著者
山口 彦之 吉田 芳和 田野 茂光 備後 一義 片桐 浩
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.349-356, 1985 (Released:2010-02-25)
参考文献数
23

Tradescantia (clone KU-7) were grown at three points near a site of nuclear power plants and somatic mutation frequencies in Tradescantia stamen hairs were investigated for three years. The two points are located in the prevailing down-wind sector of the site. Mutational events in stamen hair cells were scored every day from the end of April to October for three years. In parallel with this observation, factors which have been thought to affect mutation induction, such as temperature, humidity, insolation, pollutants, radioactivity in the buds were measured at the three points. The daily exposure and radioactive concentration at three points due to the amount of the radioactive nuclide released from the nuclear power plant were calculated.Mutation frequencies fluctuated daily, but they were estimated rather constant on average at three sites. Increase of radioactivities in the buds or other plant tissues was not detected during this experiment. The daily exposure and radioactive concentration were very low, for example, the ratio of the maximum daily exposure to the doubling dose was less than 1×10-7.It has been definitely shown by this field experiment that radionuclide released from the nuclear power plants can not induce significant mutation of Tradescantia.It was concluded that Tradescantia stamen hair system was not appropriate to monitor the environmental radiation from the power reactor.
著者
吉田 豊
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では,漢字で音写されたソグド人の人名について研究した。ソグド人はイラン系の言語を話す民族で,ソグディアナを本土とする。これはほぼ現在のウズベキスタン・タジキスタンの一部に当たる。中国の唐王朝以前の時代,彼らはシルクロードの交易をほぼ独占する商業民族として活躍し,遠く中国にも多くのソグド人が来ていた。中国に居住すると彼らは名前を漢字で表記したが,その場合には,ソグド語の名前を漢字で音写して使う者と,中国風の名前を持つ者がいた。おおむね二世・三世以降は中国風の名前を名乗っている。ちなみに彼らソグド人は,出身地のオアシス国家ごとに特別の姓を持つので,文献の中から彼らの名前を見つけることは容易である。たとえば,サマルカンド出身者は康,ブハラ出身者は安という姓を持った。本研究では,これら漢字で音写されたソグド語の人名を可能な限り収集した。そして対応するソグド語に復元する試みをした。そのためにはソグド語のテキストに現れたソグド人の人名を参考にしなければならないので,発表されているテキストからソグド人名を網羅的に種集した。本報告の主要な部分はこれら2種類の人名のリストである(4・5章)。漢字で音写された人名が現れる漢文試料の簡単な解説は3章にある。別に参考のために人名以外の漢字で音写されたソグド語の要素も可能な限り集めた。(2章)。1章ではこの種の研究の歴史を概観した。リストに続く2つの章では,音写された名前を原語に復元するさいに発生する問題(6章)と,人名研究から究明される事実を概観した(7章)。
著者
井田 仁康 吉田 和義 平澤 香 浅川 俊夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.3-10, 2012 (Released:2012-04-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

わが国の地理教育の現状を小学校,中学校,高等学校といった学校種からみると,以下のように整理できる.小学校では,身近な地域が主として学習され,地球儀や地図の学習も重視されているが,世界地理の位置付けが十分でない.中学校では,日本と世界の地理学習が主となっている.他方でスキルの習得も目指されるが,どのようなプロセスでスキルを習得させるのかが示されていない.高等学校では,必修である世界史を履修する生徒の約半数が地理を履修するにすぎない.学習活動としては,知識の獲得だけでなく,課題を見出していこうとする探究活動も含もうと試みられている.このような現状を踏まえて,小学校から高等学校までの学習内容の配置,スキルの段階的習得の提示,教員の研修などが課題としてみえてくる.
著者
宇佐美 毅 稲葉 明穂 吉田 宏 五十里 明 富永 祐民
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.440-446, 2012

