容物質および可溶性糖) の推移を開花期から成熟期まで調査した。開花後, 細胞壁構成物質と純細胞内容物質は穂首節間と第2節間で伸長生長に伴い増加したものの, 開花時に伸長の停止している下位節間ではほとんど増加しなかった (第2図) 。これに対し, 貯蔵物質と考えられている糖は, 各節間とも乳熟期まで増加した後穂への転流とともに減少し, 成熟期にはほぼ0の値を示した。糖は, 下位節間では開花前にかなりの量が蓄積していたのに対し, 穂首節間と第2節間では開花期に蓄積し始め, 下位節間では乳熟期の1週間ほど前に, 第2節間では乳熟期に, 穂首節間では乳熟期の数日後に最大値に達した。乳熟期の糖の含有率は全品種とも第2節間で高く, さらに含有量は下位節間で高いため, 第2節間と下位節間が主要な貯蔵器官であると考えられた。一方, 糖の含有率, 含有量ともに半矮性のハルユタカで長稈のハルヒカリ, Selpekよりも高かった。
著者
和泉 志津恵 中地 敬 藤井 良宜 古川 恭治 中地 敬 藤井 良宜 古川 恭二
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

分子疫学的因子や生活環境因子が, がん等の疾病リスクにどのような影響を与えるかを調べるために, 生活環境における曝露の寄与率を取り入れた因果推論モデルを構築し, 寄与率の推定値のばらつきを考慮した手法を開発した。提案手法は, m水準のカテゴリカルな曝露変数に対して, 曝露群の症例を曝露由来のものとそうでないものに確率的に分類し, 寄与率に基づくオッズ比により因果関係を推測する。実データに即した数値実験の結果, 曝露由来でないとして分類された曝露群の症例によって, 従来の方法において推測された因果関係の強さが過小評価されている可能性を示唆した。
著者
古賀 紀江 高橋 鷹志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.494, pp.97-104, 1997
参考文献数
8
被引用文献数
19 7

The house, as an environment with which the elderly interact, is discusscd in this paper based an analysis of places (within the house) that the elderly prefer in their daily lives. The analysis focuses on the particular places in a room where daily activities take place and constitutes the study of a smaller scale environment than other previous studies have handled. Preferred places are categorized, by the purpose of activity at a given place, into 'JOUZA': a habitually preferred seating place where the elderly spend most of their time for multiple daily activities, 'KOZA' : a particular seating place for special activities, 'SEWAZA': a place where p]ants, fish, etc., are kept, and other places. Features of the environment that the elderly themselves construct in their housed are clarified by this analysis.
著者
古川 謙介 後藤 正利
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

偏性嫌気性細菌Desulfitobacterium sp.Y51株はテトラクロロエチレン(PCE)を最終電子受容体として強力に脱塩素化してトリクロロエチレン(TCE)を経てcis-ジクロロエチレン(cis-DCE)を生成する。この反応はエネルギー生成系が共役しておりハロゲン呼吸と称される。本課題では以下の研究を行った。1.Y51株のPCEデハロゲナーゼ酵素を精製、抗体を取得した。ついで本酵素がペリプラズムに局在することを明らかにした。2.PCEデハロゲナーゼ酵素はPCE及びTCEの添加により転写レベルで高度に誘導された。一方、cis-DCE添加により転写が阻害されるばかりでなく酵素反応も阻害された。3.PCEデハロゲナーゼ遺伝子(pceA/pceB)近傍の遺伝子をクローン化した。その中に本遺伝子クラスターの転写制御遺伝子と考えられるpceRが存在した。pceR遺伝子はPCE/TCEと結合してpceAB遺伝子の転写を促進すると考えられる。4.cis-DCEによる転写阻害に関しては、市販のcis-DCE中に不純物質として存在する著量のクロロフォルムが関与していた。1μMの極低濃度のクロロフォルムを添加して培養するとpceAB遺伝子を含む約6.6-kbDNAが高頻度(80%以上)に欠失した。また、クロロフォルムはY51株野生株の生育を著しく阻害するが、欠失株の生育を阻害しなかった。5.上記の研究と並行してPCEを完全にエチレンまで脱塩素化する微生物コンソーシアを取得した。このコンソーシア中にはDehalococcoides属細菌の存在が認められた。
著者
大城 政一 中前 均 古田 賢治 平川 守彦 日越 博信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.33-38, 1995-10-31
参考文献数
15

昼夜点灯下ヤギの反舞行動への3回給飼及び4回給飼の影響を検討した。昼夜点灯下で飼育しているザーネン雑種雌ヤギ5頭を供試した。1日の給飼時間は3回給飼実験で00 : 00、08 : 00、16 : OOとし、4回給飼実験では00 : 00、06 : 00、12 : OO、18 : 00とした。その結果、反舞行動は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。また、いずれの実験においても給飼後1時間の反芻行動は不活発であった。1反芻当たりの反芻時間・再咀嚼時間・再咀嚼回数は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。採食行動は3回給飼実験より4回給飼実験において有意に活発であった。また、両実験において採食行動の日内変動についてみると、給飼後1時間に採食行動が活発であった。給飼後1時間における反芻行動の減少は採食行動の増加によるものと考えられた。給飼後1時間における採食行動の増加と反芻行動の減少は3回給飼に比較して4回給飼において小さく、給飼回数の増加に従って24時間の反舞行動と採食行動が特定の時間帯に片寄らず分散する傾向が示唆された。日本家畜管理研究会誌、31(2) : 33-38.1995.1995年5月18日受付1995年8月15日受理
著者
小野 古志郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.110-115, 2003 (Released:2004-02-27)
参考文献数
12

