著者
松本 利恵 米持 真一 丸山 由喜雄 小久保 明子 坂本 和彦
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.135-143, 2006-05-10
被引用文献数
3

埼玉県南西部の産業廃棄物焼却施設が集中して存在していた地域において,1999年7月から2000年7月まで大気沈着物の観測を実施した。その結果,焼却施設群の中心部や風下の地点でnss-Cl^-沈着量が大きくなる傾向を示していた。調査地域に存在する大気汚染防止法の規制対象の廃棄物焼却施設について,経済産業省低煙源工場拡散モデルを用いて採取地点付近のばい煙の相対的な影響度を推計したところ,観測したnss-Cl^-沈着量と比例関係が得られた。この関係を用いて,大気汚染防止法の対象となる民間の産業廃棄物焼却施設,市町の一般廃棄物焼却施設,およびその他の要因に由来するnss-Cl^-沈着量の割合を推計した結果,地点により異なるが,調査した10地点の要因別寄与割合の平均はそれぞれ55%,38%,7%であった。
著者
中井 裕一郎 坂本 知己 寺嶋 智巳 北村 兼三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.581-588, 1995-11-01
被引用文献数
2

常緑針葉樹林では森林樹冠層の冠雪量が多いことから,降雪期における遮断蒸発量が大きくなる可能性がある。これは水資源としての積雪水量の損失であり,このような降雪の遮断蒸発量を気候条件や森林状態によって評価することが森林管理上重要である。このため,降雪の遮断蒸発量を調べることを目的として,札幌市の密な21年生トドマツ林において冠雪量の収支に関する観測を行った。まず,冠雪重量の連続測定の結果,冠雪量の時間変化から蒸発量の日変化および冠雪量の冬期間を通じた変動特性が得られた。冠雪としての保水量は最大20mm以上になった。真冬日の連続する厳冬期は冠雪が長期間継続して維持されたが,より温暖な時期には降雪中と降雪直後をのぞいて冠雪の完全な消失がしばしばみられた。次に,森林内外の降水量の収支によって1〜2月の8〜14日間ごとの積算蒸発量を求めた結果,各期間の平均蒸発量は0.7〜2.3mm・d^<-1>の範囲にあった。
著者
谷津 三雄 山口 秀紀 落合 俊輔 吉井 秀鑄 石橋 肇 渋谷 鉱 馬渡 亮司 坂本 嘉久 吉田 直人 吉村 宅弘 米長 悦也
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

「東西医学融合」の観点から歯、顎、口腔領域における東洋医学療法の基的的並びに臨床的研究を行うことを目的として本研究を企図し、次に述べる項目について検討を加えた。1.基礎的研究(1)脳波から見た鍼灸の効果・針刺激は大脳皮貭の広範囲な部位に作用しB波帯域の減衰と日波およびの波帯域が増大することから、針刺激は心身のリラックスと精神の集中効果が期待される。また、効果時間は比較的早く出現(10〜15分)することも確認できた。(2)針麻酔の効果判定に関する研究:パルス(低周波)通電器の最適刺激量,低周波通電時と笑気吸入鎮静法の鎮痛効果の比較,ソフトレ-ザ-の疼痛閾値へ及ぼす影響ならびにその効果についてサ-モグラフィを用いて観察した。その結果、パルス通電量には「通刺激」量のあること、通電針麻酔と10%笑気吸入との併用は20%笑気吸入鎮静法と同程度の鎮痛効果のあることがわかった。また、ソフトレ-ザ-の照射は断続照射よりも連続照射が効果があり、一側の合谷の照射は反対側の合谷の皮膚温をも上昇させ経絡現象の一端を思わせた。2.臨床的研究(1)咬合異常関連疾患への鍼灸療法の応用(2)全身麻酔後の咽喉頭障害への応用(3)歯科領域への鍼灸および漢方療法の応用について研究した。(1)については貭問紙法による「愁訴」の改善効果と顎関節痛と開口障害の改善が著明であった。(2)において「嗄声」への著効を示した。(3)の項目では、急性開口障帰,特発性三又神経痛、アフタ性口内炎に対する刺絡療法,葛根湯の効果,針麻酔による下顎骨骨折の治療,咽吐反射の抑制などに応用しその効果が確認された。
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.
著者
東 順一 坂本 正弘 梅澤 俊明 島田 浩章 坂本 正弘 東 順一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,タケの有する高シンク機能の統御機構の解明を目指して実施したものである。中心的な解析手法としてイネのマイクロアレイを用いた。これは,タケの遺伝子がイネの遺伝子と相同性が非常に高く,イネのマイクロアレイが利用可能であると考えたからである。タケノコ,全長5m39cmの幼竹の第17節間の上部と下部,成葉からmRNAを抽出,cDNAを合成してマイクロアレイ実験に供した。アレイ解析の結果,解析した約9,000個のクローンのうちタケノコで特異的に発現したクローンが78個,節間下部で特異的に発現したクローンが635個あった。タケノコではDNA複製やタンパク合成に関与する遺伝子が多く,細胞増殖が盛んであることが伺われた。また,ジベレリン関連遺伝子の発現量も多く,伸長成長に関与すると言われてることを分子レベルで明らかにすることができた。節間下部でとくに発現量の多いクローン34個を選抜して解析したところ,ショ糖合成酵素やセルロース合成酵素などの糖代謝関連遺伝子が多かった。また細胞間連絡に関与している遺伝子や,水輸送に関与するアクアポリンなどの遺伝子の発現量も多かったことが注目される。節間下部でとくに発現量が多かったショ糖合成酵素の遺伝子(以下Susと略)に着目して解析をおこなった。Susはの3クローンのクローニングに成功した。うち2つのクローンはSus1グループに属し,1つはSusAグループであることがわかった。RT-PCRによる発現解析ならびにSus1抗体を用いたウェスタン解析の結果から,伸長成長期にあたる幼竹段階ではSus1の発現量が多かったのに対して,組織が成熟するにしたがってSusAクローンの発現量が増加した。このように,組織・時期においてショ糖合成酵素内におけるクローンの役割が交代しており,タケの伸長成長期において重要な役割を担っていることが強く示唆された。
著者
坂本 季詩雄
出版者
愛知工業大学
雑誌
愛知工業大学研究報告. A, 基礎教育系論文集 (ISSN:03870804)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.33-40, 2000-03