<b>目的</b> 本研究の目的は,飲食店における受動喫煙防止対策の現状とともに,飲食店禁煙化が経営に与える影響について明らかにすることである。<br/><b>方法</b> 愛知県全域(ただし,名古屋市,豊橋市,豊田市,岡崎市を除く)の飲食店8,558店舗を対象として,調査員の訪問調査により,受動喫煙対策の実施状況,禁煙後の来客数と売り上げの変化等を調べた。調査期間は,平成21年11月 1 日から平成22年 2 月末までとした。<br/><b>結果</b> 質問に回答した店舗は7,080店舗(82.7%)で,受動喫煙対策の実施状況は禁煙店舗が16.4%,分煙店舗が20.2%であり,残りの63.4%の店舗では受動喫煙対策は未実施であった。<br/>  飲食店の業種別にみると,カレー専門店,ファストフード店,などでは禁煙が進んでおり,バー,焼肉店,居酒屋,お好み焼き店などではほとんど禁煙化が進んでおらず,飲食店の受動喫煙対策は二極化していることが判明した。また,禁煙店舗については禁煙化後の来客数と売り上げは約95%の店舗で変化がなく,来客数と売り上げが増えた店舗が1.5%,減った店舗が3.9%であった。<br/><b>結論</b> 愛知県で行われた大規模な,飲食店における受動喫煙対策の実態と禁煙化による経営に関する調査によると,禁煙化による顧客数や売り上げの減少など影響は少ないと考えられた。
著者
藤通 有希 小佐古 敏荘 吉田 和生 浜田 信行
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.86-96, 2013 (Released:2014-03-06)
参考文献数
57
被引用文献数
3 2 1

The International Commission on Radiological Protection (ICRP) has classified radiation cataract as tissue reactions (formerly known as deterministic effects or non-stochastic effects) for which a threshold dose exists, and recommended an equivalent dose limit for the lens of the eye to prevent vision-impairing cataracts. A recommended occupational dose limit has been 150 mSv/year predicated on the threshold of >8 Sv since the 1980 Brighton Statement, but was drastically lowered by the 2011 Seoul Statement to 20 mSv/year, averaged over defined periods of 5 years, with no single year exceeding 50 mSv. Such a new limit was included immediately in the Interim Edition of General Safety Requirements Part 3 of the International Atomic Energy Agency. In contrast, a dose limit of 15 mSv/year for members of the public has not been changed since the 1990 Recommendations. This paper considers the impacts of a new limit focusing on conformity with cancer risk management, the necessity of the public dose limit in planned exposure situations and the occupational dose limit in emergency exposure situations. Potential issues arising from its implementation shall also be discussed especially in terms of the compensation problem and the possibility of exceeding a dose limit in interventional cardiologists.
著者
市橋 則明 吉田 正樹 篠原 英記 伊藤 浩充
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.487-490, 1992-08-01
被引用文献数
10

健常女性8名を対象に, スクワット動作時の下肢筋(内側広筋, 大腿直筋, 大腿二頭筋, 腓腹筋)の筋活動を測定し, スクワットが各筋に与える影響を検討した。その結果, 30度での片脚スクワットで腓腹筋が36.0%と他の筋に比較して大きな% IEMGを示したが, 他の3筋は10〜20%とほぼ同じ値を示していた。60度での片脚スクワットでは, 4つの筋の有意な差はみられなかった。また, 最大下肢伸展動作時の% IEMGは, 内側広筋と大腿直筋が他の筋に比較し大きな値を示した。さらに, 30度における最大下肢伸展においては内側広筋が大腿直筋よりも有意に大きな値を示した。closed kineic chainでの訓練においては, 各筋の活動状態を知ることが重要である。
著者
松井 一乃 金高 一 池部 実 吉田 和幸
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成24年度電気関係学会九州支部連合大会(第65回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.275, 2012-09-14 (Released:2014-12-17)

現在のspam対策は,検出率は高いが全てのメールに対策を適用するため通常メールの受信までに遅延が発生するものや,負荷が軽く検出率も高いが誤検知が多いなど,どの対策にも欠点と利点が存在する. 本研究では,メールフィルタプラグインであるmilterを用いてspam対策を組み合わせることで,負荷が軽く検出率の高いもので対策を行った後に誤検出されたメールを他のspam対策で救済するなど,利点を生かしながら欠点を補うことで効率的なspamメールの排除を目指す. 本論文では,milterを管理するmilter-managerを用いたメールサーバの設計・運用を行い,その有用性について検討する.
著者
小宮山 誠一 目黒 孝司 加藤 淳 山本 愛子 山口 敦子 吉田 真弓
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.336-342, 2002-11-20
参考文献数
13
被引用文献数
4

