著者
川原 淳子 石橋 通江 坂本 洋子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.134-146, 2005-03-01

本研究の目的は、看護学生が認知的煩雑性によって対人認知に関する偏見的判断を促進させるか否かを検証することである。方法は、看護大学生103名を対象に、精神障害者に対する対人認知についての調査用紙を作成し実験を行なった。実験内容は、認知負荷強度3条件および、精神障害者ラベル提示有無の6つの実験群を設定し、それらの条件間で、認知する人物に対する印象、認知する人物の行動予測、認知する人物に対する自己の行動意図について測定した。その結果は、実験における認知負荷操作の有効性は確認できたものの、仮説を支持する結果は得られなかった。看護学生の対人認知傾向として、認知する対象人物が精神障害者である場合は認知的煩雑性によってその人物によりポジティブな印象形成が促進され、その人物のよりポジティブな行動予測が促進される傾向にあると考えられた。また、認知する対象人物の印象とその人物の行動予測、その人物に対する自己の行動意図には、他に異なる認知過程があることが示唆された。
著者
坂本 由美子 坂田 由美 坂本 一俊 川崎 いち恵 栗又 真奈美 宮本 和典
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.179, 2010

<はじめに>当院は病床数900床の三次救急を行なう地域の中核病院である。救命救急センター、NICU等を有し24時間365日救急患者を受け入れている。1ヶ月間の救急車搬入人数は約650人。臨床検査部は総勢55名。緊急検査室は日勤5名(輸血部兼任)、日直帯3名、宿直帯2名(24時間勤務)で対応している。<BR><現状>三次救急病院のため即診断に結び付けられるように当検査室では多数の項目を実施し、日直時には機器の精度管理やメンテナンスも行なっている。当直は技師全員のローテーションで行なうが専門分野化された日常業務とは異なり全ての分野を1人で行わなければならず、さらに夜間の救急車搬入数や検体数も年々増加しているため負担はかなり大きい。そのため新採用者、特に新卒者は不慣れな面が多いためスムース゛に当直業務が行なえるよう半年間緊急検査室で研修する。夜間医師からの問い合わせが多い質問等はイントラネットの検査部ホームヘ゜ーシ゛に掲載しいつでも閲覧できるようにしている。また故障時対処マニュアルの変更点やインシテ゛ント対処法等をその都度伝達している。新人に限らず申し出があれば随時緊急検査や輸血検査のトレーニンク゛を行い、当直の不安を取り除くよう努めている。その他困った時には日勤担当者に電話をして指示を仰いだり、対処不能と判断すれば日勤担当者が病院に駆けつけるようにしている。<BR><まとめ>転勤者や新採用者にとって短期間の研修で当直に入るという事はかなり負担が大きい。新人が1日も早く業務に慣れるよう集中的に緊急・輸血検査を研修することで負担を軽減したい。自然災害などの非常事態の状態でもミスを未然に防げるような工夫をし、誰が実施しても早くて正確な結果を臨床に報告できる緊急検査室を構築していきたい。
著者
勝谷 紀子 岡 隆 坂本 真士 朝川 明男 山本 真菜
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.107-115, 2011-03-31 (Released:2017-05-01)
被引用文献数
1

本研究は,日本の大学生が「うつ」に対してどのような素朴な概念(しろうと理論)をもっているかについて,自由記述データに対するテキストマイニングおよびKJ法で検討した.首都圏の313名の大学生が調査に回答した.「うつ」という主語を用いて,文章完成法による自由記述を求めた.305名分の自由記述の内容について3名の評定者によるKJ法を用いた内容整理,および形態素レベルに分割してテキストマイニングを用いた内容分析をおこなった.その結果,うつの一般的な特徴,うつの人々へのイメージ,うつの特徴,うつの原因,うつの治療法についての記述がみられた.うつのしろうと理論を検討することの理論的示唆について考察した.
著者
中村 恭子 吉谷 明敏 清水 伸二 坂本 治久
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.807, pp.4389-4399, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

