著者
吉田,金彦
出版者
訓点語学会
雑誌
訓点語と訓点資料
巻号頁・発行日
no.60, 1977-11-30
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。
著者
山本 尚史 中村 学 中崎 秀徳 吉田 昂広 杉ノ原 春花 美崎 定也 加藤 敦夫
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.39, 2010

【目的】 当法人は2008年より高校アメリカンフットボール(アメフト)部のメディカルサポートを行っている。高校のアメフト選手は技術、知識、身体機能の未熟さから傷害発生の危険性は高い。今回、高校アメフト選手の身体特性と傷害発生との関連を明らかにすることを目的に、メディカルチェックとアンケートを実施した。【方法】 2009年度秋季公式戦前のA高校2・3年生アメフト部員(平均年齢±標準偏差:16.9±0.7歳、身長172.3±6.3cm、体重78.7±16.2kg)40名を対象に調査した。事前に顧問・監督・選手に本調査の趣旨を十分に説明し同意を得た。メディカルチェックは柔軟性「指床間距離(FFD)、踵殿間距離(HBD)、下肢伸展挙上(SLR)、股関節内旋(HIP IR)、全身関節弛緩性(GJL)」、瞬発力「プロアジリティテスト(PAT)、立ち幅跳び(SBJ)」を実施した。SLRとHIP IRは4段階で簡易的に測定した。アンケートは受傷部位(上肢、下肢、頸部・体幹)について自己記入させた。統計解析は柔軟性と瞬発力の計7項目を変数としてクラスター分析を行い、3群(A群、B群、C群)に分類した後、3群間において7項目で一元配置分散分析またはKruskal-Wallis検定(有意水準5%未満)を行った。さらに3群間の身体部位別受傷人数をまとめた。【結果】 分類された3群はA群11名、B群10名、C群18名となった。FFDはB群が有意に長く、HBDはC群が有意に長かった。SLRはB群がA群およびC群と比較して有意に大きく、HIP IRはC群がA群およびB群と比較して有意に小さかった。GJLは各群間に有意差を認めた。PATはB群がC群より有意に速く、SBJはC群が有意に短かった。身体部位別の受傷者数は上肢:A群5名、B群4名、C群6名、下肢:A群6名、B群3名、C群6名、頸部・体幹:A群1名、B群2名、C群5名であった。【考察】 FFD、SLRが乏しく瞬発力が良好な群(A群)、柔軟性、瞬発力ともに良好な群(B群)、柔軟性、瞬発力ともに乏しい群(C群)に分類された。A群はハムストリングス、背筋群の柔軟性の乏しさが傷害発生と関連していると考えられる。C群では頸部・体幹の傷害発生が多く、柔軟性と瞬発力との関連が強いことが予想される。B群では他群と比較し傷害発生は少ないが、コリジョンスポーツの特性を軽視できない結果となった。しかしA群、C群のような特徴的な身体特性が傷害発生と関連することが明らかとなり、今後の理学療法介入の手がかりになると考えられる。【まとめ】 身体特性をグループ化して理学療法介入を効率よく行うことは傷害予防に繋がると考える。今回の調査の限界は短期間であること、対象者数が少ないことが挙げられ、今後も引き続き調査が必要である。
著者
吉田 琢哉 吉澤 寛之 浅野 良輔 玉井 颯一 吉田 俊和
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.252-264, 2019-12-30 (Released:2020-01-24)
参考文献数
59
被引用文献数
5

本研究では,複数の社会化エージェントの働きかけが,子どもの反社会的行動の規定因である社会的認知バイアスに及ぼす影響について検討した。親の養育,教師の指導,友人の非行は社会的認知バイアスに直接的な影響を及ぼす一方で,地域住民の集合的有能感は親の養育や教師の指導を媒介して社会的認知バイアスに影響を及ぼすと予想した。1,404名の小中学生とその保護者を対象に調査を実施した。共分散構造分析による分析の結果,地域住民の集合的有能感は親の認知する養育,子どもの認知する養育,および教師の指導を介して社会的認知バイアスを抑制し,子どもの認知する親の養育と教師の指導,そして友人の非行は社会的認知バイアスに直接的に影響するというモデルの適合性が示された。集合的有能感のうち,非公式社会的統制が親の養育を,社会的凝集性・信頼が教師のM機能を促進したことから,親の養育と教師の指導とでは地域住民の働きかけが及ぼす影響過程が異なることが示唆された。
著者
三野 弘樹 吉田 浩通 天野 裕紀 井原 宏彰 土橋 孝之 松浦 哲也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cd0832, 2012