"Hardboiled" is an adjective for the style of Earnest Hemingway and Dashiell Hammett. Rarely have critiques these days said that their styles are similar because Hemingway is a Nobel Prize winner and is supposed to be a greater artist, who has been influenced by eminent modernists such as Gertrude Stein and Ezra Pound, than Hammett, who is just a detective story writer from a pulp magazine for the lowbrow. Both of them, however, definitely shared the same Zeitgeist after World War I, which led to a nihilistic resignation to the destroyed identity and the consequential isolation from the community. Their "hardboiled" style could unexpectedly be born from the same root in the different places, Paris and San Francisco in the 1920s
著者
中澤 理恵 坂本 雅昭 草間 洋一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.119-123, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
21
被引用文献数
7 3

本研究の目的は,中学生サッカー選手における身長成長速度曲線の成長区分(phase)と下肢筋の柔軟性との関係について検討することである。対象は中学生男子サッカー部員107名とし,傷害の有無や身長成長速度,下肢筋柔軟性について調査・測定した。その結果,体幹・下肢に傷害のない70名のphaseの内訳は,phase I 4名(phase I群),phase II 28名(phase II群),phase III 38名(phase III群)であった。また,phase II群およびphase III群間で下肢筋柔軟性を比較した結果,phase III群の右腸腰筋,左大腿四頭筋,右ハムストリングス,左下腿三頭筋が有意に低下していた。これは,身長の成長促進現象に伴う骨および筋・腱の成長の不均衡の長期的な蓄積およびサッカーの競技特性のひとつであるキック動作が影響を及ぼしたものと考える。今後,縦断的に身長成長速度曲線と筋柔軟性の関係を検討していくことの必要性が示され,成長期スポーツ障害予防への関与の可能性が示唆された。
著者
松井 清夫 坂本 弘 石須 哲也
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.10, no.10, pp.489-495, 1968-10-20