The contact stiffness of joints has been evaluated experimentally and the method quantifying them has been proposed by authors. However it was found out that the range of application for this method was limited, since the method was based on the assumption that the relationship between force and real contact area of the joint is linear. Therefore, in this paper, we consider a widely applicable and more general identification method of the contact stiffness which can be applied to the joints in which the relationship between the force and the real contact area shows non-linear characteristics. As a consequence, following results are obtained. (1) The model of the joint interface with surface roughness can be made as a surface covered by springs with same length and spring constant along the profile of surface roughness. (2)The identification method of the contact stiffness of the joint based on the model can be applied to the joints, even if the relationship between the force and the real contact area of the joints is non-linear. (3) The contact stiffness per real contact area k shows constant regardless of the applied force in the joint where the relationship between the force and the real contact area is non-linear.
著者
坂本 秀樹 森 啓信 小嶋 文博 石黒 幸雄 有元 祥三 今江 祐美子 難波 経篤 小川 睦美 福場 博保
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-99, 1994
被引用文献数
1 23

トマトジュースの連続飲用による血清中のカロテノイドの濃度の変化を調べた。また同時に飲用による血清中のコレステロール濃度の変化も調べた。65名の被験者を1日1本, 2本, 3本のトマトジュース飲用区と対照のリンゴジュース1本の飲用区の4区分に分け, 連続4週間の摂取を行った。<BR>1) リコペン濃度は飲用本数の増加に従い有意に増加し, 2本以上の区分では飲用後の飲用前に対する血清中濃度は3倍以上となった。<BR>2) β-カロテンは, トマトジュース中の含有量はリコペン量の約1/30であるにもかかわらず, 血清中において有意な増加を示し, 3本の区分では飲用後の飲用前に対する血清中濃度は約2倍近くとなった。<BR>以上の結果より, トマトジュースの飲用は血清中のリコペンとβ-カロテンの濃度上昇に有効であることが明らかとなった。<BR>3) トマトジュース中のリコペンはall-<I>trans</I>型がほとんどであるのに対して, 飲用後の血清中ではcis型の増加も見られたことから, 体内ではリコペンの異性化起きていることが示唆された。<BR>4) いずれの試験区においても, 血清中のLDL-コステロールをはじめとする脂質の増加は見られず, トマトジュースの飲用によるカロテノイドの血清中の濃度上昇は, 血清脂質濃度の上昇を促さないと考えられた。
著者
坂本 つや子
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.75-91, 2012-03-30

クリストファー・マーロウの戯曲に頻出する衣装と宝飾品の意味について、1.TheTragedyofDido,QueenofCarthageでは女王ダイドー、2.TamburlainetheGreat,PartsOneandTwoではタンバレンおよびゼノクレィティ、3.EdwardtheSecondではエドワード2世と王妃イザベル、寵臣ギャヴスタン、貴族たち、聖職者たち、4.DoctorFaustusではフォースタスについて考察する。全ての作品において、衣装と宝飾品は権力権威の表象となり、それが登場人物たちの支配への欲望、あるいは自分を中心にした秩序構築への欲望を満たすための手段として機能していることが明らかである。
著者
坂本 智弥
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

