著者
竹綱 誠一郎 齋藤 寿実子 吉田 美登利 佐藤 朗子 瀧沢 絵里 小方 涼子
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.10, pp.85-92, 2011

本研究の目的は、作文学力と算数文章題学力との関係を吟味することである。小学5 年生児童75 名を対象に、第2 学期に作文学力を測定するテストを実施し、第3 学期に文章題学力を測定するテストを課した。作文学力は5 つのカテゴリー(反論への考慮、段落構成、つながり、わかりやすさおよび論理性)ごとの下位得点の合計得点によって算出された。文章題学力は5 つの問題タイプ(通常問題、過剰情報問題、無意味問題、情報不足問題および不合理問題:通常問題以外は、不完全な文章題)ごとの得点の合計得点によって算出された。 分析の結果、2 学期に測定した作文学力と3 学期に測定した文章題学力との間に有意な相関がみられたことから、作文学力を伸ばすことが文章題学力を高める可能性のあることが明らかになった。また、論理性得点や反論への考慮得点の高い児童が、現実的で論理的な思考力を必要とする不合理問題において高得点を示すことも明らかにされるなど、教育実践への有用な示唆が得られた。研究論文
著者
林 承煥 吉田 浩
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.91-106, 2020 (Released:2020-09-30)
参考文献数
16

本研究では、幸福度に関するリサーチの結果(5,188サンプル)を用いて、まず世帯構成による幸福度を測り、将来人口予測に基づいて幸福度(0~10)の変化を推計してみた。その結果、単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と子供の世帯、ひとり親と子供の世帯、その他の中で、単独世帯の幸福度が一番低いことがわかった。また将来の世帯構成の変動に基づいて、幸福度の変化推移を予測してみると、2015年の1世帯当たりの平均幸福度5.981ポイントは、2040年には5.952ポイントまで下がることが分かった。0.029ポイントが下落する。回帰分析の結果、世帯所得の100万円の増加が幸福度の0.038ポイントを上昇させる効果があるために、下落した幸福度を補うためには、1世帯当たり763,157円の世帯所得を増加させる必要がある。2040年の世帯数を考えると、約25兆6千億円の所得増加が必要であり、これを幸福度の減少による損失と言える。
著者
河野 正司 吉田 恵一 小林 博 三浦 宏之
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.764-769, 1987-06-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
12
被引用文献数
7 3

Many TMJ patients who have occlusal interferences often complain of pains in the sternocleidomastoid muscle. The pain occurs mainly in the insertion of the muscle (SCM-I) rather than in the middle of the muscle (SCM-M). In order to investigate a causative mechanism of pain in the sternocleidomastoid muscle in relation to occlusion, the activities of sternocleidomastoid and masticatory muscles were studied by means of EMG during functions in relation to the occlusal contact on six normal subjects. EMG activities of temporal, masseter, SCM-I and SCM-M were recorded by surface and needle electrodes.EMG activity was recorded from SCM-I in accordance with the activity of the masticatory muscles during tapping, clenching, and mastication. On the other hand little activity was registered from SCM-M. The amplitude of the EMG of SCM-I increased as the occlusal force increased. During chewing the sternocleidomastoid muscle was functioning more actively on the working side than on the non-working side.
著者
吉田 通子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.299-314, 1985-05

論文はじめに一 頼助と北条氏二 鶴岡供僧支配と頼助三 畿内および近国の寺社と頼助四 頼助と東密おわりに
著者
伊藤 保彦 五十嵐 徹 立麻 典子 今井 大洋 吉田 順子 土屋 正己 村上 睦美 福永 慶隆
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
Journal of Nippon Medical School (ISSN:13454676)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.239-244, 1999-08-15 (Released:2000-04-12)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

We have encounted two patients with fibromyalgia (FM) initially diagnosed as having autoimmune fatigue syndrome (AIFS). To investigate the relationship between AIFS and FM, the distribution of the tender points in patients with AIFS was assessed according to the ACR criteria for FM. It was revealed that AIFS patients had 5.6 tender points on averages. Patients with headaches, digestive problems, or difficulty going to school had more tender points than patients without. Patients with ANA titers
著者
吉田 奈保
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学紀要 (ISSN:03884198)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.85-94, 1994-03-01

「今週中」はコンシュウチュウと読むのに「今日中」はキョウジュウと読む。日本語に多く見られる連濁は、日本語を学ぶ外国人学習者にとっては頭の痛い問題である。日本人ならば字をみて即座に「中」の読みを判断するが、そこには何か法則があるのだろうか?本稿では、接尾辞「中」のついた派生語における連濁の有無を意味の観点から分析した。その結果、連濁の有無には意味と語種の双方が関わっていることが分かった。
著者
長縄 弘親 熊沢 紀之 斉藤 浩 柳瀬 信之 三田村 久吉 永野 哲志 鹿嶋 薫 福田 達也 吉田 善行 田中 俊一
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.1109220007, (Released:2011-09-27)
参考文献数
7
被引用文献数
5 6

We tried the decontamination of surface soils for three types of agricultural land at Nagadoro district of Iitate-mura (village) in Fukushima Prefecture, which is highly contaminated by deposits of radionuclides from the plume released from the Fukushima Daiichi nuclear power plant. The decontamination method consisted of the peeling of surface soils solidified using a polyion complex, which was formed from a salt solution of polycations and polyanions. Two types of polyion complex solution were applied to an upland field in a plastic greenhouse, a pasture, and a paddy field. The decontamination efficiency of the surface soils reached 90%, and dust release was effectively suppressed during the removal of surface soils.
著者
杉村 宗典 貝谷 和昭 吉谷 和泰 高橋 清香 柴田 正慶 橋本 武昌 吉田 秀人 花澤 康司 泉 知里 中川 義久
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.11-18, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
9