The majority of the famale workers in the spinning industries in Japan live in their boading-houses. Therefore, the new-comers have need of adjustment to both the labour and the new mode of living. In this report, the psychological adjustment to the new mode of living in their boading-house was investigated. As new-comers come from all the provinces in Japan, their wordings (dialects) are diverse. This was troublesome for them. Other perplexities for them were: how to spend money well, living with many boaders in a room, etc. The majority of them had adjusted themselves to these within three months. But, workers from Ryukyu had different appearances. They had been afflicted with association with workers from other provinces. After the Second World War, Ryukyu was separated from the mainland of Japan and was shifted under the rule of U.S.A. The state of affairs in the mainland was teached in the school of Ryukyu, but, in the mainland, the state of affairs in Ryukyu was faded away in the school education. Therefore, the workers from Ryukyu have extensive knowledge concerming the mainland. They have passion and nostalgia to the mainland. On the other hand, the workers from the mainland have little knowledge of Ryukyu, and they have not recognized the workers from Ryukyu as compatriots. The workers from Ryukyu were distressed by these dislocation in their consciousness. Therefore, the workers from Ryukyu took aggressive group action occasionally, and then several cases of neurosis or psychosomatic diseases were observed among them. An industrial effort on the mental health of the new-comers were made, i.e. the head of roommates was educated as an opinion-leader in their daily life. Then, though the adjustment to their daily superficial life has been made smooth, the above mentioned dislocation in their consciousness between the workers from the mainland and those from Ryukyu could not be solved. In these problems of adjustment of the newcomers the industrial mental health may be closely related to the school education.
著者
橘 秀樹 押野 康夫 山本 貢平 桑原 雅夫 上野 佳奈子 坂本 慎一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成10年に改正された「騒音に係る環境基準」では、環境騒音の状況に関して従来の点的把握から面的把握に変更され、評価指標としても騒音レベルの中央値(L50)から国際的に広く用いられている等価騒音レベル(LAeq)に変更された.また「環境影響評価法」でも大規模開発の際には環境の変化を正確に把握することが必須となった.このような背景の下に、本研究では、騒音のエネルギー的平均値を意味する等価騒音レベル(LAeq)によって環境騒音の状況を正確に把握あるいは予測し、その結果を客観的な形で表示する手法を確立することを目的として、以下の研究を行った。(1)道路交通騒音の予測・モニタリングに関する検討わが国における統一的な道路交通騒音予測モデルであるASJ RTN-Model 1998の内容をさらに充実するための基礎的研究として、大型車の影響や都市部における垂直方向の騒音分布に関する実測調査や、掘割・半地下道路からの騒音伝搬の計算手法の簡易化、きわめて複雑な特性を有する交差点周辺の騒音予測手法の開発などを行った。また、騒音対策として多用されている遮音壁の挿入損失の数値解析手法の検討や建物群による騒音低減効果などについても、検討を行った。(2)騒音伝搬特性の測定法に関する検討屋外では、騒音の伝搬に対して風などの気象条件による影響が大きく、またそれによって伝搬特性が時間的に変化する問題(時変性)が大きな問題となる。このような環境下において騒音の伝搬特性を精度よく測定する方法について、時間伸張(TSP)信号を用いる手法などについて、理論的・実験的検討を行った。(3)建設工事騒音の予測に関する検討最近では、各種の建設工事に伴って発生される騒音についても、環境アセスメントの対象となってきており、この種の騒音の予測手法を開発する必要がある。そこでそのための基礎的検討として、時間変動特性がきわめて多様である建設工事用機械類を対象とした騒音源データの測定・表示方法、LAeqを基本評価量とする騒音予測計算法の基本スキームについて検討を行った。
著者
坂本 元子 藤沢 由美子 石井 荘子 小林 幸子 川野辺 由美子
出版者
和洋女子大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

生体防衛反応に及ぼす無機質・微量栄養素欠損の影響を検討する目的で、栄養素としてマグネシウム(Mg)をとりあげ、Mg欠乏ラットを用いて検討を行った。初年度はMg欠乏時の補体系の動態を、2年目はMgのmarginal欠乏状態時及び欠乏初期の補体系の変動を観察した。更に3年目はMg欠乏時の免疫応答能について検討した。いずれもSD系の雄ラットを用い、Control食(Mg:73ppm)、Mg欠乏食(Mg:10ppm)及び2年目は低Mg食(Mg:30ppm)で飼育し実験に供した。補体系の検討は各飼料で3週間飼育後回復食を投与、各週毎の血中補体C3濃度、補体溶血活性(CH50)等を測定した。Mg欠乏初期の検討は、欠乏食飼育0、1、2、3、5、及び7日目の血液を同様に実験に供した。免疫応答能の検討では、欠乏食飼育1、2週目の脾臓及び腹腔マクロファージ(Mφ)を用い、マイトジェン(ConA、LPS)刺激による幼若化反応及びサイトカイン(IL-1、IL-2等)産生能を検討した。補体系の動態はC3濃度及びCH50がMg欠乏食飼育により著明な上昇を示し、この変化はMgの補充により回復した。また、Mg欠乏状態の程度が強くなるに従ってC3濃度及びCH50は上昇していた。Mg欠乏初期の観察では、C3濃度及びCH50の上昇が顆粒球数の増加に先がけて観察された。従って、Mg欠乏時の補体系の上昇はMg自体の欠乏で引き起こされ補体の活性化に伴って産生されるfragmentの作用により白血球の増加が起こる可能性が示唆された。一方、免疫応答に及ぼすMg欠乏の影響では、ラットの脾細胞マイトジェン刺激試験で、欠乏食飼育1週目においてConAに対する反応性が著しく低下していたが、その時のIL-2産生の低下はみられなかった。MφのIL-1産生低下も認められないことから、Mφの他の機能である抗原提示能やリンパ球増殖及び抑制等の機能の一部がMg欠乏により変化している可能性も考えられ、更に詳細な検討が必要であると思われる。
著者
竹井 祥郎 安藤 正昭 坂本 竜哉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究において、グアニリン、アドレノメデュリン、リラキシンなどのイオン排出・降圧ホルモンが魚類で多様化しており、それらが魚類の浸透圧調節に重要であることを明らかにした。また、飲水を抑制するナトリウム利尿ペプチドと促進するアンジオテンシンが、延髄の最後野に作用して嚥下による反射的な飲水を調節していることを明らかにした。この結果は、前脳に作用して「渇き」という動機づけにより飲水する陸上動物と異なる。
著者
長谷波 一史 坂本 敏幸 三野 三夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.39, pp.1-5, 1992-06-26