脱共役タンパク質(UCP-1)の活性化を介してエネルギーを消費する、褐色・褐色様脂肪細胞は、全身の糖脂質代謝制御に重要な役割を果たすことが近年明らかとなった。我々はこれらの細胞の発生・活性に伴うエネルギー代謝の促進を通じて、肥満・糖尿病の予防・改善を行うことができると考えた。本研究では、褐色・褐色様脂肪細胞の発生メカニズムや、それらの細胞の発生・活性化が肥満によってどのように変化するかを検討した。まず、動物個体レベルで褐色脂肪細胞の発生を観察できる実験系の確立を試みた。UCP1発現調節領域が活性化される、細胞でレポーター遺伝子(赤色蛍光タンパク質)が発現する遺伝子改変マウスを樹立し、蛍光タンパク質由来の蛍光強度の変化を通じて、動物個体レベルで非侵襲的・経時的にUCP1の転写活性を検出できる実験系を確立した。この遺伝子改変マウスを用いることで、薬剤・食品成分の褐色脂肪細胞誘導能を動物個体レベルで簡便に評価をできると考えられる。さらに、肥満により白色脂肪組織で炎症性サイトカインが増加することに着目し、培養細胞モデルや肥満・糖尿病モデルマウスを用いて、炎症性サイトカインと褐色・褐色様脂肪細胞の発生を検討した。その結果、肥満状態の脂肪組織に浸潤したマクロファージに由来する炎症性サイトカインが、脂肪細胞のextracellular signal-related kinas (ERK)活性化を介して、褐色・褐色様脂肪細胞の発生を抑制することを見出した。これは、肥満により、脂肪組織のエネルギー消費が低下し、肥満を助長する「悪循環」メカニズムの一旦を明らかとしたものだと考えられ、新たな薬剤・食品成分のターゲットと成り得る。
著者
前田 太郎 坂本 佳子 岡部 貴美子 滝 久智 芳山 三喜雄 五箇 公一 木村 澄
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.109-126, 2015
被引用文献数
4

2010年頃から,飛べないニホンミツバチApis cerana japonica Rad. が巣の周辺を這いまわり,多くのコロニーが消滅していく事例が日本各地で見られるようになった。その症状が,セイヨウミツバチAp. mellifera L. で報告されているアカリンダニ症と酷似していることから,原因としてミツバチに寄生するアカリンダニAcarapis woodi (Rennie)の寄生が疑われた。しかし,実際にアカリンダニの存在を確認した例は少なく,2013年3月までの公式報告はわずか4件のみであった(農林水産省,2014)。前田(2015)の2013年度の調査によると,すでに日本の広い範囲でニホンミツバチがアカリンダニに寄生されており,今後さらに寄生地域が拡大していくことが懸念される。アカリンダニの生態や防除法に関しては,ヨーロッパやアメリカを中心に,セイヨウミツバチを用いた研究調査が行われてきたが,日本ではアカリンダニについて正確な情報が十分知られておらず,現状の把握と対策が遅れている状況にある。
著者
渡邊 淳司 加納 有梨紗 坂本 真樹
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.353-359, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
35
被引用文献数
6 2

Although human beings are capable of discerning a variety of textures through the sense of touch, there is as yet no consensus as to how best to classify those textures. To resolve this problem, we proposed a novel method of categorizing tactile textures using onomatopoeic words in Japanese. Based on the impressions they evoke, onomatopoeic words pertaining to tactile sensations are distributed on a two-dimensional space, making it possible to visualize how different tactile sensations are related to one another. Combining the results obtained with the subjects' evaluations of the materials touched in terms of how pleasant or unpleasant they find those materials, this paper attempts to visualize on a two-dimensional space the relationship between the pleasantness/unpleasantness associated with the materials and the tactile sensations that they evoke.
著者
坂本 美紀 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 山本 智一 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.425-426, 2004

筆者らは,遺伝子組み換え食品(GMF)を題材にした科学教育のためのCSCL環境を開発し,小学生を対象にデザイン実験を行っている.本研究では,このデザイン実験の評価の一環として, GMFに対する理解とイメージが,単元の学習を通して変容したかどうかを検討した.分析の結果,概念的理解については. GMFの基礎知識や論争性についての理解が進んだことが明らかになった。また,イメージの変容も確認された.
著者
坂本 浩二 山内 真由美 中山 貞男 水流添 暢智 坂下 光明 藤川 義弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.187-193, 1987 (Released:2007-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