【はじめに、目的】 徳島県では1981年より整形外科医を中心に、小学生軟式野球チーム(以下、少年野球チーム)が出場する大会で、少年野球検診(以下、検診事業)を実施している。徳島県理学療法士協会も2000年より検診事業に参加している。大会時に実施する検診事業は近年受診率が90%を超えている。2009年度の検診結果では、受診した1965名のうち二次検診(病院での精密検査)が必要と判断された者は1109名(56.4%)であった。身体に痛みを抱えながら野球をする選手が多く、日々の指導に難渋されている指導者は多い。選手・指導者に対し、理学療法士という職種で可能な活動内容を把握する為に、指導者用アンケート(以下、アンケート)を作製した。アンケート結果より、理学療法士として今後の活動の一端について分析できたので報告する。【方法】 徳島県下の少年野球チーム(143チーム)が出場する大会の指導者会議の際に、アンケートを実施した。これに参加した指導者に対し、記述及び選択式回答のアンケート調査を実施した。記述内容として、指導者自身の選手時代の比較、もしくは小学生を指導されてきた経験から、どのような運動能力に変化を感じるか、また指導する上での重点練習を質問した。選択式内容として、指導者が必要としている情報を問う質問で、運動障害(痛み等)チェックの方法、ストレッチの方法、運動障害への知識、感覚能力(神経系の能力)向上トレーニング方法、特になしの5個の選択(複数選択可能)と、理学療法士が現場に参加しても可能かというアンケートを実施した。【倫理的配慮、説明と同意】 アンケート調査の目的と、そこから得られたデータを使用する事、今後の活動に対する理解を頂きたいことを書面にて説明した。この旨に同意したチームから回答を得た。【結果】 参加チーム143チームのうち88チームより回答を得られた(61.5%)。理学療法士が現場に参加可能というチームは55チームであった(62.5%)。55チームのアンケート結果より指導者が必要としている情報は、運動障害チェック28チーム(50.9%)、ストレッチ29チーム(52.7%)、運動障害知識14チーム(25.4%)、感覚能力向上トレーニング28チーム(50.9%)、特になし6チーム(10.9%)であった。運動能力の変化については、体力低下22チーム(40%)、柔軟性の低下10チーム(18.1%)であった。重点練習については、野球技術向上18チーム(32.7%)、体力向上9チーム(16.3%)、感覚能力向上4チーム(7.2%)、柔軟性向上0チームであった。【考察】 少年野球の指導者は自らが野球に携わっていた方が多い。野球経験、故障等の自己体験があるため、障害の早期発見、柔軟性、運動療法への意識の高さがアンケート結果より伺える。体力の低下、柔軟性の低下を指導しながら感じている方が多いが、指導方法が分からない、練習時間が少ない等の理由で、運動能力の向上や柔軟性の向上に重点を置くチームは少なく、技術の向上に重点を置くチームが多い。障害は運動器の同一部位にストレスが繰り返し加えられる事により発生する危険性がある。これまでの検診結果より、少年野球選手の障害部位では肘関節が最も多く(80.8%)、その大半は成長途上にある骨端、骨軟骨の異常であり、投球動作によるストレス蓄積が原因の一つでもあるため、投球動作指導、身体を動かしやすくするための運動療法、ストレッチ等の必要性を理解してもらう必要がある。また早期発見により早期治療、早期復帰が可能となるのは周知の事実であるため、指導者、保護者に対して運動障害チェックの方法も、理解してもらう必要がある。頻度は少ないが、スポーツをするならば衝突、転倒等の一回の大きな刺激によって発生する傷害がある。傷害は主に不注意や不可抗力で発生する事が多いが、運動能力の低下や柔軟性が低下している為に発生することも少なくはないため、ストレッチ同様に感覚能力向上トレーニングが重要となる。理学療法士は、2つのショウガイを理解できる職である。身体機能向上、身体動作学習、ショウガイ発生率低下の為の指導は、理学療法の職域であると考える。また、理学療法士が現場に出向くことでショウガイ後の理学療法ではなく、ショウガイ前の予防的な理学療法も可能になると考える。【理学療法学研究としての意義】 競技レベル、年齢に関わらず、スポーツをすることで、ショウガイを引き起こす可能性は高い。理学療法が予防医学であると考え、基本的動作能力を向上させるプロフェッションであるとすれば、病院内での治療だけではなく、地域に根差した予防的観点の理学療法を勧めることが重要である。指導者、保護者といった地域住民の理学療法への認知度を高める事、そして理学療法士が地域に眼を向け活動することが理学療法の普及になり、職域拡大に繋がるものと考える。
著者
吉田 眞日出
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.115, 1984-02-20
著者
吉田 洋 林 進 北原 正彦 藤園 藍
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.430, 2005