デンプン含量は,ジャガイモ調理・加工後の調理特性に大きな影響を及ぼす要素である。本試験は,産地および流通段階におけるデンプン含量のばらつきを明らかにするとともに,各種調理法別にデンプン含量で仕分けした試料(デンプン含量12〜16%)を用いて,デンプン含量が調理特性に及ぼす影響について検討を行った。その結果は次のとおりであった。1)個々のいもに対するデンプン含量は,株内,株間および産地間で大きく変動し,その分布幅は6.4〜20.0%であった。2)粉ふきいも,ふかしいも,電子レンジ加熱およびフライドポテトでは,デンプン含量が高いいもほどほくほく感が増し,食味総合評価は高かった。肉じゃがおよびカレーに見られる煮物調理では,デンプン含量の低いいもほど煮くずれが少なく,食味総合評価は高かった。ポテトサラダは,デンプン含量の高いいもの評価が高かった。3)デンプン含量が高いいもほど遊離アミノ酸含量は低く,とりわけうま味を呈するグルタミン酸含量は,デンプン含量15%以上で顕著に減少した。
著者
吉田 奎介 白井 良夫 塚田 一博 川口 英弘
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

初年度と2年度にはMCPAとBOPの至適投与量に関する基礎的検討並びに農薬検出法の検討を行った。最終年度は、MCPAのBOP胆嚢発癌促進作用並びに胆石症患者胆汁中の農薬排泄の有無につき検討した。1. BOP長期投与によるハムスタ-胆道上皮の変化及びMCPA同時投与の影響: (1)BOP単独投与の効果;BOP20ppm含有水を摂取させ、20週で肝内に細胆管増生86.7%、異型上皮20.0%、肝外胆管に異型上皮6.7%、胆嚢に異型上皮6.7%の発生を認めた。(2)MCPA単独投与の効果:MCPA 4000ppm含有固形飼料摂取20週で肝内には細胆管増生を60.0%に認めたが、異型上皮の発現は認められなかった。(3)BOP,MCPA同時投与の効果:肝内には細胆管増生100%、異型上皮12.5%を認め、肝外胆管に上皮内癌6.3%、異型上皮31.3%を認めた。 小括:MCPA単独では胆道に異型上皮を誘発しなかったが、BOPによる異型上皮の発生を有意に(P〈0.05)促進し、少数ながら胆管癌の発生を誘発した。今回の実験では、胆嚢に異型上皮は発生しなかった。2.人胆汁中農薬の検出について: 人胆汁中にCNPが1pg/μ1、p,p'ーDDTO.8pg/μ1及びBHC(痕跡)が検出された。しかしMCPAは検出されなかった。〔結論〕MCPAは、BOPによる胆嚢の異型上皮の発生を促進しなかったが、胆管ではBOPによる異型上皮の発生を促進した。この結果より、MCPAは胆道上皮に対して発癌プロモ-タ-作用を持つ可能性が示唆された。人胆汁中では、MCPAは検出されなかった。今後、土中ならびに人体内でのMCPAの分解・代謝過程を明らかにし、MCPAならびにその代謝産物の胆汁中排泄の有無を確認したい。疫学上胆道癌死亡率と関連性有りとされたCNPが胆汁中に検出されたことより、その発癌作用についても検討する必要がある。使用禁止後長期経過した農薬が未だに人胆汁中に検出されたことから、体内残留農薬の発癌への影響についても検討が必要と考えられた。
著者
吉田 愛 伊藤 雄一 尾崎 麻耶 菊川 哲也 深澤 遼 藤田 和之 北村 喜文 岸野 文郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.21, pp.65-68, 2009-06-08
被引用文献数
1