コレステロール負荷により誘発したウサギの高脂血症ならびに動脈硬化症に対するNIP-200(3,5-dimethyl-4,6-diphenyl-tetrahydro-2H-1,3,5-thiadiazine-2-thione)の作用を検討した.NIP-200は1%コレステロール飼料(HCD)に0.2%(w/w)添加した混餌飼料として,1日1回100g/匹を与え,16週間飼育した.HCD,NIP-200各群の体重増加と飼料摂取量は対照と比ぺて差がみられなかった.NIP-200は飼育4,10,14週において,HCD飼育による血漿の総脂質,総コレステロール(TC),リン脂質(PL),遊離コレステロールの増加を抑制した.高密度リポ蛋白中のTC(HDL-TC)はHCDの飼育2週,10~16週とNIP-200の飼育6~16週において,対照に比べて増加を示した.HDL-PLはNIP-200飼育6~10週においてHCD以上の増加を示した.TCとHDL-TCを用いたatherogenic indexはNIP-200飼育4,12週に低下を示し,PLとHDL-PLを用いたそれはNIP-200飼育4,6週と10~14週に低下を認めた.走査型電子顕微鏡による大動脈弓部内腔表面構造の観察では,脂肪斑の減少,内腔の山波形の溝の消失と内皮細胞核の膨化を抑制するなど,NIP-200はHCD飼育による形態変化を改善した.これらの結果から,NIP-200の脂質低下作用は腸管における脂質吸収抑制と肝における異化排泄促進によって発現する可能性が示唆された.また,NIP-200の抗動脈硬化作用には血漿HDL-TC,HDL-PL増加による脂質代謝改善が関与しているものと推測される.
著者
佐藤 壮太 渡辺 隼矢 坂本 優紀 川添 航 喜馬 佳也乃 松井 圭介
雑誌
筑波大学人文地理学研究 = Tsukuba studies in human geography
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-43, 2018-04

本研究にあたり,2016~17年度科学研究費(挑戦的萌芽研究)「聖地共創時代におけるオタクの癒し空間に関する応用地理学的研究」(研究代表者:松井圭介)の一部を利用した.
著者
喜馬 佳也乃 佐藤 壮太 渡辺 隼矢 川添 航 坂本 優紀 卯田 卓矢 石坂 愛 羽田 司 松井 圭介
雑誌
筑波大学人文地理学研究 = Tsukuba studies in human geography
巻号頁・発行日
vol.38, pp.45-58, 2018-04

本研究には平成28年度科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究:課題番号16K13297)の一部を利用した.
著者
坂本 雅昭 中澤 理恵 竹沢 豊 山路 雄彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0321-C0321, 2005