自動車乗員保護のためのバイオメカニクス研究は, 衝撃などの外力条件の違いによって発生する人体の傷害あるいは生命の危険性を如何に防護あるいは保護するかといった方策を適切に知る手段と言える. 本解説では, 1)自動車安全性向上におけるバイオメカニクス研究の位置づけを行い, 2)人体傷害の捉え方, 3)人体傷害度のスケーリング, 4)後遺障害度のスケーリング, 5)人体傷害と衝撃応答, 6)加齢あるいは性別による人体衝撃耐性の違い, 7)傷害評価ツールとしての人体モデルの現状について概説する.
著者
五十殿 利治 井上 理恵 渡辺 裕 上村 清雄 木下 直之 古川 隆久 京谷 啓徳 大林 のり子 阿部 由香子 日比 嘉高 寺門 臨太郎 川崎 賢子 菊池 裕子 江 みなみ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

芸術の受容者の鑑賞行動に関する史的な研究については、たとえば近代文学史におけるアンケートに基づく読者調査のような基礎的な資料を欠くところから、研究対象にどのようにアプローチするのか、学術的な方法論が問題である。これに関連して研究対象である受容者の様態を検証することも重要である。本研究においては、共同研究により、従来に顧みられなかったカメラ雑誌の月評など、資料の発掘を含めてその方法論が多様であることが明らかとなり、むしろ研究として今後十分な展開の可能性があることが明らかになった。
著者
清野 純史 宮島 昌克 堀 宗朗 能島 暢呂 五十嵐 晃 小野 祐輔 豊岡 亮洋 古川 愛子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

鉄道ネットワークを対象として,センシング技術を利用した災害発生時の迅速な機器制御により,被害を最小限に留めるような理論的な枠組みの構築と技術開発を行った.小型マイコンに加速度センサとワイヤレス伝送技術を実装し,これをセンサネットワークとして利用するためのハードおよびソフトの環境整備を行い,プロトタイプを作成した.さらにセンシングデータの大容量送受信が可能であるか等の検証を行うとともに,損傷判断や被害検知手法の開発を行った.
著者
加瀬 卓 小平 進 寺本 龍生 久 晃生 古川 和男 山口 博 捨田利 外茂夫 長谷川 博俊 郭 宗宏 西堀 英樹 北島 政樹 向井 万起男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.2055-2059, 1992-07-01
被引用文献数
11

1970年1月から1991年9月までに当教室において経験した,痔瘻に随伴した肛門管癌7例について検討した.7例のうちわけは男性6例,女性1例で,年齢は43〜77歳(平均59.1歳)であった.痔瘻または膿瘍発症から癌確診までの期間は4年〜47年(平均22.9年)であった.主訴として粘液分泌,肛門部痛,腫瘤・硬結触知,出血,肛門狭窄,などが認められた.7例全例に腹会陰式直腸切断術が施行され治癒切除4例,非治癒切除3例であった.組織型は粘液癌3例,高・中分化腺癌3例,扁平上皮癌1例であった.7例中4例は,初回生検で確定診断可能であったが,残りの3例は癌確診までに頻回の診断手技を要した.長期にわたり痔瘻を有し,粘液分泌,腫瘤・硬結触知などの症状を呈する症例については癌の合併を考慮し瘻管切除を含む頻回の生検を施行して確定診断を下すべきであると考えられた.
著者
井村 哲郎 芳井 研一 原 暉之 SAVELIEV IGOR 古厩 忠夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,これまで未公開であったロシア国立歴史文書館(RGIA,在サンクトペテルブルグ)が所蔵する中東鉄道文書中の近現代中国東北をめぐるロシア、中国,日本の関わりを記す文書をいかに利用するかを明らかにするために行なったものである。中東鉄道は,帝政ロシアのアジア進出のために19世紀末に中国東北を横断して建設された。日露戦争後、大連-長春間は日本に割譲されたが,1935年に満州国が買収するまで存続した。中東鉄道は,ロシアおよび革命後のソ連の対中国・対中国東北政策に重要な役割を果たした。中東鉄道文書には,鉄道経営に関わる文書だけではなく,19世紀末から1930年代までの中国および中国東北の政治・経済情勢,日本情報などが豊富に含まれている。中国東北近現代史研究および中国東北をめぐる日中関係史研究ではこれまで,ロシア語資料はほとんど利用されていない。これは,主に史資料がこれまで未公開であり,どこに所蔵されているかも明らかではなかったためであるが,こうした史資料状況の欠落を埋めるために,ロシア国立歴史文書館が所蔵する中東鉄道文書について書誌調査を行ない,とくに中国東北をめぐる日本,中国,ロシア3国に関わる文書群から,重要なジェーラを選択しロシア語の抄録とその日本語訳を行ない最終報告書として資料目録を編纂した。また,本プロジェクトの一環として、2004年度には中間報告書「ロシア国立歴史文書館所蔵『中東鉄道文書』にみる19世紀末-20世紀初頭中国東北の国際関係」を刊行した。また同年度には、サンクトペテル大学東洋学部において東洋学部と共催して国際ワークショップ「サンクトペテルブルグ所在史料に見るアジア」を開催し,その報告書を刊行した。本ワークショップによって研究代表者井村はプーチン・ロシア大統領から記念メダルを授与された。今回作成した報告書に含まれる中東鉄道文書のジェーラ数は、総ジェーラ数20,784のうちわずか236にすぎないが,それでも義和団事件に際しての中東鉄道警備,満鉄など日本側との関係など、貴重な内容を記す文書が発見される。今後の中東鉄道研究および中国東北研究に有用なツールとなろう。