本研究は,山梨県富士北麓地域に生息するニホンザル(<i>Macaca fuscata</i>)1群を対象に,ラジオテレメトリーと,GPSテレメトリーから得られるデータの特性を把握することを目的とした.調査はまず,対象群のニホンザルメス2頭を箱罠で捕獲し,1頭にVHF発信器(ATS-8C, Advanced Telemetry System, USA),1頭にGPS発信器(Collar120, Televilt, Sweden)を装着して放逐した.ラジオテレメトリーは週3-4回,日中に実施し,GPS発信器は週4回,午後0時に測位するように設定した.今回用いたGPSの測位精度は,3Dで±15m以内(90%)である.調査は,2003年12月から2004年5月に実施した.<br>調査の結果,測位成功率はラジオテレメトリーが100%(n=66),GPSが77.2%(n=92,うち3D以上が50.0%,2Dが39.8%)であった.月毎にみると,GPSの測位成功率に大きな変動はないものの,3D以上の割合が4月から低下し,逆に2Dの割合が増加した.この結果は,落葉樹の開葉と,ニホンザルの耕作地および遊休農地の利用の減少からもたらされた可能性がある.さらに,固定カーネル法で行動圏面積(95%)とコアエリア面積(50%)を求めたところ,ラジオテレメトリーではそれぞれ13.1km<sup>2</sup>,2.8km<sup>2</sup>,GPSではそれぞれ17.6km<sup>2</sup>,2.2km<sup>2</sup>と,GPSで得たデータのほうが,行動圏面積は大きく,コアエリアの面積は小さく算出された.この結果から,ラジオテレメトリーでは測位が難しい場所でも,GPSでは測位できること,地形が急峻な場所では,GPSが測位し難いことが影響している可能性があるといえる.
著者
中村 真司 中川 貴美子 原田 樹 栗田 康寿 藤井 真広 伊藤 宏保 菊川 哲英 吉田 昌弘
出版者
富山救急医療学会
雑誌
富山救急医療学会 (ISSN:21854424)
巻号頁・発行日
vol.33, 2015

【はじめに】多数傷病者発生事案では分散搬送が原則であるが、医療圏を越えての搬送は実際には難しい。今回、4人家族の交通事故において分散搬送し、状態安定後再集約する事案を経験した。<br>【症例】トンネル内での軽自動車と4tトラックの衝突事故。軽自動車乗車中の4人(両親、長男、長女)が受傷した。救急隊トリアージにて父親は骨盤骨折疑い、母親は大腿骨骨折疑い、子供2人は心肺停止であった。砺波医療圏MC医師の判断により、母親、長男は市立砺波総合病院へ、父親および長女は当院へ搬送された。<br>症例1: 2歳女児。来院時心肺停止。病着後8分、受傷後54分で心拍再開した。全身CTで外傷性くも膜下出血、高度脳腫脹、頸部血管損傷疑い、骨盤骨折、左大腿骨骨幹部骨折を認めた。脳腫脹強く、神経学的な改善は望めない状熊であった。<br>症例2: 28歳男性。右股関節脱臼骨折を認め、整復後にICU入室となった。<br>女児が重度脳機能障害のためBSCの方針となり、家族の集約を目的に、父親が第3病日に、女児が第4病日に市立砺波総合病院へ転院となった。なお、母親は大腿骨骨折、長男も心肺停止であったが、蘇生に成功した。<br>【考察】3次病院においても、小児2名の外傷CPAの初療は難しい。また、救急隊の判断による医療圈を越えた分散搬送は現実には難しい。今回はオンライン指示によるMC 医師の調整により、2名とも心拍再開することができた。現場医師要請、あるいは県全体のルール策定などにより、よりスムーズな現場分散搬送体制の構築が重要と思われた。<br>【まとめ】今回、我々は4名の傷病者、うち2名が小児の心肺停止であった事案を経験した。分散搬送することにより2名の心肺停止の小児を蘇生することができた。
著者
吉田 一彦
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.190-167, 2010-06-30
著者
吉田 昌弘
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.47-67, 2007 (Released:2017-03-28)