【目的】<BR>我々は,群馬県高等学校体育連盟(高体連)サッカー専門部との協議の上,応急処置および傷害予防を目的とし,平成16年度の群馬県高校総合体育大会(県総体),インターハイ予選(インハイ予選),選手権予選においてメディカルサポートを実施した。本県では,以前より高校野球でメディカルサポートが行われていたが、サッカー競技では今回が初の取り組みとなった。本研究の目的は,群馬県高体盟サッカー競技におけるメディカルサポートの内容を整理し,次年度へ向けての課題を明らかにすることである。<BR>【対象及び方法】<BR>対象は,県総体に出場した56校55試合,インハイ予選に出場した58校57試合,選手権予選に出場した57校72試合とした。メディカルサポートを行うため,群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じ,本県内の理学療法士にボランティア参加を募った。メディカルサポートの内容は,試合前の傷害予防のためのテーピング等のケア,試合中(原則として選手交代後)及び試合後の外傷に対する応急処置・ケアの指導であった。また,次試合への申し送りのため,傷害名,受傷機転,対応に関する申し送り表を作成した。各試合会場には,理学療法士が2名以上常駐するように配置した。<BR>【結果及び考察】<BR>メディカルサポートに参加した理学療法士は県総体延べ38名,インハイ予選延べ42名,選手権予選延べ70名であった。メディカルサポートで対応した選手数は延べ393名(県総体112名,インハイ予選128名,選手権予選153名),対応件数は518件(県総体137件,インハイ予選181件,選手権予選200件)であった。試合前の対応は266件であり,試合中・試合後の対応は262件であった。試合前の主な対応内容はテーピングであり,試合中・試合後の主な対応内容はテーピング,アイシング,ストレッチング,止血処置であった。テーピングは356件,アイシングは156件,ストレッチングは56件,止血処置は5件であり,テーピングが最も多い対応内容であった。テーピングの部位別内訳は,肩関節9件,肘関節2件,前腕6件,手関節7件,手指18件,体幹27件,股関節4件,大腿50件,膝関節48件,下腿29件,足関節147件,足趾9件であり,下肢に対するテーピングが全体の80%を占め,足関節が最も多かった。サッカー選手の傷害に関する過去の報告では,若年者の年代ほど足関節捻挫が多いと報告されており,同様の結果となった。今後の課題として,テーピングを含めた応急処置に関する技術の向上を図る必要性が示唆された。
著者
中澤 理恵 坂本 雅昭 中川 和昌 猪股 伸晃 小川 美由紀 武井 健児 坂田 和文 中島 信樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.C0562-C0562, 2008

【目的】<BR> 我々は,応急処置および傷害予防を目的とし,平成16年度から年間4大会開催される群馬県高等学校体育連盟(高体連)サッカー競技大会において,理学療法士(PT)によるメディカルサポートを行ってきた。それらの内容はすでに,第40回・第41回本学会で報告済みである。本研究の目的は,過去3年間の群馬県高体連サッカー競技におけるメディカルサポートの内容を整理し,今後の課題を明らかにすることである。<BR>【対象及び方法】<BR> 対象は平成16年度(H16),平成17年度(H17),平成18年度(H18)に開催された群馬県高体連サッカー競技12大会に出場した544校703試合とした。年間に開催される大会は,群馬県高校総合体育大会,全国高校総合体育大会群馬県予選,全国高校サッカー選手権大会群馬県予選,新人大会兼県高校サッカーリーグの4大会である。PTのボランティア参加の募集は群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じて行い,各会場2名以上常駐するように配置した。また,メディカルサポートの内容は,試合前の傷害予防・リコンディショニング目的のテーピング等のケア,試合中(原則選手交代後)及び試合後の外傷に対する応急処置,ケアの指導とした。<BR>【結果及び考察】<BR> 参加したPTの延べ人数はH16:205名,H17:167名,H18:153名の計525名であった。メディカルサポートで対応した総学校数は延べ343校65%であり,H16:124校68%,H17:115校68%,H18:104校60%と各年とも6割以上の学校がサポートを利用していた。H18の対応校割合の減少は,PTが専属に所属する学校数が増加したことが要因と考える(H16:5校,H17:6校,H18:8校)。また,対応選手数は延べ1355名(H16:514名,H17:481名,H18:360名)であり,対応件数は2461件(H16:847件,H17:938件,H18:676件)であった。その傷害部位の内訳は上肢221件,体幹232件,下肢1944件であり,足関節が753件31%と最も多く,サッカー選手の傷害に関する過去の報告と同様の結果となった。また,サポート内容の内訳はテーピング1327件54%(H16・H17:各54%,H18:53%),アイシング550件23%(H16:23%,H17:22%,H18:21%),ストレッチング266件11%(H16:11%,H17:10%,H18:12%),止血処置31件1%(H16:2%,H17・H18:各1%),傷害確認及び今後のケア指導287件12%(H16:8%,H17・H18:各13%)であり,H17からは傷害確認及び今後のケア指導の割合が増加した。傷害に対するその場での対応のみならず,今後のコンディショニングやリコンディショニングに関する指導技術の向上を図る必要性が示された。