This paper describes the method of the production of Computer Graphics with reality using the Images observed by Satellites and its application to TV programs. This method consists of generation of 3 dimensional geographical model from contour map and correction of Satellite's Image distortion and synthesis of 3 dimensional geographical model with Satellites Image. This method was applied to NHK special program "The Virgin Peak Namchabarwa" and showed its effectiveness.
著者
坂本 竜哉
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アユモドキの河川本流と産卵場所である氾濫原の間での回遊を見出した。これは淡水域に限られ、数kmと小規模である。野外調査から遡上と産卵を制御する環境-内分泌要因を示唆し、それを基に飼育下での行動の再現に成功した。現在、水没した陸地から生じる"におい"や、テストステロン、甲状腺ホルモンに絞りつつある。サケ科魚類等との比較から、これらは普遍的な回遊の制御要因である可能性がある。このシンプルかつコンパクトな「非通し回遊」は、回遊研究の魅力的なモデルであると思われる。
著者
竹田 正幸 篠原 歩 坂内 英夫 瀧本 英二 坂本 比呂志 畑埜 晃平 稲永 俊介
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,圧縮データ処理に基づいて軽量XMLデータベース管理システム(DBMS)のための基盤技術を確立することを目標とし,主として以下の成果を得た.(1) 高速で軽量なオンライン文法圧縮アルゴリズムの開発. (2) 圧縮データ上で動作するq-グラム頻度計算アルゴリズムの開発. (3) 高速XMLデータストリームフィルタリング技術の開発. この他,DBMSの備えるべき知的データ処理機能として,パターンの効率的な枚挙,分類,オンライン予測等に関する研究を行い,多くの成果を得ている.
著者
坂本 竜哉
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、魚類の浸透圧調節ホルモン、特に昨年初めて鉱質コルチコイドの存在が示唆された副腎皮質ホルモンの作用を世界に先がけアップデートすることを目的としている。広塩性魚類の浸透圧調節器官の一つである消化管を用いる。消化管は海水中では上皮透過性が高まり水の吸収能が増大する。食道の分化におけるコルチゾルの作用機序を検討するため、器官培養系を確立した。分子レベルの解析のため遺伝子基盤の最も整った広塩性魚のメダカを選定した。アポトーシスはヌクレオソーム単位に断片化したDNAの酵素免疫法による測定から定量した。また、細胞増殖は代謝活性測定により定量した。血中濃度を反映した1〜1000nMのコルチゾルの効果を調べた。アポトーシスは10nMコルチゾル添加8日後に有意に誘導された。しかし、高濃度の100、1000nMでは効果が消えた。一方、細胞増殖はコルチゾルの濃度に依存して誘導され、1000nMの添加8日後で有意であった。これらの作用はいずれもGRのアンタゴニストによりブロックされた。また、DOCの効果は見られなかった。すなわち、コルチゾルは食道においてGRを介して、低濃度でアポトーシスを、高濃度で細胞増殖を誘導している。一方、DOC-MRの関与は少ない。従って、魚類ではミネラルコルチコイド系が同定されているが、グルココルチコイドが浸透圧調節の重役を担っていると思われ、副腎皮質ホルモン作用の進化の上で極めて興味深い。GRを介した双方向の作用は、コルチゾル-GRの標的遺伝子がコルチゾルの濃度により違うことによると思われる。現在メダカのオリゴヌクレオチドアレイによりその遺伝子の同定を進めている。