本研究の目的は、批判的談話分析という言語学的手法により、1918年の建国以来、多民族が共存してきた旧ユーゴスラヴィア連邦共和国の、1990年代における紛争の激化と民族浄化にまでいたった要因を解明し、将来的に類似の紛争防止に貢献することである。批判的談話分析とは、社会コンテクストや談話を分析して、その社会の共通認識やイデオロギーを考察するものである。本研究では、旧ユーゴスラヴィアの社会コンテクストを、クロアチア民族とセルビア民族の関係を歴史的に概観し、各民族指導者の他民族に対する言及を含んだ談話と紛争直前期のメディア報道の検証をおこなった。その結果、歴史的考察からは(1)第2次世界大戦以前までは、大規模な民族間の衝突は存在しなかったこと。(2)第2次世界大戦期には、旧ユーゴ紛争と類似の対立構造が存在し、同様に陰惨な民族浄化が行なわれたことが明らかとなった。また、第2次大戦期と旧ユーゴ紛争期の民族指導者の談話分析から、(1)他民族排斥イデオロギー(2)地政学的イデオロギー(3)優生学的人種イデオロギーを共有していたことが浮かび上がった。さらに、第2次世界大戦期の民族対立を利用したレトリックが、旧ユーゴ紛争に第2次世界大戦期の恐怖心を付与し、民族という枠組みで旧ユーゴ社会を「内集団・外集団」化してしまったことを検証した。以上の分析結果を総合し、(1)第2次世界大戦期からユーゴ紛争までの指導者層のイデオロギーと民族対立の構造が時間的連続性をもってこの地域に継続されていたこと。(2)連邦がひとたび崩壊すると、このイデオロギーや歴史的民族対立の記憶が表面化したこと。(3)レトリックにより生成された民族浄化国家のプロトタイプが、拡大再生産され、第3帝国と結合・巨大化し、そのプロトタイプこそが、紛争当事者に和平交渉の拒絶、他民族への憎悪の助長と排斥、徹底抗戦を促したのではないかと結論づけた。
著者
林 祐介 吉原 聡 吉田 久雄 見川 彩子 林 明人 藤原 俊之
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.417-422, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
28

【目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)術後患者における術後早期膝関節可動域が自立歩行獲得期間および在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】TKA 術後患者78 例を対象とした。年齢とBody Mass Index,術後4 日時点の膝関節可動域(自動・他動屈曲,自動・他動伸展),運動時痛と歩行時痛(Visual analogue scale),炎症所見(血清C 反応性蛋白)と術後7 日時点の膝関節伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメーター)を評価し,在院日数および自立歩行獲得期間に与える影響を重回帰分析(ステップワイズ法)にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,在院日数および自立歩行獲得期間に有意に影響する因子は,それぞれ自動膝屈曲可動域と年齢,および自動膝屈曲可動域と自動膝伸展可動域が抽出された。【結論】TKA 術後患者において,術後早期の自動膝関節可動域の拡大は,自立歩行獲得期間および在院日数の短縮に影響を与える可能性がある。
著者
吉田 彩
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.260-269, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
16

目的:在宅がん患者の看取りにおける家族の対処の過程を明らかにする.方法:がん患者の看取り期に訪問看護を利用した20名の家族を対象に,家族の対処の過程について半構造化面接を行った.分析は複線径路・等至性モデルを用いた.看取りの過程を一連の径路に示し,家族の対処とそれに影響した要因を検討した.結果:対処の過程は2つに大別され,その差異は,患者が臥床がちになるなどの看取り期の変化の時期に生じた.患者の変化を捉え,昼夜を問わず患者のそばにいるなどの対処をとった家族は,心身の不調をきたしながらも,「自分ができるだけのことを一生懸命やれた」という認識に至った.一方,患者の死を予期せず自分の生活を優先するなどした家族は,「患者との死別や死の状況は受け入れがたい」という認識に至った.結論:家族が心身の健康を保ちながら,看取り期の患者の変化に対処できる,介護への適度な距離を保つ必要性が示唆された.