雨は時間や場所に依存してさまざまな様相を呈し,独特の印象を人に与える.そこで,雨を情報として他者と共有することができれば,今までにはない情報共有の手法となると考えられる.本研究では,雨と人をつなぐインタフェースである傘に注目し,雨を再現して体験できる装置の実現を目指す.具体的には,ダイナミック・スピーカの構造を利用して,実際の雨が傘に当たることで傘軸に発生する振動を記録,再生できるシステム「アソブレラ」を実現する.また,アソブレラを用い,雨だけでなくビー玉や蛇など様々な物を傘で受け止める感覚を体験できるアプリケーションや,雨をリアルタイムに伝達し合うアプリケーションを実装する.
著者
山中 裕樹 崔 恩瀞 吉田 則裕 井上 克郎 佐野 建樹
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.1-8, 2012-08-21

ソフトウェア保守における大きな問題の一つとしてコードクローンが指摘されている.コードクローンとは,ソースコード中に,互いに一致または類似した部分を持つコード片のことである.コードクローンに対する主な保守作業として,クローンセット(互いにコードクローンとなっているコード片の集合)に含まれる全てのコード片を一貫して編集する同時修正と,クローンセットを1つのサブルーチンにまとめる集約が挙げられる.本研究では,コードクローンに対する保守作業を支援することを目的としたコードクローン変更管理システムの開発を行った.そして,企業で行われているソフトウェア開発に適用することによって,本システムの有用性を確かめることができた.
著者
吉田 巖
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.95-103, 1914-03-20 (Released:2010-06-28)
著者
牧 謙一郎 高野 忠 相馬 央令子 石井 健太郎 吉田 真吾 中谷 正生
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.375-384, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
24
被引用文献数
2 6

Electromagnetic emissions observed in a series of rock fracture tests are described. Four kinds of rocks, basalt, gabbro, granite and quartzite were pressed by uniaxial compression to fracture, for all of which many signals were detected at two microwave bands (2GHz and 300MHz). These detected signals consist of intermittent pulses of a short duration. Comparing the microwave records and the observation with a high-speed digital video camera, we found that the pulse signals were generated after the decrease of the axial load, and even after the macroscopic fracture (deformation) was completed. This differs from the occurrence of lower frequency emissions (0.3-300kHz) monitored as well, which became active and was strongest during the load decrease. The occurrence of signals at the two microwave bands did not always coincide, but a signal at 300MHz often followed a signal at 2GHz with a short interval of 50-100ns. An additional detector at 22GHz picked up emissions only for quartzite, which occurred exclusively during the decrease of axial load.
著者
吉田 晃
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.384-387, 2017-08-20 (Released:2018-02-01)
参考文献数
5

ラヴォワジエの研究の出発点は1772年のリンと硫黄の燃焼実験であり,その際の質量変化に着目したことであった。2年後には,プリーストリから示唆された酸素気体を対象として定量実験を繰り返し,この酸素が質量変化をもたらす原因であることを突き止め,フロギストンではなく酸素と結びついていた熱素(カロリック)の遊離が燃焼の際の熱をもたらすことを明らかにした。
著者
長谷部 理佐 坂本 壮 中村 聡志 藤森 大輔 吉田 隆平 糟谷 美有紀 伊藤 史生 高橋 功
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.246-249, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
10

除草剤の一種であるパラコートは, 致死率が高い製剤であることから本邦では1999年に生産が中止された。しかしパラコートを5%に希釈した低濃度製剤であるパラコート・ジクワット製剤 (以下, PGL) は現在も販売されており, PGL飲用による死亡例は現在も散見される。2015~2021年に当院で経験したパラコート中毒の5例を検討した。1例は誤飲が原因で, 4例は自殺企図で飲用された。1例はパラコートで, 4例はPGLであった。患者背景としては精神疾患が多いとされているが, 当院の症例も精神疾患やうつ状態の背景疾患があった。また, 農村地域・農家での報告が多く, 当院も農村地域に位置することから, パラコート・PGLが容易に入手できたと考えられる。中毒発生防止のためには行政的対応以外に保管者への啓発が重要と考える。