症例は45歳,男性.平成20年,エプスタイン奇形に伴うB型WPW症候群に対してアブレーションを施行し,治療に成功した.以後,心電図にデルタ波を認めなかったが,アデノシン三リン酸(ATP)投与にて停止する左脚ブロック型の頻拍が再発し,平成21年5月再治療となった.電気生理学的検査(EPS)において370msec未満の連結期で心房期外刺激を加えると,His束電位の消失とともに頻拍時と一致する左脚ブロック型QRS波形が再現性をもって出現した.そこで三尖弁輪自由壁に多電極カテーテルを留置したところ,電気生理学的三尖弁輪10時方向において,心房波(A波)と心室波(V波)の間に先鋭な電位を認めた.マハイム線維の存在を疑い,この電位(M電位)について検討すべく再度心房プログラム刺激を行い,AH時間とAM時間を比較した.両者の減衰伝導特性は極めて近似しており,かつAM時間はAH時間より常に一定時間の延長を示し,HV時間は不変(45msec)であった.房室結節の不応期の時点でもM電位は記録され,長いAV時間の後に左脚ブロック型QRS波が追従した.誘発された持続性頻拍の逆行性心房最早期興奮部位はHis束記録部であり,電気生理学的検討により本頻拍は右側自由壁房室間に存在するマハイム線維を順行し,房室結節を逆行旋回路とする反方向性房室回帰性頻拍(antidromic AVRT)と診断した.マハイム電位を指標に通電し,頻拍の根治が得られた.マハイム線維の伝導時間が房室結節の伝導時間より常に長く,減衰性が房室結節とほぼ同等であるため,期外刺激にても連続的な心室早期興奮の顕在化がみられないまれな1例を経験したので報告する.
著者
吉田 晋弥
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.10, pp.710-718, 2012 (Released:2017-12-15)
参考文献数
20
被引用文献数
3

酒米の醸造適性については酒米研究会による膨大なデータの蓄積があり,これまで気候条件との関係のほかクラスター分析による品種間の類似性などが報告されている。しかし,その遺伝的な背景についてはまったくの手付かずであった。現在,SSRマーカーのDNA多型データを収集し,集団構造解析という新たな手法で遺伝的背景に基づいた集団の分類を行った上で酒米品種群でのコアコレクションの選定が進められている。今後,ゲノムワイド関連分析によりDNAマーカーと形質との相関関係の解析を進ることで,これまで蓄積されてきた酒米の醸造適性に関する遺伝子の解析を大きく進めることができ,酒米育種での選抜効率を飛躍的に高めることが期待される。
著者
市原 慎介 吉田 進悟 小嶋 文 久保田 尚
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1165-67_I_1172, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,住宅街の狭幅員生活道路におけるハンプ設置の有効性の検証を目的とし,複数のハンプを短区間で連続設置することによる効果について検証した.社会実験の結果,短い間隔でハンプを連続設置することで,対象道路を走行する自動車の通過速度が著しく抑制され,道路全体の安全性・快適性の向上を図ることができた.従来影響が心配されてきたハンプ設置に伴う振動・騒音の発生に関しても,本実験のハンプ設置方法によって周辺環境に影響を及ぼさない程度に十分抑制されることが確認できた.また,対象道路の周辺住民の多くは住宅街におけるハンプの設置に関して高い評価をしており,本実験を通し,ハンプの短区間連続設置による交通静穏化に関する有効性を強く確認することができた.
著者
佐賀 朝 松井 洋子 小野沢 あかね 人見 佐知子 横山 百合子 吉田 伸之 金 富子 吉田 ゆり子 塚田 孝 神田 由築 浅野 秀剛 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 本康 宏史 齊藤 俊江 松田 有紀子 屋久 健二 吉元 加奈美 武林 弘恵 ボツマン ダニエル
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本近世~近代における国内各地や植民地の遊廓の調査を進め、遊廓の開発や社会=空間構造を分析するとともに、一次史料を用いて、遊女屋・貸座敷の経営内部における女性たちへの抑圧と搾取の構造の解明も進めた。その結果、近世後期以降の遊廓の大衆化と全国的普及の過程で女性たちに対する搾取が強化される一方、明治維新に伴う公娼制度の改革を経て、女性たちが多様な手段を用いて搾取や暴力に直接・間接に抵抗し、それが遊廓社会の変容を促していくことも明らかになってきた。継続的な現地調査や研究会と研究者のネットワーク化、「遊廓・遊所研究データベース」の充実により、新しい遊廓研究が現れてきた点も重要な成果である。
著者
吉田 健太
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.10-14, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
34

Fluid inclusions in high-pressure type metamorphic rocks provide direct information of the deep fluid activity. However, their small size occasionally prevent detailed geochemical study of fluid inclusions. To overcome this difficulty, we applied crush-leach method to quartz veins developed during or near the peak metamorphic stage. Another possible solution is a focused ion beam that allows us precise machining of the solid material. The fluid inclusion study combined with conventional petrographic studies revealed the nature of fluid (and related material) cycle in the subduction zone. Another powerful approach to investigate the material transfer is so-called “data-driven approach” that employs high-dimension dataset and machine-learning techniques. NMF analysis applied to the Sanbagawa metapelite dataset revealed an evolutional change of the whole-rock composition with metamorphic grade.